今回は60cards.netから。
なんというか本当に遅れすぎていて申し訳ないのですが、とーしんさんが12月上旬に寄稿なさっていた、ご自身2つ目の記事の翻訳になります。
僕自身もこの記事が出た直後は、周囲に「とーしんさんの記事は読むべき」と言いまくっていたのですが、忙しくて肝心の翻訳をしていなかったという駄目っぷり……。
内容は、日本の誇る二大自主大会の紹介と、ルール変更後の海外メタ予想とデッキ紹介。XY前の記事なのでそれには対応していませんが、メタ予想もデッキ紹介も、流石の切れ味です。
何よりデッキ紹介での解説は、レギュが違っているとはいえ、必読レベルの内容でしょう。特に、過去にサザンダークを使ったことがある人は、自分のプレイの良い点悪い点を振り返ってみてはどうでしょうか。
冒頭の魔女さんによる英訳者注も、絶妙に良い味を出しています。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、改行を変更した部分があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
A New Rule for Pokemon Catcher- Will You Flip The Coin?
by Shintaro Ito, trans. Majyo
Monday, December 2, 2013
ttp://60cards.net/blog/posts/detail/107
みなさん、お久しぶりです! スイクン/テラキオンの記事を書いたとーしんです。
(英訳者注:信じる信じないは別として、スイクン/テラキオンは、とーしんさんがバトルカーニバル名古屋で優勝してから有名なデッキになりました。名前よりもデッキの方が有名になってしまったので、とーしんさんのことをスイクンテラキの人と呼ぶ人さえいるんです。それと、Facebookであの記事に対してたくさん「いいね!」を実際にもらっていたので予想はできていたのですが、それでも、Regionalsでスイクン/テラキオンが使われていたことを、本当にうれしく思います。とにかく、私たちの記事を読んでくださっているみなさん、本当にありがとうございます!)
今回は、新フォーマットを受けて、日本の自主大会でどんなデッキが結果を残したかについてお話しします。知ってのとおり、11月8日から、いくつか変更点があります。
1.ポケモンキャッチャーがポケモンリバースになりました。つまり、ベンチを引っ張り出そうと思ったら、コインを投げなければいけない、ということです。
2.先攻プレイヤーは1ターン目にワザを使えなくなりました。上で触れたのですが、新フォーマットを受けて、こちらでは2つの大会が実際に行われました。その2つは自主大会ですが、こちらと他の海外とが異なっている点は、こちらではまだBWのすべてのカードが、つまりビール系やビクティニ(Ⅴジェネレート)が使えるということです。では大会で何が結果を残したのか見てみましょう。
おーす!未来のチャンピオン杯
これは東京で毎月開かれている最大の自主大会で、各地からレベルの高いプレイヤーが多数参加します。ハイレベルな試合を見ることができますし、大会結果はメタ内のデッキにも大きく影響します。ところで、この大会名は、ポケモン赤青緑、金銀クリスタルに出てくるジムの入り口の人〔※訳注:ガイドーさんという名前らしいですね〕が言う、有名な台詞から来ています。
それは……「おーす!みらいのチャンピオン!」。そうです、この大会の目標は、未来のチャンピオンを輩出することです。この大会に参加しているプレイヤーの中には、本当に公式大会で優勝して、世界大会の権利を獲得した人もいます。来年も、参加者の中からチャンピオンが生まれてほしいと思います。
この大会の結果は以下のとおりです。
1位:レックウザEX/シビビール/ライコウEX/ビクティニ(Ⅴジェネレート)
2位:ダストダス/ランドロスEX/ミュウツーEX
3位:デオキシスEX/ボルトロスEX/キュレム
金ギャラドス杯
こちらは名古屋で開催されている大会です。中部地区に住んでいるプレイヤーがターゲットですが、こちらもレベルの高い大会です。招待があれば他地域のプレイヤーも参加できますし、毎回100人近いプレイヤーが集まります。もしかすると、なぜ「金」ギャラドス杯という名前なのか疑問に思われるかもしれません。実際ひかるギャラドスは赤い色ですし……これはどういうことなんでしょう。ではひかるコイキングは? 金色ですね。そして金のコイキングは、名古屋の有名なシンボルであるシャチホコと、非常によく似ています。コイキングがギャラドスに進化するように、たくさん対戦して経験値を得て、強く上手いプレイヤーになるというイメージが、大会名の由来になっています。
1位:レックウザEX/シビビール/ライコウEX/ビクティニ(Ⅴジェネレート)
2位:パルキアEX/チルタリス/ラティアスEX/シンボラー
3位:ゴチルゼル/アギルダー/ブースター
この2つの大会から、今のところシビビールがかなり結果を残しているのがわかります。では他のデッキを見てみると、いくつか新顔のデッキがありますね。さておき、金ギャラドス杯で3位になったのは自分なので、そのゴチルゼル/アギルダー/ブースターデッキを紹介したいと思います。
4 ゴチム
1 ゴチミル
4 ゴチルゼル
3 チョボマキ
3 アギルダー
2 イーブイ
2 ブースター
1 ミュウEX
1 ケルディオEX
4 アララギ博士
4 N
2 フウロ
2 アクロマ
2 トロピカルビーチ
4 ふしぎなアメ
3 レベルボール
3 ハイパーボール
3 ポケモンキャッチャー
2 かるいし
2 ツールスクラッパー
1 シルバーバングル
1 ダウジングマシン
4 ダブル無色エネルギー
〔※訳注:原文の段階で58枚でした〕
このデッキは基本的にゴチルゼル/アギルダーですが、新フォーマットに対応するために多少の変更があります。
シルバーバングルの登場で、HP170のEX(たとえばミュウツーやトルネロス)を相手のエンド時に倒せるようになりました。つまり、なぐってドロンで50点、毒で20点、次にバングルつきのなぐってドロンで50+30点、最後に毒で20点です。ケルディオEXならば、草弱点なのでバングルつきのなぐってドロンが160ダメージになり、毒の10点できぜつさせられます。
こう言うとゴチルゼル/アギルダーがBW9で強くなったように見えますが、実際はそうではありません。ビリジオンEXが出てしまったおかげで相手をマヒでロックするのが難しくなってしまい、また1ターンに草エネを2枚貼れるエメラルドスラッシュが強く、ビリジオンはメタ内カードの仲間入りをしました。なので、今ではゴチルゼル/アギルダーはあまり見られず、ほとんど絶滅寸前です。ブースターが役に立つようになったのはこんなときでした。ブースターがいれば、ビリジオンEXに対しては5割以上勝てるようになります。
マッギョやクリムガン(逃げるロック)でゲームが終わってしまうので、ケルディオを入れてあります。白銀の鏡も入れていたのですが、もうデッキから抜いてしまったのでケルディオもいらないかもしれません。キャッチャーをまだ3枚入れているのは、相手のケルディオを倒すためです。3回コインを投げれば1回は表が出るはずです。
また、白銀の鏡1枚とすごいつりざお1枚は、ゴチルゼル1枚とスクラッパー1枚に変えました。この理由は、プラズマ(デオキボルトキュレム)はかなりキャッチャーに依存するデッキなので、新環境初期はあまりいないだろうと思ったからです。スクラッパーの追加はダストダスが増えると思ったからで、また、ゴチルゼルを立てることは、このデッキで一番大切なことだと強く思います。ただ、新環境で使ってみて、パルキアEXとゲノセクトEXを多少見たので、白銀の鏡はやはり必要かもしれません。
使い方:このデッキでまずやるべきことは、ゴチルゼルを立てて相手のグッズをロックすることです。2体目のゴチルゼルもベンチに置きたいですし、必要ならばケルディオEXのためにベンチの枠をひとつあけ、残りの枠はアギルダー用です。必要ないときは、絶対にイーブイを出してはだめです。ベンチのスペースが埋まってしまいます。さて次のところでは、各メタ内デッキに対してこのデッキがどう動くのかを説明します。
対ゲノセクトEX/ビリジオンEX
普通にスタートしていいですが、ゴチルゼルは早めに立てましょう。ベンチにチョボマキを置くと、相手は必然的にレッドシグナルでそこを倒しに来ます。相手に2、3枚サイドを取らせてからイーブイを出し、Nを撃ってゲームスタートです。ビリジオンではブースターは一撃で倒せないので、もしブースターで2回攻撃できれば、勝てる見込みはかなり高くなります。また、もしバングルを貼れていれば、ビリジオンやゲノセクトを倒すのにトラッシュにはポケモン4枚だけでよくなります。
対カメックス/ケルディオEX/ブラックキュレムEX
相手のカメックスより先にゴチルゼルを立てられれば簡単なゲームです。もしゴチルゼルより相手のカメックスの方が早かったらどうすべきでしょうか? たとえゴチルゼルが立っていなくても、バングルつきのなぐってドロンでケルディオを一撃で倒せたらそんなにきつくはありません。そもそもカメケルは、スーパーエネルギー回収のようなグッズに強く依存するデッキなので、ゴチルゼルがバトル場にいる限り、動きを維持するのが難しくなります。なのでだいたいの場合、この相手には勝つことができます。
対ダストダス
ゴチルゼルを立てて、正しいタイミングでスクラッパーを使いましょう。相手のとくせいに対処できればゲームにはそのまま勝てるはずです。スクラッパーは2枚入っているので、1枚がサイド落ちしても困ることはありません。ただ、スクラッパーがサイド落ちしても自動的に負けになるわけではないので、1枚に減らすべきかもしれません。
本題に戻って、今のメタを見てみましょう。基本的にはビール系がメタの中心にいます。これは、こちらにはビクティニ(Ⅴジェネレート)があってビリジオン/ゲノセクトにかなり戦えることと、新ルールの影響で、簡単にはキャッチャーでビールが引っ張り出されなくなったからです。なので基本的に、今はレックウザEXで180ダメージが出しやすくなっています。ならば他のデッキはどうなのでしょう。ただそれはさておき、海外ではどうなっていくのか、自分の予想を書いてみます。
Tier 1
ビリジオンEX/ゲノセクトEX/その他
カメックス/ケルディオEX/ブラックキュレムEX
ボルトロスEX/ルギアEX/デオキシスEX/カビゴン
Tier 1.5
ダストダス/ランドロスEX
Tier 2
ボルトロスEX/デオキシスEX/キュレム
ビリジオンEX/ミュウツーEX/その他
タマタマ/マニューラ
ダークライEX/ノヨワール
おそらく、ビリジオンEX/ゲノセクトEXは、レッドシグナルがあるのでかなりやれると思います。それを倒すのにブラックキュレムEXとルギアEXの打点は使えますし、ダークライEXは今までキャッチャーにかなり依存していたので、ヨノワールでダメカンをコントロールして戦う形になると思います。
ポケモンキャッチャーはノーリスクでベンチを呼ぶことができていたので、キャッチャーがないとなると、ほとんどのとくせいはかなり強くなると思います。キャッチャーに代わるものはないんでしょうか。以下に挙げるものは、自分がキャッチャーの代わりになりうると思うカードです。
1.ゲノセクトEX
とくせいのレッドシグナルはキャッチャーと完全に同じ効果です。メガロキャノンはダークライEXとよく似ていますし、Gブースターで200ダメージを出すこともできます。ビリジオンEXの加速があればゲノセクトEXはさらに強いカードになります。
2.キュウコン
キュウコンのとくせいは進化したときにキャッチャー効果です。ただ、ロコンがキュレムのフロストスピアで一発できぜつするので、あまり使われていませんでした。個人的なおすすめはダークライEXとの組み合わせですが、90という打点は、低くはないですがあまり高くもありません。
3.ヨノワール
とくせいでダメカンを効果的に動かすことができます。まだそんなに多くはいませんが、将来的にはたくさん見ることになると思います。
4.ヤミラミ
コインになりましたがキャッチャーはいまだに効果的なカードです。裏が出ても、ジャンクハントで拾えばいいわけです。
5.あなぬけのヒモ
キャッチャーではないですが、ベンチを引っ張り出すことができます。ルギアEXやブラックキュレムEXのような高い打点のカードをベンチに置けるデッキで使えれば強そうに見えます。
ここまでが代替案ですが、ここからは、バトル場にいるときに相手を困らせるカードを挙げていきます。
1.スイクンとシンボラー
この2枚のしんぴのまもり持ちは、EXからの攻撃を防ぐことができます。相手にしたときには、対処できなければ負けてしまうでしょう。前環境でもそれはよくあったことですが、今後もそうだろうと思います。
2.カビゴン
にげるができなくなります。以前はキャッチャーでバトル場からどかせられましたが、エラッタのせいで確実ではなくなりました。ポケモンいれかえのようないれかえ系のグッズが必須になってきます。
3.ムーランド
バトル場にいるときに、サポートを使えなくなります。おそらく、カイオーガEXのような、ベンチと入れ替えるワザを持ったポケモンと組み合わせて使われると思います。ただ、今のところ日本ではあまり多くはいません。
4.げきりん(ゼクロム、レシラム、キュレム)
バトル場にいるときは、かなりやっかいな存在です。HP130を一撃で倒すのはかなり難しく、放っておけば120ダメージを撃ち始めたりもします。
記事を終える前に、新環境で自分が使っているデッキをひとつ紹介したいと思います。どんなデッキに対しても、自動的に勝ったり負けたりということのない、オールラウンドなデッキです。違ったタイプを挿せば、新環境でも強くなると思います。ただ気をつけてほしいのですが、ゲームの序盤から攻撃を始めると、おそらく負けてしまうでしょう。
・サザンドラ/ヨノワール/ダークライEX
3 ダークライEX
2 ヤミラミ
2 モノズ
2 サザンドラ
1 ヨマワル
1 ヨノワール
1 ギラティナEX
1 ミュウツーEX
1 ビクティニEX
1 ビリジオンEX
1 シンボラー
4 アララギ博士
4 N
4 アクロマ
3 ベル
3 ふしぎなアメ
3 ダークパッチ
2 改造ハンマー
2 ツールスクラッパー
2 まんたんのくすり
2 ハイパーボール
2 レベルボール
1 すごいつりざお
1 ダウジングマシン
7 悪エネルギー
4 ブレンドエネルギー草炎超悪
使い方:基本的に、場はこのような感じです:ヤミラミ、サザンドラ、ダークライ、(ヨノワール)、そして2枠がフリースペースで、相手がどくさいみんを撃ってくるならビリジオンを置き、相手がスイクンやシンボラーを使ってくるならギラティナを出しましょう。ただ、ゲームの最終盤にならない限り、ミュウツーやサザンドラで攻撃してはだめです。ミュウツーのエックスボールやサザンドラのリューズブラストは場からエネルギーがなくなる可能性が高く、リスクがあるからです。
また、自分のリストを人に見せるたび、悪エネ7枚ではダークパッチが使いにくいんじゃないかと訊かれます。答えはノーで、使うのは難しくありません。自分がダークサザンでダークパッチを使いたいのは場のエネルギーを復旧させたいときで、とりわけポケモンが倒されたときです。
多くの人は、ハイパーボールで悪エネを1、2枚捨てて、それからダークパッチを使って、というように、ダークパッチをエネ加速エンジンとして使っていると思います。しかしここでは、リカバリーソースとしてダークパッチを使います。
EXが落ちなかったときにはまんたんのくすりが役立ちますし、特殊エネルギーを貼られたら改造ハンマーを使いましょう。ツールスクラッパーは、ダストダスやケルディオのかるいしを割ります。これらのカードが強いのは中盤ですが、序盤に捨ててしまっても、ヤミラミが2枚入っているのでジャンクハントで拾うことができます。
書くことはまだあるのですが、今日はここまでにします。また来月お会いしましょう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
繰り返しになりますが、訳文に問題があるとすれば、とーしんさんや魔女さんではなく責任は翻訳した僕にあります。間違いなどあれば遠慮なくご指摘ください。
記事中盤では海外のメタ予想があるのですが、これは見事に当たっていて、現状の海外メタは、ビリゲノがトップ、それを追いかけるカメケルとルギア型プラズマ、そしてエンペルトやダークライ派生がそれに続く、という形になっています(TheTopCutの集計による)。
そのあとで挙げられているゲノセクトやあなぬけのヒモ、カビゴンも、今の日本の、レックビール全盛以後のメタゲームの中での注目株のカードたちですね。
記事の最後によればまた今月も寄稿してくださるようなので、期待してしまいます。
なんというか本当に遅れすぎていて申し訳ないのですが、とーしんさんが12月上旬に寄稿なさっていた、ご自身2つ目の記事の翻訳になります。
僕自身もこの記事が出た直後は、周囲に「とーしんさんの記事は読むべき」と言いまくっていたのですが、忙しくて肝心の翻訳をしていなかったという駄目っぷり……。
内容は、日本の誇る二大自主大会の紹介と、ルール変更後の海外メタ予想とデッキ紹介。XY前の記事なのでそれには対応していませんが、メタ予想もデッキ紹介も、流石の切れ味です。
何よりデッキ紹介での解説は、レギュが違っているとはいえ、必読レベルの内容でしょう。特に、過去にサザンダークを使ったことがある人は、自分のプレイの良い点悪い点を振り返ってみてはどうでしょうか。
冒頭の魔女さんによる英訳者注も、絶妙に良い味を出しています。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、改行を変更した部分があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
A New Rule for Pokemon Catcher- Will You Flip The Coin?
by Shintaro Ito, trans. Majyo
Monday, December 2, 2013
ttp://60cards.net/blog/posts/detail/107
みなさん、お久しぶりです! スイクン/テラキオンの記事を書いたとーしんです。
(英訳者注:信じる信じないは別として、スイクン/テラキオンは、とーしんさんがバトルカーニバル名古屋で優勝してから有名なデッキになりました。名前よりもデッキの方が有名になってしまったので、とーしんさんのことをスイクンテラキの人と呼ぶ人さえいるんです。それと、Facebookであの記事に対してたくさん「いいね!」を実際にもらっていたので予想はできていたのですが、それでも、Regionalsでスイクン/テラキオンが使われていたことを、本当にうれしく思います。とにかく、私たちの記事を読んでくださっているみなさん、本当にありがとうございます!)
今回は、新フォーマットを受けて、日本の自主大会でどんなデッキが結果を残したかについてお話しします。知ってのとおり、11月8日から、いくつか変更点があります。
1.ポケモンキャッチャーがポケモンリバースになりました。つまり、ベンチを引っ張り出そうと思ったら、コインを投げなければいけない、ということです。
2.先攻プレイヤーは1ターン目にワザを使えなくなりました。上で触れたのですが、新フォーマットを受けて、こちらでは2つの大会が実際に行われました。その2つは自主大会ですが、こちらと他の海外とが異なっている点は、こちらではまだBWのすべてのカードが、つまりビール系やビクティニ(Ⅴジェネレート)が使えるということです。では大会で何が結果を残したのか見てみましょう。
おーす!未来のチャンピオン杯
これは東京で毎月開かれている最大の自主大会で、各地からレベルの高いプレイヤーが多数参加します。ハイレベルな試合を見ることができますし、大会結果はメタ内のデッキにも大きく影響します。ところで、この大会名は、ポケモン赤青緑、金銀クリスタルに出てくるジムの入り口の人〔※訳注:ガイドーさんという名前らしいですね〕が言う、有名な台詞から来ています。
それは……「おーす!みらいのチャンピオン!」。そうです、この大会の目標は、未来のチャンピオンを輩出することです。この大会に参加しているプレイヤーの中には、本当に公式大会で優勝して、世界大会の権利を獲得した人もいます。来年も、参加者の中からチャンピオンが生まれてほしいと思います。
この大会の結果は以下のとおりです。
1位:レックウザEX/シビビール/ライコウEX/ビクティニ(Ⅴジェネレート)
2位:ダストダス/ランドロスEX/ミュウツーEX
3位:デオキシスEX/ボルトロスEX/キュレム
金ギャラドス杯
こちらは名古屋で開催されている大会です。中部地区に住んでいるプレイヤーがターゲットですが、こちらもレベルの高い大会です。招待があれば他地域のプレイヤーも参加できますし、毎回100人近いプレイヤーが集まります。もしかすると、なぜ「金」ギャラドス杯という名前なのか疑問に思われるかもしれません。実際ひかるギャラドスは赤い色ですし……これはどういうことなんでしょう。ではひかるコイキングは? 金色ですね。そして金のコイキングは、名古屋の有名なシンボルであるシャチホコと、非常によく似ています。コイキングがギャラドスに進化するように、たくさん対戦して経験値を得て、強く上手いプレイヤーになるというイメージが、大会名の由来になっています。
1位:レックウザEX/シビビール/ライコウEX/ビクティニ(Ⅴジェネレート)
2位:パルキアEX/チルタリス/ラティアスEX/シンボラー
3位:ゴチルゼル/アギルダー/ブースター
この2つの大会から、今のところシビビールがかなり結果を残しているのがわかります。では他のデッキを見てみると、いくつか新顔のデッキがありますね。さておき、金ギャラドス杯で3位になったのは自分なので、そのゴチルゼル/アギルダー/ブースターデッキを紹介したいと思います。
4 ゴチム
1 ゴチミル
4 ゴチルゼル
3 チョボマキ
3 アギルダー
2 イーブイ
2 ブースター
1 ミュウEX
1 ケルディオEX
4 アララギ博士
4 N
2 フウロ
2 アクロマ
2 トロピカルビーチ
4 ふしぎなアメ
3 レベルボール
3 ハイパーボール
3 ポケモンキャッチャー
2 かるいし
2 ツールスクラッパー
1 シルバーバングル
1 ダウジングマシン
4 ダブル無色エネルギー
〔※訳注:原文の段階で58枚でした〕
このデッキは基本的にゴチルゼル/アギルダーですが、新フォーマットに対応するために多少の変更があります。
シルバーバングルの登場で、HP170のEX(たとえばミュウツーやトルネロス)を相手のエンド時に倒せるようになりました。つまり、なぐってドロンで50点、毒で20点、次にバングルつきのなぐってドロンで50+30点、最後に毒で20点です。ケルディオEXならば、草弱点なのでバングルつきのなぐってドロンが160ダメージになり、毒の10点できぜつさせられます。
こう言うとゴチルゼル/アギルダーがBW9で強くなったように見えますが、実際はそうではありません。ビリジオンEXが出てしまったおかげで相手をマヒでロックするのが難しくなってしまい、また1ターンに草エネを2枚貼れるエメラルドスラッシュが強く、ビリジオンはメタ内カードの仲間入りをしました。なので、今ではゴチルゼル/アギルダーはあまり見られず、ほとんど絶滅寸前です。ブースターが役に立つようになったのはこんなときでした。ブースターがいれば、ビリジオンEXに対しては5割以上勝てるようになります。
マッギョやクリムガン(逃げるロック)でゲームが終わってしまうので、ケルディオを入れてあります。白銀の鏡も入れていたのですが、もうデッキから抜いてしまったのでケルディオもいらないかもしれません。キャッチャーをまだ3枚入れているのは、相手のケルディオを倒すためです。3回コインを投げれば1回は表が出るはずです。
また、白銀の鏡1枚とすごいつりざお1枚は、ゴチルゼル1枚とスクラッパー1枚に変えました。この理由は、プラズマ(デオキボルトキュレム)はかなりキャッチャーに依存するデッキなので、新環境初期はあまりいないだろうと思ったからです。スクラッパーの追加はダストダスが増えると思ったからで、また、ゴチルゼルを立てることは、このデッキで一番大切なことだと強く思います。ただ、新環境で使ってみて、パルキアEXとゲノセクトEXを多少見たので、白銀の鏡はやはり必要かもしれません。
使い方:このデッキでまずやるべきことは、ゴチルゼルを立てて相手のグッズをロックすることです。2体目のゴチルゼルもベンチに置きたいですし、必要ならばケルディオEXのためにベンチの枠をひとつあけ、残りの枠はアギルダー用です。必要ないときは、絶対にイーブイを出してはだめです。ベンチのスペースが埋まってしまいます。さて次のところでは、各メタ内デッキに対してこのデッキがどう動くのかを説明します。
対ゲノセクトEX/ビリジオンEX
普通にスタートしていいですが、ゴチルゼルは早めに立てましょう。ベンチにチョボマキを置くと、相手は必然的にレッドシグナルでそこを倒しに来ます。相手に2、3枚サイドを取らせてからイーブイを出し、Nを撃ってゲームスタートです。ビリジオンではブースターは一撃で倒せないので、もしブースターで2回攻撃できれば、勝てる見込みはかなり高くなります。また、もしバングルを貼れていれば、ビリジオンやゲノセクトを倒すのにトラッシュにはポケモン4枚だけでよくなります。
対カメックス/ケルディオEX/ブラックキュレムEX
相手のカメックスより先にゴチルゼルを立てられれば簡単なゲームです。もしゴチルゼルより相手のカメックスの方が早かったらどうすべきでしょうか? たとえゴチルゼルが立っていなくても、バングルつきのなぐってドロンでケルディオを一撃で倒せたらそんなにきつくはありません。そもそもカメケルは、スーパーエネルギー回収のようなグッズに強く依存するデッキなので、ゴチルゼルがバトル場にいる限り、動きを維持するのが難しくなります。なのでだいたいの場合、この相手には勝つことができます。
対ダストダス
ゴチルゼルを立てて、正しいタイミングでスクラッパーを使いましょう。相手のとくせいに対処できればゲームにはそのまま勝てるはずです。スクラッパーは2枚入っているので、1枚がサイド落ちしても困ることはありません。ただ、スクラッパーがサイド落ちしても自動的に負けになるわけではないので、1枚に減らすべきかもしれません。
本題に戻って、今のメタを見てみましょう。基本的にはビール系がメタの中心にいます。これは、こちらにはビクティニ(Ⅴジェネレート)があってビリジオン/ゲノセクトにかなり戦えることと、新ルールの影響で、簡単にはキャッチャーでビールが引っ張り出されなくなったからです。なので基本的に、今はレックウザEXで180ダメージが出しやすくなっています。ならば他のデッキはどうなのでしょう。ただそれはさておき、海外ではどうなっていくのか、自分の予想を書いてみます。
Tier 1
ビリジオンEX/ゲノセクトEX/その他
カメックス/ケルディオEX/ブラックキュレムEX
ボルトロスEX/ルギアEX/デオキシスEX/カビゴン
Tier 1.5
ダストダス/ランドロスEX
Tier 2
ボルトロスEX/デオキシスEX/キュレム
ビリジオンEX/ミュウツーEX/その他
タマタマ/マニューラ
ダークライEX/ノヨワール
おそらく、ビリジオンEX/ゲノセクトEXは、レッドシグナルがあるのでかなりやれると思います。それを倒すのにブラックキュレムEXとルギアEXの打点は使えますし、ダークライEXは今までキャッチャーにかなり依存していたので、ヨノワールでダメカンをコントロールして戦う形になると思います。
ポケモンキャッチャーはノーリスクでベンチを呼ぶことができていたので、キャッチャーがないとなると、ほとんどのとくせいはかなり強くなると思います。キャッチャーに代わるものはないんでしょうか。以下に挙げるものは、自分がキャッチャーの代わりになりうると思うカードです。
1.ゲノセクトEX
とくせいのレッドシグナルはキャッチャーと完全に同じ効果です。メガロキャノンはダークライEXとよく似ていますし、Gブースターで200ダメージを出すこともできます。ビリジオンEXの加速があればゲノセクトEXはさらに強いカードになります。
2.キュウコン
キュウコンのとくせいは進化したときにキャッチャー効果です。ただ、ロコンがキュレムのフロストスピアで一発できぜつするので、あまり使われていませんでした。個人的なおすすめはダークライEXとの組み合わせですが、90という打点は、低くはないですがあまり高くもありません。
3.ヨノワール
とくせいでダメカンを効果的に動かすことができます。まだそんなに多くはいませんが、将来的にはたくさん見ることになると思います。
4.ヤミラミ
コインになりましたがキャッチャーはいまだに効果的なカードです。裏が出ても、ジャンクハントで拾えばいいわけです。
5.あなぬけのヒモ
キャッチャーではないですが、ベンチを引っ張り出すことができます。ルギアEXやブラックキュレムEXのような高い打点のカードをベンチに置けるデッキで使えれば強そうに見えます。
ここまでが代替案ですが、ここからは、バトル場にいるときに相手を困らせるカードを挙げていきます。
1.スイクンとシンボラー
この2枚のしんぴのまもり持ちは、EXからの攻撃を防ぐことができます。相手にしたときには、対処できなければ負けてしまうでしょう。前環境でもそれはよくあったことですが、今後もそうだろうと思います。
2.カビゴン
にげるができなくなります。以前はキャッチャーでバトル場からどかせられましたが、エラッタのせいで確実ではなくなりました。ポケモンいれかえのようないれかえ系のグッズが必須になってきます。
3.ムーランド
バトル場にいるときに、サポートを使えなくなります。おそらく、カイオーガEXのような、ベンチと入れ替えるワザを持ったポケモンと組み合わせて使われると思います。ただ、今のところ日本ではあまり多くはいません。
4.げきりん(ゼクロム、レシラム、キュレム)
バトル場にいるときは、かなりやっかいな存在です。HP130を一撃で倒すのはかなり難しく、放っておけば120ダメージを撃ち始めたりもします。
記事を終える前に、新環境で自分が使っているデッキをひとつ紹介したいと思います。どんなデッキに対しても、自動的に勝ったり負けたりということのない、オールラウンドなデッキです。違ったタイプを挿せば、新環境でも強くなると思います。ただ気をつけてほしいのですが、ゲームの序盤から攻撃を始めると、おそらく負けてしまうでしょう。
・サザンドラ/ヨノワール/ダークライEX
3 ダークライEX
2 ヤミラミ
2 モノズ
2 サザンドラ
1 ヨマワル
1 ヨノワール
1 ギラティナEX
1 ミュウツーEX
1 ビクティニEX
1 ビリジオンEX
1 シンボラー
4 アララギ博士
4 N
4 アクロマ
3 ベル
3 ふしぎなアメ
3 ダークパッチ
2 改造ハンマー
2 ツールスクラッパー
2 まんたんのくすり
2 ハイパーボール
2 レベルボール
1 すごいつりざお
1 ダウジングマシン
7 悪エネルギー
4 ブレンドエネルギー草炎超悪
使い方:基本的に、場はこのような感じです:ヤミラミ、サザンドラ、ダークライ、(ヨノワール)、そして2枠がフリースペースで、相手がどくさいみんを撃ってくるならビリジオンを置き、相手がスイクンやシンボラーを使ってくるならギラティナを出しましょう。ただ、ゲームの最終盤にならない限り、ミュウツーやサザンドラで攻撃してはだめです。ミュウツーのエックスボールやサザンドラのリューズブラストは場からエネルギーがなくなる可能性が高く、リスクがあるからです。
また、自分のリストを人に見せるたび、悪エネ7枚ではダークパッチが使いにくいんじゃないかと訊かれます。答えはノーで、使うのは難しくありません。自分がダークサザンでダークパッチを使いたいのは場のエネルギーを復旧させたいときで、とりわけポケモンが倒されたときです。
多くの人は、ハイパーボールで悪エネを1、2枚捨てて、それからダークパッチを使って、というように、ダークパッチをエネ加速エンジンとして使っていると思います。しかしここでは、リカバリーソースとしてダークパッチを使います。
EXが落ちなかったときにはまんたんのくすりが役立ちますし、特殊エネルギーを貼られたら改造ハンマーを使いましょう。ツールスクラッパーは、ダストダスやケルディオのかるいしを割ります。これらのカードが強いのは中盤ですが、序盤に捨ててしまっても、ヤミラミが2枚入っているのでジャンクハントで拾うことができます。
書くことはまだあるのですが、今日はここまでにします。また来月お会いしましょう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
繰り返しになりますが、訳文に問題があるとすれば、とーしんさんや魔女さんではなく責任は翻訳した僕にあります。間違いなどあれば遠慮なくご指摘ください。
記事中盤では海外のメタ予想があるのですが、これは見事に当たっていて、現状の海外メタは、ビリゲノがトップ、それを追いかけるカメケルとルギア型プラズマ、そしてエンペルトやダークライ派生がそれに続く、という形になっています(TheTopCutの集計による)。
そのあとで挙げられているゲノセクトやあなぬけのヒモ、カビゴンも、今の日本の、レックビール全盛以後のメタゲームの中での注目株のカードたちですね。
記事の最後によればまた今月も寄稿してくださるようなので、期待してしまいます。