【コラム】カードを腐らせることと、仮想的アドバンテージ
2013年4月23日コメント (4)■はじめに
BW9環境になって、特定の相手にのみ効果を発揮するカードが増えました。そのような種類のカードが良いか悪いかは別としても、構築面やプレイの面でさまざまに影響が出ているのも確かです。
今回は、そのような環境について少し書いてみます。
■カードが腐ること
カードが腐る、という言葉があります。
特定のカードの使用対象が存在しない状況のことで、たとえば今ならば、カメケルを相手にしたときに、手札(ないしデッキ)に白銀の鏡が入っているような状態を言います。
これほど極端な例でなくとも、たとえばレックビールで終盤にエモンガを引いてしまう場面などもそれに該当するでしょう。
カードが腐ることのデメリットは、直感的にはとてもわかりやすいものです。
仮に特定のマッチアップで腐るカードがデッキに5枚あるとして、こちらはその相手に対し、実質的に55枚しかリソースにならないデッキで戦うはめになります。55枚対60枚ですから、リソース面で既に圧倒的不利な状況にあります。
それに加えて見過ごされがちなのが、ドローの質の低下です。
不要なカードがデッキから綺麗に吹き飛んでくれればありがたいものを、プレイヤーは5枚の不要カードを抱えたままデッキを回すことになります。不要カードを引く確率は常に存在します。
とりわけ、デッキに不要カードが多く残ったまま中~終盤を迎えてしまったときは、ゲームメイクがさらに厳しいものになるでしょう。
■仮想的アドバンテージ
相手がそういった状態に陥っている場合を考えてみます。
そのような、相手のカードが腐っていることで得られる優位性を、「仮想的カードアドバンテージ」(Virtual Card Advantage、ときには略して仮想的アドバンテージ)と呼ぶことがあります。
たとえばこちらのデッキに基本エネしか入っておらず、相手のデッキが改造ハンマーを使っていた場合、それは仮想的アドバンテージを得ている、ということになります。こちらがリソースを費やさずに勝手に相手のリソースが減っているのだから、確かに優位性が存在します。言葉では抽象的ですが、これは日常の対戦でもよくあることです。
そして、環境がそのような場合、すなわち特定の相手にのみ効果を発揮するカードが環境的に多いような場合、仮想的アドバンテージを意図的に得ようとするデッキ選択もまた、しばしば戦略として成り立ちます。
たとえば現環境のガブチルは、ワザの効果で特定のデッキに強いのみならず、使用頻度の高いシルバーバングルを相手が入れていた場合、それを腐らせることができる、という強みもあります。一方で現行のデオキボルトキュレムは、仮想的アドバンテージ面の不利をデッキパワーで押しつぶしてしまおうという、ある意味ではかなり歪んだデッキだと言えるでしょう。
デッキ調整時に「このカードはあまり多く入れたくない」と言うとき、脳裏にあるのは大抵、この仮想的アドバンテージのことです。
デッキの調整とは、相手が仮想的アドバンテージを得ることと、自分のデッキのデッキパワーとを天秤にかける作業でもあります。
■おわりに
対戦中のアドバンテージの動向が、目に見えるダメージ差や手札数によるものだけではない、ということは、見てきたとおりです。デッキ構築の段階で環境を見据えるのは大切なことですが、おおざっぱな相性差のみを見ているだけでは、なかなか完成度が上がってこないのも確かです。
デッキ内のリソースをほぼ無駄なく使い切って試合に勝てれば、それに越したことはありません。ただ現実はそううまくはいきませんし、デッキタイプによっても、試合中に使わないカードはどうしてもでてきてしまいます。
そこで単にいらないカードばかり引いたというのではなく、環境的な要因や構築面での問題を、もう一度見直す必要があるのかもしれません。
もちろん、パーツを削りすぎるあまり重要なカードが引けなくなったら、それもまた本末転倒なのでしょうけれど。
BW9環境になって、特定の相手にのみ効果を発揮するカードが増えました。そのような種類のカードが良いか悪いかは別としても、構築面やプレイの面でさまざまに影響が出ているのも確かです。
今回は、そのような環境について少し書いてみます。
■カードが腐ること
カードが腐る、という言葉があります。
特定のカードの使用対象が存在しない状況のことで、たとえば今ならば、カメケルを相手にしたときに、手札(ないしデッキ)に白銀の鏡が入っているような状態を言います。
これほど極端な例でなくとも、たとえばレックビールで終盤にエモンガを引いてしまう場面などもそれに該当するでしょう。
カードが腐ることのデメリットは、直感的にはとてもわかりやすいものです。
仮に特定のマッチアップで腐るカードがデッキに5枚あるとして、こちらはその相手に対し、実質的に55枚しかリソースにならないデッキで戦うはめになります。55枚対60枚ですから、リソース面で既に圧倒的不利な状況にあります。
それに加えて見過ごされがちなのが、ドローの質の低下です。
不要なカードがデッキから綺麗に吹き飛んでくれればありがたいものを、プレイヤーは5枚の不要カードを抱えたままデッキを回すことになります。不要カードを引く確率は常に存在します。
とりわけ、デッキに不要カードが多く残ったまま中~終盤を迎えてしまったときは、ゲームメイクがさらに厳しいものになるでしょう。
■仮想的アドバンテージ
相手がそういった状態に陥っている場合を考えてみます。
そのような、相手のカードが腐っていることで得られる優位性を、「仮想的カードアドバンテージ」(Virtual Card Advantage、ときには略して仮想的アドバンテージ)と呼ぶことがあります。
たとえばこちらのデッキに基本エネしか入っておらず、相手のデッキが改造ハンマーを使っていた場合、それは仮想的アドバンテージを得ている、ということになります。こちらがリソースを費やさずに勝手に相手のリソースが減っているのだから、確かに優位性が存在します。言葉では抽象的ですが、これは日常の対戦でもよくあることです。
そして、環境がそのような場合、すなわち特定の相手にのみ効果を発揮するカードが環境的に多いような場合、仮想的アドバンテージを意図的に得ようとするデッキ選択もまた、しばしば戦略として成り立ちます。
たとえば現環境のガブチルは、ワザの効果で特定のデッキに強いのみならず、使用頻度の高いシルバーバングルを相手が入れていた場合、それを腐らせることができる、という強みもあります。一方で現行のデオキボルトキュレムは、仮想的アドバンテージ面の不利をデッキパワーで押しつぶしてしまおうという、ある意味ではかなり歪んだデッキだと言えるでしょう。
デッキ調整時に「このカードはあまり多く入れたくない」と言うとき、脳裏にあるのは大抵、この仮想的アドバンテージのことです。
デッキの調整とは、相手が仮想的アドバンテージを得ることと、自分のデッキのデッキパワーとを天秤にかける作業でもあります。
■おわりに
対戦中のアドバンテージの動向が、目に見えるダメージ差や手札数によるものだけではない、ということは、見てきたとおりです。デッキ構築の段階で環境を見据えるのは大切なことですが、おおざっぱな相性差のみを見ているだけでは、なかなか完成度が上がってこないのも確かです。
デッキ内のリソースをほぼ無駄なく使い切って試合に勝てれば、それに越したことはありません。ただ現実はそううまくはいきませんし、デッキタイプによっても、試合中に使わないカードはどうしてもでてきてしまいます。
そこで単にいらないカードばかり引いたというのではなく、環境的な要因や構築面での問題を、もう一度見直す必要があるのかもしれません。
もちろん、パーツを削りすぎるあまり重要なカードが引けなくなったら、それもまた本末転倒なのでしょうけれど。