【翻訳】No.002:私のポケカライフ2001
 今回は60cards.netから。チムアチャ大和さんの記事第2弾の翻訳になります。
 内容は前回記事の予告どおり、昔の振り返りの最初の回になっています。過去のデッキ紹介、そしてご自身の対戦レポなど盛りだくさんな楽しい内容で、読み応えも十分です。
 また、翻訳では載せ切れなかったのですが、原文には昔のカードの画像もたくさんあります。興味のある方は、ぜひ原文も覗いてみて下さい。

 いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
 斜体は引用文です。読みやすさを考慮して、改行を追加した部分があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

No.002 My Pokemoncard Life 2001
by Tsuguyoshi Yamato, trans. Majyo
Thursday, November 7, 2013
ttp://60cards.net/blog/posts/detail/95


 読者のみなさん、ふたたびこんにちは! チームアチャモの大和です。
 これが2つ目の記事になりますが、今回は、2001年のころの私のポケカライフについてお話したいと思います。

 メタ内のカードやデッキなどについて話す前に、まずは当時使えたカードについて手短にご説明します。日本で「ポケモン赤・緑」が世に出たのは、1996年の2月でした(ポケモン緑は発売されていない国もあるので、知らない人もいるかもしれません。また、ポケモン青はまだ発売されていませんでした)。その半年後(1996年10月)、ポケモンカードの一番最初のセットが発売されました。日本では1999年11月に「ポケモン金・銀」が発売になり、ポケモンカードネオが日本では2000年の2月に発売されました。
 ネオシリーズのことを覚えていたり、あるいはご存知の方もいると思いますが、このゲームを変えたルール変更が数多く行われました。悪と鋼という2タイプが増え、ベイビィポケモンが登場しました。悪と鋼には基本エネルギーがなく、特殊エネルギーしか存在していなかったんです! しかも、これらのエネルギーのテキストは微妙に異なっていました。以下に貼ります。
悪エネルギー:
このカードは「悪」エネルギー1個ぶんとしてあつかう。
このカードをつけているポケモンのワザが、対戦ポケモンにダメージを与えるとき、そのダメージは「+10」される。
このカードをつけているポケモンが「悪」または「わるい」ポケモンでないなら、ポケモンチェックのたび、このカードをつけているポケモンに、「弱点・抵抗力」に関係なく、10ダメージ。

鋼エネルギー:
このカードは「鋼」エネルギー1個ぶんとしてあつかう。
このカードをつけているポケモンがワザによるダメージを受けるとき、そのダメージは「-10」される。
このカードをつけているポケモンが「鋼」ポケモンでないなら、このカードをつけているポケモンがワザによって与えるダメージも、「-10」される。
〔※訳注:日本語テキストはポケモンWikiさんから引用させていただきました。以下に出てくるカードテキストもほぼ同様です〕
テキストを見てみると、私たちが現在使っているものとは違い、追加の効果があるのがわかります。悪エネルギーは毒状態のようになる代わりに相手のバトルポケモンに10ダメージを追加で与え、鋼エネルギーはマイナス10ダメージのディフェンダーになるとともに、ポケモンに与えるダメージを10減らしてしまいます。こういった効果はマイナスなものかもしれませんが、しかしたとえば「すてみタックル」を持ったポケモンに鋼エネルギーを貼ると、自分へのダメージも減らすことができるんです。そのため、必ずしもマイナス面ばかりというわけではありませんでした。

 特殊エネルギーのほかには、ベイビィポケモンも活躍していました。ベイビィポケモンのHPは30ととても低いのですが、一方で特殊な能力もありました。
「ベイビィポケモン」がバトル場にいるかぎり、相手プレイヤーは、ワザを使うときにコインを投げて、「うら」なら、そのワザは失敗します
 しかも環境には、ポケモンのきぜつを防ぐことのできるきあいのハチマキまでありました。
きあいのハチマキ(ネオ1):
「ポケモンのどうぐ」は、あなたの場にいるポケモンにつけて使い、そのポケモンが「きぜつ」したとき、トラッシュする。すでに「ポケモンのどうぐ」をつけているポケモンには、つけることができない。相手のワザによるダメージで、このカードをつけているポケモンの残りHPがなくなったとき、コインを投げる。「おもて」なら、このカードをつけているポケモンは「きぜつ」せず、このカードをつけているポケモンの残りHPは「10」になる。その後、このカードをトラッシュする。
このカードはベイビィポケモンにつけて使われました。そうすれば、ベイビィポケモンは75%の確率でバトル場に留まることができたんです。

 これらすべての戦略がネオシリーズの一番最初のセットに入っており、大きな変化をもたらしました。さて、2001年の日本の大会がどのようなものだったかをご説明しましょう。そのときまでにリリースされたカードはすべて使用することができ、そのため大量の使用可能カードがあったんです。これらすべてのカードが使えたために、ゴース/ゴースト/わるいラフレシアのような、とんでもなく強力なロックデッキや高速デッキが存在していました〔※訳注:直訳しましたが、これは強力かつ高速なロックデッキ?〕。このデッキは、日本のカードダスで売られていたセットのゴースとゴーストを使っています。
ゴース(拡張シート緑):
無 こわがらせる
次の相手の番が終わるまで、相手プレイヤーは「トレーナーカード」を使うことができない。
超無 あんこく 10
コインを投げて「おもて」なら、相手を「こんらん」状態にする。

ゴースト(拡張シート緑):
超 ポルターガイスト 10×
相手の手札を見て、その中にある「トレーナーカード」の枚数×10のダメージ。
超超 ナイトメア 20
コインを投げて「おもて」なら、相手を「ねむり」状態に、「うら」なら「こんらん」状態にする。

わるいラフレシア(ロケット団):
【特殊能力】アレルギーかふん
このカードが場にいる限り、誰もトレーナーカードを使うことができない。「ねむり・マヒ・こんらん」状態の時、この力は消える。
草草草 はなびらのうず 30×
コインを3枚投げて「おもて」の数×30のダメージ。2枚以上「おもて」なら、自分は「こんらん」状態になる
ゴースのこわがらせるを使うと、相手は一切トレーナーカードを使うことができなくなります(ちなみに、この時代のトレーナーカードというのは、サポーター、スタジアム、グッズといった個々のトレーナーのカードすべてを含んでいました!)。そうしてわるいラフレシアのアレルギーかふんがあるとお互いのプレイヤーがトレーナーカードを使えなくなるため、ゴーストのポルターガイストのダメージが対戦中ずっと増え続けていくんです!

 その他のロックデッキに、ロケット団のわな、ロケット団のおねーさん、ミニスカートといったカードを使ったものがありました。これらのカードを使うと、相手の手札は1ターンか2ターンですべて無くなります。
ロケット団のわな(ジム拡張1):
コインを投げて「おもて」なら、相手の手札から、おもてを見ないで最大3枚を選び、相手の山札にもどす。その後、その山札をよく切る。

ロケット団のおねーさん(ロケット団):
相手の手札を見る。その中にトレーナーカードがあれば、1枚を選び、それを相手の山札にもどさせる。その後、その山札をよく切る。

ミニスカート(第一弾):
お互いのプレイヤーは手札を見せ合い、手札にあるトレーナーカードを全て山札に戻す。そのあとで山札をよくきって、プレイを再開する。
そして、壊れカードがゲームを支配してしまうのを防ぐために、ルール制限もありました。☆1から☆4までの殿堂ランクがついたカードがあり、デッキ内の殿堂ランクを合計4個以下にしなければなりませんでした。このルールではどのカードを使うかも重要であり、私にとっては楽しかったルールでもありました。以下のリストは、私が参加したサマーロード2001の時点で殿堂ランクがどう振られていたのかを示してあります(文章が長くなるのでカードテキストはもう書きません!)。
☆☆☆☆
なし

☆☆☆
カメックス(第一弾)
プクリン(ジャングル)
わるいラフレシア(ロケット団)
ニューラ(ネオ1)
エリカのプリン(ジム拡張1)

☆☆
エレブー(第一弾)
エビワラー(第一弾)
ラッキー(第一弾)
超エネルギーリムーブ(第一弾)
ダウジングマシーン(第一弾)
無色2個エネルギー(第一弾)
ピクシー(ジャングル)
ストライク(ジャングル)
ブーバー(化石)
ベトベトン(化石)
にせオーキドの逆襲(ロケット団)
ロケット団のわな(ジム拡張1)
R団のサンダー(ジム拡張2)
錯乱ジム(ジム拡張1)
マグカルゴ(ネオ3)


エネルギーリムーブ(第一弾)
ミニスカート(第一弾)
プテラ(化石)
バリヤード(拡張シート青)
カスミのいかり(ジム拡張1)
オーダイル(プレミアム1)
ピィ(ネオ1)
ピチュー(ネオ1)
おうごんのみ(ネオ1)
悪エネルギー(ネオ1)
鋼エネルギー(ネオ1)
バルキー(ネオ2)
〔※訳注:訳出の際、当時の殿堂ランクとレギュレーションの日本語テキストは、レインボージムWebさんを参考にさせていただきました〕
そういえば、日本以外の他国では、ヤドキング(ネオ1)が活躍していたという話を聞いたことがあります。このカードには非常に強力な特殊能力がありました。
【特殊能力】ちえくらべ
相手プレイヤーが「トレーナーカード」を手札から出して使うとき、このカードの持ち主は、コインを投げる。「おもて」なら、相手プレイヤーは、その「トレーナーカード」を使えず、その「トレーナーカード」を相手の山札の上におく。このカードが「ねむり・マヒ・こんらん」状態のとき、この力は使えない。
〔※訳注:上記は英語版ヤドキングの効果であることに注意〕
ものすごく強いですよね? どうして日本ではこれに殿堂ランクがつかなかったんでしょう。その理由は、このカードでは、日本語テキストに存在していた一文が抜け落ちてしまったからなんです。「この力は、このカードがバトル場にいるとき、使える」。つまり、ベンチに何体ヤドキングを並べたところで相手のトレーナーはロックできないわけです。そういうわけで、日本ではヤドキングはまったく使われませんでした。

 殿堂ランクからわかるとおり、ピィ(ネオ1)のような強いベイビィポケモンは、当時とても活躍していました。しかしながら、それらのうちの何枚かにも殿堂制限がかけられたおかげで、進化デッキや小技も含め、たくさんのデッキがありました。なので2001年の頃の私自身の話をする前に、面白いと感じた当時のデッキをいくつか紹介させてください。

メガニウム(ネオ1)/わるいベトベトン(ロケット団)
メガニウム(ネオ1):
【特殊能力】おいしげる
このカードが場にいるかぎり、自分の場の「草」ポケモンについている「草」エネルギーカードは、「草」エネルギー2個ぶんとしてはたらく。このカードが「ねむり・マヒ・こんらん」状態のとき、この力は使えない。
草草草草 アロマスリープ 40
相手を「ねむり」状態にする。

わるいベトベトン(ロケット団):
【特殊能力】ねんちゃくえき
このカードがバトル場にいるかぎり、相手の対戦ポケモンは、「にげる」時トラッシュするエネルギーが2ぶん多く必要になる。このカードが「ねむり・マヒ・こんらん」状態の時、この力は消える。
草草 ヘドロパンチ 20
相手を「どく」状態にする。
たくさんのベイビィポケモンが活躍していたため、わるいベトベトンはそれらを止めるために使われました。ベイビィポケモン登場後、わるいベトベトンは強力なメタカードとして扱われました。

わるいクロバット(ネオ4)/エリカの香水
わるいクロバット(ネオ4):
【特殊能力】とつぜんかみつく
この力は、このカードを手札から場に出してポケモンを進化させたとき、1回だけ使うことができる。相手の場のポケモンを1匹選び、そのポケモンに、「弱点・抵抗力」に関係なく、20ダメージ。
草草 ダークドレイン
相手の場のポケモン全員に対して、1枚ずつコインを投げ、「おもて」が出たポケモン全員に、「弱点・抵抗力」に関係なく、それぞれ10ダメージ。その後、与えたダメージの合計ぶんのダメージカウンターを、自分からとりのぞく。

エリカの香水(ジム拡張1):
相手プレイヤーの手札を見る。相手のベンチに空きがあれば、相手の手札から「たねポケモン」を好きなだけ選び、相手のベンチに出させてよい。
ベイビィポケモンが強力な特殊能力とワザを持っていたために、ベイビィを6回倒すことに集中したデッキもありました。与えられたダメージが特殊能力からのものならば、コインを振る必要はないわけです。ベイビィを倒したあと、エリカの香水を使ってまた場に出させ、それをわるいクロバットのとつぜんかみつくでまた倒すんです! そう考えると、特殊能力を使って相手を倒すというのは珍しいことだと思います。

バクフーン(ネオ1)/
リザードン(第一弾)/マグカルゴ(ネオ3)/カツラのウインディ(ジム拡張2)など
バクフーン(ネオ1):
【特殊能力】ファイヤーリチャージ
この力は、自分の番ごとに1回使える。コインを投げて「おもて」なら、自分のトラッシュから「炎」エネルギーカードを1枚選び出し、自分の場の「炎」ポケモンにつける。このカードが「ねむり・マヒ・こんらん」状態のとき、この力は使えない。
炎炎炎炎 バーストフレイム 60
コインを投げて「おもて」なら、20ダメージを追加し、自分にも20ダメージ。

リザードン(第一弾):
【特殊能力】エナジーバーン
リザードンは、「炎」以外の自分のエネルギーを「炎」エネルギーとして扱うことができる。「ねむり・マヒ・こんらん」状態のときには使えない。
炎炎炎炎 ほのおのうず 100
自分のエネルギーカードを2枚はがしてすてる。
〔※訳注:エナジーバーンのテキストは英語版に従いました〕

マグカルゴ(ネオ3):
【特殊能力】やけのこり
この力は、このカードがバトル場からベンチにもどるたび、はたらく。このカードに「炎」エネルギーカードがついているなら、1枚をはがし、新しく出てきた対戦ポケモンにつけ替える。
炎炎炎 ようがんりゅう 40+
のぞむなら、自分についている「炎」エネルギーカードを好きなだけトラッシュしてよい。トラッシュした場合、トラッシュした「炎」エネルギーカードの数×20のダメージを追加する。

カツラのウインディ(ジム拡張2):
炎無無 ヒートタックル 40
自分にも10ダメージ。
炎炎炎炎 ほのおのあらし 120
自分についている「炎」エネルギーカードを3枚トラッシュしなければ、このワザは使えない。
バクフーンのファイヤーリチャージのサポートがあれば、炎ポケモンは相手に大ダメージを与えることが可能になります。これはシビビールの起源だと思いますし、やっていることは同じような感じです。

キングドラ(ネオ3)/リサイクルエネルギー(ネオ1)
キングドラ(ネオ3):
無 りゅうのいでんし
自分が進化する前に持っていたワザを1つ選び、自分のワザとして使う(そのワザに必要な「エネルギー」が、自分についていなくても、使うことができる)。
水水無無 たつまき 50
コインを2枚投げ、「おもて」の数ぶんの「エネルギーカード」を、相手からトラッシュする。すべて「うら」なら、このワザは失敗する。

リサイクルエネルギー(ネオ1):
このカードは「無色」エネルギー1個ぶんとしてあつかう。
このカードが、場からトラッシュにおかれたとき、このカードを持ち主の手札にもどす。
(「無色」エネルギーは、ほかの色のエネルギーのかわりにはならない。ほかの色のエネルギーは「無色」エネルギーのかわりになる。)
このデッキには3~4枚のエネルギーしか入っていませんでしたが、キングドラ自体が1エネでワザを使えました。そのため、ポケモンセンター(自分の場のダメージを全回復できましたが、回復したポケモンからはエネルギーを全てトラッシュ)のようなカードを使い、キングドラを生き残らせるようになっています。

 さて、カードやデッキや環境のアイディアが多少なりとも浮かんだでしょうか? あるいは、その頃の記憶を思い出せたでしょうか? 最後に、私自身の大会レポートに入りたいと思います。

 2001年、私は高校2年生で、まだポケカの世界に入ったばかりでした。デッキやメタについては何も知らず、自分のやりたいようにデッキを作ってプレイしていました。そのころ私は石川県に住んでいたのですが、公式大会がありませんでした。なので、夜行バスで8時間かけて仙台に行ったんです(それでも、そこが一番近い場所の大会でした)。行くのは大変に見えるかもしれませんが、バスや電車に乗って会場に向かっているときのわくわく感は、今でも忘れることができません。

 私が使ったデッキはフシギバナ/わるいベトベトンでした。実際なぜこのデッキを選んだのかよく覚えていないのですが、間違いなく言えるのは、私はフシギバナが大好きだったんです! ポケモン赤緑では、最初のポケモンにフシギダネを選んだほどでした! わるいベトベトンを選んだのは、間違いなく、ベイビィポケモンが幅を利かせていたからでした。
 この点に関して、なぜメガニウムではなくフシギバナなのかと不思議に思われるかもしれません。私が使ったデッキには、メガニウム/わるいベトベトンと比べると、いくつか違ったギミックが搭載されていました。たとえば私は、わるいポケモンのHPを20増やせるロケット団のアジト(ネオ3)をデッキに入れていました。ポケモンセンターも何枚か入れていたので、フシギバナの特殊能力を使って、うまく場のポケモンを回復できるようにしていました。変なチョイスかもしれませんが、私は運良く勝ち進むことができたんです。

 当時は2つのラウンド制でした。最初の予選ラウンドと、最初のラウンドを突破したプレイヤーだけの決勝ラウンドです。最初の予選ラウンドでは、大会のスタッフが作成したデッキを渡され、6~10人が同じグループになって戦います。手渡されるデッキは30枚のハーフデッキで、2種類ありました。片方のデッキは運を使う(コイントスなど)デッキで、もうひとつは安定したカードを使ったデッキでした。たとえば運デッキの方には、コインで表が出たら4枚引けるマサキの転送装置が入っていて、確実に2枚引けるマサキは、安定デッキの方に入っていました。
 私は安定デッキのほうを選び、大会が始まりました。予選を突破するには、グループ内で一番良い成績を取る必要があります。ちょっとどきどきです。3試合戦って私は合計9枚のサイドを取り(30枚デッキのときはサイド3枚戦だったので、これが最大枚数でした)、予選突破することができたんです!

 決勝ラウンドの、ベスト32(たぶん。よく覚えていません)の5戦目、私の対戦相手は炎デッキでしたが、大きな問題はありませんでした〔※訳注:これは4戦目?〕。わるいベトベトンのおかげで私は難なく決勝戦に進むことができたんです。決勝戦で戦うのはこれが初めてでしたが、賞品をもらえることがわかっていたので、私はもう満足でした。心の中は、「本でしか見たことのないカードがもらえる! 最高じゃん!」という感じです。そのときは優勝しようなんて思っておらず、運良く勝ててきたこの結果に、私はそれだけで満足していたんです。
 決勝は、メガニウム/わるいベトベトンとの対戦でした。ゲームが始まってみると、この対戦はかなり有利なのではないかと思いました。まず、フシギバナでソーラービームを撃てば、スタジアムがなければわるいベトベトンを一撃で倒すことができます。そしてメガニウムは、ソーラービーム2発で倒すことができるんです。一方で、メガニウムがフシギバナを倒すには3回攻撃する必要があります。どちらもポケモンセンターを入れていたため、きぜつに必要な攻撃回数がゲームを左右しました。そして、メタ内デッキと見なされもしない私のデッキが、試合を制してしまったんです! このときは運が良かったと、私は今でも思います。家までの帰り道は最高でした。最後の試合を勝った瞬間を思い出すたびに、顔から笑いが離れませんでした。

 この当時、私は決勝で勝つためのテクニックを何も持っていませんでした。それでも、この経験が私を変えることになったんです。

 仙台の大会から1ヶ月後、7都道府県で行われた大会の優勝者が集められ、日本一を決めるための大会が行われました。この1ヶ月間、私は今まで以上にポケカに集中していました。知り合いのプレイヤー何人かに環境について尋ね、それを研究しました。見つけることのできたデッキはすべて試しました。ただ、この時点で、私は一人回ししかしていなかったんです。デッキを右側と左側にそれぞれ置き、片方の手札については何も知らないかのようにプレイしました。私は今でもこの方法を使っていますが、そのおかげでデッキリストを完成形にでき、プレイ戦略も向上させることができるんです。

 この大会で、私はキングドラデッキを使うことにしました。このデッキのことは先ほど少しだけ説明しましたが、もう少し話してみようと思います。このデッキは、水ポケモンを使っていながら水エネルギーが入っていないため、「ノンウォーター」と呼ばれていました。キングドラには、無色1エネで使えるりゅうのいでんしというワザがあります。リサイクルエネルギーを4枚入れておけば、キングドラはワザを使うことができたんです。リサイクルエネルギーはトラッシュに落ちないため、ポケモンセンターは気軽に使うことができました。そしてそれゆえに、他のカードを入れられるスペースが多くあり、私はベトベトン(特殊能力のかがくへんかガスは、場の全ての特殊能力を無効にします)と超エネルギーリムーブを使うことにしました。リサイクルを4枚入れるスペースもあったので、超エネルギーリムーブは複数回使うことができました。ところで、このデッキを最初に開発したのは、チームアチャモのメンバーに入ることになる菅野さんなんです。これを使っているときにはそのことは知らなかったのですが、チームメンバーが元々開発したデッキを私が使っていたというのは、運命のようなものを感じてしまいます。

 プレイヤーは7人だけだったにもかかわらず、全国大会は2日間かけて行われました。初日は千葉マリンスタジアム近くのホテル内にある大きな部屋で、総当り戦を行いました。上位4人が翌日に進むことができます。2日目は、任天堂スペースワールドのホビーイベントのステージ上で、4人によるトーナメントが行われました。

1日目:リザードンやオーダイルなどのデッキがいましたが、キングドラを使っていたのは私だけでした。リザードンデッキにはバリヤード〔※訳注:特殊能力で弱点を消せるシート青のバリヤード。原文に画像あり〕が入っていましたが、私はベトベトンを入れていたのでまったく問題になりませんでした。しかしながら、オーダイルデッキには一度負けてしまいました。トラッシュに水エネが大量に落ちてしまい、ポケモンセンターが完全に無意味になってしまったんです。私はその日を2位で終え、2日目に進むことができました。運良く大会で優勝してしまった人間が、今や日本のNo1.トレーナーに手が届くところまで来てしまったんです!

2日目:最初の対戦はオーダイルとでした。初日は勝った相手です。このデッキにはマルマイン(第一弾)が入っており、特殊能力を使うことで、早いうちからオーダイルのぎゃくりゅうを使うことができました(特殊能力のエネエネは、きぜつで相手にサイドを1枚取らせますが、マルマインを2枚ぶんのエネとして貼ることができます)。しかし実際、これは私にとって有利に働いていました。こちらには超エネルギーリムーブがあるため、オーダイル側の速度を落とすことができるからです。しかしながら今回は違いました。相手は、こちらがどうプレイするのかをわかっていたからです。トラッシュ交換(ジム拡張2、自分のトラッシュの枚数を数えて山札に戻し、同じ枚数のカードを山札からトラッシュ)を使われ、90ダメージが簡単にキングドラに飛んできました。何とかしてキングドラを場に維持しようとしましたが、相手から飛んでくるダメージの方が大きかったんです。結局私は、最初の試合に負けてしまいます。2戦目の相手はリザードンでしたが、これには初日と同じようにして勝つことができました。

 初めての全国大会で、私は3位になることができたんです。十分な結果に思えるかもしれません。ただこのときは、それ以上にがっかりしていました。私はメタ内で使われていたようなオーダイルを組んでいなかったため、要するに自分が練習していたものでは十分ではなかったんです。もっとオーダイルと練習していたら、さらにうまくやれたはずでした。だからこそとても悲しかったんです。
 私は3位に終わり、決勝戦を戦うことができませんでした。それでも、仙台大会を運良く勝てたからこそ、全国大会に出ることができたわけです。研究し、しっくりくるカードを使い、そして何度も何度もプレイテストを繰り返す。今の私にとっては当たり前のことですが、それは、このときの経験から学んだことでした。この大会の後から私は、参加するすべての大会で、優勝してやろうという強い決意を持って臨むようになりました。もしも2001年の経験がなければ、こんな風に思うようにはならなかったでしょう。
 もしもあなたが今とてもポケモンカードに熱中しているならば、そうなったきっかけがあったのだと思います。ポケカにのめり込むきっかけになったときの思い出と、そのときに抱いた大きなモチベーションは、間違いなく、素晴らしいものなんです。
 それでは、また次回にお会いしましょう!

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 以上になります。お読みいただきありがとうございました。
 繰り返しになりますが、訳文に問題があるとすれば、大和さんや魔女さんではなく責任は翻訳した僕にあります。間違いなどあれば遠慮なくご指摘ください。

 訳しながら、昔のカードがたくさん出てきて凄く懐かしい気持ちになっていました。その意味では、昔の思い出を呼び起こすという元記事の趣旨が見事に当たっているわけですw
 どうでもいい余談ですが、このときの僕は地区大会予選で3連勝したものの、1試合が1キル勝ちだったためサイド数が足りずに予選落ちでした。これで予選落ちとかポケカの大会マジクソだなと当時は思っていましたが、こうして記事を読むと、やっぱり勝つべき人が勝っているんだなと強く感じますw

 この分量での連載は大変かもしれませんが、次回にも期待してしまいますね。

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