【翻訳】タッグチームをちょっと覗き見!
2018年12月9日 ポケモンカードゲーム コメント (1)
タッグボルトが発売され、早くもタッグチームGXの強さが話題になっています。
しかし実は、今回のタッグチーム、別の面でも話題になっていました。
ご存じの通り、日本と海外ではポケカの発売サイクルに数か月ほどズレがあります。
が、今回、ポケカ史上で恐らく初めて、日本語と外国語で同時に新カードが公式発表されたのです(実際の発売日はもう少し後ですが)。
今回の翻訳は、ポケカ海外公式に掲載された、タッグチームGXの特集コラム。
クリーチャーズ・長島ゲームディレクターと、イラストレーターの有田さんのインタビューもあり、
単なるカード紹介に留まらない、とてもステキな記事になっています。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更を行った箇所があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します。画像はポケカ公式・ポケカ海外公式から)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
https://www.pokemon.com/us/pokemon-news/take-a-peek-at-tag-team-cards/
Take a Peek at TAG TEAM Cards
November 30, 2018
ポケモンたちがペアを組んで、前代未聞のパワーを持った「タッグチーム」としてポケカに登場だ! 途方もないHPと凄まじいワザを手に、どんなバトルにも駆けつける。そしてタッグチームはすべてポケモンGXだから、GXワザだって使えちゃう! でも、タッグチームは何が何でも守り抜こう。倒されると、サイドを3枚も取られちゃうぞ!
キミがもうすぐ使えるようになるタッグチームのポケモンGXを、ここから2週間にわたって取り上げるよ。
そしてさらに、パワフルなカードを創り上げたポケカの制作チームのメンバーにも、話を聞いてみよう!
〔訳注:原文では数日ごとに、ピカチュウ&ゼクロムから記事が更新されていた〕
タッグチームのカードは、2019年2月1日に発売予定の新エキスパンション、“Sun & Moon—Team Up”に入っているよ! 取扱いのあるお店やポケモンセンターで、必ずゲットしよう!
▼ピカチュウ&ゼクロムGX
どんなに体のサイズが違っていても、ピカチュウとゼクロムは、どんなバトルでも戦えちゃう! ワザ「フルドライブ」は、相手に大ダメージを与えつつ、自分の雷ポケモン1匹にエネルギーを一気につけられるワザ。
そしてエネルギーをこの「ピカチュウ&ゼクロムGX」につければ、タッグチームだけの特別な“チームボーナス”を解き放つことができるんだ!
すべてのタッグチームのポケモンGXは、エネルギーが多くついていればさらに強力になるGXワザを持っている。「タッグボルトGX」は、雷エネルギーが3枚ついていれば、相手に200ダメージ。そして、もしも3枚多く、つまり合計6枚の雷エネルギーがついていれば、相手のバトル場に200ダメージ、さらに相手のベンチポケモン1匹にも170ダメージを与えることができるんだ。
タイミングを見はからって使えば、相手の強力なポケモン2匹を同時にノックアウト! 「ピカチュウ&ゼクロムGX」がバトルに登場すれば、対戦相手はびっくりすること間違いなしだ!
このエネルギーあふれる2匹について、ポケカを開発している、クリーチャーズ社のゲームデザイナーの人たちに話を聞いてみよう!
――なぜこの2匹を「タッグチーム」のコンビに選んだのですか?
長島敦さん(ゲームディレクター):
これまでのポケモンGXでは、基本的に、あくまでも対戦という観点から面白いロジックやギミックをGXワザに盛り込んで、ゲームを盛り上げることに専念してきました。しかし最近になって、私たちがふと思ったのは、ポケモンとトレーナーの関係はこれまでもたくさん描かれてきたのに、別々のポケモン同士の関係はどうだっただろう、ということでした。
そしてその考えをベースに、ファンの方々にとって、面白くて、意外で、そしてドリームチームのような、ポケモンたちの素敵なコンビネーションをたくさん考えてきました。
今回のテーマは、対戦という観点以外でポケモンたちを表現する、特別な方法を見つけ出すことです。私たちは今回、新しいタイプのGXワザを取り入れました。追加のエネルギーがついていれば、ワザがさらに強くなるというものです。これによって、単体のカードとしては、これまでのどんなカードよりも強力になりました。これはタッグチームのポケモンGXだけの特徴です。
最初のタッグチームは、絶対にピカチュウのカードにしようと思っていました。世界中でこれほど愛されているポケモンですから。そしてこの組み合わせでは、わくわく、どきどきさせるような、そして身体のサイズが大きく違うポケモンにしよう、なおかつ、同じタイプ同士で、関係性が表現できる組み合わせにしようと考えたのです。考え抜いた結果、ピカチュウとゼクロムをカード化することに決めました。
――まったく異なった2匹のポケモンの特質を、どのように1枚のカードの中に組み入れたのですか?
有田満弘さん(イラストレーター):
ピカチュウというのは、ポケモンの愛らしさを一身に表現するポケモンです。一方でゼクロムは、かっこよさとはどういうことかを体現したポケモンです。この2匹の特徴を表すうまいポーズを見つけ出すのにかなりの時間を使いました。
ゼクロムの大きなサイズと黒い色、そしてピカチュウの小さなサイズと黄色、この対比で存在感を出しつつ、それぞれ目立たせることのできる、とても良いバランスをバッチリ見つけられたと思っています。
▼コイキング&ホエルオーGX
コイキングといえば、ただ弱いだけというイメージかもしれない。だけど、ホエルオーとコンビを組めば、そのパワフルさは間違いなしだ。「コイキング&ホエルオーGX」のHPは何と300! ワザも負けず劣らずドデカいぞ。
ワザ「スーパースプラッシュ」は、エネルギーはたくさん必要だけど、そのぶんダメージも強烈。そして「キングザブーンGX」は、文字通りの大洪水を引き起こしてしまうワザだ。水エネルギーがじゅうぶんについていれば、大波が対戦相手の場を飲み込んで、相手のベンチポケモンすべてに100ダメージを与えるぞ!
水のパワーを使いこなすこの2匹について、ポケカを開発している、クリーチャーズ社のゲームデザイナーの人たちに話を聞いてみよう!
――なぜこの2匹を「タッグチーム」のコンビに選んだのですか?
長島敦さん(ゲームディレクター):
タッグチームのテーマは、2匹のポケモンがドリームチームを結成して、ともに戦う、というものです。そして私たちも、ポケカでしかできない、プレイヤーをあっと言わせるような組み合わせを送り出したかったのです。
チームを組んだらいったいどんなワザを使うんだろうか、そういう想像力をかき立ててくれるコンビに、私たちは的を絞りました。この2匹は、最大のポケモンと最弱のポケモンというあまりにもミスマッチなコンビです。しかし、だからこそ、私たちはこれがタッグチームにぴったりだと感じたのです。
――まったく異なった2匹のポケモンの特質を、どのように1枚のカードの中に組み入れたのですか?
有田満弘さん(イラストレーター):
水タイプのポケモンは、水中の場面を描いてしまうとあまり面白みがなくなってしまうので、ここではコイキングを飛び跳ねさせています。そして海水がホエルオーの大きな口の中に流れ込む様子を描くことで、一瞬の躍動感を表現しました。でも皆さん、どうかコイキングが水に飲まれませんようにと、ぜひ祈っていて下さいね!
▼セレビィ&フシギバナGX
このセレビィとフシギバナほど、自信たっぷりなポケモンのコンビに出会ったことはないはずだ。でも、この2匹が力をあわせたタッグチームを見れば、対戦相手はきっと、この2匹がこんなに自信ありげな理由がすぐにわかる。
ワザ「きけんなかふん」は、ダメージ自体はあまり大きくないけれど、相手のバトルポケモンを、やけど、こんらん、そしてどく状態にしてしまう。そのままにしておくと、ダメージはどんどん大きくなるぞ。
でも「エバーグリーンGX」こそ、本当にゲームの状況を変えてしまえるワザだ。180というダメージだけでも強烈だけど、さらにおまけで、セレビィ&フシギバナGXのHPをすべて回復させることができる。しかも、草エネルギーがもう1枚ついていれば、“チームボーナス”がついてくる。なんとトラッシュをすべて山札に戻すことができるんだ! カードすべてが一瞬にして元通りになれば、ゲームの行方はたちまちキミのものだ。
この力強い2匹について、ポケカを開発している、クリーチャーズ社のゲームデザイナーの人たちに話を聞いてみよう!
――なぜこの2匹を「タッグチーム」のコンビに選んだのですか?
長島敦さん(ゲームディレクター):
私たちは、セレビィとフシギバナが森の守護者になっている情景を思い描きました。実際、2匹のための背景ストーリーまで創り上げたのです。森の管理人をしているフシギバナのもとを、未来からやってきたセレビィが訪れます。そして2匹は、森の平和を守り、さらに森が豊かに生い茂るよう、力を合わせることにするのです。実は別のイラストレーターさんには、この2匹の出会いの場面を描いてもらいました。近いうちにお見せできればと思います。
〔※訳注:出会いの場面はスペシャルアート版として登場〕
――まったく異なった2匹のポケモンの特質を、どのように1枚のカードの中に組み入れたのですか?
有田満弘さん(イラストレーター):
このイラストの元になったコンセプトは、2人のプロレスラーが横並びに立って、腕と腕を組んでいる、というものです。なのでフシギバナのツルを、あたかも腕のように見立てて、セレビィの手とからませています。セレビィはいつも宙に浮いているポケモンなので、この場面を描くのは難しくありませんでした。
▼ゲンガー&ミミッキュGX
ハロウィンはもう終わったけれど、ゲンガ―とミミッキュは足を止めずに忍び寄ってくる。とっても怖い「ゲンガ―&ミミッキュGX」がバトルに登場したら、思わず背筋も凍ってしまうはずだ。特に、手札にたくさんのトレーナーズを抱えた対戦相手なんかは。ワザ「ポルターガイスト」は、相手の手札のトレーナーズの数×50ダメージを与えるぞ。
ワザ「ホラーハウスGX」は、ダメージはないけれど、次のターン、相手は手札からどんなカードも出すことができない。相手の対戦プランはきっとガタガタだ。さらに超エネルギーがもう1枚ついていれば、お互いのプレイヤーは、手札が7枚になるまでカードを必ず引かなければいけない。ということはつまり、相手はもっとたくさんのトレーナーズを手札に抱えることになる。「ポルターガイスト」との相性もバツグンだ。
この恐ろしい2匹について、ポケカを開発している、クリーチャーズ社のゲームデザイナーの人たちに話を聞いてみよう!
――なぜこの2匹を「タッグチーム」のコンビに選んだのですか?
長島敦さん(ゲームディレクター):
タッグチームのカードでコンビにするポケモンについては、熟考に熟考を重ねました。単純に強いだけのカードにするのではなく、新しいゲームプレイのあり方をプレイヤーに届けたかったのです。ゲンガ―&ミミッキュのカードは、何よりも、そのコンセプトの実現のために制作されました。
――まったく異なった2匹のポケモンの特質を、どのように1枚のカードの中に組み入れたのですか?
有田満弘さん(イラストレーター):
この2匹のサイズの違いは、絶対に、多くの人が思うよりも大きいだろうと思います。また、この2匹はどちらも、耳もしくはツノが飛び出ているという特徴があって、またどちらも、ちょっと不気味な雰囲気を醸し出しています。なのでこの2匹は、月明かりの夜を背景にするのが良いだろうと感じました。
〔訳注:ミミッキュの身長は0.2m。ゲンガ―は1.5m〕
▼ラティアス&ラティオスGX
伝説のポケモンは、それだけでもとてもパワフル。でも、ラティアスとラティオスほどのポケモンが力を合わせれば、そのパワーはもう止められない! むげんポケモンの強力なコンビネーションがポケカに登場だ。
タッグチームの「ラティアス&ラティオスGX」は猛スピードでバトルに飛び込むやいなや、ワザ「バスターパージ」で、ほぼすべてのポケモンを一撃で倒してしまうぞ! ワザでエネルギーをトラッシュしてしまったあとは、タッグチームの「エアロユニットGX」でエネルギーを補充してまた攻撃しよう。
さらに追加のエネルギーがついていれば、“チームボーナス”として、1ターンのあいだ相手の攻撃から身を守ることができる。2匹の伝説のポケモンの力を存分に引き出そう!
この2匹のむげんポケモンについて、ポケカを開発している、クリーチャーズ社のゲームデザイナーの人たちに話を聞いてみよう!
――なぜこの2匹を「タッグチーム」のコンビに選んだのですか?
長島敦さん(ゲームディレクター):
タッグチームのコンビは、プレイヤーにとって、直感的にわくわくするようなものであってほしいと思っていました。その一方でまた、そのコンビが力を合わせるに至るまでにどんな物語があったのかを考えたかったのです。
私たちは、2匹のポケモンが持ちうるいろいろな関係性を、様々な方向から探りました。たとえば、協力関係、仲間やライバルかどうか、お互いどのくらい呼吸を合わせられるか、一緒に戦ったときのパワーは、単純に力を足しただけのときよりどのくらい大きくなるか、そして、一緒に戦ったとき、どんなワザを繰り出すことができるのか。
お互いに似ていないポケモン同士のコンビはたくさん思いつきました。なので逆に、このタッグチームのカードでは、お互いによく似たポケモン同士にしようと決めたのです。それが、ラティアスとラティオスを選んだ理由でした。
――まったく異なった2匹のポケモンの特質を、どのように1枚のカードの中に組み入れたのですか?
有田満弘さん(イラストレーター):
この2匹はもともと一緒にいるポケモンですし、コンビを組むのは自然なことです。このタッグチームがより力強く見えるように、超高速で空を飛び、衝撃波を起こしている様子を絵にしました。
▼イーブイ&カビゴンGX
かたや2メートルを超す身長と0.5トンの体重、かたや30センチほどのちっぽけな体と、6キロをちょっと超すだけの体重。カビゴンとイーブイは正反対のサイズのポケモンだけど、2匹の連携はバッチリだ。タッグチーム「イーブイ&カビゴンGX」は超ド級の破壊力!
ワザ「おうえん」は、手札からエネルギーを1枚、場のポケモンにつけられる。場をあっという間にエネルギーでいっぱいにできるワザだ。「ダンププレス」は、そのままでも120ダメージと強力だけど、相手が進化ポケモンなら、さらに追加で120ダメージを与えられるぞ。
それでも物足りないなら、ワザ「メガトンフレンズGX」だ。相手に210ものダメージを与えて、もしもエネルギーが追加で1枚でもついていれば、手札が10枚になるまでカードを引くことができる。相手に強烈な一撃をお見舞いして、さらに次のターンに備えて手札を一気に蓄えれば、勝負はもうキミのものだ!
このふわふわなフレンズの2匹について、ポケカを開発している、クリーチャーズ社のゲームデザイナーの人たちに話を聞いてみよう!
――なぜこの2匹を「タッグチーム」のコンビに選んだのですか?
長島敦さん(ゲームディレクター):
でこぼこコンビというアイディアはありふれたものではありますが、私たちは、このカードでこそ、それを表現したかったのです。体がどーんと大きくてのんきなカビゴンと、すばしっこくて活発で、キュートなイーブイ。2匹のポケモンが、それぞれ違っていればいるほど、お互いの関係性というのはイメージしやすいものです。
――まったく異なった2匹のポケモンの特質を、どのように1枚のカードの中に組み入れたのですか?
有田満弘さん(イラストレーター):
このカードでは、カビゴンののんびりした雰囲気とイーブイの可愛らしい感じを、同時に捉えようとしました。カビゴンが空気を切り裂きながら対戦相手にのしかかろうとする様子を描くことで、カビゴンの重さを表現しつつ、この2匹が一緒に戦っているという感覚を伝えたかったのです。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
長島さん、有田さんのコメントは、プレイヤー目線で見てもいろいろな発見があります。個人的に、セレビィ&フシギバナの有田さんのコメントがとても面白かったですw
以前からたびたびインタビュー記事を翻訳してきましたが、
これ、日本語で読ませてよ(日本側にも載せてよ)と思わずにはいられませんね。ポケカ国内公式も、最近はいろいろな企画をやっていますが、こんな企画が英語でしか読めないのは流石にもったいない……といつも思います。
しかし実は、今回のタッグチーム、別の面でも話題になっていました。
ご存じの通り、日本と海外ではポケカの発売サイクルに数か月ほどズレがあります。
が、今回、ポケカ史上で恐らく初めて、日本語と外国語で同時に新カードが公式発表されたのです(実際の発売日はもう少し後ですが)。
今回の翻訳は、ポケカ海外公式に掲載された、タッグチームGXの特集コラム。
クリーチャーズ・長島ゲームディレクターと、イラストレーターの有田さんのインタビューもあり、
単なるカード紹介に留まらない、とてもステキな記事になっています。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更を行った箇所があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します。画像はポケカ公式・ポケカ海外公式から)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
https://www.pokemon.com/us/pokemon-news/take-a-peek-at-tag-team-cards/
Take a Peek at TAG TEAM Cards
November 30, 2018
ポケモンたちがペアを組んで、前代未聞のパワーを持った「タッグチーム」としてポケカに登場だ! 途方もないHPと凄まじいワザを手に、どんなバトルにも駆けつける。そしてタッグチームはすべてポケモンGXだから、GXワザだって使えちゃう! でも、タッグチームは何が何でも守り抜こう。倒されると、サイドを3枚も取られちゃうぞ!
キミがもうすぐ使えるようになるタッグチームのポケモンGXを、ここから2週間にわたって取り上げるよ。
そしてさらに、パワフルなカードを創り上げたポケカの制作チームのメンバーにも、話を聞いてみよう!
〔訳注:原文では数日ごとに、ピカチュウ&ゼクロムから記事が更新されていた〕
タッグチームのカードは、2019年2月1日に発売予定の新エキスパンション、“Sun & Moon—Team Up”に入っているよ! 取扱いのあるお店やポケモンセンターで、必ずゲットしよう!
▼ピカチュウ&ゼクロムGX
どんなに体のサイズが違っていても、ピカチュウとゼクロムは、どんなバトルでも戦えちゃう! ワザ「フルドライブ」は、相手に大ダメージを与えつつ、自分の雷ポケモン1匹にエネルギーを一気につけられるワザ。
そしてエネルギーをこの「ピカチュウ&ゼクロムGX」につければ、タッグチームだけの特別な“チームボーナス”を解き放つことができるんだ!
すべてのタッグチームのポケモンGXは、エネルギーが多くついていればさらに強力になるGXワザを持っている。「タッグボルトGX」は、雷エネルギーが3枚ついていれば、相手に200ダメージ。そして、もしも3枚多く、つまり合計6枚の雷エネルギーがついていれば、相手のバトル場に200ダメージ、さらに相手のベンチポケモン1匹にも170ダメージを与えることができるんだ。
タイミングを見はからって使えば、相手の強力なポケモン2匹を同時にノックアウト! 「ピカチュウ&ゼクロムGX」がバトルに登場すれば、対戦相手はびっくりすること間違いなしだ!
このエネルギーあふれる2匹について、ポケカを開発している、クリーチャーズ社のゲームデザイナーの人たちに話を聞いてみよう!
――なぜこの2匹を「タッグチーム」のコンビに選んだのですか?
長島敦さん(ゲームディレクター):
これまでのポケモンGXでは、基本的に、あくまでも対戦という観点から面白いロジックやギミックをGXワザに盛り込んで、ゲームを盛り上げることに専念してきました。しかし最近になって、私たちがふと思ったのは、ポケモンとトレーナーの関係はこれまでもたくさん描かれてきたのに、別々のポケモン同士の関係はどうだっただろう、ということでした。
そしてその考えをベースに、ファンの方々にとって、面白くて、意外で、そしてドリームチームのような、ポケモンたちの素敵なコンビネーションをたくさん考えてきました。
今回のテーマは、対戦という観点以外でポケモンたちを表現する、特別な方法を見つけ出すことです。私たちは今回、新しいタイプのGXワザを取り入れました。追加のエネルギーがついていれば、ワザがさらに強くなるというものです。これによって、単体のカードとしては、これまでのどんなカードよりも強力になりました。これはタッグチームのポケモンGXだけの特徴です。
最初のタッグチームは、絶対にピカチュウのカードにしようと思っていました。世界中でこれほど愛されているポケモンですから。そしてこの組み合わせでは、わくわく、どきどきさせるような、そして身体のサイズが大きく違うポケモンにしよう、なおかつ、同じタイプ同士で、関係性が表現できる組み合わせにしようと考えたのです。考え抜いた結果、ピカチュウとゼクロムをカード化することに決めました。
――まったく異なった2匹のポケモンの特質を、どのように1枚のカードの中に組み入れたのですか?
有田満弘さん(イラストレーター):
ピカチュウというのは、ポケモンの愛らしさを一身に表現するポケモンです。一方でゼクロムは、かっこよさとはどういうことかを体現したポケモンです。この2匹の特徴を表すうまいポーズを見つけ出すのにかなりの時間を使いました。
ゼクロムの大きなサイズと黒い色、そしてピカチュウの小さなサイズと黄色、この対比で存在感を出しつつ、それぞれ目立たせることのできる、とても良いバランスをバッチリ見つけられたと思っています。
▼コイキング&ホエルオーGX
コイキングといえば、ただ弱いだけというイメージかもしれない。だけど、ホエルオーとコンビを組めば、そのパワフルさは間違いなしだ。「コイキング&ホエルオーGX」のHPは何と300! ワザも負けず劣らずドデカいぞ。
ワザ「スーパースプラッシュ」は、エネルギーはたくさん必要だけど、そのぶんダメージも強烈。そして「キングザブーンGX」は、文字通りの大洪水を引き起こしてしまうワザだ。水エネルギーがじゅうぶんについていれば、大波が対戦相手の場を飲み込んで、相手のベンチポケモンすべてに100ダメージを与えるぞ!
水のパワーを使いこなすこの2匹について、ポケカを開発している、クリーチャーズ社のゲームデザイナーの人たちに話を聞いてみよう!
――なぜこの2匹を「タッグチーム」のコンビに選んだのですか?
長島敦さん(ゲームディレクター):
タッグチームのテーマは、2匹のポケモンがドリームチームを結成して、ともに戦う、というものです。そして私たちも、ポケカでしかできない、プレイヤーをあっと言わせるような組み合わせを送り出したかったのです。
チームを組んだらいったいどんなワザを使うんだろうか、そういう想像力をかき立ててくれるコンビに、私たちは的を絞りました。この2匹は、最大のポケモンと最弱のポケモンというあまりにもミスマッチなコンビです。しかし、だからこそ、私たちはこれがタッグチームにぴったりだと感じたのです。
――まったく異なった2匹のポケモンの特質を、どのように1枚のカードの中に組み入れたのですか?
有田満弘さん(イラストレーター):
水タイプのポケモンは、水中の場面を描いてしまうとあまり面白みがなくなってしまうので、ここではコイキングを飛び跳ねさせています。そして海水がホエルオーの大きな口の中に流れ込む様子を描くことで、一瞬の躍動感を表現しました。でも皆さん、どうかコイキングが水に飲まれませんようにと、ぜひ祈っていて下さいね!
▼セレビィ&フシギバナGX
このセレビィとフシギバナほど、自信たっぷりなポケモンのコンビに出会ったことはないはずだ。でも、この2匹が力をあわせたタッグチームを見れば、対戦相手はきっと、この2匹がこんなに自信ありげな理由がすぐにわかる。
ワザ「きけんなかふん」は、ダメージ自体はあまり大きくないけれど、相手のバトルポケモンを、やけど、こんらん、そしてどく状態にしてしまう。そのままにしておくと、ダメージはどんどん大きくなるぞ。
でも「エバーグリーンGX」こそ、本当にゲームの状況を変えてしまえるワザだ。180というダメージだけでも強烈だけど、さらにおまけで、セレビィ&フシギバナGXのHPをすべて回復させることができる。しかも、草エネルギーがもう1枚ついていれば、“チームボーナス”がついてくる。なんとトラッシュをすべて山札に戻すことができるんだ! カードすべてが一瞬にして元通りになれば、ゲームの行方はたちまちキミのものだ。
この力強い2匹について、ポケカを開発している、クリーチャーズ社のゲームデザイナーの人たちに話を聞いてみよう!
――なぜこの2匹を「タッグチーム」のコンビに選んだのですか?
長島敦さん(ゲームディレクター):
私たちは、セレビィとフシギバナが森の守護者になっている情景を思い描きました。実際、2匹のための背景ストーリーまで創り上げたのです。森の管理人をしているフシギバナのもとを、未来からやってきたセレビィが訪れます。そして2匹は、森の平和を守り、さらに森が豊かに生い茂るよう、力を合わせることにするのです。実は別のイラストレーターさんには、この2匹の出会いの場面を描いてもらいました。近いうちにお見せできればと思います。
〔※訳注:出会いの場面はスペシャルアート版として登場〕
――まったく異なった2匹のポケモンの特質を、どのように1枚のカードの中に組み入れたのですか?
有田満弘さん(イラストレーター):
このイラストの元になったコンセプトは、2人のプロレスラーが横並びに立って、腕と腕を組んでいる、というものです。なのでフシギバナのツルを、あたかも腕のように見立てて、セレビィの手とからませています。セレビィはいつも宙に浮いているポケモンなので、この場面を描くのは難しくありませんでした。
▼ゲンガー&ミミッキュGX
ハロウィンはもう終わったけれど、ゲンガ―とミミッキュは足を止めずに忍び寄ってくる。とっても怖い「ゲンガ―&ミミッキュGX」がバトルに登場したら、思わず背筋も凍ってしまうはずだ。特に、手札にたくさんのトレーナーズを抱えた対戦相手なんかは。ワザ「ポルターガイスト」は、相手の手札のトレーナーズの数×50ダメージを与えるぞ。
ワザ「ホラーハウスGX」は、ダメージはないけれど、次のターン、相手は手札からどんなカードも出すことができない。相手の対戦プランはきっとガタガタだ。さらに超エネルギーがもう1枚ついていれば、お互いのプレイヤーは、手札が7枚になるまでカードを必ず引かなければいけない。ということはつまり、相手はもっとたくさんのトレーナーズを手札に抱えることになる。「ポルターガイスト」との相性もバツグンだ。
この恐ろしい2匹について、ポケカを開発している、クリーチャーズ社のゲームデザイナーの人たちに話を聞いてみよう!
――なぜこの2匹を「タッグチーム」のコンビに選んだのですか?
長島敦さん(ゲームディレクター):
タッグチームのカードでコンビにするポケモンについては、熟考に熟考を重ねました。単純に強いだけのカードにするのではなく、新しいゲームプレイのあり方をプレイヤーに届けたかったのです。ゲンガ―&ミミッキュのカードは、何よりも、そのコンセプトの実現のために制作されました。
――まったく異なった2匹のポケモンの特質を、どのように1枚のカードの中に組み入れたのですか?
有田満弘さん(イラストレーター):
この2匹のサイズの違いは、絶対に、多くの人が思うよりも大きいだろうと思います。また、この2匹はどちらも、耳もしくはツノが飛び出ているという特徴があって、またどちらも、ちょっと不気味な雰囲気を醸し出しています。なのでこの2匹は、月明かりの夜を背景にするのが良いだろうと感じました。
〔訳注:ミミッキュの身長は0.2m。ゲンガ―は1.5m〕
▼ラティアス&ラティオスGX
伝説のポケモンは、それだけでもとてもパワフル。でも、ラティアスとラティオスほどのポケモンが力を合わせれば、そのパワーはもう止められない! むげんポケモンの強力なコンビネーションがポケカに登場だ。
タッグチームの「ラティアス&ラティオスGX」は猛スピードでバトルに飛び込むやいなや、ワザ「バスターパージ」で、ほぼすべてのポケモンを一撃で倒してしまうぞ! ワザでエネルギーをトラッシュしてしまったあとは、タッグチームの「エアロユニットGX」でエネルギーを補充してまた攻撃しよう。
さらに追加のエネルギーがついていれば、“チームボーナス”として、1ターンのあいだ相手の攻撃から身を守ることができる。2匹の伝説のポケモンの力を存分に引き出そう!
この2匹のむげんポケモンについて、ポケカを開発している、クリーチャーズ社のゲームデザイナーの人たちに話を聞いてみよう!
――なぜこの2匹を「タッグチーム」のコンビに選んだのですか?
長島敦さん(ゲームディレクター):
タッグチームのコンビは、プレイヤーにとって、直感的にわくわくするようなものであってほしいと思っていました。その一方でまた、そのコンビが力を合わせるに至るまでにどんな物語があったのかを考えたかったのです。
私たちは、2匹のポケモンが持ちうるいろいろな関係性を、様々な方向から探りました。たとえば、協力関係、仲間やライバルかどうか、お互いどのくらい呼吸を合わせられるか、一緒に戦ったときのパワーは、単純に力を足しただけのときよりどのくらい大きくなるか、そして、一緒に戦ったとき、どんなワザを繰り出すことができるのか。
お互いに似ていないポケモン同士のコンビはたくさん思いつきました。なので逆に、このタッグチームのカードでは、お互いによく似たポケモン同士にしようと決めたのです。それが、ラティアスとラティオスを選んだ理由でした。
――まったく異なった2匹のポケモンの特質を、どのように1枚のカードの中に組み入れたのですか?
有田満弘さん(イラストレーター):
この2匹はもともと一緒にいるポケモンですし、コンビを組むのは自然なことです。このタッグチームがより力強く見えるように、超高速で空を飛び、衝撃波を起こしている様子を絵にしました。
▼イーブイ&カビゴンGX
かたや2メートルを超す身長と0.5トンの体重、かたや30センチほどのちっぽけな体と、6キロをちょっと超すだけの体重。カビゴンとイーブイは正反対のサイズのポケモンだけど、2匹の連携はバッチリだ。タッグチーム「イーブイ&カビゴンGX」は超ド級の破壊力!
ワザ「おうえん」は、手札からエネルギーを1枚、場のポケモンにつけられる。場をあっという間にエネルギーでいっぱいにできるワザだ。「ダンププレス」は、そのままでも120ダメージと強力だけど、相手が進化ポケモンなら、さらに追加で120ダメージを与えられるぞ。
それでも物足りないなら、ワザ「メガトンフレンズGX」だ。相手に210ものダメージを与えて、もしもエネルギーが追加で1枚でもついていれば、手札が10枚になるまでカードを引くことができる。相手に強烈な一撃をお見舞いして、さらに次のターンに備えて手札を一気に蓄えれば、勝負はもうキミのものだ!
このふわふわなフレンズの2匹について、ポケカを開発している、クリーチャーズ社のゲームデザイナーの人たちに話を聞いてみよう!
――なぜこの2匹を「タッグチーム」のコンビに選んだのですか?
長島敦さん(ゲームディレクター):
でこぼこコンビというアイディアはありふれたものではありますが、私たちは、このカードでこそ、それを表現したかったのです。体がどーんと大きくてのんきなカビゴンと、すばしっこくて活発で、キュートなイーブイ。2匹のポケモンが、それぞれ違っていればいるほど、お互いの関係性というのはイメージしやすいものです。
――まったく異なった2匹のポケモンの特質を、どのように1枚のカードの中に組み入れたのですか?
有田満弘さん(イラストレーター):
このカードでは、カビゴンののんびりした雰囲気とイーブイの可愛らしい感じを、同時に捉えようとしました。カビゴンが空気を切り裂きながら対戦相手にのしかかろうとする様子を描くことで、カビゴンの重さを表現しつつ、この2匹が一緒に戦っているという感覚を伝えたかったのです。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
長島さん、有田さんのコメントは、プレイヤー目線で見てもいろいろな発見があります。個人的に、セレビィ&フシギバナの有田さんのコメントがとても面白かったですw
以前からたびたびインタビュー記事を翻訳してきましたが、
これ、日本語で読ませてよ(日本側にも載せてよ)と思わずにはいられませんね。ポケカ国内公式も、最近はいろいろな企画をやっていますが、こんな企画が英語でしか読めないのは流石にもったいない……といつも思います。
【抄訳】ラテンアメリカ選手権・メタゲーム予想
2018年11月15日 ポケモンカードゲーム
今週金曜から日曜まで、今シーズン初のInternationals、ラテンアメリカ選手権(Latin America International Championships)がブラジルで行われます。
Internationalsは、世界大会に次ぐ規模の大会で、各大陸1度ずつ、年に計4回しか行われません(南米、北米、欧州、オセアニア)。
それだけ注目度の非常に高い大会になっています。
また、今回の大会は、Lost Thunder(日本でいう迅雷スパーク+超爆インパクト)発売後初めての大会になっています。
メタゲームの変化にも注目したいところです。
中継は
https://www.twitch.tv/pokemontcg
のようです。時差のため開始は日本時間の深夜過ぎになると思われます。
(金曜~土曜が予選。日曜は決勝のみ)
今回はそのラテンアメリカ選手権のメタゲーム考察記事です。
元記事が長いことと時間の関係で、抄訳になっています。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
http://www.60cards.net/en/expert-blog/user/4516/article/1358
by Gabriel Semedo
11/12/2018
ラテンアメリカ選手権は、Lost Thunderのカード236枚にとって初登場の大会で、かつ、今シーズン最初のInternationalsだ。枚数でいえば前弾より90枚も多いが、数が多いだけでなく面白いカードも多い。
大会まで数日に迫っている。メタゲームをおさらいし、シーズン最大の大会に備えよう。
▼主流のデッキたち
Tier 1
ゾロアークGX/ルガルガンGX
カラマネロ/ギラティナ
アローラナッシー
ばらまき系(カプ・コケコ+戒めの祠ほか)
ニンフィアGX
レックウザGX/クワガノン
Tier 2
グランブル
ズガドーンGX
ジュナイパーGX/アローラキュウコンGX
マッシブーン/ダストダス/戒めの祠
Tier 3
ロストマーチ
マグカルゴGX
ソルガレオGX
ゾロアークGX/ルガルガンGX
いわゆる「アズサ効果」のウツギ博士のレクチャーが加わったことで、今までネストボールやスーパーボールに裂いていたスペースが他に回せるようになった。また、メタモン◇も、スペースの活用に役立つ。
ゾロアークGX/ルガルガンGXはメタゲームでも依然として良い位置にいる。対カラマネロにも相性が良く、極端に不利なマッチアップはほぼない。大会に向けて有力なデッキ候補だろうし、多く見かけることになるだろう。
有利:カラマネロ/ギラティナ
互角:ナッシー、グランブル、ジュナイパーキュウコン、レックガノン
不利:マッシブーンルガルガン、マッシダスト祠、ロストマーチ
ギミック:ゴーリキー、マニューラ、ムキムキダンベル、プルメリ
[訳注:海外のルガゾロはここまで、ネストボールやスーパーボールを多投する形が主流だった。参考 http://limitlesstcg.com/decks/?list=1484]
カラマネロ/ギラティナ
ギラティナが出る前からカラマネロは強いデッキだが、さらに強力になったといえる。呪いのお札やイワークは有力なオプションだが必須ではない。
メタゲーム内では良い立ち位置で、安定したデッキといえる。唯一の苦手はゾロアークGX系統のデッキだ。
Lost Thunderの加入により、カラマネロ系のデッキは変化するだろう。これまでGasKanのデッキリストはほぼ固定だったが、今大会では2種類に分かれるはずだ。
ひとつは、GasKanのデオキシスをギラティナに置き換えた形。もうひとつは、非GXに寄せて、ひかるアルセウス、カプ・コケコや呪いのお札で戦う形だ。この形はもともと、チャンピオンズリーグ東京でヒラノマサタカが使って成功を収めた。
有利:グランブル、ズガドーンGX、レックガノン、マッシブーンルガルガン、マッシダスト祠、ロストマーチ
互角:ナッシー
不利:ルガルガンゾロアーク、ジュナイパーキュウコン、ばらまき系
ギミック:ギラティナ◇、ポケナビ
[訳注:GasKanとは、10月上旬の大会で登場したカラマネロデッキ。マーシャドーGX、デオキシス、チリーンを主力にした革新的なリストだった。参考 http://limitlesstcg.com/decks/?list=1460]
ナッシー
ツボツボ登場前から多くのプレイヤーがナッシーを試してきたが、ツボツボの登場で問題が解決した。
メタゲーム内では、グランブルを除くほぼすべての相手に対して互角の戦いができる。
有利:ズガドーンGX、レックガノン、マッシブーンルガルガン、マッシダスト祠
互角:カラマネロ、ロストマーチ、ホワイトキュレム、マグカルゴGX
不利:グランブル
ギミック:ムキムキダンベル、アセロラ
ばらまき系
ばらまき系のデッキには様々な形があるが、どのデッキも目的は、ダメージを蓄積し、カプ・テテフでサイドを取りきるというものだ。
もっとも新しいアイディアは、カール・ペータースがリール大会で優勝した、ラティオス、ハブネーク、どくバリを使った形だろう。
[訳注:参考 http://limitlesstcg.com/decks/?list=1581]
有利:カラマネロ、ズガドーンGX、レックガノン、マッシダスト祠
互角:ゾロアーク、ナッシー
不利:マッシブーンルガルガン
ギミック:カウンターキャッチャー、エレキパワー
マッシブーンGX/ルガルガンGX
このデッキはゾロアークGXに強いという点で目立つデッキだが、グランブルやナッシーといった非GXアタッカーの登場で、状況は複雑になっている。
だが新しいアローラキュウコンGXは、ビーストリングを持ってくることができたり、またワザも強力なため、新しい選択肢になっている。
いずれにせよマッシブーンルガルガンは、ただ頭で考えているよりも強力なデッキであり、実戦では、さまざまな状況でも強力に立ち回ることができる。
有利:ゾロアークGX、ばらまき系
互角:マッシダスト祠、レックガノン、ズガドーンGX
不利:カラマネロ、ナッシー、グランブル
ギミック:じゃくてんほけん、フィールドブロアー、ルザミーネ◇
ズガドーンGX/アーゴヨン
Lost Thunder最大のトピックスはこのデッキだろう。チャンピオンズリーグ東京では大きな話題になった。だが今のメタゲームはGXポケモンにはやや厳しい。
このデッキはレックガノンと似たデッキだ。このデッキは序盤の動きが強く、レックガノンは終盤が強い。レックガノンのほうが、どちらかといえば安定している印象がある。
メタゲーム内では、このデッキは少しリスキーな選択だ。ゾロアークGXという有力デッキには強いが、カラマネロには分が悪く、ペアリングに大きく左右されるだろう。
有利:ニンフィアGX、ゾロアークGX
互角:レックガノン、ジュナイパーキュウコン
不利:カラマネロ、ナッシー、グランブル、マッシダスト祠、ばらまき系
ギミック:ルザミーネ◇、ビーストボール、アーゴヨンGX、エネルギーつけかえ、ツンデツンデGX
グランブル
最初は誰もが冗談だと思ったが、実際はすばらしく強いデッキだった。有名なヤレユータンとマグカルゴが安定した動きを可能にし、カルネは時のパズルのような働きをしてくれる。
メタゲーム内では極端な不利がなく、面白い立ち位置にいる。常に130ダメージを出してくるギラティナだけは苦手だが、それ以上に嫌なのはアローラベトベトンの存在だろう。ヤレユータンが封じられると、場の展開もできずワザも思うように使えなくなってしまう。
有利:ナッシー、マッシブーンルガルガン、レックガノン、ズガドーンGX
互角:ゾロアークGX、ニンフィアGX、ロストマーチ
不利:カラマネロギラティナ、マッシダスト祠、ばらまき系
ギミック:ムキムキダンベル
マッシブーン/ダストダス/戒めの祠
マッシダスト祠デッキは今シーズン最初の衝撃であり、メタゲームを揺さぶり、フォーマットの見方を根本から変えたデッキだった。
ブラジルのサンタ・カタリーナ大会で優勝し、直後にアメリカのメンフィスでも優勝を果たした。
しかし現在では環境最良のデッキではなくなっている。メタゲームも戒めの祠に対応し、グランブルやナッシーといった強力な非GXも登場した。またカラマネロ/ギラティナは相性最悪のマッチアップだ。
だがこのデッキの派生形として、マッシブーン/マニューラ/祠はメタゲーム内において面白い立ち位置にいる。新旧マニューラは、対カラマネロのマッチアップを不利から有利に変える力を持っている。
有利:レックガノン、ズガドーンGX
互角:ゾロアークGX、ロストマーチ、ジュナイパーキュウコン、マッシブーンルガルガン
不利:ニンフィアGX、ナッシー、グランブル、ロストマーチ
ギミック:ビーストリング、どくバリ、テッカグヤ(非GX)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
上記の通り、省略が多くありますので、細かいところまで気になる方は原文もぜひご覧ください。
冒頭にも書きましたが、今回の大会、メタゲーム的に非常に注目度が高い大会です。
新しいアイディアもたくさん登場することが予想されます。
中継も結果も、ぜひどこかのタイミングで見てみてください。新しい発見があること間違いなしです。
Internationalsは、世界大会に次ぐ規模の大会で、各大陸1度ずつ、年に計4回しか行われません(南米、北米、欧州、オセアニア)。
それだけ注目度の非常に高い大会になっています。
また、今回の大会は、Lost Thunder(日本でいう迅雷スパーク+超爆インパクト)発売後初めての大会になっています。
メタゲームの変化にも注目したいところです。
中継は
https://www.twitch.tv/pokemontcg
のようです。時差のため開始は日本時間の深夜過ぎになると思われます。
(金曜~土曜が予選。日曜は決勝のみ)
今回はそのラテンアメリカ選手権のメタゲーム考察記事です。
元記事が長いことと時間の関係で、抄訳になっています。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
http://www.60cards.net/en/expert-blog/user/4516/article/1358
by Gabriel Semedo
11/12/2018
ラテンアメリカ選手権は、Lost Thunderのカード236枚にとって初登場の大会で、かつ、今シーズン最初のInternationalsだ。枚数でいえば前弾より90枚も多いが、数が多いだけでなく面白いカードも多い。
大会まで数日に迫っている。メタゲームをおさらいし、シーズン最大の大会に備えよう。
▼主流のデッキたち
Tier 1
ゾロアークGX/ルガルガンGX
カラマネロ/ギラティナ
アローラナッシー
ばらまき系(カプ・コケコ+戒めの祠ほか)
ニンフィアGX
レックウザGX/クワガノン
Tier 2
グランブル
ズガドーンGX
ジュナイパーGX/アローラキュウコンGX
マッシブーン/ダストダス/戒めの祠
Tier 3
ロストマーチ
マグカルゴGX
ソルガレオGX
ゾロアークGX/ルガルガンGX
いわゆる「アズサ効果」のウツギ博士のレクチャーが加わったことで、今までネストボールやスーパーボールに裂いていたスペースが他に回せるようになった。また、メタモン◇も、スペースの活用に役立つ。
ゾロアークGX/ルガルガンGXはメタゲームでも依然として良い位置にいる。対カラマネロにも相性が良く、極端に不利なマッチアップはほぼない。大会に向けて有力なデッキ候補だろうし、多く見かけることになるだろう。
有利:カラマネロ/ギラティナ
互角:ナッシー、グランブル、ジュナイパーキュウコン、レックガノン
不利:マッシブーンルガルガン、マッシダスト祠、ロストマーチ
ギミック:ゴーリキー、マニューラ、ムキムキダンベル、プルメリ
[訳注:海外のルガゾロはここまで、ネストボールやスーパーボールを多投する形が主流だった。参考 http://limitlesstcg.com/decks/?list=1484]
カラマネロ/ギラティナ
ギラティナが出る前からカラマネロは強いデッキだが、さらに強力になったといえる。呪いのお札やイワークは有力なオプションだが必須ではない。
メタゲーム内では良い立ち位置で、安定したデッキといえる。唯一の苦手はゾロアークGX系統のデッキだ。
Lost Thunderの加入により、カラマネロ系のデッキは変化するだろう。これまでGasKanのデッキリストはほぼ固定だったが、今大会では2種類に分かれるはずだ。
ひとつは、GasKanのデオキシスをギラティナに置き換えた形。もうひとつは、非GXに寄せて、ひかるアルセウス、カプ・コケコや呪いのお札で戦う形だ。この形はもともと、チャンピオンズリーグ東京でヒラノマサタカが使って成功を収めた。
有利:グランブル、ズガドーンGX、レックガノン、マッシブーンルガルガン、マッシダスト祠、ロストマーチ
互角:ナッシー
不利:ルガルガンゾロアーク、ジュナイパーキュウコン、ばらまき系
ギミック:ギラティナ◇、ポケナビ
[訳注:GasKanとは、10月上旬の大会で登場したカラマネロデッキ。マーシャドーGX、デオキシス、チリーンを主力にした革新的なリストだった。参考 http://limitlesstcg.com/decks/?list=1460]
ナッシー
ツボツボ登場前から多くのプレイヤーがナッシーを試してきたが、ツボツボの登場で問題が解決した。
メタゲーム内では、グランブルを除くほぼすべての相手に対して互角の戦いができる。
有利:ズガドーンGX、レックガノン、マッシブーンルガルガン、マッシダスト祠
互角:カラマネロ、ロストマーチ、ホワイトキュレム、マグカルゴGX
不利:グランブル
ギミック:ムキムキダンベル、アセロラ
ばらまき系
ばらまき系のデッキには様々な形があるが、どのデッキも目的は、ダメージを蓄積し、カプ・テテフでサイドを取りきるというものだ。
もっとも新しいアイディアは、カール・ペータースがリール大会で優勝した、ラティオス、ハブネーク、どくバリを使った形だろう。
[訳注:参考 http://limitlesstcg.com/decks/?list=1581]
有利:カラマネロ、ズガドーンGX、レックガノン、マッシダスト祠
互角:ゾロアーク、ナッシー
不利:マッシブーンルガルガン
ギミック:カウンターキャッチャー、エレキパワー
マッシブーンGX/ルガルガンGX
このデッキはゾロアークGXに強いという点で目立つデッキだが、グランブルやナッシーといった非GXアタッカーの登場で、状況は複雑になっている。
だが新しいアローラキュウコンGXは、ビーストリングを持ってくることができたり、またワザも強力なため、新しい選択肢になっている。
いずれにせよマッシブーンルガルガンは、ただ頭で考えているよりも強力なデッキであり、実戦では、さまざまな状況でも強力に立ち回ることができる。
有利:ゾロアークGX、ばらまき系
互角:マッシダスト祠、レックガノン、ズガドーンGX
不利:カラマネロ、ナッシー、グランブル
ギミック:じゃくてんほけん、フィールドブロアー、ルザミーネ◇
ズガドーンGX/アーゴヨン
Lost Thunder最大のトピックスはこのデッキだろう。チャンピオンズリーグ東京では大きな話題になった。だが今のメタゲームはGXポケモンにはやや厳しい。
このデッキはレックガノンと似たデッキだ。このデッキは序盤の動きが強く、レックガノンは終盤が強い。レックガノンのほうが、どちらかといえば安定している印象がある。
メタゲーム内では、このデッキは少しリスキーな選択だ。ゾロアークGXという有力デッキには強いが、カラマネロには分が悪く、ペアリングに大きく左右されるだろう。
有利:ニンフィアGX、ゾロアークGX
互角:レックガノン、ジュナイパーキュウコン
不利:カラマネロ、ナッシー、グランブル、マッシダスト祠、ばらまき系
ギミック:ルザミーネ◇、ビーストボール、アーゴヨンGX、エネルギーつけかえ、ツンデツンデGX
グランブル
最初は誰もが冗談だと思ったが、実際はすばらしく強いデッキだった。有名なヤレユータンとマグカルゴが安定した動きを可能にし、カルネは時のパズルのような働きをしてくれる。
メタゲーム内では極端な不利がなく、面白い立ち位置にいる。常に130ダメージを出してくるギラティナだけは苦手だが、それ以上に嫌なのはアローラベトベトンの存在だろう。ヤレユータンが封じられると、場の展開もできずワザも思うように使えなくなってしまう。
有利:ナッシー、マッシブーンルガルガン、レックガノン、ズガドーンGX
互角:ゾロアークGX、ニンフィアGX、ロストマーチ
不利:カラマネロギラティナ、マッシダスト祠、ばらまき系
ギミック:ムキムキダンベル
マッシブーン/ダストダス/戒めの祠
マッシダスト祠デッキは今シーズン最初の衝撃であり、メタゲームを揺さぶり、フォーマットの見方を根本から変えたデッキだった。
ブラジルのサンタ・カタリーナ大会で優勝し、直後にアメリカのメンフィスでも優勝を果たした。
しかし現在では環境最良のデッキではなくなっている。メタゲームも戒めの祠に対応し、グランブルやナッシーといった強力な非GXも登場した。またカラマネロ/ギラティナは相性最悪のマッチアップだ。
だがこのデッキの派生形として、マッシブーン/マニューラ/祠はメタゲーム内において面白い立ち位置にいる。新旧マニューラは、対カラマネロのマッチアップを不利から有利に変える力を持っている。
有利:レックガノン、ズガドーンGX
互角:ゾロアークGX、ロストマーチ、ジュナイパーキュウコン、マッシブーンルガルガン
不利:ニンフィアGX、ナッシー、グランブル、ロストマーチ
ギミック:ビーストリング、どくバリ、テッカグヤ(非GX)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
上記の通り、省略が多くありますので、細かいところまで気になる方は原文もぜひご覧ください。
冒頭にも書きましたが、今回の大会、メタゲーム的に非常に注目度が高い大会です。
新しいアイディアもたくさん登場することが予想されます。
中継も結果も、ぜひどこかのタイミングで見てみてください。新しい発見があること間違いなしです。
【翻訳】ゾロアーク/ダストダスと世界大会優勝レポート
2018年9月11日 ポケモンカードゲーム コメント (1)
年に一度のお祭り騒ぎ、ポケカの世界大会。
みなさん中継はご覧になりましたでしょうか。
僕は英語実況でずっと追っていましたが、プレイヤーへのリスペクトも、対戦の分析も、流石と思わせるクオリティでした。
そして優勝は、このブログでも何度も触れている、Limitlessのメンバー、Robin Schulzのゾロアーク/ダストダス。
そのままLimitlessのサイトに優勝レポートがアップされていました。
今回は、そのレポートの翻訳です。
非常にボリュームのある内容ですが、ぜひ最後まで目を通してみてください。
ちなみに、世界大会トップ8デッキは以下をご参照ください。
https://www.pokemon.com/us/play-pokemon/worlds/2018/tcg-masters/
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更を行った箇所があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
http://limitlesstcg.com/how-zoroark-garbodor-won-worlds/
by Robin Schulz
Thuesday, September 6th, 2018
こんにちはみなさん!
ちょうど1週間前のお祭り騒ぎの週末に、僕は今年の世界大会で優勝することができました。この記事では、僕たちの調整チームが考えていたことや、大会までの調整プロセスについて、まずお話します。
そして、最終形のデッキの中の、あまり見慣れないカード選択について説明したあと、簡単に大会レポートを見ていきたいと思います。
▼世界大会前の準備
今年は例年以上に準備に時間を費やしました。
トード(Tord Reklev)、ペドロ(Pedro E. Torres)、フィリップ(Philip Schulz)、ニコ(Nico Alabas)、ヘディ(Heddi Brahmi)、マグヌス(Magnus Kalland)、そして僕からなるメンバーは、世界大会の3週間前にノルウェーで合流し、アメリカに出発するまで、毎日、議論を積み重ねていきました。
いつもいつでも成果が出てきたわけではないですが、この合宿は、環境とデッキを理解する上で間違いなく役に立ちましたし、何より、本当に楽しい経験でした。
合宿では、まず、Celestial Storm〔訳注:SM6と7に該当する新弾〕を使ったデッキの強さを理解するところから始めました。
個人的に、レックウザGXはそこまで強くないだろうと思っていたのですが、最初のテストではインパクトを残しました。
ゾロアーク系のデッキでは、ついていくのが大変でしたし、盤面にプレッシャーをかけながらの序盤のマーシャドーは、どんなデッキに対しても勝ちを狙えました。
とはいえ、マッシブーン/ルガルガンGXに目を向けていくにつれ、レックウザへの期待度はどんどん下がっていきました。レックウザでは、非GXマッシブーンの動きに対処できなかったからです。
加えて、対ゾロアークGX/ダストダスも、レックウザから見れば勝てるはずのマッチアップだったはずが、グッズを多投していた自分たちの構築では、そこまで有利ではなかったのです。
こうなっては、勝てるデッキ、勝てないデッキが単純に運次第に思えてしまい、使いたいデッキではなくなっていきました。
この問題を解決するために組み上げたのが、レックウザGX/ダストダスでした。
場の組み立ては純粋にラティアス◇と特性のしっぷうどとう頼みであるものの、デッキの中にそこまでグッズが入っていないため、トラッシュにもあまりグッズが落ちず、対ゾロアークGX/ダストダスのマッチアップも改善しました。
また、ダストダスは、ディアンシー◇やオクタンを止められるため、対マッシブーンGX/ルガルガンGXに対しても良い解答になっていました。
そして何よりも、僕たちは皆、単純で直線的なゲームプランよりも、ダストダスやNのようなコントロール要素が好きだったのです。
レックダストは非常にうまく機能していて、実は最後の最後まで、僕たちメンバーのうち多くは、これが一番好きなデッキでした。
最後になって使うのをやめた最大の理由は、新しく登場したマッシブーン/ダストダス/戒めの祠デッキのせいです。
そのデッキとの相性は最悪でした。
レックダストは、相性の悪いマッチアップが存在しないように組み上げたはずでした。が、しかしこの新興デッキのせいで、とりわけ世界大会Day1で結果を出しているのを見たあとでは、レックウザは魅力的なデッキではなくなってしまったのでした。
ゾロアークGX/マグカルゴも、負けず劣らず影響力のあった新デッキです。そしてご想像の通り、チームメンバーのお気に入りでした。ゲームを一貫してコントロールする能力はすばらしく、初めのうちは、もうこれで決まりに思えました。
しかしながら、すべての回答をひとつのデッキリストに収めるのが難しいことが、次第にわかってきました。
というのも、このデッキは、対ゾロアークGXデッキでは受け身に回る必要があるのに対し、対レックウザGXや対マッシブーンGX/ルガルガンGXに対しては、攻めの動きをする必要があったのです。
結果的に、満足のいくデッキリストはできあがったものの、想定内のデッキに対しては強い一方で、数の少ない、想定できないデッキに対しては貧弱なデッキになってしまいました。
デデンネ(SM6)やじゃくてんほけんは特定のデッキだけをターゲットにしていて、もし、たとえばサーナイトGXのようなデッキがふたたび流行ってしまったら、こちらには何も回答がなかったのです。
それに対してゾロアークGX/ダストダスでは、必要な回答は、すでにデッキリストの中に全て組み込まれているように思えました。
調整の初期段階では、メンバーみんな、あまり好きなデッキではなかったものの、このデッキを何と対戦させても、力負けしてしまうということがなかったのです。
ゴミなだれはレックウザGXに対して最高のカウンターで、ダストオキシンは、正しく使えば、マッシブーンGX/ルガルガンGXやゾロアークGXデッキに対して絶大な効果を発揮しました。このデッキは倒すのが非常に大変で、そしていつしか、自分たちの使用候補の上位に入っていたのです。
つまるところ、このデッキは、たくさんの選択肢とたくさんの有利なマッチアップのあるゾロアークGXデッキなのです。
唯一のデメリットといえば、北アメリカ選手権で優勝したことで、よく知られた既存のデッキである、ということでした。そしてデッキリストにしても、そこまで多くの画期的な改良があるわけではありません。本当は僕たちメンバーは、「環境を破壊する」ようなデッキが大好きなのですが。
もうひとつ、ずっと考慮の対象だったゾロアークGXデッキがあって、それはゾロアークGX/サーナイトGXでした。
レックウザGXとゾロアークGXへの回答はデッキとして元々持っているものの、結局、対マッシブーンGXのマッチアップが怖すぎました。また、ダストオキシンを使ってくる相手に対しても、うまく動きませんでした。
カラマネロ系デッキも、調整において真面目に検討されていたデッキです。マッシブーンGXデッキに有利で、対レックウザGXデッキも得意でした。
自分のベンチのいらないGXをパラレルシティで取り除きつつ、マーシャドーGXでイクリプスムーンGXをコピーし、続いてプリズムバーストを撃ち込めば、それだけでサイド3枚は取れる動きで、たいてい、ゲームに勝つのに充分です。
また、このデッキはそこまで数が多いと思われていなかったのも良い点でした。
しかしながら、やはり対ゾロアークGXデッキはあまり得意でなく、また最後には、マッシブーンのデッキに対しても完全に有利とは言い切れない状況になってしまい、結局はもとのゾロアークGX/ダストダスに戻ったのでした。
合宿の最後になっても、どのデッキを使うべきか、実は合意ができていませんでした。
ペドロはゾロダストの受け身的な動きが好きでなく、レックウザか、もしくは信頼するルガゾロに傾いていました。
トードは対マッシブーンルガルガンのマッチアップに満足できておらず、ずっとマグカルゴ型を考えていました。
フィリップとニコはレックダストを考えていたようですが、ゾロダストは第二候補にしていました。
マグヌスはゾロアークGX/グソクムシャGXに戻っていました。シーズンを通してマグヌスが使っていたデッキで、調整でも良い結果を出していたからです。
メンバーの中で、当初からゾロダストを使っていたヘディが、おそらくゾロダストを一番調整していたプレイヤーだったのではと思います。
以下に並べたデッキリストは、調整していたものの、最終的には大会に持ち込まなかったデッキです。
▼レックウザダストダス
4 レックウザGX
2 ヤブクロン
2 ダストダス(ダストオキシン)
2 カプ・テテフGX
1 ラティアス◇
4 プラターヌ博士
4 N
4 グズマ
1 リーリエ
4 ミステリートレジャー
4 ハイパーボール
4 ピーピーマックス
1 レスキュータンカ
4 かるいし
3 フラダリラボ
8 草エネルギー
8 雷エネルギー
▼ゾロアークマグカルゴ
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
2 マグマッグ
2 マグカルゴ
1 ヤレユータン
3 カプ・テテフGX
1 ミュウEX
1 カプ・コケコ
1 デデンネ
3 アズサ
3 N
1 グズマ
1 シロナ
1 プラターヌ博士
1 こわいおねえさん
1 フレア団のしたっぱ
4 ハイパーボール
4 時のパズル
2 シンカソーダ
2 フィールドブロアー
2 レスキュータンカ
1 改造ハンマー
1 カウンターキャッチャー
1 まんたんのくすり
1 レッドカード
1 タウンマップ
2 こだわりハチマキ
1 かるいし
1 じゃくてんほけん
2 パラレルシティ
1 リバースバレー
4 ダブル無色エネルギー
▼ネクロズマカラマネロ
4 マーイーカ
4 カラマネロ
2 ネクロズマあかつきのつばさGX
2 マーシャドーGX
1 ネクロズマGX
1 フーパ(いじげんパンチ)
3 カプ・テテフGX
4 プラターヌ博士
3 シロナ
3 グズマ
1 アズサ
4 ミステリートレジャー
3 ハイパーボール
3 フィールドブロアー
1 レスキュータンカ
4 かるいし
3 パラレルシティ
14 超エネルギー
▼世界大会使用デッキ
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
3 ヤブクロン
2 ダストダス(ゴミなだれ)
1 ダストダス(ダストオキシン)
3 カプ・テテフGX
1 カミツルギGX
4 N
3 アズサ
2 グズマ
1 プラターヌ博士
1 シロナ
4 時のパズル
4 ミステリートレジャー
3 シンカソーダ
3 フィールドブロアー
1 レスキュータンカ
1 改造ハンマー
1 タウンマップ
3 かるいし
2 こだわりハチマキ
2 パラレルシティ
4 ダブル無色エネルギー
3 ユニットエネルギー雷超鋼
僕たちはおもに、ステファン(Stephane Ivanoff)が北アメリカ選手権で優勝したものと近いデッキリストで調整していました。純粋に、とてもよくできたデッキで、新弾が入ってきても、あまり調整するところはありませんでした。
他の候補として、対ミラー戦で勝てるように、こわいお姉さんやリソースマネージメントを使いながらの山削り戦略を重視した形も考えてはいました。
とはいえ、対ゾロアーク以外のマッチアップではそこまで強くなかったため、メンバー全員、通常のアプローチを調整することで納得しました。
ゾロダストの動きに関しては、ステファンの記事(http://ukinins.diarynote.jp/201808132305117557/)の説明がとてもわかりやすいので、ここではデッキの変更点だけ見ていくことにします。
このデッキで僕の頭を悩ませていたのは、ハイパーボールでした。
デッキには強いカードがあまりにたくさん入っていて、捨てるのが痛い場面が非常に多くあったのです。このデッキは低調な動きをしてしまうことが多々ありましたが、そのすべてがハイパーボールのせいではないにせよ、その要因のひとつなのは確かでした。
このデッキでは、ハイパーボールはたいていの場合、超ポケモンを持ってきます。ゾロアークを持ってくることもありましたが、あまり気分の良い動きではありません。
それにひきかえ、シンカソーダとミステリートレジャーは、このデッキでは非常に強力なカードでした。カードを1枚捨てるだけでテテフを持ってこれるのがとても便利で、またシンカソーダは、ゾロアークを場に出す上で一番明確な方法でした。
ハイパーボールからこれら2枚のカードに全て切り替えたのは、非常に自然な選択だったと思います。ハイパーボールの柔軟性を失うのは確かに手痛いですが、強力なカードを捨てずに済むのは、その損失を補って余りあるほどです。
他にもメリットはあって、例えば対レックウザ戦で、ヤブクロンやダストダスを簡単にぽんぽんと場に出せることなどです。
もうひとつ、普通じゃないカードチョイスは、タウンマップでしょう。
このカードが調整で初めて登場したのは、ゾロカルゴでした。それを見るや否や、このカード好きの僕の心に火がついてしまったのです。
ダストオキシンがサイド落ちのせいで何度も何度も負けたあと、僕はこのカードをゾロダストにも入れると決めました。もっともそれは、統計上、合理的だからというわけではなかったのですが。
そして結果的に、過去のダストダスデッキでタウンマップが機能していたのと同じように、このゾロダストでも非常によく機能しました。場の状況に合ったカードをサイドから引いてこれるのは例外なく便利でしたが、とりわけ、とりひきで手札を整えられない特性ロック下では、特に強力でした。
そしてまた、コントロール寄りのゾロアークデッキを相手にしたときは、ときに全てのカード1枚1枚を最大限活用しないといけないのですが、そんなときにもこの効果は非常に便利でした。時のパズルやエネルギーといった強いカードをサイドから拾うことができれば、それがゲームを決めることもあります。
加えて、対レックウザ戦では攻撃の手を止めることは決して許されないので、次のゴミなだれを準備するのに必要なパーツを拾うことができれば、それがゲームに勝つ決め手になりえるのです。
ゲームの序盤に、サイド落ち確認をやらなくて済むのは、とても素敵なおまけでした。おかげで時間と気力を節約でき、実際の対戦に集中できます。
タウンマップでわかる情報と比べて、普段の山札サーチでわかる情報の精度でも充分なのか、判断しかねますが、いずれにしても、サイド落ちの情報がわかるのは間違いなく良いことです。
このデッキに入れなかった要素のひとつが、回復系カードです。アセロラは何度も試しましたが、しっくりきませんでした。
このデッキのポイントは、たいていの場合にサイドレースで後手にまわりつつ、悪名高きダストオキシンとNで巻き返すというものです。最初のテテフかゾロアークは倒される前提です。
そしてNで相手の手札を4か3にしてしまえば、にげる動きは大抵、回復と同じ意味を持ちます。
多くのゲームで、僕のベンチはダメージの乗ったポケモンでいっぱいになっていました。それらのうち1体からダメージを取り除いたところで意味がありません。
ゲーム終盤ではここにダストダスも加わり、そうなると回復系カードを探すのは容易ではありません。さらに追加のNを叩き込めば、相当に効果的でしょう。
それでもダメージを回復させる必要があるなら、カプキュアーGXかパラレルシティが候補になります。どうしても回復系カードをデッキに入れろと言われたら、まんたんのくすりよりはアセロラを選びます。そちらの方が、使い道がたくさんあるからです。
まんたんのくすりは大抵の場合サイドレース用のカードですが、ダストダスのデッキはそこまでサイドレースには気を向けないからです。
このデッキと同様のコンセプトは、過去にフィリップが使っていたグソクムシャGX/ダストダス(http://limitlesstcg.com/decks/?list=257)や、イベルタルEX/ダストダス(http://limitlesstcg.com/decks/?list=173)でも見ることができます。
回復系カードを外して、タウンマップと多めのサーチカードを投入するのは、最終的に、僕たちにとって大成功だったと言えるでしょう。
▼大会レポート
1回戦:○×- vsゾロアークGX/ダストダス
2回戦:×○○ vsマッシブーン/ダストダス/戒めの祠
3回戦:○○ vsカラマネロ/ひかるルギア
4回戦:×○- vsマッシブーンGX/ルガルガンGX
5回戦:○○ vsゾロアークGX/ダストダス
6回戦:○○ vsゾロアークGX/ダストダス
7回戦:○○ vsマッシブーン/ダストダス/戒めの祠
ベスト8:○○ vsゾロアークGX/グソクムシャGX
準決勝:○○ vsジガルデGX/ルガルガンGX
決勝:○○ vsカラマネロ
大会が始まると、いきなり、僕の親友でありチームメイトのニコとのミラーマッチになりました。このペアリングは正直うれしくありませんでしたが、ともあれ、リラックスできる対戦で1日がスタートできたのは不幸中の幸いでした。
僕たちは50分で際どいゲームを何とか2戦こなし、引き分けでその場を終えました。自分にとっては、納得の結末と言えました。
次のラウンドでは、ブラジルのオッタビオとの対戦でした。オッタビオは今シーズン、マッシブーンルガルガンで何度もトップ8に残っていましたが、世界大会では、マッシブーンダストダスに鞍替えしたようでした。
1、2ゲーム目は非常に接戦で、1ゲーム目でオッタビオはNの後に必要なカードを引き込み、2ゲーム目では引けませんでした。時間も迫っていて、これも引き分けかと思っていたら、3ゲーム目では相手の手札が最悪で、たねポケモンを2匹倒して3ターンで勝ちきることができました。
3回戦目はイギリスのベテランであり8Bit Planetの運営者、トム・ホールとの対戦でした。トムは面白い構築のカラマネロを使っていて、ひかるルギアや、カプ・コケコ、戒めの祠、そしてプロモのカプ・テテフなど、ダメージをばらまくカードを大量に入れていました。
対戦は2ゲームとも接戦でしたが、ゾロダストはこのデッキにはうまく対処できました。1ゲーム目ではパラレルシティで大量のダメージを取り除いて相手のねらいを潰し、2ゲーム目では、Nで相手の手札を1枚にしてからのダストオキシンで、盤面を組み立てないまま前のめりに攻めてきた相手の動きを、完全に咎めることができました。
次のラウンドでは、同じくヨーロッパからのプレイヤー、バート・ウォルタースとの対戦で、配信卓でした。デッキはマッシブーンルガルガンで、バートは今期、このデッキでかなりの結果を残していますし、前回バレンシアで対戦したときは、僕はそのデッキにやられていました。
1ゲーム目では、1ターン目アズサのあとにドローサポートを引けずに苦労し、何とかNで巻き返そうとしました。が、グズマを引かれてベンチのゾロアを簡単に倒され、最後のサイドを取られてしまいました。
2ゲーム目は順調にスタートできました。カミツルギGXをうまく使って、スレッジハンマーとジェットパンチの攻撃をやり過ごし、後半は、ゴミなだれとダストオキシン、そして大量のダブル無色のついたテテフでゲームに勝つことができました。
3ゲーム目は際どい戦いでしたが、そのときちょうど時間切れになりました。相手のグッズ管理がうまくて、ルガルガンをゴミなだれで倒そうにも20ダメージ足りず、どうにも僕はゲームに勝てそうにありませんでした。
運よく最終ターンでこちらのアシッドボムで表が出て、相手もゲームに勝てなくなり、マッチは引き分けに終わりました。
続く5、6回戦目では、アズール(Azul Garcia Griego)とジョー(Joe Ruettiger)とそれぞれ対戦しましたが、2人は全く同じゾロダストを使っていました。
アズールとの対戦は接戦でしたが、2ゲームとも、ダメージを受けたポケモンをベンチに入れ替える動きを多用し、大きなアドバンテージを得ることができました。
見ていると、アズールは、サイドをリードするにつれ、自分のダストオキシンで自分が苦しんでいるようでした。
そのせいでアズールはリソースを大量に消費せざるを得ず、1ゲーム目の終盤など、こちらに対して非常に効果的なNを放ったものの、相手のデッキには充分なカードが残っておらず、そのまま山札切れに陥ってしまったのでした。
ジョーとの対戦では、ワンサイド寄りのゲームになりました。1ゲーム目でジョーは、シロナの後でたねポケモンを引けず、時のパズルで不要な3枚を見たあとで即座に投了してきました。
2ゲーム目、ジョーはハイパーボールでグッズを2枚捨てるところからスタートし、そして展開はそれ以上良くなりませんでした。ゲーム終盤にかけ、お互いがゴミなだれで攻撃しあいましたが、ある時点で相手はエネを引けず、そこでこちらの勝ちになりました。
予選最終ラウンドでは、ハンター(Hunter Butler)との対戦でした。マッシブーンダストでDay1を勝ち上がり、Day2でも好成績を収めていた相手です。
ただ僕との対戦では、両ゲームともに引きが非常に悪かったようです。1ゲーム目では駆け引きのようなことはほとんど起こらず、こちらが序盤にエネを引けずにいたにも関わらず、相手はほぼドローゴーか、もしくはまったく関係のないポケモンにエネを貼るのみでした。
こちらがサイドを数枚取り、ダストオキシンを立ててしまうと、相手は勝機がないと見て2ゲーム目に行くことになりました。
2ゲーム目ではもう少しマシな展開になったものの、こと引きに関していえば、ダストダスに必要なレインボーエネルギーも、そのあとマッシブーンに必要だったエネルギーも、どちらも相手は引けず、ゲームはその時点で決着がついてしまいました。
そういうわけで、とうとうベスト8です。
相手はブライアン(Brian Miller)のグソクゾロアークでした。とても拮抗したマッチアップでしたが、かえってそれが僕には心地よく感じられたのも事実です。
1ゲーム目ではお互いにとりひきを使いながら、相手がサイド3枚のとき、こちらがダストオキシンを立てて、相手のとりひきを止めることができました。
そこからは、こちらが完全にゲームをコントロールできました。そして、最後はベンチのテテフをゴミなだれで一撃で倒し、ゲームに勝つことができました。
2ゲーム目は、とにかくおかしな対戦でした。初手は完全にどうしようもなく、しかし山札からカミツルギを引きあてて、タウンマップとのコンボでサイドからテテフを拾うことができました。
ブライアンの出だしは良かったものの、プラターヌで時のパズルを2枚捨てざるを得ない展開でした。それが相手にとっては打撃となり、こちらにとっては巻き返しのチャンスになったのです。
相手サイド1のときのこちらのNで、相手は勝つのに必要なカードを揃えられず、逆にこちらはゴミなだれで相手を一撃で倒しながら、追加のN。相手はそれに対する回答を引けませんでした。
準決勝も、非常に白熱した試合になりました。
このマッチアップがどうなるのかよくわかりませんでしたが、対戦相手のクライブ(Klive Aw)は今シーズン、ジガルデで結果を残していて、大変な相手だろうことは理解していました。
1ゲーム目は序盤の出だしもよく、2ターン目には相手のエネつきのイワンコを倒し、その後はテテフがジガルデの相手をしてくれました。ある時点では、テテフにダブル無色を3枚つけてジガルデを倒す、なかなかにお洒落なプレイもできました。
2ゲーム目は、信じられないほどの接戦でした。この試合ではサイドレースで相当な後手にまわり、サイドは6対1まで差がつきました。が、相手の盤面は非常に弱かったのです。Nとダストオキシンが仕事をしてくれました。
相手は数ターンほど、何か引けば、という猶予はありましたが、それも叶わず、僕が決勝戦へと進むことになりました。
この勝利と、日曜日へ進めたというのは最高の気持ちでした。が、しかしもう1戦、まだ残っています。
相手は、新進気鋭のカナダのプレイヤー、ジェフ・コーレンク(Jeff Kolenc)のカラマネロデッキです。
このマッチアップは僕にとっては幸運でした。ゾロダストはまさに、僕が超デッキを使わなかった一番の理由だったからです。それでも、うまくいかない可能性はまだ多くありました。
その日の夜は、相手の準決勝のマッチ映像を見返して、デッキの中身を理解するのに費やしました。パラレルシティがないのはありがたく、また、ブロアーの枚数が少ないのも、こちらにとっては追い風です。
かなり長く待たされたあと、とうとう決勝戦の時間になりました。
1ゲーム目は、僕にとっては完ぺきなスタートでした。先攻で3体のゾロアを並べ、2ターン目にはダストオキシンまで立てられたからです。相手は多少は粘る動きをしていましたが、それでも、こちらのゴミなだれが相手のミュウツーを一撃できた段階で、ゲームは完全に僕がコントロールできました。
2ゲーム目は、ここまでのマッチ同様、難しい展開になりました。僕らはどちらも素晴らしい序盤の出だしでした。それならこちらにとってありがたいはずが、相手はこちらのゾロアークを、フィールドブロアーからマーシャドーGXでイクリプスムーンGXをコピーして倒してきたため、ややトリッキーな状況になりました。
運よくこちらはグズマとかるいしを持っており、サイド残り2枚まで詰めると同時に、ダストオキシンで再び相手をロックできました。
ジェフは最後のブロアーを持っていたものの、こちらのダストオキシンとバトル場のゴミなだれを同時に処理することはできなかったため、次のターンで勝てるようにとダストオキシンを倒してきました。
しかし、僕は2枚目のグズマにたどり着き、プレイし、そして世界大会で優勝することができたのです!
自分でも信じられませんが、世界大会で、優勝という結果を残すことができました。あの週末を通してサポートしてくれたみんなに、本当に感謝してます。最大のありがとうを友人たちに。あなたたちがいなければ、決してここまでのことはできませんでした。
そして、負けずにがんばってくれたぶっ壊れデッキ、ゾロダストにも感謝を。チームメイトのヘディには、ゾロダストとはかくあるべし、とチームメイトに見せてくれて、とても感謝しています。
お読みいただきありがとうございました。次のシーズンも楽しみです。また、リージョナルスでお会いしましょう!
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
何やら世間ではポケカが異常な売れ行きを見せているようですが、
パックの予約に一喜一憂するばかりでなく、たまにはこういったレポートを腰を据えて読むのも良いかもしれません。
そして海外の新シーズンも、もう始まっています。
今週末は、国内のCL東京と同時に、北米でもRegionalsが開催され、新環境のお披露目となりそうです。
カードプールは少し違えど、海外のデッキや構築が、国内のデッキに影響を与えることもあります。
どんなデッキが登場するのか、今後も海外環境から目が離せませんね。
みなさん中継はご覧になりましたでしょうか。
僕は英語実況でずっと追っていましたが、プレイヤーへのリスペクトも、対戦の分析も、流石と思わせるクオリティでした。
そして優勝は、このブログでも何度も触れている、Limitlessのメンバー、Robin Schulzのゾロアーク/ダストダス。
そのままLimitlessのサイトに優勝レポートがアップされていました。
今回は、そのレポートの翻訳です。
非常にボリュームのある内容ですが、ぜひ最後まで目を通してみてください。
ちなみに、世界大会トップ8デッキは以下をご参照ください。
https://www.pokemon.com/us/play-pokemon/worlds/2018/tcg-masters/
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更を行った箇所があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
http://limitlesstcg.com/how-zoroark-garbodor-won-worlds/
by Robin Schulz
Thuesday, September 6th, 2018
こんにちはみなさん!
ちょうど1週間前のお祭り騒ぎの週末に、僕は今年の世界大会で優勝することができました。この記事では、僕たちの調整チームが考えていたことや、大会までの調整プロセスについて、まずお話します。
そして、最終形のデッキの中の、あまり見慣れないカード選択について説明したあと、簡単に大会レポートを見ていきたいと思います。
▼世界大会前の準備
今年は例年以上に準備に時間を費やしました。
トード(Tord Reklev)、ペドロ(Pedro E. Torres)、フィリップ(Philip Schulz)、ニコ(Nico Alabas)、ヘディ(Heddi Brahmi)、マグヌス(Magnus Kalland)、そして僕からなるメンバーは、世界大会の3週間前にノルウェーで合流し、アメリカに出発するまで、毎日、議論を積み重ねていきました。
いつもいつでも成果が出てきたわけではないですが、この合宿は、環境とデッキを理解する上で間違いなく役に立ちましたし、何より、本当に楽しい経験でした。
合宿では、まず、Celestial Storm〔訳注:SM6と7に該当する新弾〕を使ったデッキの強さを理解するところから始めました。
個人的に、レックウザGXはそこまで強くないだろうと思っていたのですが、最初のテストではインパクトを残しました。
ゾロアーク系のデッキでは、ついていくのが大変でしたし、盤面にプレッシャーをかけながらの序盤のマーシャドーは、どんなデッキに対しても勝ちを狙えました。
とはいえ、マッシブーン/ルガルガンGXに目を向けていくにつれ、レックウザへの期待度はどんどん下がっていきました。レックウザでは、非GXマッシブーンの動きに対処できなかったからです。
加えて、対ゾロアークGX/ダストダスも、レックウザから見れば勝てるはずのマッチアップだったはずが、グッズを多投していた自分たちの構築では、そこまで有利ではなかったのです。
こうなっては、勝てるデッキ、勝てないデッキが単純に運次第に思えてしまい、使いたいデッキではなくなっていきました。
この問題を解決するために組み上げたのが、レックウザGX/ダストダスでした。
場の組み立ては純粋にラティアス◇と特性のしっぷうどとう頼みであるものの、デッキの中にそこまでグッズが入っていないため、トラッシュにもあまりグッズが落ちず、対ゾロアークGX/ダストダスのマッチアップも改善しました。
また、ダストダスは、ディアンシー◇やオクタンを止められるため、対マッシブーンGX/ルガルガンGXに対しても良い解答になっていました。
そして何よりも、僕たちは皆、単純で直線的なゲームプランよりも、ダストダスやNのようなコントロール要素が好きだったのです。
レックダストは非常にうまく機能していて、実は最後の最後まで、僕たちメンバーのうち多くは、これが一番好きなデッキでした。
最後になって使うのをやめた最大の理由は、新しく登場したマッシブーン/ダストダス/戒めの祠デッキのせいです。
そのデッキとの相性は最悪でした。
レックダストは、相性の悪いマッチアップが存在しないように組み上げたはずでした。が、しかしこの新興デッキのせいで、とりわけ世界大会Day1で結果を出しているのを見たあとでは、レックウザは魅力的なデッキではなくなってしまったのでした。
ゾロアークGX/マグカルゴも、負けず劣らず影響力のあった新デッキです。そしてご想像の通り、チームメンバーのお気に入りでした。ゲームを一貫してコントロールする能力はすばらしく、初めのうちは、もうこれで決まりに思えました。
しかしながら、すべての回答をひとつのデッキリストに収めるのが難しいことが、次第にわかってきました。
というのも、このデッキは、対ゾロアークGXデッキでは受け身に回る必要があるのに対し、対レックウザGXや対マッシブーンGX/ルガルガンGXに対しては、攻めの動きをする必要があったのです。
結果的に、満足のいくデッキリストはできあがったものの、想定内のデッキに対しては強い一方で、数の少ない、想定できないデッキに対しては貧弱なデッキになってしまいました。
デデンネ(SM6)やじゃくてんほけんは特定のデッキだけをターゲットにしていて、もし、たとえばサーナイトGXのようなデッキがふたたび流行ってしまったら、こちらには何も回答がなかったのです。
それに対してゾロアークGX/ダストダスでは、必要な回答は、すでにデッキリストの中に全て組み込まれているように思えました。
調整の初期段階では、メンバーみんな、あまり好きなデッキではなかったものの、このデッキを何と対戦させても、力負けしてしまうということがなかったのです。
ゴミなだれはレックウザGXに対して最高のカウンターで、ダストオキシンは、正しく使えば、マッシブーンGX/ルガルガンGXやゾロアークGXデッキに対して絶大な効果を発揮しました。このデッキは倒すのが非常に大変で、そしていつしか、自分たちの使用候補の上位に入っていたのです。
つまるところ、このデッキは、たくさんの選択肢とたくさんの有利なマッチアップのあるゾロアークGXデッキなのです。
唯一のデメリットといえば、北アメリカ選手権で優勝したことで、よく知られた既存のデッキである、ということでした。そしてデッキリストにしても、そこまで多くの画期的な改良があるわけではありません。本当は僕たちメンバーは、「環境を破壊する」ようなデッキが大好きなのですが。
もうひとつ、ずっと考慮の対象だったゾロアークGXデッキがあって、それはゾロアークGX/サーナイトGXでした。
レックウザGXとゾロアークGXへの回答はデッキとして元々持っているものの、結局、対マッシブーンGXのマッチアップが怖すぎました。また、ダストオキシンを使ってくる相手に対しても、うまく動きませんでした。
カラマネロ系デッキも、調整において真面目に検討されていたデッキです。マッシブーンGXデッキに有利で、対レックウザGXデッキも得意でした。
自分のベンチのいらないGXをパラレルシティで取り除きつつ、マーシャドーGXでイクリプスムーンGXをコピーし、続いてプリズムバーストを撃ち込めば、それだけでサイド3枚は取れる動きで、たいてい、ゲームに勝つのに充分です。
また、このデッキはそこまで数が多いと思われていなかったのも良い点でした。
しかしながら、やはり対ゾロアークGXデッキはあまり得意でなく、また最後には、マッシブーンのデッキに対しても完全に有利とは言い切れない状況になってしまい、結局はもとのゾロアークGX/ダストダスに戻ったのでした。
合宿の最後になっても、どのデッキを使うべきか、実は合意ができていませんでした。
ペドロはゾロダストの受け身的な動きが好きでなく、レックウザか、もしくは信頼するルガゾロに傾いていました。
トードは対マッシブーンルガルガンのマッチアップに満足できておらず、ずっとマグカルゴ型を考えていました。
フィリップとニコはレックダストを考えていたようですが、ゾロダストは第二候補にしていました。
マグヌスはゾロアークGX/グソクムシャGXに戻っていました。シーズンを通してマグヌスが使っていたデッキで、調整でも良い結果を出していたからです。
メンバーの中で、当初からゾロダストを使っていたヘディが、おそらくゾロダストを一番調整していたプレイヤーだったのではと思います。
以下に並べたデッキリストは、調整していたものの、最終的には大会に持ち込まなかったデッキです。
▼レックウザダストダス
4 レックウザGX
2 ヤブクロン
2 ダストダス(ダストオキシン)
2 カプ・テテフGX
1 ラティアス◇
4 プラターヌ博士
4 N
4 グズマ
1 リーリエ
4 ミステリートレジャー
4 ハイパーボール
4 ピーピーマックス
1 レスキュータンカ
4 かるいし
3 フラダリラボ
8 草エネルギー
8 雷エネルギー
▼ゾロアークマグカルゴ
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
2 マグマッグ
2 マグカルゴ
1 ヤレユータン
3 カプ・テテフGX
1 ミュウEX
1 カプ・コケコ
1 デデンネ
3 アズサ
3 N
1 グズマ
1 シロナ
1 プラターヌ博士
1 こわいおねえさん
1 フレア団のしたっぱ
4 ハイパーボール
4 時のパズル
2 シンカソーダ
2 フィールドブロアー
2 レスキュータンカ
1 改造ハンマー
1 カウンターキャッチャー
1 まんたんのくすり
1 レッドカード
1 タウンマップ
2 こだわりハチマキ
1 かるいし
1 じゃくてんほけん
2 パラレルシティ
1 リバースバレー
4 ダブル無色エネルギー
▼ネクロズマカラマネロ
4 マーイーカ
4 カラマネロ
2 ネクロズマあかつきのつばさGX
2 マーシャドーGX
1 ネクロズマGX
1 フーパ(いじげんパンチ)
3 カプ・テテフGX
4 プラターヌ博士
3 シロナ
3 グズマ
1 アズサ
4 ミステリートレジャー
3 ハイパーボール
3 フィールドブロアー
1 レスキュータンカ
4 かるいし
3 パラレルシティ
14 超エネルギー
▼世界大会使用デッキ
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
3 ヤブクロン
2 ダストダス(ゴミなだれ)
1 ダストダス(ダストオキシン)
3 カプ・テテフGX
1 カミツルギGX
4 N
3 アズサ
2 グズマ
1 プラターヌ博士
1 シロナ
4 時のパズル
4 ミステリートレジャー
3 シンカソーダ
3 フィールドブロアー
1 レスキュータンカ
1 改造ハンマー
1 タウンマップ
3 かるいし
2 こだわりハチマキ
2 パラレルシティ
4 ダブル無色エネルギー
3 ユニットエネルギー雷超鋼
僕たちはおもに、ステファン(Stephane Ivanoff)が北アメリカ選手権で優勝したものと近いデッキリストで調整していました。純粋に、とてもよくできたデッキで、新弾が入ってきても、あまり調整するところはありませんでした。
他の候補として、対ミラー戦で勝てるように、こわいお姉さんやリソースマネージメントを使いながらの山削り戦略を重視した形も考えてはいました。
とはいえ、対ゾロアーク以外のマッチアップではそこまで強くなかったため、メンバー全員、通常のアプローチを調整することで納得しました。
ゾロダストの動きに関しては、ステファンの記事(http://ukinins.diarynote.jp/201808132305117557/)の説明がとてもわかりやすいので、ここではデッキの変更点だけ見ていくことにします。
このデッキで僕の頭を悩ませていたのは、ハイパーボールでした。
デッキには強いカードがあまりにたくさん入っていて、捨てるのが痛い場面が非常に多くあったのです。このデッキは低調な動きをしてしまうことが多々ありましたが、そのすべてがハイパーボールのせいではないにせよ、その要因のひとつなのは確かでした。
このデッキでは、ハイパーボールはたいていの場合、超ポケモンを持ってきます。ゾロアークを持ってくることもありましたが、あまり気分の良い動きではありません。
それにひきかえ、シンカソーダとミステリートレジャーは、このデッキでは非常に強力なカードでした。カードを1枚捨てるだけでテテフを持ってこれるのがとても便利で、またシンカソーダは、ゾロアークを場に出す上で一番明確な方法でした。
ハイパーボールからこれら2枚のカードに全て切り替えたのは、非常に自然な選択だったと思います。ハイパーボールの柔軟性を失うのは確かに手痛いですが、強力なカードを捨てずに済むのは、その損失を補って余りあるほどです。
他にもメリットはあって、例えば対レックウザ戦で、ヤブクロンやダストダスを簡単にぽんぽんと場に出せることなどです。
もうひとつ、普通じゃないカードチョイスは、タウンマップでしょう。
このカードが調整で初めて登場したのは、ゾロカルゴでした。それを見るや否や、このカード好きの僕の心に火がついてしまったのです。
ダストオキシンがサイド落ちのせいで何度も何度も負けたあと、僕はこのカードをゾロダストにも入れると決めました。もっともそれは、統計上、合理的だからというわけではなかったのですが。
そして結果的に、過去のダストダスデッキでタウンマップが機能していたのと同じように、このゾロダストでも非常によく機能しました。場の状況に合ったカードをサイドから引いてこれるのは例外なく便利でしたが、とりわけ、とりひきで手札を整えられない特性ロック下では、特に強力でした。
そしてまた、コントロール寄りのゾロアークデッキを相手にしたときは、ときに全てのカード1枚1枚を最大限活用しないといけないのですが、そんなときにもこの効果は非常に便利でした。時のパズルやエネルギーといった強いカードをサイドから拾うことができれば、それがゲームを決めることもあります。
加えて、対レックウザ戦では攻撃の手を止めることは決して許されないので、次のゴミなだれを準備するのに必要なパーツを拾うことができれば、それがゲームに勝つ決め手になりえるのです。
ゲームの序盤に、サイド落ち確認をやらなくて済むのは、とても素敵なおまけでした。おかげで時間と気力を節約でき、実際の対戦に集中できます。
タウンマップでわかる情報と比べて、普段の山札サーチでわかる情報の精度でも充分なのか、判断しかねますが、いずれにしても、サイド落ちの情報がわかるのは間違いなく良いことです。
このデッキに入れなかった要素のひとつが、回復系カードです。アセロラは何度も試しましたが、しっくりきませんでした。
このデッキのポイントは、たいていの場合にサイドレースで後手にまわりつつ、悪名高きダストオキシンとNで巻き返すというものです。最初のテテフかゾロアークは倒される前提です。
そしてNで相手の手札を4か3にしてしまえば、にげる動きは大抵、回復と同じ意味を持ちます。
多くのゲームで、僕のベンチはダメージの乗ったポケモンでいっぱいになっていました。それらのうち1体からダメージを取り除いたところで意味がありません。
ゲーム終盤ではここにダストダスも加わり、そうなると回復系カードを探すのは容易ではありません。さらに追加のNを叩き込めば、相当に効果的でしょう。
それでもダメージを回復させる必要があるなら、カプキュアーGXかパラレルシティが候補になります。どうしても回復系カードをデッキに入れろと言われたら、まんたんのくすりよりはアセロラを選びます。そちらの方が、使い道がたくさんあるからです。
まんたんのくすりは大抵の場合サイドレース用のカードですが、ダストダスのデッキはそこまでサイドレースには気を向けないからです。
このデッキと同様のコンセプトは、過去にフィリップが使っていたグソクムシャGX/ダストダス(http://limitlesstcg.com/decks/?list=257)や、イベルタルEX/ダストダス(http://limitlesstcg.com/decks/?list=173)でも見ることができます。
回復系カードを外して、タウンマップと多めのサーチカードを投入するのは、最終的に、僕たちにとって大成功だったと言えるでしょう。
▼大会レポート
1回戦:○×- vsゾロアークGX/ダストダス
2回戦:×○○ vsマッシブーン/ダストダス/戒めの祠
3回戦:○○ vsカラマネロ/ひかるルギア
4回戦:×○- vsマッシブーンGX/ルガルガンGX
5回戦:○○ vsゾロアークGX/ダストダス
6回戦:○○ vsゾロアークGX/ダストダス
7回戦:○○ vsマッシブーン/ダストダス/戒めの祠
ベスト8:○○ vsゾロアークGX/グソクムシャGX
準決勝:○○ vsジガルデGX/ルガルガンGX
決勝:○○ vsカラマネロ
大会が始まると、いきなり、僕の親友でありチームメイトのニコとのミラーマッチになりました。このペアリングは正直うれしくありませんでしたが、ともあれ、リラックスできる対戦で1日がスタートできたのは不幸中の幸いでした。
僕たちは50分で際どいゲームを何とか2戦こなし、引き分けでその場を終えました。自分にとっては、納得の結末と言えました。
次のラウンドでは、ブラジルのオッタビオとの対戦でした。オッタビオは今シーズン、マッシブーンルガルガンで何度もトップ8に残っていましたが、世界大会では、マッシブーンダストダスに鞍替えしたようでした。
1、2ゲーム目は非常に接戦で、1ゲーム目でオッタビオはNの後に必要なカードを引き込み、2ゲーム目では引けませんでした。時間も迫っていて、これも引き分けかと思っていたら、3ゲーム目では相手の手札が最悪で、たねポケモンを2匹倒して3ターンで勝ちきることができました。
3回戦目はイギリスのベテランであり8Bit Planetの運営者、トム・ホールとの対戦でした。トムは面白い構築のカラマネロを使っていて、ひかるルギアや、カプ・コケコ、戒めの祠、そしてプロモのカプ・テテフなど、ダメージをばらまくカードを大量に入れていました。
対戦は2ゲームとも接戦でしたが、ゾロダストはこのデッキにはうまく対処できました。1ゲーム目ではパラレルシティで大量のダメージを取り除いて相手のねらいを潰し、2ゲーム目では、Nで相手の手札を1枚にしてからのダストオキシンで、盤面を組み立てないまま前のめりに攻めてきた相手の動きを、完全に咎めることができました。
次のラウンドでは、同じくヨーロッパからのプレイヤー、バート・ウォルタースとの対戦で、配信卓でした。デッキはマッシブーンルガルガンで、バートは今期、このデッキでかなりの結果を残していますし、前回バレンシアで対戦したときは、僕はそのデッキにやられていました。
1ゲーム目では、1ターン目アズサのあとにドローサポートを引けずに苦労し、何とかNで巻き返そうとしました。が、グズマを引かれてベンチのゾロアを簡単に倒され、最後のサイドを取られてしまいました。
2ゲーム目は順調にスタートできました。カミツルギGXをうまく使って、スレッジハンマーとジェットパンチの攻撃をやり過ごし、後半は、ゴミなだれとダストオキシン、そして大量のダブル無色のついたテテフでゲームに勝つことができました。
3ゲーム目は際どい戦いでしたが、そのときちょうど時間切れになりました。相手のグッズ管理がうまくて、ルガルガンをゴミなだれで倒そうにも20ダメージ足りず、どうにも僕はゲームに勝てそうにありませんでした。
運よく最終ターンでこちらのアシッドボムで表が出て、相手もゲームに勝てなくなり、マッチは引き分けに終わりました。
続く5、6回戦目では、アズール(Azul Garcia Griego)とジョー(Joe Ruettiger)とそれぞれ対戦しましたが、2人は全く同じゾロダストを使っていました。
アズールとの対戦は接戦でしたが、2ゲームとも、ダメージを受けたポケモンをベンチに入れ替える動きを多用し、大きなアドバンテージを得ることができました。
見ていると、アズールは、サイドをリードするにつれ、自分のダストオキシンで自分が苦しんでいるようでした。
そのせいでアズールはリソースを大量に消費せざるを得ず、1ゲーム目の終盤など、こちらに対して非常に効果的なNを放ったものの、相手のデッキには充分なカードが残っておらず、そのまま山札切れに陥ってしまったのでした。
ジョーとの対戦では、ワンサイド寄りのゲームになりました。1ゲーム目でジョーは、シロナの後でたねポケモンを引けず、時のパズルで不要な3枚を見たあとで即座に投了してきました。
2ゲーム目、ジョーはハイパーボールでグッズを2枚捨てるところからスタートし、そして展開はそれ以上良くなりませんでした。ゲーム終盤にかけ、お互いがゴミなだれで攻撃しあいましたが、ある時点で相手はエネを引けず、そこでこちらの勝ちになりました。
予選最終ラウンドでは、ハンター(Hunter Butler)との対戦でした。マッシブーンダストでDay1を勝ち上がり、Day2でも好成績を収めていた相手です。
ただ僕との対戦では、両ゲームともに引きが非常に悪かったようです。1ゲーム目では駆け引きのようなことはほとんど起こらず、こちらが序盤にエネを引けずにいたにも関わらず、相手はほぼドローゴーか、もしくはまったく関係のないポケモンにエネを貼るのみでした。
こちらがサイドを数枚取り、ダストオキシンを立ててしまうと、相手は勝機がないと見て2ゲーム目に行くことになりました。
2ゲーム目ではもう少しマシな展開になったものの、こと引きに関していえば、ダストダスに必要なレインボーエネルギーも、そのあとマッシブーンに必要だったエネルギーも、どちらも相手は引けず、ゲームはその時点で決着がついてしまいました。
そういうわけで、とうとうベスト8です。
相手はブライアン(Brian Miller)のグソクゾロアークでした。とても拮抗したマッチアップでしたが、かえってそれが僕には心地よく感じられたのも事実です。
1ゲーム目ではお互いにとりひきを使いながら、相手がサイド3枚のとき、こちらがダストオキシンを立てて、相手のとりひきを止めることができました。
そこからは、こちらが完全にゲームをコントロールできました。そして、最後はベンチのテテフをゴミなだれで一撃で倒し、ゲームに勝つことができました。
2ゲーム目は、とにかくおかしな対戦でした。初手は完全にどうしようもなく、しかし山札からカミツルギを引きあてて、タウンマップとのコンボでサイドからテテフを拾うことができました。
ブライアンの出だしは良かったものの、プラターヌで時のパズルを2枚捨てざるを得ない展開でした。それが相手にとっては打撃となり、こちらにとっては巻き返しのチャンスになったのです。
相手サイド1のときのこちらのNで、相手は勝つのに必要なカードを揃えられず、逆にこちらはゴミなだれで相手を一撃で倒しながら、追加のN。相手はそれに対する回答を引けませんでした。
準決勝も、非常に白熱した試合になりました。
このマッチアップがどうなるのかよくわかりませんでしたが、対戦相手のクライブ(Klive Aw)は今シーズン、ジガルデで結果を残していて、大変な相手だろうことは理解していました。
1ゲーム目は序盤の出だしもよく、2ターン目には相手のエネつきのイワンコを倒し、その後はテテフがジガルデの相手をしてくれました。ある時点では、テテフにダブル無色を3枚つけてジガルデを倒す、なかなかにお洒落なプレイもできました。
2ゲーム目は、信じられないほどの接戦でした。この試合ではサイドレースで相当な後手にまわり、サイドは6対1まで差がつきました。が、相手の盤面は非常に弱かったのです。Nとダストオキシンが仕事をしてくれました。
相手は数ターンほど、何か引けば、という猶予はありましたが、それも叶わず、僕が決勝戦へと進むことになりました。
この勝利と、日曜日へ進めたというのは最高の気持ちでした。が、しかしもう1戦、まだ残っています。
相手は、新進気鋭のカナダのプレイヤー、ジェフ・コーレンク(Jeff Kolenc)のカラマネロデッキです。
このマッチアップは僕にとっては幸運でした。ゾロダストはまさに、僕が超デッキを使わなかった一番の理由だったからです。それでも、うまくいかない可能性はまだ多くありました。
その日の夜は、相手の準決勝のマッチ映像を見返して、デッキの中身を理解するのに費やしました。パラレルシティがないのはありがたく、また、ブロアーの枚数が少ないのも、こちらにとっては追い風です。
かなり長く待たされたあと、とうとう決勝戦の時間になりました。
1ゲーム目は、僕にとっては完ぺきなスタートでした。先攻で3体のゾロアを並べ、2ターン目にはダストオキシンまで立てられたからです。相手は多少は粘る動きをしていましたが、それでも、こちらのゴミなだれが相手のミュウツーを一撃できた段階で、ゲームは完全に僕がコントロールできました。
2ゲーム目は、ここまでのマッチ同様、難しい展開になりました。僕らはどちらも素晴らしい序盤の出だしでした。それならこちらにとってありがたいはずが、相手はこちらのゾロアークを、フィールドブロアーからマーシャドーGXでイクリプスムーンGXをコピーして倒してきたため、ややトリッキーな状況になりました。
運よくこちらはグズマとかるいしを持っており、サイド残り2枚まで詰めると同時に、ダストオキシンで再び相手をロックできました。
ジェフは最後のブロアーを持っていたものの、こちらのダストオキシンとバトル場のゴミなだれを同時に処理することはできなかったため、次のターンで勝てるようにとダストオキシンを倒してきました。
しかし、僕は2枚目のグズマにたどり着き、プレイし、そして世界大会で優勝することができたのです!
自分でも信じられませんが、世界大会で、優勝という結果を残すことができました。あの週末を通してサポートしてくれたみんなに、本当に感謝してます。最大のありがとうを友人たちに。あなたたちがいなければ、決してここまでのことはできませんでした。
そして、負けずにがんばってくれたぶっ壊れデッキ、ゾロダストにも感謝を。チームメイトのヘディには、ゾロダストとはかくあるべし、とチームメイトに見せてくれて、とても感謝しています。
お読みいただきありがとうございました。次のシーズンも楽しみです。また、リージョナルスでお会いしましょう!
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
何やら世間ではポケカが異常な売れ行きを見せているようですが、
パックの予約に一喜一憂するばかりでなく、たまにはこういったレポートを腰を据えて読むのも良いかもしれません。
そして海外の新シーズンも、もう始まっています。
今週末は、国内のCL東京と同時に、北米でもRegionalsが開催され、新環境のお披露目となりそうです。
カードプールは少し違えど、海外のデッキや構築が、国内のデッキに影響を与えることもあります。
どんなデッキが登場するのか、今後も海外環境から目が離せませんね。
【コラム】世界大会・直前デッキまとめ
2018年8月23日 ポケモンカードゲーム
アローラ! 今年もこの季節がやってきました、WCS、世界大会!
いよいよ今週末の開催です。
いつもなら、直前まとめ記事も分量ましましでお届けするのですが、
今年はうきにん多忙につきシンプルイズベストで参ります。
まずは中継情報。最近は日本語中継もできて、とても便利になりました。
▼日本語中継
https://www.pokemon-card.com/info/2000/20000824_001338.html
▼英語中継
https://www.pokemon.com/us/play-pokemon/worlds/2018/streaming/
▼レギュレーションについてざっくり
使えるカードは、おおよそ、
XY8-SM7
世界大会直前に、SM6+SM7に相当するパックが発売となりました。
なので実は、事前には、みなSM5までのデッキ情報しかない中での戦いになっているのです。
新カードを使ったデッキの読みあい、それぞれの国の選手のデッキ構築に、ぜひ注目しましょう。
※詳細なカードプールは、ハムさんのブログ
http://kamishibaki.blog.fc2.com/blog-entry-7.html
をご参照ください。
また、XY1-7が使えないため、バトルサーチャーやオーロット(XY1)、よるのこうしんやスカイフィールドといった、日本ではおなじみの強力なカードがありません。
それらのカードがない中でも、さまざまなデッキが活躍しています。
▼デッキについて
PokeStatsというサイトが、
WCS直前に行われた、SM7入り海外大会のデッキまとめ記事をアップしています。
http://www.ptcgstats.com/2018/08/one-week-til-worlds-analyzing-bkt-cst.html
ざっと眺めていくと、
要するに、3つのデッキタイプがメタの中心に位置していることがわかります。
・ゾロアークGX派生
・マッシブーンGX派生
・レックウザGX派生
でもこのあたりのデッキって、
実際はどんな感じなんだろう?日本との違いは?
ということで、おもに7月初頭のNorth America Internationals(北アメリカ選手権)の結果から追ってみたいと思います。
(各デッキリストは http://limitlesstcg.com/ から引用)
大会時点でのレギュレーションは、XY8-SM5くらいまででした。
▼ゾロアークGX派生
ゾロアークGX派生は、
日本でも活躍していたゾロアークGX/ルガルガンGXなども強力なデッキですが、
現段階では、
2つのデッキタイプが注目を浴びています。
以下に列挙します。
ゾロアークGX/ダストダス
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
3 ヤブクロン
2 ダストダス(ゴミなだれ)
1 ダストダス(ダストオキシン)
3 カプ・テテフGX
1 カミツルギGX
1 ラティオス
4 N
3 グズマ
2 アズサ
1 シロナ
1 プラターヌ博士
1 アセロラ
4 ハイパーボール
4 時のパズル
3 フィールドブロアー
1 シンカソーダ
1 ミステリートレジャー
1 レスキュータンカ
1 改造ハンマー
3 かるいし
2 こだわりハチマキ
2 パラレルシティ
4 ダブル無色エネルギー
3 ユニットエネルギー雷超鋼
http://limitlesstcg.com/decks/?list=1187
ゾロアークコントロール
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
4 カプ・テテフGX
1 ヤレユータン
1 ミュウEX
3 アズサ
3 N
3 グズマ
1 シロナ
1 プラターヌ博士
1 マオ
1 フレア団のしたっぱ
1 こわいおねえさん
1 アセロラ
4 ハイパーボール
4 時のパズル
3 シンカソーダ
3 改造ハンマー
2 フィールドブロアー
2 カウンターキャッチャー
2 まんたんのくすり
1 レスキュータンカ
2 じゃくてんほけん
1 かるいし
2 パラレルシティ
1 リバースバレー
4 ダブル無色エネルギー
http://limitlesstcg.com/decks/?list=1188
ゾロアークGX/ダストダスは、いま最も注目を集めているデッキです。
当初は過小評価されていましたが、北アメリカ選手権では優勝を飾り、
また、マッシブーンGXデッキにも互角に戦えることから、今回の世界大会でも高い使用率が予想されます。
ゾロアークコントロール(僕の命名ではなく、海外から出てきた通称です)は、現世界最強プレイヤーTord Reklevが北アメリカ選手権で準優勝して非常に注目されました。
後述のマッシブーンGXデッキではフィールドブロアーが採用されないため、じゃくてんほけんが非常に活きてきます。
また、同じく後述のマッシブーンを初めとしたHP130のポケモンを倒すため、リバースバレーが採用されています(世界レギュではスカイフィールドがない!)
また、実は謎の海外再録でルール的に使用可能なミュウEXは、マッシブーンを倒すためのカードとして、よく見かけることになるでしょう。
世界大会時点では、マグカルゴ(SM6b)が入ってくるため、さらなる強化が期待できる有力デッキです。
▼マッシブーンGX派生
マッシブーンデッキも2つ取り上げてみます。
マッシブーン/ルガルガンGX
4 マッシブーン
1 マッシブーンGX
2 イワンコ
2 ルガルガンGX
1 ディアンシー◇
2 テッポウオ
1 オクタン
1 カプ・テテフGX
4 プラターヌ博士
4 グズマ
2 N
2 シロナ
4 ハイパーボール
4 ピーピーマックス
3 ビーストリング
1 すごいつりざお
3 こだわりハチマキ
2 かるいし
3 せせらぎの丘
9 闘エネルギー
4 ストロングエネルギー
1 ビーストエネルギー◇
http://limitlesstcg.com/decks/?list=1196
マッシブーンGX/ダストダス
4 マッシブーンGX
1 マッシブーン
2 ヤブクロン
2 ダストダス(ダストオキシン)
2 カプ・テテフGX
4 N
4 シロナ
3 グズマ
1 プラターヌ博士
1 リーリエ
4 ネストボール
4 ビーストリング
3 ミステリートレジャー
3 おとりよせパッド
1 カウンターキャッチャー
1 ランダムレシーバー
4 かるいし
4 闘魂のまわし
7 闘エネルギー
4 ストロングエネルギー
1 ビーストエネルギー◇
http://limitlesstcg.com/decks/?list=1169
上のマッシブーン/ルガルガンGX、注目すべきは、非GXのマッシブーンが4枚投入されていることです。
実は世界レギュでは、日本と違い、非GXマッシブーンの評価が非常に高く、このように2~4枚投入されるのが一般的です。
前述のようにスカイフィールドがないため、HP130は簡単には倒されず、また、基本的にGXの殴り合いになりがちの環境で、打点の異常に高い非GXポケモンは単純に脅威です。
下のマッシブーン/ダストダスも最近になって注目されるようになったデッキです。
SM7からは戒めの祠が入ってくるため、こちらも強化が期待されています。
▼レックウザGX
レックウザGXに関しては、日本チャンピオン、ヨネダ選手のデッキが最も参考になります。
4 レックウザGX
2 カプ・テテフGX
1 ラティアス◇
1 ウソッキー
1 オドリドリ
1 シェイミEX
1 カプ・コケコGX
4 プラターヌ博士
3 グズマ
1 N
1 オカルトマニア
1 シロナ
4 バトルサーチャー
4 ミステリートレジャー
4 ピーピーマックス
3 ハイパーボール
3 闘魂のまわし
3 かるいし
2 レスキュータンカ
2 パラレルシティ
7 草エネルギー
7 雷エネルギー
https://www.pokemon-card.com/info/2018/20180615_001220.html
彼の優勝デッキ情報が出た瞬間、海外のサイトやコミュニティでも、あっという間に情報が出回っていたのが非常に印象的でした。
ほとんどのカードがそのまま世界レギュで使用可能なため、そのデッキパワーは世界レギュでも健在です。
また、実はダストダスの影響を受けづらいデッキのため、ダストダスが流行している世界レギュでも、問題なく力を発揮できるでしょう。
むしろ、最初に触れたPokeStatsの記事中では、レックウザGX/ダストダスというデッキについても触れられています。
果たしてどんなデッキなのか、中継に登場したら、ぜひ注目したいですね。
▼おわりに
ここで取り上げたデッキはごく一部です。
世界レギュはデッキのバリエーションも多く、中継には、さまざまなデッキが登場してくると思います。
また、今回の世界大会は、使用カードの差が大きく、日本勢にとっては不利と言われています。それでも代表選手たちは、それぞれの創意工夫とスキルで、素晴らしいデッキとプレイを披露してくれるはずです。
そしてもちろん、海外プレイヤーたちにも注目しましょう。
現役最強のTord Reklevをはじめ、アメリカやヨーロッパ、もちろんアジアにも、強い選手は多くいます。
眠い目をこすって、年に一度のお祭り、ぜひぜひ中継で応援しましょう!
いよいよ今週末の開催です。
いつもなら、直前まとめ記事も分量ましましでお届けするのですが、
今年はうきにん多忙につきシンプルイズベストで参ります。
まずは中継情報。最近は日本語中継もできて、とても便利になりました。
▼日本語中継
https://www.pokemon-card.com/info/2000/20000824_001338.html
▼英語中継
https://www.pokemon.com/us/play-pokemon/worlds/2018/streaming/
▼レギュレーションについてざっくり
使えるカードは、おおよそ、
XY8-SM7
世界大会直前に、SM6+SM7に相当するパックが発売となりました。
なので実は、事前には、みなSM5までのデッキ情報しかない中での戦いになっているのです。
新カードを使ったデッキの読みあい、それぞれの国の選手のデッキ構築に、ぜひ注目しましょう。
※詳細なカードプールは、ハムさんのブログ
http://kamishibaki.blog.fc2.com/blog-entry-7.html
をご参照ください。
また、XY1-7が使えないため、バトルサーチャーやオーロット(XY1)、よるのこうしんやスカイフィールドといった、日本ではおなじみの強力なカードがありません。
それらのカードがない中でも、さまざまなデッキが活躍しています。
▼デッキについて
PokeStatsというサイトが、
WCS直前に行われた、SM7入り海外大会のデッキまとめ記事をアップしています。
http://www.ptcgstats.com/2018/08/one-week-til-worlds-analyzing-bkt-cst.html
ざっと眺めていくと、
要するに、3つのデッキタイプがメタの中心に位置していることがわかります。
・ゾロアークGX派生
・マッシブーンGX派生
・レックウザGX派生
でもこのあたりのデッキって、
実際はどんな感じなんだろう?日本との違いは?
ということで、おもに7月初頭のNorth America Internationals(北アメリカ選手権)の結果から追ってみたいと思います。
(各デッキリストは http://limitlesstcg.com/ から引用)
大会時点でのレギュレーションは、XY8-SM5くらいまででした。
▼ゾロアークGX派生
ゾロアークGX派生は、
日本でも活躍していたゾロアークGX/ルガルガンGXなども強力なデッキですが、
現段階では、
2つのデッキタイプが注目を浴びています。
以下に列挙します。
ゾロアークGX/ダストダス
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
3 ヤブクロン
2 ダストダス(ゴミなだれ)
1 ダストダス(ダストオキシン)
3 カプ・テテフGX
1 カミツルギGX
1 ラティオス
4 N
3 グズマ
2 アズサ
1 シロナ
1 プラターヌ博士
1 アセロラ
4 ハイパーボール
4 時のパズル
3 フィールドブロアー
1 シンカソーダ
1 ミステリートレジャー
1 レスキュータンカ
1 改造ハンマー
3 かるいし
2 こだわりハチマキ
2 パラレルシティ
4 ダブル無色エネルギー
3 ユニットエネルギー雷超鋼
http://limitlesstcg.com/decks/?list=1187
ゾロアークコントロール
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
4 カプ・テテフGX
1 ヤレユータン
1 ミュウEX
3 アズサ
3 N
3 グズマ
1 シロナ
1 プラターヌ博士
1 マオ
1 フレア団のしたっぱ
1 こわいおねえさん
1 アセロラ
4 ハイパーボール
4 時のパズル
3 シンカソーダ
3 改造ハンマー
2 フィールドブロアー
2 カウンターキャッチャー
2 まんたんのくすり
1 レスキュータンカ
2 じゃくてんほけん
1 かるいし
2 パラレルシティ
1 リバースバレー
4 ダブル無色エネルギー
http://limitlesstcg.com/decks/?list=1188
ゾロアークGX/ダストダスは、いま最も注目を集めているデッキです。
当初は過小評価されていましたが、北アメリカ選手権では優勝を飾り、
また、マッシブーンGXデッキにも互角に戦えることから、今回の世界大会でも高い使用率が予想されます。
ゾロアークコントロール(僕の命名ではなく、海外から出てきた通称です)は、現世界最強プレイヤーTord Reklevが北アメリカ選手権で準優勝して非常に注目されました。
後述のマッシブーンGXデッキではフィールドブロアーが採用されないため、じゃくてんほけんが非常に活きてきます。
また、同じく後述のマッシブーンを初めとしたHP130のポケモンを倒すため、リバースバレーが採用されています(世界レギュではスカイフィールドがない!)
また、実は謎の海外再録でルール的に使用可能なミュウEXは、マッシブーンを倒すためのカードとして、よく見かけることになるでしょう。
世界大会時点では、マグカルゴ(SM6b)が入ってくるため、さらなる強化が期待できる有力デッキです。
▼マッシブーンGX派生
マッシブーンデッキも2つ取り上げてみます。
マッシブーン/ルガルガンGX
4 マッシブーン
1 マッシブーンGX
2 イワンコ
2 ルガルガンGX
1 ディアンシー◇
2 テッポウオ
1 オクタン
1 カプ・テテフGX
4 プラターヌ博士
4 グズマ
2 N
2 シロナ
4 ハイパーボール
4 ピーピーマックス
3 ビーストリング
1 すごいつりざお
3 こだわりハチマキ
2 かるいし
3 せせらぎの丘
9 闘エネルギー
4 ストロングエネルギー
1 ビーストエネルギー◇
http://limitlesstcg.com/decks/?list=1196
マッシブーンGX/ダストダス
4 マッシブーンGX
1 マッシブーン
2 ヤブクロン
2 ダストダス(ダストオキシン)
2 カプ・テテフGX
4 N
4 シロナ
3 グズマ
1 プラターヌ博士
1 リーリエ
4 ネストボール
4 ビーストリング
3 ミステリートレジャー
3 おとりよせパッド
1 カウンターキャッチャー
1 ランダムレシーバー
4 かるいし
4 闘魂のまわし
7 闘エネルギー
4 ストロングエネルギー
1 ビーストエネルギー◇
http://limitlesstcg.com/decks/?list=1169
上のマッシブーン/ルガルガンGX、注目すべきは、非GXのマッシブーンが4枚投入されていることです。
実は世界レギュでは、日本と違い、非GXマッシブーンの評価が非常に高く、このように2~4枚投入されるのが一般的です。
前述のようにスカイフィールドがないため、HP130は簡単には倒されず、また、基本的にGXの殴り合いになりがちの環境で、打点の異常に高い非GXポケモンは単純に脅威です。
下のマッシブーン/ダストダスも最近になって注目されるようになったデッキです。
SM7からは戒めの祠が入ってくるため、こちらも強化が期待されています。
▼レックウザGX
レックウザGXに関しては、日本チャンピオン、ヨネダ選手のデッキが最も参考になります。
4 レックウザGX
2 カプ・テテフGX
1 ラティアス◇
1 ウソッキー
1 オドリドリ
1 シェイミEX
1 カプ・コケコGX
4 プラターヌ博士
3 グズマ
1 N
1 オカルトマニア
1 シロナ
4 バトルサーチャー
4 ミステリートレジャー
4 ピーピーマックス
3 ハイパーボール
3 闘魂のまわし
3 かるいし
2 レスキュータンカ
2 パラレルシティ
7 草エネルギー
7 雷エネルギー
https://www.pokemon-card.com/info/2018/20180615_001220.html
彼の優勝デッキ情報が出た瞬間、海外のサイトやコミュニティでも、あっという間に情報が出回っていたのが非常に印象的でした。
ほとんどのカードがそのまま世界レギュで使用可能なため、そのデッキパワーは世界レギュでも健在です。
また、実はダストダスの影響を受けづらいデッキのため、ダストダスが流行している世界レギュでも、問題なく力を発揮できるでしょう。
むしろ、最初に触れたPokeStatsの記事中では、レックウザGX/ダストダスというデッキについても触れられています。
果たしてどんなデッキなのか、中継に登場したら、ぜひ注目したいですね。
▼おわりに
ここで取り上げたデッキはごく一部です。
世界レギュはデッキのバリエーションも多く、中継には、さまざまなデッキが登場してくると思います。
また、今回の世界大会は、使用カードの差が大きく、日本勢にとっては不利と言われています。それでも代表選手たちは、それぞれの創意工夫とスキルで、素晴らしいデッキとプレイを披露してくれるはずです。
そしてもちろん、海外プレイヤーたちにも注目しましょう。
現役最強のTord Reklevをはじめ、アメリカやヨーロッパ、もちろんアジアにも、強い選手は多くいます。
眠い目をこすって、年に一度のお祭り、ぜひぜひ中継で応援しましょう!
今回はなんと、大会結果とデッキリスト集積で有名なLimitlessから。
Limitlessは欧州のチームですが、そのメンバーの1人、フランスのStephane Ivanoffが、7月初旬の北アメリカ選手権(North American Internationals)で優勝したため、そのデッキ解説が記事になりました。
もちろん内容自体も本当に素晴らしいのですが、特筆すべきは、日本の大会のことが触れられている点。
彼ら海外のプレイヤーが日本のデッキをいかに参考にし、海外版に作り替えたか。その意味でも、非常に面白い記事だと思います。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更を行った箇所があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
http://limitlesstcg.com/how-zoroark-garbodor-won-naic/
July 12th, 2018
by Stephane Ivanoff
▼経緯について
デッキがどう出来上がったか、経緯について少し。このゾロアーク/ダストダスというデッキが最初に大きな成果を上げたのは、Marc Lutzがオセアニアインターナショナルズでトップ64に入ったときだ。
そこからこのデッキタイプはあちこちの店舗大会で見かけるようになったが、ほとんどみな、炸裂バルーンで一方的なダストオキシンロックを可能にする、というふうにしていた。ダストダスに貼ってダストオキシンを起動させ、相手のエンド時に捨て、自分のターンで再度とりひきを使う。
〔訳注:典型例としては右記 http://limitlesstcg.com/decks/?list=894 〕
これはオシャレなコンボだ。が、自分にはあまり良いとは思えなかった。実際に戦ってみると、この形はそこまで怖くないことがわかる。たとえとりひきを使っても、毎ターン確実にバルーンを見つけてくるのは難しい。そして恒久的なダストオキシンロックに比べれば、1ターン限定のロックはプレッシャーも薄い。加えて、ダストダス以外に使う炸裂バルーンはたいして強くない。
確かに60ダメージは、ライオットビートで相手のゾロアークGXを一撃で倒す上で、理論上は強く見える。が、グズマやフィールドブロアーでかわしたり、単に攻撃しないという選択肢すら取りうる。炸裂バルーンがほかのデッキでは見ない理由だ。その一方でかるいしはあらゆるデッキに入っている。単体で強いからだ。
それが、バルーン型が一風変わったデッキで落ち着いたのに対し、かるいし型のゾロアークダストダスは計3つ入賞できた理由だ。単純に、強いカードを使うべきだ!
このデッキは、私や、同郷人のFabien Pujolが作り上げたわけではない。友人のDidier Nguyenは、私たちに、日本の京都大会で準優勝したデッキリストを見せてくれた。それはダストダスが2-1で(ゴミなだれが2、ダストオキシンが1)入っていて、カミツルギGXとユニットエネルギーが採用されていた。
日本のXY1フォーマットでは、スカイフィールド、シェイミEX、バトルサーチャーといったカードが可能なため、私たちは、例のリストを、より西洋版に調整しなおした。
ゾロアークGXはいつものように4-4、時のパズル、改造ハンマー、そしてパラレルシティを投入した。
調整に数日費やし、このデッキはメタ内のたいていのデッキに有利だと感じることができたが、一方で、プレイ中の選択肢が多く、バルーン型よりもはるかに難しかった。
たとえば、自分の特性を使うため、いつ自分のダストダスのどうぐをブロアーで剥がし、いつ再度起動し、あるいはいつすべきでないのか、熟知するには時間が必要だ。
結果的に私たち3人のうちFabienだけが使いこなす自信を持つことができ、そしてブラジルではトップ8入賞を果たした。
私が北アメリカでこのデッキを使うことにした理由がこれだった。その頃、このデッキはそこそこ使用者が増えてはいたが、ほとんどの人は、このデッキは見込みがあるとは考えていなかった。
カミツルギを抜いてしまう人が多かったし、バルーン型に戻した人もいた。理由は何であれ、このデッキは、もう一度、周囲を驚かせるポテンシャルは持っていた。
▼デッキリスト
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
3 ヤブクロン
2 ダストダス(ゴミなだれ)
1 ダストダス(ダストオキシン)
3 カプ・テテフGX
1 カミツルギGX
1 ラティオス
4 N
3 グズマ
2 アズサ
1 シロナ
1 プラターヌ博士
1 アセロラ
4 ハイパーボール
4 時のパズル
3 フィールドブロアー
1 シンカソーダ
1 ミステリートレジャー
1 レスキュータンカ
1 改造ハンマー
3 かるいし
2 こだわりハチマキ
2 パラレルシティ
4 ダブル無色エネルギー
3 ユニットエネルギー雷超鋼
デッキの大枠は、今期のゾロアークデッキでよく見かけた内容だ。4-4のゾロアーク、テテフ3、時のパズル4などなど。それ以外の特徴について話そう。
個人的に、3-2/1のダストダスラインは理想的な構成だ。たいてい、序盤に両方のダストダスが必要というふうにはならないため、ヤブクロンは3で足りる。
ダストオキシンも1で充分だ。相手は、それ以上に対処しなければならない脅威を目の前に抱えているはずだからだ。
仮にグズマでダストダスが倒されても、レスキュータンカ、時のパズル、そしてゾロアークのドローエンジンがあれば、立て直すのは容易だろう。
ラティオスは基本的に対マッシブーン用のギミックだが、相手のマーイーカを倒したり、相手のカプ・テテフに30ダメージを乗せてライオットビートの射程内にしたりもできる。
何よりこのデッキでは、2つめのワザ、ラグーンフライトを使える。マッシブーンやイワンコを一撃で倒すことができ、ハチマキがあればマッシブーンGXも倒せる。つまりマッシブーンルガルガン側は、ラティオスに対処しなければならず、ほかの自分のポケモンから攻撃を逸らすことができる。
カミツルギGXはハイパーボールで探せる改造ハンマーであり、ライオットビート用にベンチを埋めるのにも役立つ。相手のゾロアークGXからダブル無色を剥がしたり、イワンコからストロングエネルギーを剥がしたりするのにとても便利だ。
また、ほとんどGXワザを使わないこのデッキで、GXワザを使う機会にもなる。このカードこそ、このデッキを一級品にしている要素だと思っている。GXワザは非常に強く、選択肢に入れてないとすればもったいない。
このワザはサイド7枚戦を避けるのに役立つ。残りサイドが奇数で相手の場にGXしかいないとき、相手のGXを倒す代わりにスラッシュGXを使うだけでいい。
フィールドブロアーは3枚必要だ。このデッキではとりひきのために自分のダストダスのかるいしを剥がす必要が出てくることがある。また、対マッシブーンダストダスで、パラレルシティの張り合いでも優位に立てる。
ミステリートレジャーは、禁断の光から入った唯一のカードだ。2枚目のシンカソーダの代わりだった。ゾロアークGXは探せないが、それ以外なら何でもサーチできる。何よりカプ・テテフGXを探せるのが強く、1ターン目アズサの確率を高めてくれている。アズサを2枚に抑えたが、それでも、ほかのゾロアーク/グソクムシャやゾロアーク/ルガルガンと同程度のアズサスタートの確率はあるはずだ。
入れなかったカードは、たとえばミュウツー、2枚目の改造ハンマー、4枚目のユニットエネルギーだった。ミュウツーは対マッシブーンルガルガンで便利だが、どちらもゴミなだれで一撃で倒せる上、このマッチアップで何より怖いのはルガルガンGXだ。
改造ハンマーはゾロアークのミラー戦で役立ち、4枚目のユニットエネルギーはリソース管理を楽にしてくれただろうが、どちらも序盤で必要ないカードであり今のままで充分だ。
4枚目のヤブクロンや、デンジュモクGXも考えた。デンジュモクは、最近のゾロアーク/ルガルガンなど、特殊エネルギーのみのデッキを完封できる。それでも、現状のゲームプランを考慮すれば、それらのカードは受け身すぎてテストはしなかった。
たとえデンジュモクがいても、Tord Reklevが使って準優勝したゾロアークコントロールのようなデッキに対しては、改造ハンマーや妨害カードを使いまわされ、最終的にはこちらが負けになってしまっていただろう。
〔訳注:Tord Reklevのデッキは右記 http://limitlesstcg.com/decks/?list=1188 〕
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
このあと記事は各マッチアップ分析に続くのですが、今回は割愛しています。
この記事を前フリとして、世界大会前のデッキまとめを記事化したいのですが……時間が限られる中、果たしてそこまで行けるのか。こうご期待(?)。
Limitlessは欧州のチームですが、そのメンバーの1人、フランスのStephane Ivanoffが、7月初旬の北アメリカ選手権(North American Internationals)で優勝したため、そのデッキ解説が記事になりました。
もちろん内容自体も本当に素晴らしいのですが、特筆すべきは、日本の大会のことが触れられている点。
彼ら海外のプレイヤーが日本のデッキをいかに参考にし、海外版に作り替えたか。その意味でも、非常に面白い記事だと思います。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更を行った箇所があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
http://limitlesstcg.com/how-zoroark-garbodor-won-naic/
July 12th, 2018
by Stephane Ivanoff
▼経緯について
デッキがどう出来上がったか、経緯について少し。このゾロアーク/ダストダスというデッキが最初に大きな成果を上げたのは、Marc Lutzがオセアニアインターナショナルズでトップ64に入ったときだ。
そこからこのデッキタイプはあちこちの店舗大会で見かけるようになったが、ほとんどみな、炸裂バルーンで一方的なダストオキシンロックを可能にする、というふうにしていた。ダストダスに貼ってダストオキシンを起動させ、相手のエンド時に捨て、自分のターンで再度とりひきを使う。
〔訳注:典型例としては右記 http://limitlesstcg.com/decks/?list=894 〕
これはオシャレなコンボだ。が、自分にはあまり良いとは思えなかった。実際に戦ってみると、この形はそこまで怖くないことがわかる。たとえとりひきを使っても、毎ターン確実にバルーンを見つけてくるのは難しい。そして恒久的なダストオキシンロックに比べれば、1ターン限定のロックはプレッシャーも薄い。加えて、ダストダス以外に使う炸裂バルーンはたいして強くない。
確かに60ダメージは、ライオットビートで相手のゾロアークGXを一撃で倒す上で、理論上は強く見える。が、グズマやフィールドブロアーでかわしたり、単に攻撃しないという選択肢すら取りうる。炸裂バルーンがほかのデッキでは見ない理由だ。その一方でかるいしはあらゆるデッキに入っている。単体で強いからだ。
それが、バルーン型が一風変わったデッキで落ち着いたのに対し、かるいし型のゾロアークダストダスは計3つ入賞できた理由だ。単純に、強いカードを使うべきだ!
このデッキは、私や、同郷人のFabien Pujolが作り上げたわけではない。友人のDidier Nguyenは、私たちに、日本の京都大会で準優勝したデッキリストを見せてくれた。それはダストダスが2-1で(ゴミなだれが2、ダストオキシンが1)入っていて、カミツルギGXとユニットエネルギーが採用されていた。
日本のXY1フォーマットでは、スカイフィールド、シェイミEX、バトルサーチャーといったカードが可能なため、私たちは、例のリストを、より西洋版に調整しなおした。
ゾロアークGXはいつものように4-4、時のパズル、改造ハンマー、そしてパラレルシティを投入した。
調整に数日費やし、このデッキはメタ内のたいていのデッキに有利だと感じることができたが、一方で、プレイ中の選択肢が多く、バルーン型よりもはるかに難しかった。
たとえば、自分の特性を使うため、いつ自分のダストダスのどうぐをブロアーで剥がし、いつ再度起動し、あるいはいつすべきでないのか、熟知するには時間が必要だ。
結果的に私たち3人のうちFabienだけが使いこなす自信を持つことができ、そしてブラジルではトップ8入賞を果たした。
私が北アメリカでこのデッキを使うことにした理由がこれだった。その頃、このデッキはそこそこ使用者が増えてはいたが、ほとんどの人は、このデッキは見込みがあるとは考えていなかった。
カミツルギを抜いてしまう人が多かったし、バルーン型に戻した人もいた。理由は何であれ、このデッキは、もう一度、周囲を驚かせるポテンシャルは持っていた。
▼デッキリスト
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
3 ヤブクロン
2 ダストダス(ゴミなだれ)
1 ダストダス(ダストオキシン)
3 カプ・テテフGX
1 カミツルギGX
1 ラティオス
4 N
3 グズマ
2 アズサ
1 シロナ
1 プラターヌ博士
1 アセロラ
4 ハイパーボール
4 時のパズル
3 フィールドブロアー
1 シンカソーダ
1 ミステリートレジャー
1 レスキュータンカ
1 改造ハンマー
3 かるいし
2 こだわりハチマキ
2 パラレルシティ
4 ダブル無色エネルギー
3 ユニットエネルギー雷超鋼
デッキの大枠は、今期のゾロアークデッキでよく見かけた内容だ。4-4のゾロアーク、テテフ3、時のパズル4などなど。それ以外の特徴について話そう。
個人的に、3-2/1のダストダスラインは理想的な構成だ。たいてい、序盤に両方のダストダスが必要というふうにはならないため、ヤブクロンは3で足りる。
ダストオキシンも1で充分だ。相手は、それ以上に対処しなければならない脅威を目の前に抱えているはずだからだ。
仮にグズマでダストダスが倒されても、レスキュータンカ、時のパズル、そしてゾロアークのドローエンジンがあれば、立て直すのは容易だろう。
ラティオスは基本的に対マッシブーン用のギミックだが、相手のマーイーカを倒したり、相手のカプ・テテフに30ダメージを乗せてライオットビートの射程内にしたりもできる。
何よりこのデッキでは、2つめのワザ、ラグーンフライトを使える。マッシブーンやイワンコを一撃で倒すことができ、ハチマキがあればマッシブーンGXも倒せる。つまりマッシブーンルガルガン側は、ラティオスに対処しなければならず、ほかの自分のポケモンから攻撃を逸らすことができる。
カミツルギGXはハイパーボールで探せる改造ハンマーであり、ライオットビート用にベンチを埋めるのにも役立つ。相手のゾロアークGXからダブル無色を剥がしたり、イワンコからストロングエネルギーを剥がしたりするのにとても便利だ。
また、ほとんどGXワザを使わないこのデッキで、GXワザを使う機会にもなる。このカードこそ、このデッキを一級品にしている要素だと思っている。GXワザは非常に強く、選択肢に入れてないとすればもったいない。
このワザはサイド7枚戦を避けるのに役立つ。残りサイドが奇数で相手の場にGXしかいないとき、相手のGXを倒す代わりにスラッシュGXを使うだけでいい。
フィールドブロアーは3枚必要だ。このデッキではとりひきのために自分のダストダスのかるいしを剥がす必要が出てくることがある。また、対マッシブーンダストダスで、パラレルシティの張り合いでも優位に立てる。
ミステリートレジャーは、禁断の光から入った唯一のカードだ。2枚目のシンカソーダの代わりだった。ゾロアークGXは探せないが、それ以外なら何でもサーチできる。何よりカプ・テテフGXを探せるのが強く、1ターン目アズサの確率を高めてくれている。アズサを2枚に抑えたが、それでも、ほかのゾロアーク/グソクムシャやゾロアーク/ルガルガンと同程度のアズサスタートの確率はあるはずだ。
入れなかったカードは、たとえばミュウツー、2枚目の改造ハンマー、4枚目のユニットエネルギーだった。ミュウツーは対マッシブーンルガルガンで便利だが、どちらもゴミなだれで一撃で倒せる上、このマッチアップで何より怖いのはルガルガンGXだ。
改造ハンマーはゾロアークのミラー戦で役立ち、4枚目のユニットエネルギーはリソース管理を楽にしてくれただろうが、どちらも序盤で必要ないカードであり今のままで充分だ。
4枚目のヤブクロンや、デンジュモクGXも考えた。デンジュモクは、最近のゾロアーク/ルガルガンなど、特殊エネルギーのみのデッキを完封できる。それでも、現状のゲームプランを考慮すれば、それらのカードは受け身すぎてテストはしなかった。
たとえデンジュモクがいても、Tord Reklevが使って準優勝したゾロアークコントロールのようなデッキに対しては、改造ハンマーや妨害カードを使いまわされ、最終的にはこちらが負けになってしまっていただろう。
〔訳注:Tord Reklevのデッキは右記 http://limitlesstcg.com/decks/?list=1188 〕
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
このあと記事は各マッチアップ分析に続くのですが、今回は割愛しています。
この記事を前フリとして、世界大会前のデッキまとめを記事化したいのですが……時間が限られる中、果たしてそこまで行けるのか。こうご期待(?)。
【翻訳】ポケモンクリエイタープロフィール:有田満弘さん
2018年8月11日 ポケモンカードゲーム コメント (2)
今回はUS公式から。
使い勝手が悪くて見づらいと評判(?)のUS公式ですが、その中にひっそりと、有田さんのインタビューがアップされていました。
先日のGamespotのインタビュー(http://ukinins.diarynote.jp/201806091300351790/)と同じタイミングで実施されたものだと思いますが、
こちらは有田さんにフィーチャーし、話の内容も非常に多岐にわたります。
前回のインタビュー同様、始めたばかりのかたからポケカ歴の長いかたまで、多くのかたに読んでいただきたい内容です。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更を行った箇所があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
https://www.pokemon.com/us/pokemon-news/pokemon-creator-profile-mitsuhiro-arita/
July 6th, 2018
たとえ有田満弘という名前を知らなくても、その作品を見たことはきっとあるはずです。
1996年に最初のカードが日本で登場して以来、20年以上にわたって、有田さんはポケモンカードのイラストを手掛けてきました。その数は500枚以上に及びますが、その中には、ポケモンカードの歴史に残るカードも多く含まれています。
ポケモンカードにとって、むしろポケモンの世界全体にとって、有田さんが創り上げてきたものの影響は計り知れません。
つい先日、私たちは、有田さんとテーブルを囲んでお話をする機会に恵まれました。普段は自宅のスタジオで仕事をする有田さんですが、今回は有田さんのご好意で、ポケモンカードの開発を担当しているクリーチャーズ社のオフィスでお会いできました。
有田さんは、カードイラストを担当する他のアーティストたちと同様、クリーチャーズ社の社員というわけではありません。クリーチャーズ社は、有田さんが他の仕事やプロジェクトに関わることを許容しています。
アーティストとしての有田さんのキャリアの中で、ポケモンは主要な位置を占めています。しかしながら有田さんは、この仕事を始めたころは、まさかこうなるとは思ってもみなかった、と言います。
ポケモンは、最初に発売されてから世間にしっかりと認知されるまで、およそ1年の期間が必要でした。そのため有田さんにとっては、ポケモンが今のような世界的な現象になるなどとは、考えもつかなかったのです。
「一番最初にポケモンカードに携わった頃は、まさか自分が20年後もポケモンカードの仕事をしているとは予想もしていませんでしたね」と有田さん。
もしそうなると知っていたら、作業費用をもう少し高く請求していた?という質問には、「もちろん」と冗談まじりに答えてくれました。
このインタビューに際し、有田さんは、ポケモンに携わってきた歴史の素敵な証明書を持参してきてくれました。それは、有田さんが手掛けてきたカードすべてを収めた、分厚いカードバインダーです。
有田さんは言います。「こうやってめくっていくと、本当に色々な思い出が蘇ってきます。全部が全部、本当に大好きなカードなんですよ」
バインダーには、537枚のカードが、リリース順に並べられていました。このバインダーを見ることは、ポケモンカードの歴史を見ることと同義なのです。
有田さんの影響力が最も垣間見えるのは、バインダーの一番最初のページ、第一弾のリザードンとピカチュウでしょう。
「自分には、この2枚ほどに愛されるカードはもう描けないのではないか、と思うことがよくあります」と有田さん。「それでも、最近のミュウツーのカードには、好意的な反響をたくさんいただきました。もしかすると、あの2枚を超えるカードを、いつの日か描けるかもしれませんね」
また、有田さんは、たとえ知名度の高いポケモンを描く依頼を受けても、特段プレッシャーを感じたりはしないそうです。
有田さんがポケモンカードの仕事を始めてから20年。その間に、多くの変化がありました。昔はどうだったのか、ポケモンカードが世に出る前も含めて、有田さんは語ってくれました。
「ご存じの通り、初代ポケモンはゲームボーイのソフトとして世に出ました。色はモノクロで、すごく原始的なドット絵だったんです。ポケモン仕事を始めたころ、せいぜい参考にできそうなものといったら、このドット絵の、小さなポケモンたちぐらいだったんですよ」
それら素朴なグラフィックから、有田さんは、独自のスタイルでイラストを産み出していきました。それらの中には、後年、ポケモンが絵として表現されるときの姿に影響を与えたカードイラストが複数存在しているのです。
有田さんは、イラストがポケモンファンにちゃんと受け入れてもらえるようにと、きちんと時間を取ってゲームやアニメに触れるようにしています。
とはいえ、スケジュールが多忙なために、ゲームをすべてクリアできるわけではない、とも言います。そして皮肉なことに、ポケモンカードは、思うように遊べていないとのことです。
「いま住んでいるところのまわりには友達がぜんぜんいないので、遊ぶ機会がそんなにないんですよ」と有田さん。
「昔、クリーチャーズがまだ小さな会社で、ポケモンカードをただ作っていただけだったころは、打合せのあとピザの出前を頼んでよくカードをやっていたものでした」
ポケモンカードの見た目や雰囲気をつねに新鮮に保つため、有田さんは、ポケモンのイラストを常に研究し、練習するようにしています。
自身の強みは、他のアーティストの仕事を必要以上に見たりせず、自分のスタイルに集中することだ、ということを、有田さんは重々認識しています。
「ポケモンカードが一貫してこれほどの数のアーティストを抱えている理由は、絵のスタイルのバリエーションを多く持つため、そして、アーティストそれぞれの個性を活用するためです」と有田さんは言います。
有田さんがポケモンカードイラストを制作する過程もまた、何年にもわたって一貫しています。
まずは絵の場面設定のため、手描きのラフスケッチを何枚か描き、クリーチャーズ社側に選ばせます。おおよその方向性が決まれば、白と黒の線画を描き、それから、最終形に近い色つきのバージョンを描いていくのです。
「これら3つのステップそれぞれに、チェックと承認が必要で、それなりの時間がかかります」
合計すると、プランニング、イラスト制作、そして承認とで、絵が1枚できるまでに7週間ほどもかかるそうです。
ポケモンブランドを深く理解している有田さんには、自身にとってしっくりくるようにポケモンを描けるよう、かなりの裁量が与えられています。それでも最初の段階では、絵の設定やトーン決定にはクリーチャーズ社が関わります。
イラストの仕事は、特定のカードへのイラスト依頼という形でスタートしますが、同時に、場所やシーン等、クリーチャーズ社がどんなイラストを期待しているかに関する情報も与えられます。
「たとえばクリーチャーズがアローラ地方にスポットを当てたいとしたら、アローラ地方についての情報が与えられます。また、描いてほしい特定のポーズや攻撃姿勢などがあったりもします」と有田さんは説明してくれました。
有田さんは、イラストそれぞれが個性を持てるように気を配っています。
「イラストを描く上でいつも心がけているのは、いったいそのポケモンが何ポケモンかを考えること。そして、自分がこれまで他のポケモンの絵をどう描いてきたかを考えないようにすることです」
しかしこれは、一部のポケモンにとっては非常に難題になりえます。分厚いバインダーからタマゲタケのカードを取り出しながら、有田さんは、時にはけっこう大変なときもあります、と語ってくれました。
「このたぐいのポケモンは、ポーズを取らせづらいんです。ここでは、自分の想像で、木にもたれさせることにしました。そうすることで、本来のタマゲタケの柔らかさが伝わると思ったんです」
ポケモンカードの仕事で有田さんが強く望むのは、ポケモンの、リアルな見た目を描くことです。
「私はいつも、現実世界と自然を観察するようにしています。ポケモンを描くときには、それを反映させて、あたかも実在の生物であるかのように描こうとしています」
この点において重要な要素として、背景もまた、できる限り現実世界を反映させているそうです。
しかしまた、有田さんは、年月を経るにつれてポケモンがどのように変化してきたのかも認識しています。有田さんが描いた第一弾のピカチュウのイラストを見ると、この有名なポケモンは、昔は少しぽってりしていたのか、と思わず言ってしまうかもしれません。
「ピカチュウの体のプロポーションは、おそらくはアニメの影響で、少し変化してきました。もともとのプロポーションでは、動き回ったりしている姿を見せるのはちょっと難しいでしょう」と有田さん。
「それでも、もしも私がいまピカチュウを描くとしたら、そして、もしもそれが動きのある場面でなかったとしたら、私は昔のデザインにこだわるでしょうね。この、首の部分のあまり見えないスタイルに。でも動きを前提とした場面では、もっと現代風の姿で描くと思いますよ」
トレーディングカードは視覚メディアの一種でもある、そのように理解を深めるにつれ、有田さんのスタイルも変わっていきました。
ポケモンカードだけでなく、昔のトレーディングカードでは、イラストは、あまり細かく描き込まれてはいなかった。そう有田さんは言います。
「これは他のカードゲームにも言えることです。昔のマジック・ザ・ギャザリングのカードでもそうですね。確かに昔のイラストだって決してシンプルではありません。けれど、絵の中でそんなに多くのことが起きているわけではないですよね」と有田さん。
「現代のイラストは、実際、とてもきれいです。ただそれは、単に細かく描き込まれているだけ、とも言えます。昔のスタイルが好きなファンのかたはいまだ多くいると思いますよ」
こういった変化は、技術の進歩のおかげでもあります。最近のパソコンでは、以前よりもさらに細密な描写が可能になりました。それでも、イラストがカードの大きさに合わせて縮小されてしまうと、もともと持っていたインパクトもいくぶんか失われてしまいます。
「ときには昔のシンプルなデザインに立ち返って、インパクトの重要性を認識するようにしています」そう有田さんは言います。
その一方で、フルアート版カードでは、有田さんをはじめとしたイラストレーターたちは、以前よりも細部を描けるようになりました。最近手掛けたウルトラレアのカードを広げながら、有田さんは、そういったフルアート版は特別な見方をしているんです、と説明してくれました。
「イラストレーターとして、私たちは皆、フルアート版のイラストが、実際のサイズよりも大きく感じられるように描こうとしているんです。何がイラストの枠の外に出ることになるのか、時間をかけて考えます。そしてレアのカードなら、どの部分が光るのかも考えます」
有田さんはこう付け加えました。こういった説明は、シンプルなカードのほうがインパクトがあると言ったさっきの話と食い違って聞こえるかもしれない、でも、大きくて複雑なイラストのほうが、新しいことにチャレンジできる余地が多くあるんです、と。
ポケモンの側が変化するにつれ、有田さんの手法も変化していきました。パソコンの進歩のおかげで、作業のプロセスは迅速化し、大きなプロジェクトにも関われるようになりました。
有田さんはイラストに彩色するためにパソコンを使ってきましたが、カードよりも大きなサイズのイラストでは、それもかつては難しかったと言います。
「昔はパソコンの能力も貧弱でしたから、大きなポスターサイズの仕事のときは、絵をいくつかに分割して、他の部分のことを考慮に入れながら部分部分をパソコンで彩色していく、ということをやっていました。当時はパソコンを使うのもずいぶん面倒だったんです。それが今では、技術も進歩して、作業もずっと楽になりました」
アニメや漫画のおかげで、ポケモンの見た目、ビジュアル面は非常に扱いやすくなりました。有田さんによれば、立体イメージよりも、平面イメージを手掛けるときのほうが、仕事は遥かにやりやすいそうです。
「立体になった途端に、プロポーションやら何やら、全部気にしないといけなくなって、色々と難しいところが出てきます。たとえば平面なら、毛が逆立っているのを描くのは簡単ですが、それが立体だと、相当に難しいんですよ」
ご自身の仕事について、有田さんはこう述べてくれました。
「仕事は常にベストを尽くす。その上で、絵の良しあしの評価は、未来に委ねようと思っています」
500枚と20年を越すクリエイティブな仕事を経て、有田さんは、自身がポケモンの世界に果たしてきたことに非常に満足できていると言います。これからもきっと、ポケモンカードの中で、有田さんの創造的なアートにたくさん出会えることでしょう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
個人的には、昔はピザの出前を頼んで~のくだりが非常に好きなのですがwタマゲタケの話などは、イラストを見ながら、なるほど、と思いました。
MtG公式では、よく開発側の裏話も記事になっていますし、こういった、ポケカのサイドストーリー的な内容を扱った記事も、もっともっと増えてくれたらいいな、と思います。
使い勝手が悪くて見づらいと評判(?)のUS公式ですが、その中にひっそりと、有田さんのインタビューがアップされていました。
先日のGamespotのインタビュー(http://ukinins.diarynote.jp/201806091300351790/)と同じタイミングで実施されたものだと思いますが、
こちらは有田さんにフィーチャーし、話の内容も非常に多岐にわたります。
前回のインタビュー同様、始めたばかりのかたからポケカ歴の長いかたまで、多くのかたに読んでいただきたい内容です。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更を行った箇所があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
https://www.pokemon.com/us/pokemon-news/pokemon-creator-profile-mitsuhiro-arita/
July 6th, 2018
たとえ有田満弘という名前を知らなくても、その作品を見たことはきっとあるはずです。
1996年に最初のカードが日本で登場して以来、20年以上にわたって、有田さんはポケモンカードのイラストを手掛けてきました。その数は500枚以上に及びますが、その中には、ポケモンカードの歴史に残るカードも多く含まれています。
ポケモンカードにとって、むしろポケモンの世界全体にとって、有田さんが創り上げてきたものの影響は計り知れません。
つい先日、私たちは、有田さんとテーブルを囲んでお話をする機会に恵まれました。普段は自宅のスタジオで仕事をする有田さんですが、今回は有田さんのご好意で、ポケモンカードの開発を担当しているクリーチャーズ社のオフィスでお会いできました。
有田さんは、カードイラストを担当する他のアーティストたちと同様、クリーチャーズ社の社員というわけではありません。クリーチャーズ社は、有田さんが他の仕事やプロジェクトに関わることを許容しています。
アーティストとしての有田さんのキャリアの中で、ポケモンは主要な位置を占めています。しかしながら有田さんは、この仕事を始めたころは、まさかこうなるとは思ってもみなかった、と言います。
ポケモンは、最初に発売されてから世間にしっかりと認知されるまで、およそ1年の期間が必要でした。そのため有田さんにとっては、ポケモンが今のような世界的な現象になるなどとは、考えもつかなかったのです。
「一番最初にポケモンカードに携わった頃は、まさか自分が20年後もポケモンカードの仕事をしているとは予想もしていませんでしたね」と有田さん。
もしそうなると知っていたら、作業費用をもう少し高く請求していた?という質問には、「もちろん」と冗談まじりに答えてくれました。
このインタビューに際し、有田さんは、ポケモンに携わってきた歴史の素敵な証明書を持参してきてくれました。それは、有田さんが手掛けてきたカードすべてを収めた、分厚いカードバインダーです。
有田さんは言います。「こうやってめくっていくと、本当に色々な思い出が蘇ってきます。全部が全部、本当に大好きなカードなんですよ」
バインダーには、537枚のカードが、リリース順に並べられていました。このバインダーを見ることは、ポケモンカードの歴史を見ることと同義なのです。
有田さんの影響力が最も垣間見えるのは、バインダーの一番最初のページ、第一弾のリザードンとピカチュウでしょう。
「自分には、この2枚ほどに愛されるカードはもう描けないのではないか、と思うことがよくあります」と有田さん。「それでも、最近のミュウツーのカードには、好意的な反響をたくさんいただきました。もしかすると、あの2枚を超えるカードを、いつの日か描けるかもしれませんね」
また、有田さんは、たとえ知名度の高いポケモンを描く依頼を受けても、特段プレッシャーを感じたりはしないそうです。
有田さんがポケモンカードの仕事を始めてから20年。その間に、多くの変化がありました。昔はどうだったのか、ポケモンカードが世に出る前も含めて、有田さんは語ってくれました。
「ご存じの通り、初代ポケモンはゲームボーイのソフトとして世に出ました。色はモノクロで、すごく原始的なドット絵だったんです。ポケモン仕事を始めたころ、せいぜい参考にできそうなものといったら、このドット絵の、小さなポケモンたちぐらいだったんですよ」
それら素朴なグラフィックから、有田さんは、独自のスタイルでイラストを産み出していきました。それらの中には、後年、ポケモンが絵として表現されるときの姿に影響を与えたカードイラストが複数存在しているのです。
有田さんは、イラストがポケモンファンにちゃんと受け入れてもらえるようにと、きちんと時間を取ってゲームやアニメに触れるようにしています。
とはいえ、スケジュールが多忙なために、ゲームをすべてクリアできるわけではない、とも言います。そして皮肉なことに、ポケモンカードは、思うように遊べていないとのことです。
「いま住んでいるところのまわりには友達がぜんぜんいないので、遊ぶ機会がそんなにないんですよ」と有田さん。
「昔、クリーチャーズがまだ小さな会社で、ポケモンカードをただ作っていただけだったころは、打合せのあとピザの出前を頼んでよくカードをやっていたものでした」
ポケモンカードの見た目や雰囲気をつねに新鮮に保つため、有田さんは、ポケモンのイラストを常に研究し、練習するようにしています。
自身の強みは、他のアーティストの仕事を必要以上に見たりせず、自分のスタイルに集中することだ、ということを、有田さんは重々認識しています。
「ポケモンカードが一貫してこれほどの数のアーティストを抱えている理由は、絵のスタイルのバリエーションを多く持つため、そして、アーティストそれぞれの個性を活用するためです」と有田さんは言います。
有田さんがポケモンカードイラストを制作する過程もまた、何年にもわたって一貫しています。
まずは絵の場面設定のため、手描きのラフスケッチを何枚か描き、クリーチャーズ社側に選ばせます。おおよその方向性が決まれば、白と黒の線画を描き、それから、最終形に近い色つきのバージョンを描いていくのです。
「これら3つのステップそれぞれに、チェックと承認が必要で、それなりの時間がかかります」
合計すると、プランニング、イラスト制作、そして承認とで、絵が1枚できるまでに7週間ほどもかかるそうです。
ポケモンブランドを深く理解している有田さんには、自身にとってしっくりくるようにポケモンを描けるよう、かなりの裁量が与えられています。それでも最初の段階では、絵の設定やトーン決定にはクリーチャーズ社が関わります。
イラストの仕事は、特定のカードへのイラスト依頼という形でスタートしますが、同時に、場所やシーン等、クリーチャーズ社がどんなイラストを期待しているかに関する情報も与えられます。
「たとえばクリーチャーズがアローラ地方にスポットを当てたいとしたら、アローラ地方についての情報が与えられます。また、描いてほしい特定のポーズや攻撃姿勢などがあったりもします」と有田さんは説明してくれました。
有田さんは、イラストそれぞれが個性を持てるように気を配っています。
「イラストを描く上でいつも心がけているのは、いったいそのポケモンが何ポケモンかを考えること。そして、自分がこれまで他のポケモンの絵をどう描いてきたかを考えないようにすることです」
しかしこれは、一部のポケモンにとっては非常に難題になりえます。分厚いバインダーからタマゲタケのカードを取り出しながら、有田さんは、時にはけっこう大変なときもあります、と語ってくれました。
「このたぐいのポケモンは、ポーズを取らせづらいんです。ここでは、自分の想像で、木にもたれさせることにしました。そうすることで、本来のタマゲタケの柔らかさが伝わると思ったんです」
ポケモンカードの仕事で有田さんが強く望むのは、ポケモンの、リアルな見た目を描くことです。
「私はいつも、現実世界と自然を観察するようにしています。ポケモンを描くときには、それを反映させて、あたかも実在の生物であるかのように描こうとしています」
この点において重要な要素として、背景もまた、できる限り現実世界を反映させているそうです。
しかしまた、有田さんは、年月を経るにつれてポケモンがどのように変化してきたのかも認識しています。有田さんが描いた第一弾のピカチュウのイラストを見ると、この有名なポケモンは、昔は少しぽってりしていたのか、と思わず言ってしまうかもしれません。
「ピカチュウの体のプロポーションは、おそらくはアニメの影響で、少し変化してきました。もともとのプロポーションでは、動き回ったりしている姿を見せるのはちょっと難しいでしょう」と有田さん。
「それでも、もしも私がいまピカチュウを描くとしたら、そして、もしもそれが動きのある場面でなかったとしたら、私は昔のデザインにこだわるでしょうね。この、首の部分のあまり見えないスタイルに。でも動きを前提とした場面では、もっと現代風の姿で描くと思いますよ」
トレーディングカードは視覚メディアの一種でもある、そのように理解を深めるにつれ、有田さんのスタイルも変わっていきました。
ポケモンカードだけでなく、昔のトレーディングカードでは、イラストは、あまり細かく描き込まれてはいなかった。そう有田さんは言います。
「これは他のカードゲームにも言えることです。昔のマジック・ザ・ギャザリングのカードでもそうですね。確かに昔のイラストだって決してシンプルではありません。けれど、絵の中でそんなに多くのことが起きているわけではないですよね」と有田さん。
「現代のイラストは、実際、とてもきれいです。ただそれは、単に細かく描き込まれているだけ、とも言えます。昔のスタイルが好きなファンのかたはいまだ多くいると思いますよ」
こういった変化は、技術の進歩のおかげでもあります。最近のパソコンでは、以前よりもさらに細密な描写が可能になりました。それでも、イラストがカードの大きさに合わせて縮小されてしまうと、もともと持っていたインパクトもいくぶんか失われてしまいます。
「ときには昔のシンプルなデザインに立ち返って、インパクトの重要性を認識するようにしています」そう有田さんは言います。
その一方で、フルアート版カードでは、有田さんをはじめとしたイラストレーターたちは、以前よりも細部を描けるようになりました。最近手掛けたウルトラレアのカードを広げながら、有田さんは、そういったフルアート版は特別な見方をしているんです、と説明してくれました。
「イラストレーターとして、私たちは皆、フルアート版のイラストが、実際のサイズよりも大きく感じられるように描こうとしているんです。何がイラストの枠の外に出ることになるのか、時間をかけて考えます。そしてレアのカードなら、どの部分が光るのかも考えます」
有田さんはこう付け加えました。こういった説明は、シンプルなカードのほうがインパクトがあると言ったさっきの話と食い違って聞こえるかもしれない、でも、大きくて複雑なイラストのほうが、新しいことにチャレンジできる余地が多くあるんです、と。
ポケモンの側が変化するにつれ、有田さんの手法も変化していきました。パソコンの進歩のおかげで、作業のプロセスは迅速化し、大きなプロジェクトにも関われるようになりました。
有田さんはイラストに彩色するためにパソコンを使ってきましたが、カードよりも大きなサイズのイラストでは、それもかつては難しかったと言います。
「昔はパソコンの能力も貧弱でしたから、大きなポスターサイズの仕事のときは、絵をいくつかに分割して、他の部分のことを考慮に入れながら部分部分をパソコンで彩色していく、ということをやっていました。当時はパソコンを使うのもずいぶん面倒だったんです。それが今では、技術も進歩して、作業もずっと楽になりました」
アニメや漫画のおかげで、ポケモンの見た目、ビジュアル面は非常に扱いやすくなりました。有田さんによれば、立体イメージよりも、平面イメージを手掛けるときのほうが、仕事は遥かにやりやすいそうです。
「立体になった途端に、プロポーションやら何やら、全部気にしないといけなくなって、色々と難しいところが出てきます。たとえば平面なら、毛が逆立っているのを描くのは簡単ですが、それが立体だと、相当に難しいんですよ」
ご自身の仕事について、有田さんはこう述べてくれました。
「仕事は常にベストを尽くす。その上で、絵の良しあしの評価は、未来に委ねようと思っています」
500枚と20年を越すクリエイティブな仕事を経て、有田さんは、自身がポケモンの世界に果たしてきたことに非常に満足できていると言います。これからもきっと、ポケモンカードの中で、有田さんの創造的なアートにたくさん出会えることでしょう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
個人的には、昔はピザの出前を頼んで~のくだりが非常に好きなのですがwタマゲタケの話などは、イラストを見ながら、なるほど、と思いました。
MtG公式では、よく開発側の裏話も記事になっていますし、こういった、ポケカのサイドストーリー的な内容を扱った記事も、もっともっと増えてくれたらいいな、と思います。
【翻訳】Expanded新規禁止カード理由
2018年7月21日 ポケモンカードゲーム コメント (1)7月19日付で、海外Expandedフォーマット(BW1-)から、新たに4枚のカードが禁止カードとして指定されました。
(アーケオス、巨大植物の森、フラダリの奥の手は禁止のまま)
国内エクストラとはほぼ同一のレギュレーションだったのですが、この禁止により、使用可能カードに差が生まれています。
禁止理由について、公式アナウンスの該当箇所だけ和訳したので、そう長くないのですが、ひとまずここに置いておきます。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
https://www.pokemon.com/us/sun-moon-celestial-storm-banned-list-and-rule-changes-quarterly-announcement/
スタンダードフォーマットでの禁止はありません。スタンダードフォーマットから禁止カードが出るのは非常にまれなことです。
Expandendから4枚のカードが禁止されました。
この変更の理由は下記の通りです。
Expandedフォーマットの全体目標は、プレイヤーが多様な戦略を用いて遊ぶことのできる、楽しい環境を保つことです。
【ゲーチス】と【オカルトマニア】は、創造性を奪い、複数の戦略を実現不可能にしていると特定されたカードです。
また、これらのカードは対戦相手に、不利な状況をもたらす重大な影響を、相手が第1ターンを迎える前に与えてしまいます。これは対戦相手にとって不快な経験となりえます。
【ミツル】は【オーロット(XY1)】とコンボを形成することで、類似の問題を引き起こします。よって、このカードを上記同様のカテゴリに分類します。
これらのカードがなくなることで、対戦環境は、より楽しいものになるはずです。
【時のパズル】は非常に多くの戦略で活用可能な、フレキシブルなカードです。
流行のデッキでの使用率は非常に高く、強力なコンボを数多く可能にしています。
このカードを環境から取り除くことで、多くのデッキの構築方法に影響が出てきます。
これにより、Expandendフォーマットが、より新鮮で、変化のある環境だと感じられるようになるはずです。
健全な対戦環境を保つため、引き続き、大会結果の分析を行っています。
とりわけExpandedフォーマットは、カードの種類や、潜在的に可能なコンボ数が多いため、重点的に監視が行われる予定です。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
(アーケオス、巨大植物の森、フラダリの奥の手は禁止のまま)
国内エクストラとはほぼ同一のレギュレーションだったのですが、この禁止により、使用可能カードに差が生まれています。
禁止理由について、公式アナウンスの該当箇所だけ和訳したので、そう長くないのですが、ひとまずここに置いておきます。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
https://www.pokemon.com/us/sun-moon-celestial-storm-banned-list-and-rule-changes-quarterly-announcement/
スタンダードフォーマットでの禁止はありません。スタンダードフォーマットから禁止カードが出るのは非常にまれなことです。
Expandendから4枚のカードが禁止されました。
この変更の理由は下記の通りです。
Expandedフォーマットの全体目標は、プレイヤーが多様な戦略を用いて遊ぶことのできる、楽しい環境を保つことです。
【ゲーチス】と【オカルトマニア】は、創造性を奪い、複数の戦略を実現不可能にしていると特定されたカードです。
また、これらのカードは対戦相手に、不利な状況をもたらす重大な影響を、相手が第1ターンを迎える前に与えてしまいます。これは対戦相手にとって不快な経験となりえます。
【ミツル】は【オーロット(XY1)】とコンボを形成することで、類似の問題を引き起こします。よって、このカードを上記同様のカテゴリに分類します。
これらのカードがなくなることで、対戦環境は、より楽しいものになるはずです。
【時のパズル】は非常に多くの戦略で活用可能な、フレキシブルなカードです。
流行のデッキでの使用率は非常に高く、強力なコンボを数多く可能にしています。
このカードを環境から取り除くことで、多くのデッキの構築方法に影響が出てきます。
これにより、Expandendフォーマットが、より新鮮で、変化のある環境だと感じられるようになるはずです。
健全な対戦環境を保つため、引き続き、大会結果の分析を行っています。
とりわけExpandedフォーマットは、カードの種類や、潜在的に可能なコンボ数が多いため、重点的に監視が行われる予定です。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
久しぶりの更新は翻訳です。
今回はGamespotというゲーム情報サイトからなのですが、そこに、クリーチャーズのポケカ部門を取材した記事が掲載されました。
(僕もクリーチャーズのツイッターアカウントで知りました)
初めて知った情報も多く、本当に面白い記事です。
ポケカ始めたばかりの人でも、長くプレイしている人でも、間違いなく楽しめる内容だと思います。
また、記事原文には、ここで載せきれなかった写真も多く掲載されています。そちらもぜひご覧ください。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更を行った箇所があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
-------------------------------------------------
Playtesting is a full-time job.
by Kallie Plagge
https://www.gamespot.com/articles/how-pokemon-cards-are-made/1100-6459450/
ポケモンというコンテンツを巨大なロボットに例えるなら、株式会社クリーチャーズは、いわば、過小評価されがちな片腕部分だ。1998年の「ポケモンスタジアム」から始まり、直近の「名探偵ピカチュウ」まで、クリーチャーズ社は長年にわたって、ポケモンのスピンオフゲームに携わってきた。それだけでなく、「大乱闘スマッシュブラザーズ」など、複数のゲームで、ポケモンの3Dモデル作成も行ってきた。
だが、その一方でクリーチャーズ社は、ポケモンカードゲームの極めて多くの部分で重要な役割を担ってきたのだ。ポケモンカードゲームは、20年以上ものあいだ、コンスタントに新しいシリーズとエキスパンションを送り出し続けている。
先日わたしたちは、東京のクリーチャーズ社のオフィスを訪れ、ポケモンカードの制作過程について学ぶ機会を得た。その会社訪問の中、ポケカのディレクターを務める長島敦氏と、そして、かの有名なレアのリザードンを含む500枚以上のカードイラストを手掛けてきた、フリーイラストレーターの有田満弘氏に話を聞くことができた。お二方には、カードがいかに構想され、そしてイラスト化されるのかについて伺った。
また、クリーチャーズ社の品質管理室リーダーを務める井上学氏には、テストチームがどのようにカードをテストしているのか、また、強さのバランス問題や、いわゆる壊れカードをどのように対処しているのか、話を聞くことができた。
新しいカードを作る上では、大きく3つのパートがある。カードの発案、イラストの依頼、そして現行ルール下でのテスト。新しいカードシリーズとエキスパンションを創り上げて世に送り出すまでには、ゲームデザイナーチームと、70名を越えるイラストレーターと、そしてフルタイムで働く19名のテスターが携わっている。
ステップ1:ポケモンをえらぶ
長島氏によれば、新セットを構想する上で最も大切な要素は、多様性だという。さまざまなスタイルの絵と、さまざまな特徴を持ったカード。プレイ面で強力なカードもあり、またコレクターへ訴えかけるカードも必要だ。とはいえ、新セットを作る上での最初のステップは、どのポケモンを用いるかを決めることだ。
「ビデオゲームの最新版をベースにした、カードの新シリーズのスタート間近になると、私たちは、ベースにしようとしているゲームに忠実であろうと細心の注意を払います。例えば、ゲームで重点的に扱われていたり、ストーリー上で重要な役割を担っていたりするポケモンは、制作中のカードセットでも中心的な立ち位置にします」と長島氏。「とはいえ、そのシリーズも中ごろになると、結果的には、プレイ環境に重きを置くようになるのですが……どのポケモンを用いるかも、そのあたりを基準に決めるようになるのです」
それらの選択は結果的に、ポケカのゲームバランスが丁度よく感じられるには何が必要なのか、そして、それらの要求にはどんなポケモンがふさわしいのか、そういったところに行きつくのだと、そう長島氏は語る。その一方でまた、制作チームは、ゲームやアニメであまり出番をもらえていないポケモンや、子供たちがカッコいいだろうと感じるポケモンや、果ては彼らチーム自身が好きなポケモンのことも考慮に入れる。
「僕の好きなポケモンはダークライなんです。もしかしたら、ダークライ強いカード多いんじゃない?と気づくかもしれませんね」長島氏は笑う。
各カードエキスパンションにも、背景になる物語とテーマがある。が、それらはプレイヤーにはほとんど語られることがない。
「XY8(青い衝撃・赤い閃光)では、2つのパラレルワールドがテーマでした。この2つの世界にはそれぞれミュウツーが存在しています。片方は発展した新しい世界。そしてもう片方は、もっと古い世界」と長島氏が解説してくれた。「そしてこの2つの世界が衝突したことで、世界は混沌に飲み込まれ、その結果として破壊されてしまいます」
長島氏によれば、制作チームにとっての最大の困難は、キャラクターやポケモンの持つ「心」や「魂」のようなものを大事にしつつ、かつ、そこに彼ら独自の工夫を加えることだ。カードゲームはビデオゲームと強く結びついているものの、ゲーム特有のメカニズムをカード側で機能するように置き換えるのは、そう単純なことではない。メガ進化などがその一例だろう。
長島氏は言う。「ポケカにはたねポケモンというものがあって、それを1進化、そして2進化へと進化させます。なのでほとんどの場合、最終進化系になるまでに2つの段階を踏みます。しかし、例えばもしも私たち制作チームが、そこにもう1段階加えてしまったとしたら、うまくデッキを機能させるのに、とても60枚では足りないでしょう。
そこで私たちは、すでに充分に強いカードにだけメガ進化を設ける、というアプローチを取りました。なので、もともと強いEXカードがあり、それがメガ進化する。私たち制作チームは、必要なステップを削ってみたのです」
究極的には、と長島氏は語る。TCG制作チームは、つねに新しさとバラエティの豊かさを保ちつつも、競技的なメタゲームにも注意を払っている。そしてこれは、シリーズの最初の段階からでさえ、極めて複雑な綱渡りのようなものなのだ、と。
ステップ2:イラストレーション
制作チームがカードの種類とそこにいるべき人物やポケモン(もしくは物)を決めたなら、そこからアートの出番が始まる。カードセットのバラエティの豊富さを維持するため、クリーチャーズ社は現状で、73名のイラストレーターおよびアーティストと仕事をしている。
その中でも、生み出した作品数の最も多いうちの一人は、有田満弘氏だろう。有田氏は最初期からポケカに携わり、これまで537枚のカードイラストを手掛けている。
有田氏は、クリーチャーズ社にある作業スペースを案内してくれた。そこには机が並べられ、フリーランスのアーティストが社外秘の仕事を行えるようになっている。それぞれの机はアーティストの自宅作業場のような雰囲気に作られ、デジタルデザインと彩色のため、その多くにタブレット機器が備え付けられている。
有田氏は、つい直近のラランテスのカードのイラスト制作過程を紹介してくれた。ラランテスの本来持っている「心」を捉えるべく、大胆な陰影と、明るい背景色に、かなりの神経を使ったという。
クリーチャーズ社はまず、担当のアーティストにカードの詳細情報を渡す。どのポケモンのカードなのか、どのような動きをしているのか、バックグラウンドとなる重要な設定は何か。とりわけ、俎上に上がっているポケモンが、まだリリースされていないゲームの登場ポケモンであるときがそうだ。これはトレーナーズのカードにも言え、さらには、非常に漠然とした指示がカードイラストに影響を及ぼすこともある。
例えば、「サカキの計画」のカードのときに有田氏が受けた依頼は、「堂々たる雰囲気」というものだった。そこで有田氏はそのカードを手掛けるとき、イラスト調というよりは、古典的な絵画のようなスタイルを用いた。レアカードを扱うときには、有田氏は、イラストのどの部分が光ったほうが良いかまで決めるようにしている。が、最終的なレア加工デザイン決定は、クリーチャーズ社スタッフとの共同作業となる。
「ポケモン赤・緑」の頃、有田氏や他のアーティストたちが参考にできるのは、ゲーム内画像と、一部の限られた公式イラストしかなかった。それでも有田氏は、初期シリーズを象徴するカードを何枚も手掛けている。例えばレアのリザードンや、少しふっくらとしたピカチュウのイラストがそうだ。
氏が現在までに手掛けた全てのカードを収めたバインダーの、最初の数ページは恐らく、90年代後半にポケモンに夢中だったすべての子供たちもまた持っていたものだろう。
有田氏は言う。「特に、このリザードンとピカチュウは、当時ポケカで遊んでいた多くの人にとって、思い出深いカードだろうと思います。もしかしたら、この2枚を超えるカードはもう描けないのではないかと思うこともあります」。それでも、最近イラストを描いた「ミュウツーGX」は、氏のお気に入りの1枚だ。イラストの評判も上々だという。
意外なことに、ひとつの進化ラインを同一のアーティストが手掛けるというのはあまりない。第一弾セットにおいて有田氏はフシギダネとフシギバナのイラストを担当したが、フシギソウは扱っていない(フシギソウは、ポケモン公式イラストを手掛ける杉森健氏によるものだ)。
とはいえ、進化ラインを通じて一貫したスタイルが求められることもある。例えば、愛らしいポカブと家族のイラスト。しかしそれでも大抵は、カードは複数のアーティストに担当分けされる。恐らくはイラストの多様性の確保と、そして時間の効率化のためだろう。
特に効率化は重要な要素だ。多くのカードは、イラストが出来上がる前からプレイテストにかけられるのだから。
ステップ3:フルタイム・プレイテスト
クリーチャーズ社には、プレイテスト専用に作られた特別な部屋がある。決して広くないオフィスの奥側にあるその部屋は、椅子とテーブルだけが並べられ、そして棚という棚には何年分ものポケモンカードが詰まっている。
1日7時間、週5日、19名のテストプレイヤーは、新カードがどのように機能するかを見極めるためポケカをひたすらプレイする(人数が奇数でも問題は起きていないようだ)。
テスターたちはほとんどの場合、リリース前のカードを扱うため、手元にあるもので何とかしなければならない。テスト中の新カードは、実際は、既存のカードにシールとして張ったものだ。それを通常のデッキに入れてプレイする。イラストが出来上がっていなければ、シールにはそのポケモンの(もしくはその対象物の)既存のイラストが描かれ、カード名、ワザ、効果、HP、そしてダメージなどが全て記載されている。
品質管理室リーダーの井上学氏によると、小さな修正が加わるのは「日常茶飯事」で、カードが最終形に至るまでに最大で2度や3度の大幅な改定が入ることも少なくない。
また、長島氏が以下のことを付け足してくれた。カードがリリースされると、競技プレイヤーたちは、こちらの全く思いもよらない使い方をすることがある。そのようなときはカードの禁止を行わざるを得ない。氏が特に名前を挙げたのは「フラダリの奥の手」だった。2015年、ゲームバランスを著しく損なっているという理由で、禁止カードに指定されたものだ。
どれだけプレイテストを行っても、競技プレイヤーたちはいつもテストチームを驚かせる。長島氏は最近の例として、イトウシンタロウ選手のメガタブンネデッキについて触れた。2016年にイトウ選手をマスター部門の世界チャンピオンに導いたこのカードのことは、長島氏も、これほどまでの強さを持っているとは思ってもみなかった、とのことだった。
とはいえ、長島氏は、自身も好んでカードデザインに深く関わりもする。2016年に環境を席巻し、アメリカ選手権を制覇した、かの悪名高き「よるのこうしん」が例だ。
「大会の決勝に顔を出すくらいにしようと思って作っていたのですが、まさかこんなにも結果を残すとは」
会社訪問の終わりに、オフィス内を出口に向かって歩いていると、ほとんどの従業員の机の上に、ポケモンのおもちゃやグッズが所狭しと並んでいるのが目に入った。
これだけは、きっと確かなことだろう。カードデザインからイラストを経てテストプレイに至るまで、クリーチャーズ社のポケカチームにとって一番大切なのは、ポケモンを愛する気持ちなのだと。
-------------------------------------------------
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
誤訳や疑問などあれば、遠慮なくご指摘いただければと思います。
僕にとっても、メガ進化のデザインの話あたりは非常に面白く、なるほどと思いながら読みました。
あと、背景世界、せっかくなら教えてよ!と思いますw
特に最近は、ガチガチの競技寄りだけでない自主イベントも多く開催されているので、背景世界のような要素もかなり需要あると思うんですよね。
今回はGamespotというゲーム情報サイトからなのですが、そこに、クリーチャーズのポケカ部門を取材した記事が掲載されました。
(僕もクリーチャーズのツイッターアカウントで知りました)
初めて知った情報も多く、本当に面白い記事です。
ポケカ始めたばかりの人でも、長くプレイしている人でも、間違いなく楽しめる内容だと思います。
また、記事原文には、ここで載せきれなかった写真も多く掲載されています。そちらもぜひご覧ください。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更を行った箇所があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
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Playtesting is a full-time job.
by Kallie Plagge
https://www.gamespot.com/articles/how-pokemon-cards-are-made/1100-6459450/
ポケモンというコンテンツを巨大なロボットに例えるなら、株式会社クリーチャーズは、いわば、過小評価されがちな片腕部分だ。1998年の「ポケモンスタジアム」から始まり、直近の「名探偵ピカチュウ」まで、クリーチャーズ社は長年にわたって、ポケモンのスピンオフゲームに携わってきた。それだけでなく、「大乱闘スマッシュブラザーズ」など、複数のゲームで、ポケモンの3Dモデル作成も行ってきた。
だが、その一方でクリーチャーズ社は、ポケモンカードゲームの極めて多くの部分で重要な役割を担ってきたのだ。ポケモンカードゲームは、20年以上ものあいだ、コンスタントに新しいシリーズとエキスパンションを送り出し続けている。
先日わたしたちは、東京のクリーチャーズ社のオフィスを訪れ、ポケモンカードの制作過程について学ぶ機会を得た。その会社訪問の中、ポケカのディレクターを務める長島敦氏と、そして、かの有名なレアのリザードンを含む500枚以上のカードイラストを手掛けてきた、フリーイラストレーターの有田満弘氏に話を聞くことができた。お二方には、カードがいかに構想され、そしてイラスト化されるのかについて伺った。
また、クリーチャーズ社の品質管理室リーダーを務める井上学氏には、テストチームがどのようにカードをテストしているのか、また、強さのバランス問題や、いわゆる壊れカードをどのように対処しているのか、話を聞くことができた。
新しいカードを作る上では、大きく3つのパートがある。カードの発案、イラストの依頼、そして現行ルール下でのテスト。新しいカードシリーズとエキスパンションを創り上げて世に送り出すまでには、ゲームデザイナーチームと、70名を越えるイラストレーターと、そしてフルタイムで働く19名のテスターが携わっている。
ステップ1:ポケモンをえらぶ
長島氏によれば、新セットを構想する上で最も大切な要素は、多様性だという。さまざまなスタイルの絵と、さまざまな特徴を持ったカード。プレイ面で強力なカードもあり、またコレクターへ訴えかけるカードも必要だ。とはいえ、新セットを作る上での最初のステップは、どのポケモンを用いるかを決めることだ。
「ビデオゲームの最新版をベースにした、カードの新シリーズのスタート間近になると、私たちは、ベースにしようとしているゲームに忠実であろうと細心の注意を払います。例えば、ゲームで重点的に扱われていたり、ストーリー上で重要な役割を担っていたりするポケモンは、制作中のカードセットでも中心的な立ち位置にします」と長島氏。「とはいえ、そのシリーズも中ごろになると、結果的には、プレイ環境に重きを置くようになるのですが……どのポケモンを用いるかも、そのあたりを基準に決めるようになるのです」
それらの選択は結果的に、ポケカのゲームバランスが丁度よく感じられるには何が必要なのか、そして、それらの要求にはどんなポケモンがふさわしいのか、そういったところに行きつくのだと、そう長島氏は語る。その一方でまた、制作チームは、ゲームやアニメであまり出番をもらえていないポケモンや、子供たちがカッコいいだろうと感じるポケモンや、果ては彼らチーム自身が好きなポケモンのことも考慮に入れる。
「僕の好きなポケモンはダークライなんです。もしかしたら、ダークライ強いカード多いんじゃない?と気づくかもしれませんね」長島氏は笑う。
各カードエキスパンションにも、背景になる物語とテーマがある。が、それらはプレイヤーにはほとんど語られることがない。
「XY8(青い衝撃・赤い閃光)では、2つのパラレルワールドがテーマでした。この2つの世界にはそれぞれミュウツーが存在しています。片方は発展した新しい世界。そしてもう片方は、もっと古い世界」と長島氏が解説してくれた。「そしてこの2つの世界が衝突したことで、世界は混沌に飲み込まれ、その結果として破壊されてしまいます」
長島氏によれば、制作チームにとっての最大の困難は、キャラクターやポケモンの持つ「心」や「魂」のようなものを大事にしつつ、かつ、そこに彼ら独自の工夫を加えることだ。カードゲームはビデオゲームと強く結びついているものの、ゲーム特有のメカニズムをカード側で機能するように置き換えるのは、そう単純なことではない。メガ進化などがその一例だろう。
長島氏は言う。「ポケカにはたねポケモンというものがあって、それを1進化、そして2進化へと進化させます。なのでほとんどの場合、最終進化系になるまでに2つの段階を踏みます。しかし、例えばもしも私たち制作チームが、そこにもう1段階加えてしまったとしたら、うまくデッキを機能させるのに、とても60枚では足りないでしょう。
そこで私たちは、すでに充分に強いカードにだけメガ進化を設ける、というアプローチを取りました。なので、もともと強いEXカードがあり、それがメガ進化する。私たち制作チームは、必要なステップを削ってみたのです」
究極的には、と長島氏は語る。TCG制作チームは、つねに新しさとバラエティの豊かさを保ちつつも、競技的なメタゲームにも注意を払っている。そしてこれは、シリーズの最初の段階からでさえ、極めて複雑な綱渡りのようなものなのだ、と。
ステップ2:イラストレーション
制作チームがカードの種類とそこにいるべき人物やポケモン(もしくは物)を決めたなら、そこからアートの出番が始まる。カードセットのバラエティの豊富さを維持するため、クリーチャーズ社は現状で、73名のイラストレーターおよびアーティストと仕事をしている。
その中でも、生み出した作品数の最も多いうちの一人は、有田満弘氏だろう。有田氏は最初期からポケカに携わり、これまで537枚のカードイラストを手掛けている。
有田氏は、クリーチャーズ社にある作業スペースを案内してくれた。そこには机が並べられ、フリーランスのアーティストが社外秘の仕事を行えるようになっている。それぞれの机はアーティストの自宅作業場のような雰囲気に作られ、デジタルデザインと彩色のため、その多くにタブレット機器が備え付けられている。
有田氏は、つい直近のラランテスのカードのイラスト制作過程を紹介してくれた。ラランテスの本来持っている「心」を捉えるべく、大胆な陰影と、明るい背景色に、かなりの神経を使ったという。
クリーチャーズ社はまず、担当のアーティストにカードの詳細情報を渡す。どのポケモンのカードなのか、どのような動きをしているのか、バックグラウンドとなる重要な設定は何か。とりわけ、俎上に上がっているポケモンが、まだリリースされていないゲームの登場ポケモンであるときがそうだ。これはトレーナーズのカードにも言え、さらには、非常に漠然とした指示がカードイラストに影響を及ぼすこともある。
例えば、「サカキの計画」のカードのときに有田氏が受けた依頼は、「堂々たる雰囲気」というものだった。そこで有田氏はそのカードを手掛けるとき、イラスト調というよりは、古典的な絵画のようなスタイルを用いた。レアカードを扱うときには、有田氏は、イラストのどの部分が光ったほうが良いかまで決めるようにしている。が、最終的なレア加工デザイン決定は、クリーチャーズ社スタッフとの共同作業となる。
「ポケモン赤・緑」の頃、有田氏や他のアーティストたちが参考にできるのは、ゲーム内画像と、一部の限られた公式イラストしかなかった。それでも有田氏は、初期シリーズを象徴するカードを何枚も手掛けている。例えばレアのリザードンや、少しふっくらとしたピカチュウのイラストがそうだ。
氏が現在までに手掛けた全てのカードを収めたバインダーの、最初の数ページは恐らく、90年代後半にポケモンに夢中だったすべての子供たちもまた持っていたものだろう。
有田氏は言う。「特に、このリザードンとピカチュウは、当時ポケカで遊んでいた多くの人にとって、思い出深いカードだろうと思います。もしかしたら、この2枚を超えるカードはもう描けないのではないかと思うこともあります」。それでも、最近イラストを描いた「ミュウツーGX」は、氏のお気に入りの1枚だ。イラストの評判も上々だという。
意外なことに、ひとつの進化ラインを同一のアーティストが手掛けるというのはあまりない。第一弾セットにおいて有田氏はフシギダネとフシギバナのイラストを担当したが、フシギソウは扱っていない(フシギソウは、ポケモン公式イラストを手掛ける杉森健氏によるものだ)。
とはいえ、進化ラインを通じて一貫したスタイルが求められることもある。例えば、愛らしいポカブと家族のイラスト。しかしそれでも大抵は、カードは複数のアーティストに担当分けされる。恐らくはイラストの多様性の確保と、そして時間の効率化のためだろう。
特に効率化は重要な要素だ。多くのカードは、イラストが出来上がる前からプレイテストにかけられるのだから。
ステップ3:フルタイム・プレイテスト
クリーチャーズ社には、プレイテスト専用に作られた特別な部屋がある。決して広くないオフィスの奥側にあるその部屋は、椅子とテーブルだけが並べられ、そして棚という棚には何年分ものポケモンカードが詰まっている。
1日7時間、週5日、19名のテストプレイヤーは、新カードがどのように機能するかを見極めるためポケカをひたすらプレイする(人数が奇数でも問題は起きていないようだ)。
テスターたちはほとんどの場合、リリース前のカードを扱うため、手元にあるもので何とかしなければならない。テスト中の新カードは、実際は、既存のカードにシールとして張ったものだ。それを通常のデッキに入れてプレイする。イラストが出来上がっていなければ、シールにはそのポケモンの(もしくはその対象物の)既存のイラストが描かれ、カード名、ワザ、効果、HP、そしてダメージなどが全て記載されている。
品質管理室リーダーの井上学氏によると、小さな修正が加わるのは「日常茶飯事」で、カードが最終形に至るまでに最大で2度や3度の大幅な改定が入ることも少なくない。
また、長島氏が以下のことを付け足してくれた。カードがリリースされると、競技プレイヤーたちは、こちらの全く思いもよらない使い方をすることがある。そのようなときはカードの禁止を行わざるを得ない。氏が特に名前を挙げたのは「フラダリの奥の手」だった。2015年、ゲームバランスを著しく損なっているという理由で、禁止カードに指定されたものだ。
どれだけプレイテストを行っても、競技プレイヤーたちはいつもテストチームを驚かせる。長島氏は最近の例として、イトウシンタロウ選手のメガタブンネデッキについて触れた。2016年にイトウ選手をマスター部門の世界チャンピオンに導いたこのカードのことは、長島氏も、これほどまでの強さを持っているとは思ってもみなかった、とのことだった。
とはいえ、長島氏は、自身も好んでカードデザインに深く関わりもする。2016年に環境を席巻し、アメリカ選手権を制覇した、かの悪名高き「よるのこうしん」が例だ。
「大会の決勝に顔を出すくらいにしようと思って作っていたのですが、まさかこんなにも結果を残すとは」
会社訪問の終わりに、オフィス内を出口に向かって歩いていると、ほとんどの従業員の机の上に、ポケモンのおもちゃやグッズが所狭しと並んでいるのが目に入った。
これだけは、きっと確かなことだろう。カードデザインからイラストを経てテストプレイに至るまで、クリーチャーズ社のポケカチームにとって一番大切なのは、ポケモンを愛する気持ちなのだと。
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以上になります。お読みいただきありがとうございました。
誤訳や疑問などあれば、遠慮なくご指摘いただければと思います。
僕にとっても、メガ進化のデザインの話あたりは非常に面白く、なるほどと思いながら読みました。
あと、背景世界、せっかくなら教えてよ!と思いますw
特に最近は、ガチガチの競技寄りだけでない自主イベントも多く開催されているので、背景世界のような要素もかなり需要あると思うんですよね。
どらさんのコラボキャスに参加させて頂きました
2018年3月31日 ポケモンカードゲーム コメント (3)長崎のオーガナイザー、どらさん(http://resara.diarynote.jp/)のコラボキャスに僭越ながら参加してきました。
以下、話したことの自分なりの振り返りメモです。
アーカイブもあるのですが、3時間ほどに及ぶ上、滑舌の悪いうきにんのコミュ障キモヲタ的な話し方を聞かれるととても恥ずかしいので、以下で歴史修正しておきます(謎)
======================
▼うきにんの大会開催歴について
札幌で開催しているメガアローゼン杯さんは、主催と大会名を変えながら今に至っている。
SIP杯⇒うきにん杯⇒メガアローゼン杯。
基本的に、会場と方式は同じ。主催が変わる(引き継ぐ)タイミングで大会名が変わってきた。
うきにんは、SIP杯(2010.5~2012.3)の約2年間を主催。※うきにん杯ではない!w
実はメガアローゼン杯ブログ、過去のエントリを辿っていくと、SIP杯時代からの記録が残っている。
今では、アローゼンさんはじめHPPの方々がメガアローゼン杯として継続開催して下さっている。今でも続いていることにとても感謝している。
SIP杯を立ち上げた理由。
2010年当時、札幌では店舗大会も減少しており、そもそもきちんとバトルできる場所が無かった。
競技寄りにしっかり対戦できる大会を作りたかった、というのが根本の理由。
SIP杯を行う上でコンセプトにしていたこと。
①予選スイスドロー決勝シングルエリミを取り入れて、競技寄りの大会にする。
②入賞デッキレシピを公開する。
特に②に関しては、
・MtGでは入賞デッキ公開が(公式大会でも自主大会でも)当たり前。
・ポケカではそれがほぼ無く、デッキ情報自体が当時はオンラインに出て来なかった。
という理由から、絶対にやりたいと思っていた。
高校生ぐらいから(今まで)MtGに触れていたこともあり、
大会形式は、限りなくMtG的な大会にしたかった。
また、ポケカの、デッキ情報の少なさ・情報の閉鎖性に関しても不満に思っていた。
結果として、僕が主催の時代は、トップ4入賞デッキを、毎回レシピを手打ちする形で公開することができた。
おそらくは、継続的に開催されている自主イベントとしては、国内ポケカで最初の試みだったと思う。
▼SIP杯と親子ポケカ、北海道ジュニアについて
SIP杯が始まってからしばらくして、
大会に参加して下さっていた親子プレイヤーの方々が、親子ポケカというイベントを開催なさるようになった。
参加層は、始めたばかりの親子やジュニアプレイヤーから、ある程度慣れたジュニアの子たちまでさまざまで、知り合いづてや公式イベント時の声掛けなどで、参加者も増えていっていた。
SIP杯は競技寄りの全年齢、親子ポケカは親子やジュニアプレイヤーの受け皿、というふうに、結果としてうまい具合に棲み分けができた。
また、今では、カードランド時和さんが、親子プレイヤーの練習の場になっている。
参加者のマナーの良い、快適なお店として有名。
WCS2014優勝のガウくんや、2016年日本チャンプのかなこちゃんはじめ、北海道はジュニアが非常に活発。
▼長崎での取り組み(どらさんのお話)
ステップアップしたい、という初心者の方にどうやって応えていくか。
直接つながるかはわからないが、以下のような取り組みをしている。
長崎のカードショップであるアイドル佐世保さんとアイドル大村さんの間で、店舗間中継対戦
背景:月に2度(日曜)、店舗大会の開催時間が重なる。
対戦デッキ:双方の店舗大会の優勝デッキ
中継方法:対戦卓をスマホで映し、相手店舗側のスクリーンに配信し中継。
店舗にいるプレイヤーの方たちは、優勝デッキの動きについて、わいわいがやがや話しながら対戦の動向を見ていることができる。そこでプレイングやデッキについて、ほかのプレイヤーの話や考え方から、新たな気づきを得ることができる。
スマホが2つと双方にスクリーンがあればできる。機器にそこまで費用は必要ない。
(上記は、どらさんが、当日に双方の店舗を回ってセッティングしている)
▼オンライン上の情報の変化について
今回、どらさんとお話しする上で、事前にいくつかテーマを共有させて頂いていた。
たとえば、
・初級者⇒中級者のステップアップはどうすればうまくできる?(⇒どらさん)
・中級者⇒上級者のステップアップはどうすればうまくできる?(⇒うきにん)
うきにんとして考えていることは比較的シンプルで、結局、外の情報に触れるのが一番の近道。
にもかかわらず、以前のポケカでは、上で触れたとおり、オンライン上に情報がほとんどなかった。
地域のコミュニティには情報があったはずだが、表には出てこなかった。
最近は、オンライン上にもどんどんと情報が増えてきた。
オンライン上に情報が上がるかどうかは、プレイヤーの意識もあるが、その一方で、メディアや、機器など、周辺環境の変化や発達もある。たとえばスマホのカメラの画質が上がったことで、デッキ画像を撮りやすくなった、など。
当初はDiaryNoteが情報共有や交流の場として主流だったが、今ではそれがTwitter上に移ってきた。
DiaryNoteのアクセスも、以前と比べると減ってきている印象がある。
デッキ情報の見られ方、扱われ方も、DNとTwitterではかなり変わってきた。画像のインパクト、拡散力が本当に強い。
たとえばCL名古屋4位のミランさんがデッキ画像を公開したツイート、ほぼ画像だけにも関わらず、いいねが260超え。おそらく閲覧数は、平均的なポケカのDiaryNoteエントリよりも遥かに多い。
DN上にただ記事を書くだけではなかなか読んでもらえない。ポケカもそういう時代になってきている。
▼情報の公開と扱い方について
その一方で、以前に記事にしたLimitlessなど、海外ではデッキデータの集積みたいなサイトが出てきている。
単純なデッキ情報等は、逆にオンライン上にはあふれるほどある。むしろありすぎる。
大量に情報がある中で、
たとえば今はどんな環境で、どのデッキが強いのかなど、
情報を選別したうえでのまとめや解説のようなものがなければ、結局は意味がないのではないか。
これからステップアップしたいと考えているプレイヤーの方に対して、どうすれば、情報をかみ砕いて、わかりやすく伝えられるのか。
答えがあるわけではない。
ただ、今こうやって、イベント運営に関する議論が活発化する中で、
上記のような、情報をどうやって伝えていくか、見せていくかについての話も、もっと活発化していって良いと思う。
上記に関する他トピックスとして、
・APPDATE:ゲームのほうの情報サイト。パーティ解説にフォーマットのようなものがあり、記事が読みやすく、また書きやすそう。
・MTリーグ:KZさん主催の大会。今回はマッシブーン特化練習会。公式のデッキ公開があったからできたこと。
▼うきにん以降にキャス登場される方に聞いてみたいこと
最近は都内でも地方でも、オーガナイザー主催による自主イベントが非常に増えてきた。
ただ、国内でのイベント主催は、ほとんどボランティアのようなものではないか。
海外でも、イベント主催を委託したり、認定資格持ちのスタッフが活動したりしている。が、あちらでは、スタッフ限定プライズが(価値が高く金銭的にも高額になるため)疑似的な報酬になっている。最低限のインセンティブは担保されている。
国内自主イベント、このまま個々のモチベーション頼みで大丈夫なのか。
それとも、解決策や、もっとほかの考え方があるのか。ぜひお話をうかがってみたい。
======================
という感じです。
上記は概要なので一方的な感じの文章になっていますが、実際は、どらさんとの会話や、視聴コメントへのリアクションのなかで生まれてきた内容です。
(ただし上記内容で誤解が生じたとしたら、文責はすべてうきにんにあります)
キャス中は本当に楽しく、まだまだ話したい内容や気持ちはありましたが、非常に良い経験でした。どらさんの話の引き出し方も絶妙でした。本当にありがとうございました。
この後も、プレイヤーさんとのコラボキャスはまだ続くそうですので、ぜひぜひお聞きになってみてください。
以下、話したことの自分なりの振り返りメモです。
アーカイブもあるのですが、3時間ほどに及ぶ上、滑舌の悪いうきにんのコミュ障キモヲタ的な話し方を聞かれるととても恥ずかしいので、以下で歴史修正しておきます(謎)
======================
▼うきにんの大会開催歴について
札幌で開催しているメガアローゼン杯さんは、主催と大会名を変えながら今に至っている。
SIP杯⇒うきにん杯⇒メガアローゼン杯。
基本的に、会場と方式は同じ。主催が変わる(引き継ぐ)タイミングで大会名が変わってきた。
うきにんは、SIP杯(2010.5~2012.3)の約2年間を主催。※うきにん杯ではない!w
実はメガアローゼン杯ブログ、過去のエントリを辿っていくと、SIP杯時代からの記録が残っている。
今では、アローゼンさんはじめHPPの方々がメガアローゼン杯として継続開催して下さっている。今でも続いていることにとても感謝している。
SIP杯を立ち上げた理由。
2010年当時、札幌では店舗大会も減少しており、そもそもきちんとバトルできる場所が無かった。
競技寄りにしっかり対戦できる大会を作りたかった、というのが根本の理由。
SIP杯を行う上でコンセプトにしていたこと。
①予選スイスドロー決勝シングルエリミを取り入れて、競技寄りの大会にする。
②入賞デッキレシピを公開する。
特に②に関しては、
・MtGでは入賞デッキ公開が(公式大会でも自主大会でも)当たり前。
・ポケカではそれがほぼ無く、デッキ情報自体が当時はオンラインに出て来なかった。
という理由から、絶対にやりたいと思っていた。
高校生ぐらいから(今まで)MtGに触れていたこともあり、
大会形式は、限りなくMtG的な大会にしたかった。
また、ポケカの、デッキ情報の少なさ・情報の閉鎖性に関しても不満に思っていた。
結果として、僕が主催の時代は、トップ4入賞デッキを、毎回レシピを手打ちする形で公開することができた。
おそらくは、継続的に開催されている自主イベントとしては、国内ポケカで最初の試みだったと思う。
▼SIP杯と親子ポケカ、北海道ジュニアについて
SIP杯が始まってからしばらくして、
大会に参加して下さっていた親子プレイヤーの方々が、親子ポケカというイベントを開催なさるようになった。
参加層は、始めたばかりの親子やジュニアプレイヤーから、ある程度慣れたジュニアの子たちまでさまざまで、知り合いづてや公式イベント時の声掛けなどで、参加者も増えていっていた。
SIP杯は競技寄りの全年齢、親子ポケカは親子やジュニアプレイヤーの受け皿、というふうに、結果としてうまい具合に棲み分けができた。
また、今では、カードランド時和さんが、親子プレイヤーの練習の場になっている。
参加者のマナーの良い、快適なお店として有名。
WCS2014優勝のガウくんや、2016年日本チャンプのかなこちゃんはじめ、北海道はジュニアが非常に活発。
▼長崎での取り組み(どらさんのお話)
ステップアップしたい、という初心者の方にどうやって応えていくか。
直接つながるかはわからないが、以下のような取り組みをしている。
長崎のカードショップであるアイドル佐世保さんとアイドル大村さんの間で、店舗間中継対戦
背景:月に2度(日曜)、店舗大会の開催時間が重なる。
対戦デッキ:双方の店舗大会の優勝デッキ
中継方法:対戦卓をスマホで映し、相手店舗側のスクリーンに配信し中継。
店舗にいるプレイヤーの方たちは、優勝デッキの動きについて、わいわいがやがや話しながら対戦の動向を見ていることができる。そこでプレイングやデッキについて、ほかのプレイヤーの話や考え方から、新たな気づきを得ることができる。
スマホが2つと双方にスクリーンがあればできる。機器にそこまで費用は必要ない。
(上記は、どらさんが、当日に双方の店舗を回ってセッティングしている)
▼オンライン上の情報の変化について
今回、どらさんとお話しする上で、事前にいくつかテーマを共有させて頂いていた。
たとえば、
・初級者⇒中級者のステップアップはどうすればうまくできる?(⇒どらさん)
・中級者⇒上級者のステップアップはどうすればうまくできる?(⇒うきにん)
うきにんとして考えていることは比較的シンプルで、結局、外の情報に触れるのが一番の近道。
にもかかわらず、以前のポケカでは、上で触れたとおり、オンライン上に情報がほとんどなかった。
地域のコミュニティには情報があったはずだが、表には出てこなかった。
最近は、オンライン上にもどんどんと情報が増えてきた。
オンライン上に情報が上がるかどうかは、プレイヤーの意識もあるが、その一方で、メディアや、機器など、周辺環境の変化や発達もある。たとえばスマホのカメラの画質が上がったことで、デッキ画像を撮りやすくなった、など。
当初はDiaryNoteが情報共有や交流の場として主流だったが、今ではそれがTwitter上に移ってきた。
DiaryNoteのアクセスも、以前と比べると減ってきている印象がある。
デッキ情報の見られ方、扱われ方も、DNとTwitterではかなり変わってきた。画像のインパクト、拡散力が本当に強い。
たとえばCL名古屋4位のミランさんがデッキ画像を公開したツイート、ほぼ画像だけにも関わらず、いいねが260超え。おそらく閲覧数は、平均的なポケカのDiaryNoteエントリよりも遥かに多い。
DN上にただ記事を書くだけではなかなか読んでもらえない。ポケカもそういう時代になってきている。
▼情報の公開と扱い方について
その一方で、以前に記事にしたLimitlessなど、海外ではデッキデータの集積みたいなサイトが出てきている。
単純なデッキ情報等は、逆にオンライン上にはあふれるほどある。むしろありすぎる。
大量に情報がある中で、
たとえば今はどんな環境で、どのデッキが強いのかなど、
情報を選別したうえでのまとめや解説のようなものがなければ、結局は意味がないのではないか。
これからステップアップしたいと考えているプレイヤーの方に対して、どうすれば、情報をかみ砕いて、わかりやすく伝えられるのか。
答えがあるわけではない。
ただ、今こうやって、イベント運営に関する議論が活発化する中で、
上記のような、情報をどうやって伝えていくか、見せていくかについての話も、もっと活発化していって良いと思う。
上記に関する他トピックスとして、
・APPDATE:ゲームのほうの情報サイト。パーティ解説にフォーマットのようなものがあり、記事が読みやすく、また書きやすそう。
・MTリーグ:KZさん主催の大会。今回はマッシブーン特化練習会。公式のデッキ公開があったからできたこと。
▼うきにん以降にキャス登場される方に聞いてみたいこと
最近は都内でも地方でも、オーガナイザー主催による自主イベントが非常に増えてきた。
ただ、国内でのイベント主催は、ほとんどボランティアのようなものではないか。
海外でも、イベント主催を委託したり、認定資格持ちのスタッフが活動したりしている。が、あちらでは、スタッフ限定プライズが(価値が高く金銭的にも高額になるため)疑似的な報酬になっている。最低限のインセンティブは担保されている。
国内自主イベント、このまま個々のモチベーション頼みで大丈夫なのか。
それとも、解決策や、もっとほかの考え方があるのか。ぜひお話をうかがってみたい。
======================
という感じです。
上記は概要なので一方的な感じの文章になっていますが、実際は、どらさんとの会話や、視聴コメントへのリアクションのなかで生まれてきた内容です。
(ただし上記内容で誤解が生じたとしたら、文責はすべてうきにんにあります)
キャス中は本当に楽しく、まだまだ話したい内容や気持ちはありましたが、非常に良い経験でした。どらさんの話の引き出し方も絶妙でした。本当にありがとうございました。
この後も、プレイヤーさんとのコラボキャスはまだ続くそうですので、ぜひぜひお聞きになってみてください。
デッキリストはここで見ろ!? あるいは情報化の野望
2018年3月26日 ポケモンカードゲーム
ポケカの潮流が変化している、と感じます。
でもそれはカードデザインの話ではありません。カードデザインを云々できる知識は僕には無く、ここで変化していると言ったのは、ユーザーの側の、もっといえば、情報サイトの側です。
このDNで繰り返し紹介してきていた、たとえば
SixPrizes
(https://sixprizes.com/)
は、優れたポケカ記事を提供する、会員制の情報サイトです(無料の記事もたくさんあります)。このサイトの果たしてきた役割や影響力は計り知れません。
ですが。
ここ最近、TwitterはじめSNSを賑わすのは、SixPrizesのような「古典的」な記事サイトではなく、
名前を挙げるなら
Limitless
(http://limitlesstcg.com/)
PokeStats
(http://www.ptcgstats.com/)
といった、デッキリスト情報の集積のようなサイトです。
▼情報サイトの野心家、Limitless(リミットレス)
たとえば上記Limitless、デッキリストの情報量は凄まじいものがあります。
デッキを見るには、
"Tournament"タブから、任意の大会("Regional Costa Mesa"など)に入り、"List"マークの中のひとつをクリック。そうすると、その使用者のデッキリストが現れます。
もちろんUS公式でも、Regionalsなどはデッキを公開しています。
https://www.pokemon.com/us/play-pokemon/costa-mesa-regionals-2018/tcg-masters/
が、見てもらえるとわかるとおり、公式のデッキ公開はトップ8まで。
それをLimitlessは、9位以降の順位のプレイヤーのデッキまで掲載しています。
どうやって、という疑問はここでは横に置いて。
なぜそこまでしているのでしょう。
ここで、Limitlessサイト内にある、"About"から、設立趣旨文を引いてみます。
ちょっと長いですが、ぜひ読んでいただきたい文章です。
①Limitlessはプロプレイヤーのチームである。
②このサイトは、大会結果の記録と情報提供を主目的にしている。
③イベント運営組織と協業で、大会中継を行っている。
大会中継については、現にヨーロッパ圏のRegionalsは彼らのTwitchアカウントでストリーミング中継を行っており、そのアカウントとこのサイトから、彼らの活動を把握することができます。
しかし、「なぜ」の答えには足りない気がします。
▼情報とスポンサー
なぜ大会結果を記録するのか? なぜ情報提供をここまでの規模で行っているのか?
その答えのひとつは、ほぼ間違いなくスポンサーの存在です。
たとえばLimitlessには、
CardicunoとCardMarketという2つのヨーロッパのオンラインショップがスポンサーについています。
http://limitlesstcg.com/sponsors/
彼らのストリーミング中継画面でも、スポンサーのロゴは常に登場します。
これは私見ですが、
ポケカサイトにおいて、現状、もっとも注目を集める(アクセスを集める)方法は、
シンプルに、デッキ情報をどんどんと公開することです。
MtGでは、近年のグランプリなどではトップ32以上までデッキが公開されることもあり、
また、MtG界で多大な影響力を持つStar City Games(http://www.starcitygames.com/)も、自社主催の大会ではトップ16まで公開しています。
そうなるとMtGでは、デッキ情報はあって当たり前。そこから先の差別化がカギとなるわけです、が。
ポケカでは、上位デッキリストの公開が、まだ情報として大きな価値を持っています。
Limitlessのデッキ情報には情報提供者が複数いることが示唆されています(金銭的な見返りもあるかもしれません)。また、TwitterなどのSNSも大きな情報源になっているようです。いずれにせよ、相当な労力が費やされていることがうかがえます。
▼情報サイトのそれぞれ:PokeStatsと60cards
その一方、上で紹介したもうひとつの情報サイトであるPokeStatsは、スポンサーを持っていません。情報も、SNSにアップされているものを主に利用しているように見えます。
デッキリスト情報をあまり集められない分、PokeStatsは、たとえば以下のように、独自のデータ分析を展開しています。
http://www.ptcgstats.com/p/2018-charlotte-regionals.html
これらとは少し異なったアプローチをしているのが、毎度おなじみ60cardsです。
60cardsもまたLimitless同様に、デッキデータベースを作り上げようとしています。Limitlessとは違い60cardsの場合は、デッキリストのカード画像から、カードショップのサイトに飛べるようにもなっています。
またそれとは別に、PTCGOでオリジナルのトーナメントも立上げ、その結果も加えています。
デッキデータベース
http://www.60cards.net/en/60cc/blog/user/1384
60crdsトーナメントシリーズ
http://www.60cards.net/en/60cc/blog/user/6129/article/1182
▼情報をめぐる試み、日本版としてのポケアド
ここまでの話は、なにも海外ポケカだけに限ったことではありません。
たとえばポケアドさん
https://pokead.jp/
の「ポケカデッキライブラリ」は、Limitlessや60cardsがやろうとしている、デッキデータベースを作ろうという試みの、まさに国内版といえます。
ポケアドさんのブログは、簡単な広告があるだけで、スポンサーはついていません。
デッキ情報も、大型の公式大会結果ではなく、SNSにアップされているジムバトルの結果がメインです。が、ジムバトルの情報を載せることで、閲覧者にデッキだけでなく開催店舗の情報も伝えることができているのは、Limitlessや60cardsにはない特徴です。
▼おわりに
昨今のポケカ界を席巻しているのは、デッキのデータベースを作ろう、という非常に野心的な試みです。
その理由は、
①ポケカでは入賞デッキリストの公開が、情報として大きな価値がある(⇒サイトへの集客力が高い)
②ポケカでもスポンサーが付くようになり始め、アクセスアップの意義が増えつつある。
③ポケカユーザーの情報発信がSNS上で増えており、デッキの一次情報を集めやすい。
これらの背景としては、
公式側の入賞デッキ公開が限られることや、MtGでいうStarCityGamesのような、カード販売・大会運営・情報公開まで一手に担う大手が不在だということが考えられます。
とはいうものの、
Limitlessにせよ60cardsにせよ、StarCityGamesとは違い、いくらスポンサーがいるとはいえ、ポケカへの取り組みを事業化できるほどの収益は生めていないはずです。
言い換えれば、サイト運営費用くらいは賄えているかもしれないけれど、それ以上のお金は彼らのもとには入っていないはずなのです。それはポケアドさんもおそらく同じでしょう。
実際のところは本人たちのみぞ知るですが、
LimitlessもPokeStatsも60cardsもポケアドも、大きな野望と、大きな労力(コスト)で成り立っていることは間違いありません。究極的に、彼らは情報サイトであり、お金儲けが主目的では(まだ)ないのです。
ただそれでも、昨今のポケカでもっとも目立つ動向は、間違いなくこの情報をめぐる動きです。
ポケカの外側では、e-Sportsとマネタイズをめぐる話はいつも話題になっています。「まだ」と書きましたが、ポケカとお金をめぐる話が切っても切れない関係になるのは、おそらくそう遠い未来ではないはずなのです。
でもそれはカードデザインの話ではありません。カードデザインを云々できる知識は僕には無く、ここで変化していると言ったのは、ユーザーの側の、もっといえば、情報サイトの側です。
このDNで繰り返し紹介してきていた、たとえば
SixPrizes
(https://sixprizes.com/)
は、優れたポケカ記事を提供する、会員制の情報サイトです(無料の記事もたくさんあります)。このサイトの果たしてきた役割や影響力は計り知れません。
ですが。
ここ最近、TwitterはじめSNSを賑わすのは、SixPrizesのような「古典的」な記事サイトではなく、
名前を挙げるなら
Limitless
(http://limitlesstcg.com/)
PokeStats
(http://www.ptcgstats.com/)
といった、デッキリスト情報の集積のようなサイトです。
▼情報サイトの野心家、Limitless(リミットレス)
たとえば上記Limitless、デッキリストの情報量は凄まじいものがあります。
デッキを見るには、
"Tournament"タブから、任意の大会("Regional Costa Mesa"など)に入り、"List"マークの中のひとつをクリック。そうすると、その使用者のデッキリストが現れます。
もちろんUS公式でも、Regionalsなどはデッキを公開しています。
https://www.pokemon.com/us/play-pokemon/costa-mesa-regionals-2018/tcg-masters/
が、見てもらえるとわかるとおり、公式のデッキ公開はトップ8まで。
それをLimitlessは、9位以降の順位のプレイヤーのデッキまで掲載しています。
どうやって、という疑問はここでは横に置いて。
なぜそこまでしているのでしょう。
ここで、Limitlessサイト内にある、"About"から、設立趣旨文を引いてみます。
ちょっと長いですが、ぜひ読んでいただきたい文章です。
Limitless(リミットレス)は、トーナメント指向のポケモンカードを後押しすることに主眼を置いた組織です。元々のスタートはプレイヤーのチームでしたが、他の領域にも広がっていきました。この設立趣旨では3つのことが明示されています。
それでもなお、私たちのプロプレイヤーチームはLimitlessの核心であり、大会の場において、そのブランドとスポンサーを代表している存在です。私たちの目的はヨーロッパにおけるベストプレイヤーのチームであること、そして、あらゆる大会で、優勝の本命であり続けることなのです。
このウェブサイトを立ち上げたのは、大会結果を記録するためです。このサイトが、すべての競技プレイヤーにとって、有益な情報源であることを願ってやみません。サイトは絶えず改良し、ポケモンカードをできるだけ多くの視点から眺められるように努めます。また私たちのチームは、記事というかたちでコンテンツの提供も行います。
もうひとつの大事な活動は、大会のストリーミング中継です。私たちの信念は、すべての大規模大会は、自宅で観戦しているプレイヤーのためにストリーミング中継をすべきだ、というものです。tournamentcenterやjokmokといったイベント運営組織とのパートナーシップと、そして優秀なキャスター陣により、私たちはその目標に近づくことができているのです。
①Limitlessはプロプレイヤーのチームである。
②このサイトは、大会結果の記録と情報提供を主目的にしている。
③イベント運営組織と協業で、大会中継を行っている。
大会中継については、現にヨーロッパ圏のRegionalsは彼らのTwitchアカウントでストリーミング中継を行っており、そのアカウントとこのサイトから、彼らの活動を把握することができます。
しかし、「なぜ」の答えには足りない気がします。
▼情報とスポンサー
なぜ大会結果を記録するのか? なぜ情報提供をここまでの規模で行っているのか?
その答えのひとつは、ほぼ間違いなくスポンサーの存在です。
たとえばLimitlessには、
CardicunoとCardMarketという2つのヨーロッパのオンラインショップがスポンサーについています。
http://limitlesstcg.com/sponsors/
彼らのストリーミング中継画面でも、スポンサーのロゴは常に登場します。
これは私見ですが、
ポケカサイトにおいて、現状、もっとも注目を集める(アクセスを集める)方法は、
シンプルに、デッキ情報をどんどんと公開することです。
MtGでは、近年のグランプリなどではトップ32以上までデッキが公開されることもあり、
また、MtG界で多大な影響力を持つStar City Games(http://www.starcitygames.com/)も、自社主催の大会ではトップ16まで公開しています。
そうなるとMtGでは、デッキ情報はあって当たり前。そこから先の差別化がカギとなるわけです、が。
ポケカでは、上位デッキリストの公開が、まだ情報として大きな価値を持っています。
Limitlessのデッキ情報には情報提供者が複数いることが示唆されています(金銭的な見返りもあるかもしれません)。また、TwitterなどのSNSも大きな情報源になっているようです。いずれにせよ、相当な労力が費やされていることがうかがえます。
▼情報サイトのそれぞれ:PokeStatsと60cards
その一方、上で紹介したもうひとつの情報サイトであるPokeStatsは、スポンサーを持っていません。情報も、SNSにアップされているものを主に利用しているように見えます。
デッキリスト情報をあまり集められない分、PokeStatsは、たとえば以下のように、独自のデータ分析を展開しています。
http://www.ptcgstats.com/p/2018-charlotte-regionals.html
これらとは少し異なったアプローチをしているのが、毎度おなじみ60cardsです。
60cardsもまたLimitless同様に、デッキデータベースを作り上げようとしています。Limitlessとは違い60cardsの場合は、デッキリストのカード画像から、カードショップのサイトに飛べるようにもなっています。
またそれとは別に、PTCGOでオリジナルのトーナメントも立上げ、その結果も加えています。
デッキデータベース
http://www.60cards.net/en/60cc/blog/user/1384
60crdsトーナメントシリーズ
http://www.60cards.net/en/60cc/blog/user/6129/article/1182
▼情報をめぐる試み、日本版としてのポケアド
ここまでの話は、なにも海外ポケカだけに限ったことではありません。
たとえばポケアドさん
https://pokead.jp/
の「ポケカデッキライブラリ」は、Limitlessや60cardsがやろうとしている、デッキデータベースを作ろうという試みの、まさに国内版といえます。
ポケアドさんのブログは、簡単な広告があるだけで、スポンサーはついていません。
デッキ情報も、大型の公式大会結果ではなく、SNSにアップされているジムバトルの結果がメインです。が、ジムバトルの情報を載せることで、閲覧者にデッキだけでなく開催店舗の情報も伝えることができているのは、Limitlessや60cardsにはない特徴です。
▼おわりに
昨今のポケカ界を席巻しているのは、デッキのデータベースを作ろう、という非常に野心的な試みです。
その理由は、
①ポケカでは入賞デッキリストの公開が、情報として大きな価値がある(⇒サイトへの集客力が高い)
②ポケカでもスポンサーが付くようになり始め、アクセスアップの意義が増えつつある。
③ポケカユーザーの情報発信がSNS上で増えており、デッキの一次情報を集めやすい。
これらの背景としては、
公式側の入賞デッキ公開が限られることや、MtGでいうStarCityGamesのような、カード販売・大会運営・情報公開まで一手に担う大手が不在だということが考えられます。
とはいうものの、
Limitlessにせよ60cardsにせよ、StarCityGamesとは違い、いくらスポンサーがいるとはいえ、ポケカへの取り組みを事業化できるほどの収益は生めていないはずです。
言い換えれば、サイト運営費用くらいは賄えているかもしれないけれど、それ以上のお金は彼らのもとには入っていないはずなのです。それはポケアドさんもおそらく同じでしょう。
実際のところは本人たちのみぞ知るですが、
LimitlessもPokeStatsも60cardsもポケアドも、大きな野望と、大きな労力(コスト)で成り立っていることは間違いありません。究極的に、彼らは情報サイトであり、お金儲けが主目的では(まだ)ないのです。
ただそれでも、昨今のポケカでもっとも目立つ動向は、間違いなくこの情報をめぐる動きです。
ポケカの外側では、e-Sportsとマネタイズをめぐる話はいつも話題になっています。「まだ」と書きましたが、ポケカとお金をめぐる話が切っても切れない関係になるのは、おそらくそう遠い未来ではないはずなのです。
ゾロアークGXと1進化たちの戦い
2018年3月11日 ポケモンカードゲーム コメント (2)
前々回の記事でも触れたとおり(http://ukinins.diarynote.jp/201802130621012310/)、
2月上旬にスタンダードレギュで行われたOceania International Championshipsは、現役最強プレイヤーTord ReklevによるサーナイトGX/ゾロアークGXデッキの印象的な優勝で幕を閉じました。
そこからおよそ1ヶ月。
カードプールが日本と違う海外スタン(XY8-SM5)、そして、エクストラレギュとほぼ同等のExpanded(BW1-SM5)はどう動いていたのか、いくつかのデッキをピックアップしてみます。
▼海外スタンダードレギュレーション
2月17-18日には、スウェーデンのMalmoとアメリカのCollinsvilleでそれぞれスタンダードのRegionalsが行われました。
SM5に相当する"Ultra Prism"が発売されて最初のスタンダードの大規模大会です。
ゾロアークGX/マニューラ(2nd, Malmo)
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
1 ゾロアーク(XY8)
2 ニューラ
1 マニューラ(SM5)
3 カプ・テテフGX
1 ミュウEX
1 ヤレユータン(SM5)
1 ギラティナ
3 アズサ
3 グズマ
3 N
2 シロナ
2 アセロラ
1 プラターヌ博士
1 ククイ博士
1 マオ
4 ハイパーボール
4 時のパズル
3 フィールドブロアー
2 改造ハンマー
2 こだわりハチマキ
1 シンカソーダ
1 レスキュータンカ
1 かるいし
4 悪エネルギー
4 ダブル無色エネルギー
60cardsの記事でも触れられているとおり(http://www.60cards.net/en/expert-blog/user/5681/article/1173)、
この大会最大のトピックスは、ヨーロッパのLimitless勢によるゾロアークGX/マニューラデッキでしょう。
元記事でも特性持ちポケモンたちがずらずらと書かれていますが、スカイフィールドのない海外スタンではゾロアークGXの打点が限られるため、200ダメージ以上を狙えるマニューラは強力なアタッカーです。
グズマからのカプ・テテフGX狙いや、ゾロアークGXだけでは倒すのに苦労するルガルガンGXあたりには、マニューラがかなり役立っただろうと思えます。サイドを奇数にズラせられれば良いので、枚数は1枚に抑えられています。
海外スタンはシェイミEXがないため、初動の安定を目的として、アズサは3枚入れられています。個人的に、国内スタンのデッキでアズサの枚数が1枚ほどで留まっている理由がまったく理解できないのですが、海外大会の配信を見れば見るほど、アズサの採用率やその強力さははっきりと伝わってきます。
ゾロアークGX/グソクムシャGX(6th, Collinsville)
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
3 コソクムシ
2 グソクムシャGX
3 カプ・テテフGX
1 カプ・コケコ
1 ミュウEX
1 ヤレユータン(SM5)
4 N
4 グズマ
3 アズサ
2 シロナ
2 アセロラ
4 ハイパーボール
4 時のパズル
3 フィールドブロアー
2 シンカソーダ
2 こだわりハチマキ
1 改造ハンマー
1 かるいし
2 パラレルシティ
4 ダブル無色エネルギー
3 草エネルギー
デッキはLimitlessから(http://limitlesstcg.com/decks/?list=656)。
国内スタンでもよく見かけるゾロアークGX/グソクムシャGXですが、海外スタンではカードプールに応じた工夫が見られます。
パラレルシティは序盤に貼ることで相手の展開を(特にアズサ展開を)スローダウンさせるほか、もちろんゾロアークGXの打点を下げるのにも効果的です。
2枚積まれたシンカソーダは、アズサ→ゾロアークGXの動きをスムーズにさせる意図が明確です。シェイミEXがなく、単純なドロー能力では劣る海外スタンなりの工夫といえますが、
これらパラレルシティやシンカソーダからは、この海外スタンでも、いかにゾロアークGXが強力かが伝わってきます。
ミュウEXは前々回記事でも触れましたが、海外スタンではなぜか使用可能なカード。マッシブーンGXへの強烈なアタッカーになっています。
1枚だけ積まれたヤレユータンは、さいはいかと思いきやリソースマネージメント。実は、ひとつ上のゾロアークGX/マニューラのヤレユータンもそちらのほうです。
直近では、対ニンフィアGX用ギミックとして有名になったカードですが(http://www.pokemon-card.com/info/2018/20180226_001109.html)、
このデッキでも同じく、ヨワシGX系統のライブラリアウトデッキ用としても入っています。
と同時に、サイドを奇数にできるカード兼、文字通りのリソース回収役。ハチマキやグズマ、ダブル無色エネルギーなどを低リスクで回収できれば終盤にも優位を保てますし、相手のパラレルシティで吹き飛ばされたベンチぶんのカードを戻すこともできます。
余談ですが、このCollinsville Regionalsでは、女性プレイヤーがマスター準優勝を果たしたことでも話題になりました。アメリカの大規模大会で女性の上位入賞は珍しく、ツイッターでも配信でも、かなりの応援が集まっていたのが印象的な大会でした。
▼Expandedレギュレーション
それからおよそ2週間。3月3-4日には、アメリカのCosta MesaでExpandedレギュの大会が行われました。Expandedは国内エクストラレギュとほぼ同等です。
ジジーロンGX/ダストダス(1st, Costa Mesa)
2 ジジーロンGX
4 ヤブクロン
2 ダストダス(XY9)
2 ダストダス(SM2)
3 カプ・テテフGX
1 オドリドリ
1 ウソッキー
3 プラターヌ博士
3 N
2 グズマ
2 アセロラ
1 センパイとコウハイ
1 アズサ
1 アクロマ
4 バトルサーチャー
4 ハイパーボール
4 かるいし
4 こだわりハチマキ
1 フィールドブロアー
1 レスキュータンカ
1 すごいつりざお
1 ダウジングマシン
3 パラレルシティ
4 超エネルギー
4 ダブル無色エネルギー
1 レインボーエネルギー
Sixprizesの記事があったのでそこからの引用(https://sixprizes.com/2018/03/09/dragons-and-foxes-and-uh-trash-oh-my/)。
ジジーロンGX/ダストダスデッキはこの大会の優勝デッキです。実際の優勝デッキは、このレシピから、こだわりハチマキ4→こだわりハチマキ3+ちからのハチマキ1。
記事によれば、「Expandedフォーマットでも、ゾロアークGXデッキは多様で非常に強力だが、だいたいにおいて、対戦は同じように進行する。つまりこのデッキの最終的な目標は、相手を少しずつ削り、リソース切れに追い込むことだ」。
ウソッキーと、厚く3枚積まれたパラレルシティは、ゾロアークGXの打点を徹底的に押さえ込みます。ダストダス(XY9)はゾロアークGXのとりひきだけでなく、ゾロアークGXと一緒に使われることの非常に多いタマタマ(BW8)のぞうしょくも併せてシャットアウトします。
ゴミなだれのダストダス(SM2)は、マッシブーンGXの弱点も突くこともできます。
ジジーロンGX/ダストダスは、去年の旧海外スタンから人気のあったデッキです。が、今回は単純な人気だけでなく、Expandedのメタを読みきった見事な優勝だといえるでしょう。
グレイシアGX/ガメノデス(3rd, Costa Mesa)
4 イーブイ
3 グレイシアGX
2 カメテテ
2 ガメノデス(XY10)
1 カプ・テテフGX
1 ヤレユータン(SM1)
1 ウソッキー
3 プラターヌ博士
3 シロナ
2 N
2 ルザミーネ
1 グズマ
1 ゲーチス
1 フレア団のしたっぱ
4 ハイパーボール
4 改造ハンマー
4 かるいし
3 バトルサーチャー
1 レスキュータンカ
1 パソコン通信
4 うねりの大海
8 水エネルギー
4 ダブル無色エネルギー
SizPrizesで記事になっていますが(https://sixprizes.com/2018/03/08/polar-spearing-the-competition/)、
数人のトッププレイヤー陣にシェアされ、細部は違うものの、3位と21位という成果を残したデッキ。ゾロアークGXはじめ、特殊エネルギー依存のデッキには絶対に負けないという強烈な意図を感じます。
現実的に、ゾロアークGXにとってはガメノデスのロックとウソッキーを同時に突破するのは難しく、たとえ部分的にロックを突破できたとしても、ルザミーネや改造ハンマーが再び特殊エネルギーを封殺します。
元記事にもある通り、ゲーチスとフレア団のしたっぱの部分は、シェアしたメンバー内でも多少の違いがあるようです。他の候補がロケット団の工作とヤレユータン(SM5)というところからも、長期戦を見据えたデッキであることが伺えます。
ルガルガンGX/ゾロアークGX(7th & 8th, Costa Mesa)
4 ゾロア
3 ゾロアークGX
1 ゾロアーク(XY8)
2 イワンコ
2 ルガルガンGX
2 アローラベトベター
1 アローラベトベトン
2 カプ・テテフGX
2 シェイミEX
1 タマタマ(XY8)
1 オドリドリ
1 ホルビー
3 アズサ
3 アクロマ
1 N
1 グズマ
1 オカルトマニア
4 ハイパーボール
4 時のパズル
2 バトルサーチャー
2 ポケモン通信
2 レッドカード
2 こだわりハチマキ
1 フィールドブロアー
1 レスキュータンカ
1 かるいし
1 パソコン通信
3 スカイフィールド
4 ダブル無色エネルギー
2 闘エネルギー
デッキはツイッターより(https://twitter.com/DeadDrawGaming/status/970558658403819520)。
日本でもおなじみルガゾロの、Expandedバージョン。パソコン通信やポケモン通信といったBWレギュの強力なカードが加わっておリ、タマタマ(BW8)とゾロアークGXの相性のよさも、先に触れたとおりです。
しばしばゲーチスの強さが話題になるExpandedレギュですが、このデッキでは採用が見送られ、代わりにレッドカードに充てられています。序盤偏重は避けて、中盤以降でも腐りにくいカードを、という選択に感じられます。
ホルビーは、ここではリソース回収よりも、ホエルオーライブラリアウト用という意味が大きいのでしょう。
また、このデッキでも、アズサは3枚採用されています。1ターン目に打つならゲーチスよりアズサ、という明確な意図が伝わってきますが、
それにしてもここまでのアズサの評価を見てしまうと、むしろ国内メタゲームがアズサを過小評価しているのでは? とすら感じられてしまいます。
▼おわりに
来週、再来週と、ふたたびアメリカではスタンダードのRegionalsが2週続けて行われます。
世界大会までいよいよ半年を切り、海外でも、残すところはSM6にあたる5月のForbidden Lightでカードプールが出揃うはずです。
今年のスタンダードは日本と海外で大きな違いがあるため、日本勢にとっては難しい大会になるかもしれません。が、情報を拾っていくことで見えてくる違いは、世界大会だけでなく、現環境にとっても、有益なヒントを多く与えてくれるはずです。
2月上旬にスタンダードレギュで行われたOceania International Championshipsは、現役最強プレイヤーTord ReklevによるサーナイトGX/ゾロアークGXデッキの印象的な優勝で幕を閉じました。
そこからおよそ1ヶ月。
カードプールが日本と違う海外スタン(XY8-SM5)、そして、エクストラレギュとほぼ同等のExpanded(BW1-SM5)はどう動いていたのか、いくつかのデッキをピックアップしてみます。
▼海外スタンダードレギュレーション
2月17-18日には、スウェーデンのMalmoとアメリカのCollinsvilleでそれぞれスタンダードのRegionalsが行われました。
SM5に相当する"Ultra Prism"が発売されて最初のスタンダードの大規模大会です。
ゾロアークGX/マニューラ(2nd, Malmo)
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
1 ゾロアーク(XY8)
2 ニューラ
1 マニューラ(SM5)
3 カプ・テテフGX
1 ミュウEX
1 ヤレユータン(SM5)
1 ギラティナ
3 アズサ
3 グズマ
3 N
2 シロナ
2 アセロラ
1 プラターヌ博士
1 ククイ博士
1 マオ
4 ハイパーボール
4 時のパズル
3 フィールドブロアー
2 改造ハンマー
2 こだわりハチマキ
1 シンカソーダ
1 レスキュータンカ
1 かるいし
4 悪エネルギー
4 ダブル無色エネルギー
60cardsの記事でも触れられているとおり(http://www.60cards.net/en/expert-blog/user/5681/article/1173)、
この大会最大のトピックスは、ヨーロッパのLimitless勢によるゾロアークGX/マニューラデッキでしょう。
元記事でも特性持ちポケモンたちがずらずらと書かれていますが、スカイフィールドのない海外スタンではゾロアークGXの打点が限られるため、200ダメージ以上を狙えるマニューラは強力なアタッカーです。
グズマからのカプ・テテフGX狙いや、ゾロアークGXだけでは倒すのに苦労するルガルガンGXあたりには、マニューラがかなり役立っただろうと思えます。サイドを奇数にズラせられれば良いので、枚数は1枚に抑えられています。
海外スタンはシェイミEXがないため、初動の安定を目的として、アズサは3枚入れられています。個人的に、国内スタンのデッキでアズサの枚数が1枚ほどで留まっている理由がまったく理解できないのですが、海外大会の配信を見れば見るほど、アズサの採用率やその強力さははっきりと伝わってきます。
ゾロアークGX/グソクムシャGX(6th, Collinsville)
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
3 コソクムシ
2 グソクムシャGX
3 カプ・テテフGX
1 カプ・コケコ
1 ミュウEX
1 ヤレユータン(SM5)
4 N
4 グズマ
3 アズサ
2 シロナ
2 アセロラ
4 ハイパーボール
4 時のパズル
3 フィールドブロアー
2 シンカソーダ
2 こだわりハチマキ
1 改造ハンマー
1 かるいし
2 パラレルシティ
4 ダブル無色エネルギー
3 草エネルギー
デッキはLimitlessから(http://limitlesstcg.com/decks/?list=656)。
国内スタンでもよく見かけるゾロアークGX/グソクムシャGXですが、海外スタンではカードプールに応じた工夫が見られます。
パラレルシティは序盤に貼ることで相手の展開を(特にアズサ展開を)スローダウンさせるほか、もちろんゾロアークGXの打点を下げるのにも効果的です。
2枚積まれたシンカソーダは、アズサ→ゾロアークGXの動きをスムーズにさせる意図が明確です。シェイミEXがなく、単純なドロー能力では劣る海外スタンなりの工夫といえますが、
これらパラレルシティやシンカソーダからは、この海外スタンでも、いかにゾロアークGXが強力かが伝わってきます。
ミュウEXは前々回記事でも触れましたが、海外スタンではなぜか使用可能なカード。マッシブーンGXへの強烈なアタッカーになっています。
1枚だけ積まれたヤレユータンは、さいはいかと思いきやリソースマネージメント。実は、ひとつ上のゾロアークGX/マニューラのヤレユータンもそちらのほうです。
直近では、対ニンフィアGX用ギミックとして有名になったカードですが(http://www.pokemon-card.com/info/2018/20180226_001109.html)、
このデッキでも同じく、ヨワシGX系統のライブラリアウトデッキ用としても入っています。
と同時に、サイドを奇数にできるカード兼、文字通りのリソース回収役。ハチマキやグズマ、ダブル無色エネルギーなどを低リスクで回収できれば終盤にも優位を保てますし、相手のパラレルシティで吹き飛ばされたベンチぶんのカードを戻すこともできます。
余談ですが、このCollinsville Regionalsでは、女性プレイヤーがマスター準優勝を果たしたことでも話題になりました。アメリカの大規模大会で女性の上位入賞は珍しく、ツイッターでも配信でも、かなりの応援が集まっていたのが印象的な大会でした。
▼Expandedレギュレーション
それからおよそ2週間。3月3-4日には、アメリカのCosta MesaでExpandedレギュの大会が行われました。Expandedは国内エクストラレギュとほぼ同等です。
ジジーロンGX/ダストダス(1st, Costa Mesa)
2 ジジーロンGX
4 ヤブクロン
2 ダストダス(XY9)
2 ダストダス(SM2)
3 カプ・テテフGX
1 オドリドリ
1 ウソッキー
3 プラターヌ博士
3 N
2 グズマ
2 アセロラ
1 センパイとコウハイ
1 アズサ
1 アクロマ
4 バトルサーチャー
4 ハイパーボール
4 かるいし
4 こだわりハチマキ
1 フィールドブロアー
1 レスキュータンカ
1 すごいつりざお
1 ダウジングマシン
3 パラレルシティ
4 超エネルギー
4 ダブル無色エネルギー
1 レインボーエネルギー
Sixprizesの記事があったのでそこからの引用(https://sixprizes.com/2018/03/09/dragons-and-foxes-and-uh-trash-oh-my/)。
ジジーロンGX/ダストダスデッキはこの大会の優勝デッキです。実際の優勝デッキは、このレシピから、こだわりハチマキ4→こだわりハチマキ3+ちからのハチマキ1。
記事によれば、「Expandedフォーマットでも、ゾロアークGXデッキは多様で非常に強力だが、だいたいにおいて、対戦は同じように進行する。つまりこのデッキの最終的な目標は、相手を少しずつ削り、リソース切れに追い込むことだ」。
ウソッキーと、厚く3枚積まれたパラレルシティは、ゾロアークGXの打点を徹底的に押さえ込みます。ダストダス(XY9)はゾロアークGXのとりひきだけでなく、ゾロアークGXと一緒に使われることの非常に多いタマタマ(BW8)のぞうしょくも併せてシャットアウトします。
ゴミなだれのダストダス(SM2)は、マッシブーンGXの弱点も突くこともできます。
ジジーロンGX/ダストダスは、去年の旧海外スタンから人気のあったデッキです。が、今回は単純な人気だけでなく、Expandedのメタを読みきった見事な優勝だといえるでしょう。
グレイシアGX/ガメノデス(3rd, Costa Mesa)
4 イーブイ
3 グレイシアGX
2 カメテテ
2 ガメノデス(XY10)
1 カプ・テテフGX
1 ヤレユータン(SM1)
1 ウソッキー
3 プラターヌ博士
3 シロナ
2 N
2 ルザミーネ
1 グズマ
1 ゲーチス
1 フレア団のしたっぱ
4 ハイパーボール
4 改造ハンマー
4 かるいし
3 バトルサーチャー
1 レスキュータンカ
1 パソコン通信
4 うねりの大海
8 水エネルギー
4 ダブル無色エネルギー
SizPrizesで記事になっていますが(https://sixprizes.com/2018/03/08/polar-spearing-the-competition/)、
数人のトッププレイヤー陣にシェアされ、細部は違うものの、3位と21位という成果を残したデッキ。ゾロアークGXはじめ、特殊エネルギー依存のデッキには絶対に負けないという強烈な意図を感じます。
現実的に、ゾロアークGXにとってはガメノデスのロックとウソッキーを同時に突破するのは難しく、たとえ部分的にロックを突破できたとしても、ルザミーネや改造ハンマーが再び特殊エネルギーを封殺します。
元記事にもある通り、ゲーチスとフレア団のしたっぱの部分は、シェアしたメンバー内でも多少の違いがあるようです。他の候補がロケット団の工作とヤレユータン(SM5)というところからも、長期戦を見据えたデッキであることが伺えます。
ルガルガンGX/ゾロアークGX(7th & 8th, Costa Mesa)
4 ゾロア
3 ゾロアークGX
1 ゾロアーク(XY8)
2 イワンコ
2 ルガルガンGX
2 アローラベトベター
1 アローラベトベトン
2 カプ・テテフGX
2 シェイミEX
1 タマタマ(XY8)
1 オドリドリ
1 ホルビー
3 アズサ
3 アクロマ
1 N
1 グズマ
1 オカルトマニア
4 ハイパーボール
4 時のパズル
2 バトルサーチャー
2 ポケモン通信
2 レッドカード
2 こだわりハチマキ
1 フィールドブロアー
1 レスキュータンカ
1 かるいし
1 パソコン通信
3 スカイフィールド
4 ダブル無色エネルギー
2 闘エネルギー
デッキはツイッターより(https://twitter.com/DeadDrawGaming/status/970558658403819520)。
日本でもおなじみルガゾロの、Expandedバージョン。パソコン通信やポケモン通信といったBWレギュの強力なカードが加わっておリ、タマタマ(BW8)とゾロアークGXの相性のよさも、先に触れたとおりです。
しばしばゲーチスの強さが話題になるExpandedレギュですが、このデッキでは採用が見送られ、代わりにレッドカードに充てられています。序盤偏重は避けて、中盤以降でも腐りにくいカードを、という選択に感じられます。
ホルビーは、ここではリソース回収よりも、ホエルオーライブラリアウト用という意味が大きいのでしょう。
また、このデッキでも、アズサは3枚採用されています。1ターン目に打つならゲーチスよりアズサ、という明確な意図が伝わってきますが、
それにしてもここまでのアズサの評価を見てしまうと、むしろ国内メタゲームがアズサを過小評価しているのでは? とすら感じられてしまいます。
▼おわりに
来週、再来週と、ふたたびアメリカではスタンダードのRegionalsが2週続けて行われます。
世界大会までいよいよ半年を切り、海外でも、残すところはSM6にあたる5月のForbidden Lightでカードプールが出揃うはずです。
今年のスタンダードは日本と海外で大きな違いがあるため、日本勢にとっては難しい大会になるかもしれません。が、情報を拾っていくことで見えてくる違いは、世界大会だけでなく、現環境にとっても、有益なヒントを多く与えてくれるはずです。
ポケファン発表「ポケモンカードができたワケ」ができたワケ
2018年2月18日 ポケモンカードゲーム コメント (2)
ゼンリョク★ポケファンスクールに参加してきました。
ポケファンプレゼンオフの第3回となる企画です。
【2018/02/03(土)】ゼンリョク★ポケファンスクール
http://twipla.jp/events/289367
ポケカ老人会を自称する、なにものかさん&うきにんは、
「ポケモンカードができたワケ」というパクりタイトルの発表を、筋金入りのヤバいポケモンオタク約30名の前で行いました。
【レポート】ゼンリョク★ポケファンスクール[20180203]
http://nimonote.blog105.fc2.com/blog-entry-566.html
理想は某TEDのように華麗なプレゼンで聴衆を魅了する情熱的なスピーカーのつもりが、少なくともうきにんさんは伏し目がちに早口で情報量を詰め込むNERD的スピーカー(古典的キモヲタ)になってしまいました。おわり。
それはそれとして。
上記のように、なにものかさんが当日の概要をレポートしてくださっているので、
僕は今回のポケカ老人会発表の概要を(うきにんサイドから)ざっくりとレポートします。
▼なにを発表したの?
発表テーマをすごく端的に言えば、「ポケモンカードが世に出るまでの、人・組織・経緯」。
世に出るまでです。つまり、第一弾発売前まで。発売後の話は、今回の発表には含まれていません。
内容は2部構成で、
・ポケカを世に送り出した人物と組織および体制(なにものかさんパート)
・ポケカが世に出るに至った経緯とエピソード(うきにんパート)
でした。
パワーポイントにして計68ページ。印刷した厚さは弾丸すら弾きそうです。無理だけど。
うきにんパートの論旨は2点で構成されています。
①ポケモンというコンテンツが誕生するにあたって、
ポケカは本当にゲームの派生品でしかなかったのか?
②ゲーム「ポケモン」は任天堂が発売元なのに、
ポケカはなぜメディアファクトリーから発売されたのか?
この論旨への回答を、スライド約30枚、15分かけて行いました。
ちなみに、うきにんパートには、あまり説明なく大量の固有名詞が登場するのですが、
そこはなにものかさんパートの、人物・組織についての発表を先に置くことで解決しました。
なにものかさんパートは、人物、組織、イベントを調査させたら右に出るものはいない、なにものかさんの執念が詰まった凄まじい資料になっています。MOTHER2のスタッフからTCGの印刷会社まで一刀両断にする資料なんて、後にも先にも存在しないはずです。
そもそも僕の発表自体も、なにものかさんがいなければ決して出来上がらなかったものです。準備段階から本番まで、本当に大感謝。
当日発表した内容の詳細は、また別途どこかでご紹介することになると思います。
▼そもそも何でこんな発表したの?
何でって、一言でいってオタクだからです。オタクは語らずにはいられないんです。
旅行オタクがついに訪問できた秘境の写真とその旅行記をブログで切々と語るように、料理オタクが使った香辛料の特徴と味への効果を食卓で滔々と語るように、
我々は自分たちが発見したポケカ周辺の出来事や繋がりを、時間軸で並べ、関係性を調べ、そしてキャッキャウフフデュフフと狂喜しながら資料にまとめたくてしょうがないんです。
気持ち悪い! ぶっちゃけものすごく気持ち悪いです!
でも、僕たちが「ポケカ文化史」と呼ぶその一連の出来事、関係性、そして残された資料は、ポケカが決して閉じたコンテンツではないということを僕たちに教えてくれます。
ときに人は言います。
「発売の経緯とかって、作った本人たちに直接聞けばいいんじゃないの? それが正解でしょ? 第三者が調べたって、結局ムダじゃないの?」
断言します。決してムダではない。
なぜか。
そもそも関係者たちの言葉や記憶はあいまいで、齟齬やズレがいつも生じてしまうこと(今回読み込んだ資料でさえ、記述が相互に違っている部分がありました)、
そして何より、関係者に直接聞いてもポケカの話しか出てこないけれど、一歩引いて眺めることで、ポケカがどのようにポケカの「外」と繋がっているかが見えてくるからです。
ポケカの「外」から見たとき、ポケカはどう見えるんだろう。
もちろん、正解はひとつではないはずです。その見方にはいろいろな切り口があり、そしてそのすべての切り口が、見る人の立ち位置、興味、そして考え方を反映するはずだからです。
僕たちの眼前には他のTCGがあり、ボードゲームがあり、あるいはポケカと関係しそうな書籍や、映像や、実在の人物や組織が存在します。そしてそれらはどこかで、もしかするとポケカと、何らかの形で繋がっている。
いままで誰も気付かなかったその繋がりを見つけられたなら、それって、誰かにこっそり語りたくならないでしょうか?
ポケカ文化史の世界へようこそ。
ポケファンプレゼンオフの第3回となる企画です。
【2018/02/03(土)】ゼンリョク★ポケファンスクール
http://twipla.jp/events/289367
ポケカ老人会を自称する、なにものかさん&うきにんは、
「ポケモンカードができたワケ」という
【レポート】ゼンリョク★ポケファンスクール[20180203]
http://nimonote.blog105.fc2.com/blog-entry-566.html
理想は某TEDのように華麗なプレゼンで聴衆を魅了する情熱的なスピーカーのつもりが、少なくともうきにんさんは伏し目がちに早口で情報量を詰め込むNERD的スピーカー(古典的キモヲタ)になってしまいました。おわり。
それはそれとして。
上記のように、なにものかさんが当日の概要をレポートしてくださっているので、
僕は今回のポケカ老人会発表の概要を(うきにんサイドから)ざっくりとレポートします。
▼なにを発表したの?
発表テーマをすごく端的に言えば、「ポケモンカードが世に出るまでの、人・組織・経緯」。
世に出るまでです。つまり、第一弾発売前まで。発売後の話は、今回の発表には含まれていません。
内容は2部構成で、
・ポケカを世に送り出した人物と組織および体制(なにものかさんパート)
・ポケカが世に出るに至った経緯とエピソード(うきにんパート)
でした。
パワーポイントにして計68ページ。印刷した厚さは弾丸すら弾きそうです。無理だけど。
うきにんパートの論旨は2点で構成されています。
①ポケモンというコンテンツが誕生するにあたって、
ポケカは本当にゲームの派生品でしかなかったのか?
②ゲーム「ポケモン」は任天堂が発売元なのに、
ポケカはなぜメディアファクトリーから発売されたのか?
この論旨への回答を、スライド約30枚、15分かけて行いました。
ちなみに、うきにんパートには、あまり説明なく大量の固有名詞が登場するのですが、
そこはなにものかさんパートの、人物・組織についての発表を先に置くことで解決しました。
なにものかさんパートは、人物、組織、イベントを調査させたら右に出るものはいない、なにものかさんの執念が詰まった凄まじい資料になっています。MOTHER2のスタッフからTCGの印刷会社まで一刀両断にする資料なんて、後にも先にも存在しないはずです。
そもそも僕の発表自体も、なにものかさんがいなければ決して出来上がらなかったものです。準備段階から本番まで、本当に大感謝。
当日発表した内容の詳細は、また別途どこかでご紹介することになると思います。
▼そもそも何でこんな発表したの?
何でって、一言でいってオタクだからです。オタクは語らずにはいられないんです。
旅行オタクがついに訪問できた秘境の写真とその旅行記をブログで切々と語るように、料理オタクが使った香辛料の特徴と味への効果を食卓で滔々と語るように、
我々は自分たちが発見したポケカ周辺の出来事や繋がりを、時間軸で並べ、関係性を調べ、そしてキャッキャウフフデュフフと狂喜しながら資料にまとめたくてしょうがないんです。
気持ち悪い! ぶっちゃけものすごく気持ち悪いです!
でも、僕たちが「ポケカ文化史」と呼ぶその一連の出来事、関係性、そして残された資料は、ポケカが決して閉じたコンテンツではないということを僕たちに教えてくれます。
ときに人は言います。
「発売の経緯とかって、作った本人たちに直接聞けばいいんじゃないの? それが正解でしょ? 第三者が調べたって、結局ムダじゃないの?」
断言します。決してムダではない。
なぜか。
そもそも関係者たちの言葉や記憶はあいまいで、齟齬やズレがいつも生じてしまうこと(今回読み込んだ資料でさえ、記述が相互に違っている部分がありました)、
そして何より、関係者に直接聞いてもポケカの話しか出てこないけれど、一歩引いて眺めることで、ポケカがどのようにポケカの「外」と繋がっているかが見えてくるからです。
ポケカの「外」から見たとき、ポケカはどう見えるんだろう。
もちろん、正解はひとつではないはずです。その見方にはいろいろな切り口があり、そしてそのすべての切り口が、見る人の立ち位置、興味、そして考え方を反映するはずだからです。
僕たちの眼前には他のTCGがあり、ボードゲームがあり、あるいはポケカと関係しそうな書籍や、映像や、実在の人物や組織が存在します。そしてそれらはどこかで、もしかするとポケカと、何らかの形で繋がっている。
いままで誰も気付かなかったその繋がりを見つけられたなら、それって、誰かにこっそり語りたくならないでしょうか?
ポケカ文化史の世界へようこそ。
オセアニア選手権、あるいは代理戦争
2018年2月13日 ポケモンカードゲーム
先週末、オーストラリア、シドニーで行われたOceania International Championships。
レギュレーションはスタンダードながら、地理的な要素もあって、そこまで注目度の高くなかった大会です。
が、終わってみれば象徴的なできごとがいくつもあり、非常に印象的な大会でした。
▼大会前あれこれ
しばらくExpandedで盛り上がっていた海外環境も、プレイヤーたちの興味はスタンダードに戻ってきました。
カードプールは、XY8からCrimson Invasion、つまりSM4まで。実はSM5に相当するUltra Prismが直前に発売になっているのですが、まだ使用可能カードプールに含まれないため、SM4環境の最終盤、ということになります。
代表的なデッキは、
・昨年末に海外スタンでも強いことが証明されたルガルガンGX/ゾロアークGX
・同じくゾロアークGXを使い倒し、Expandedでも強いグソクムシャGX/ゾロアークGX
・ダストダスデッキの代表格、グソクムシャGX/ダストダス
・GX戦で強いと話題のクワガノン/カプ・ブルルGX
・そして、海外発祥のデッキとして日本でも流行ったマッシブーンGX/ルガルガンGX
などなど、ゾロアークGXを中心としたメタゲームがぐるぐると回っていました。
そんな折、大会直前に、アメリカの強豪プレイヤー兼ライターのBrit Pybasが、こんな意味深なツイートをしていました。
▼サーナイト対マッシブーン、あるいは欧米間代理戦争
果たしてフタを開けてみれば、サーナイトGXは大躍進を遂げます。
そして、それはアメリカからではなく、ヨーロッパのチームの手によってでした。
サーナイトGX/ゾロアークGX/ミュウEX
一般的に使われるミュウツーではなく、変則的な再録によって実は使用可能なミュウEXを対マッシブーンGX用に据え、
ゾロアークラインもサブ的でなくかなり厚く積んだ、斬新なサーナイトデッキ。
デッキシェアされたヨーロッパのプレイヤーたちは、揃って予選で高い勝率を上げていきます。
そして、それを迎え撃ったのが、アメリカ勢の多くが持ち込んだマッシブーンGX/ルガルガンGX/オクタン。
GX同士の殴り合いで活躍する、みようみまねウソッキーをシークレットテクとし、
ゾロアークの群れを片っ端から刈り取っていきました。
画像①はPokeStatsから拝借した、トップ4の組み合わせ。
ヨーロッパ勢のサーナイト/ゾロアークvsアメリカ勢のマッシブーン/ルガルガン
という、さながらヨーロッパ対アメリカの代理戦争の様相が、オーストラリアのシドニーで繰り広げられたのでした。
▼Tord Reklev、現役最強プレイヤー
このDNでも何度か触れているのですが、
Tord Reklev(トード・レクレフと読むのが良いと思います)というノルウェー人プレイヤーがいます。
実はプレイ暦のかなり長いプレイヤーなのですが、
ここ最近の目立った実績はというと、
昨年夏の北米選手権(North America Internationals)優勝
昨年秋のヨーロッパ選手権(Europe Internationals)優勝
つまり、このオセアニア選手権(Oceania Internationals)を優勝すると、前人未到、前代未聞のInternationals3連覇がかかっていたのです。
そして結果は、ご存知の方も多いと思いますが、
今回も見事に優勝し、前代未聞の3連覇!
文字通り、現役最強のプレイヤーです。
▼サーナイトGX/ゾロアークGX/ミュウEX
そんな彼の使用デッキは以下。
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
4 ラルトス
2 サーナイトGX
1 エルレイド
3 カプ・テテフGX
1 ギラティナ
1 ミュウEX
3 N
3 アズサ
2 プラターヌ博士
2 マオ
2 グズマ
4 ハイパーボール
4 時のパズル
3 ふしぎなアメ
2 シンカソーダ
2 フィールドブロアー
1 改造ハンマー
1 まんたんのくすり
1 こだわりハチマキ
1 かるいし
1 パラレルシティ
4 フェアリーエネルギー
4 ダブル無色エネルギー
(デッキは、たとえばPhilip Schulz https://twitter.com/LimitlessPhilip/status/962523319017721856 ほか複数人がツイートしていました)
一般的に想像するサーナイトGX/ゾロアークGXは、サーナイトラインが厚めで、ゾロアークはそのドロー補助、といった立ち位置です。
が、このレシピではそれが完全に逆転していて、メインがゾロアーク、そして、サーナイトはサブアタッカー的な役割として採用されています。フェアリーエネも、わずか4枚に抑えられています。
また、バトルサーチャーのない海外スタンでは、ゾロアークGXとの組み合わせで、時のパズルが日本以上に重宝されているのが伺えます。
サーナイトGXの強みとして、ゾロアークGXやマッシブーンGXといった、中打点系のカードに強いことが挙げられます。また、対ゾロアークで無類の強さを誇るエルレイドを無理なく採用できるのもメリットです。
1枚だけタッチされたミュウEXは、変則的な再録にょって、なぜか海外スタンでは使えるカード。一般的にはミュウツーが採用される枠です。
もちろんメインの役割は、いずれにしても対マッシブーンGXです。多くの場合、ライオットビートをコピーして相手のマッシブーンを吹き飛ばしていました。
プレイ面で面白かったのが、特に対マッシブーン戦であっても、初ターンのアズサではラルトスでなくゾロア中心に場に出していたことです。ゾロアークのためだけにシンカソーダが入っていることからも、このデッキがいかにゾロアークを重要視しているのかがわかります。初手率を重視したアズサ3枚も光ります。
マッシブーン側からすると、相手の場に立ち始めたゾロアークを倒せるときに倒しておくべきなのか、それともラルトスラインを早めに叩いておくべきなのか、判断が難しく、新しいデッキゆえの対処しづらさも、好成績の要因のひとつなのでしょう。特に決勝戦の3本目は、ミュウEXとまんたんのくすりがサイド落ちという状況ながらも、生き残ったサーナイトGXとカプ・テテフGXが相手のポケモンを巧みにきぜつさせていきました。
上述しましたが、このデッキはヨーロッパ勢にシェアされていたものです。Limitlessという、ポケカ情報サイトも運営しているチームです。サイトの側はここ最近ではかなり有名になってきているので、見たことのある方も多いかもしれません。
使用者は、優勝のTord Reklev、3位のPhilip Schulzをはじめ、トップ64に使用者のうち5人が入っています。彼らで稼ぎ出したポイントは計1450、賞金は計1万5千ドル。デッキのスペックがいかに優れていたかがわかるエピソードです。
▼その他のトピックス
・トップ32プレイヤーの出身国について
ヨーロッパ対アメリカの代理戦争めいていた今回のオセアニアですが、
実はトップ32の中には、欧米以外の国も入ってきています。
画像②はChristopher Schemanskeのツイートで見つけた、トップ32の国別割合。
10人のオーストラリア、7人のアメリカほか、ヨーロッパの国々が目立ちますが、
実はよく見てみると、
マレーシア3名
シンガポール2名
と、ポケカとは縁遠く思えるはずの東南アジアの国のプレイヤーも入っています。
日本から「海外ポケカ」と括るときには、アメリカなど欧米諸国ばかり連想しがちです。
が、たとえば昨年のWCSマスター優勝のDiego Cassiragaはアルゼンチンのプレイヤー。
ポケカはいまやグローバルコンテンツ。東南アジアや南米などの国のプレイヤーにも、ぜひ注目していきたいですね。
・Stephane Ivanoffの嘆き、ストリーミングと情報について
今回の大会も、もちろんtwitchでストリーミング中継が行われていました。大会に直接参加できない我々にとっては非常にありがたいことです。
が、そんな折、フランスの有名プレイヤーStephane Ivanoffが、こんなツイートをしていました。
いまは日本国内でも、公式・自主イベント両面で、中継が活発化しています。どうすればよりよい中継ができるのか、考えてみるのは、決して無駄なことではないと思います。
▼おわりに
年があけ、海外でも、2月と5月に新弾が予定されており(2月のほうは発売済みですが)、いよいよ世界大会が遠く視界に見えてきます。
今年度のスタンダードのカードプールは、国内と海外とでは多くの面で違っています。ひょっとすると、日本勢にとっては苦戦の年になるかもしれません。
が、国内でも今では、公式でも自主イベントの側でも、情報に関して、多くの新しい試みが始まっています。
いろんな試行錯誤が今後も出てくると思います。が、その中で、良いものには素直に良いと応援してあげることが、プレイヤー個々人が、ポケカ界全体に向けてできる最初で最大のことなのかもしれません。
レギュレーションはスタンダードながら、地理的な要素もあって、そこまで注目度の高くなかった大会です。
が、終わってみれば象徴的なできごとがいくつもあり、非常に印象的な大会でした。
▼大会前あれこれ
しばらくExpandedで盛り上がっていた海外環境も、プレイヤーたちの興味はスタンダードに戻ってきました。
カードプールは、XY8からCrimson Invasion、つまりSM4まで。実はSM5に相当するUltra Prismが直前に発売になっているのですが、まだ使用可能カードプールに含まれないため、SM4環境の最終盤、ということになります。
代表的なデッキは、
・昨年末に海外スタンでも強いことが証明されたルガルガンGX/ゾロアークGX
・同じくゾロアークGXを使い倒し、Expandedでも強いグソクムシャGX/ゾロアークGX
・ダストダスデッキの代表格、グソクムシャGX/ダストダス
・GX戦で強いと話題のクワガノン/カプ・ブルルGX
・そして、海外発祥のデッキとして日本でも流行ったマッシブーンGX/ルガルガンGX
などなど、ゾロアークGXを中心としたメタゲームがぐるぐると回っていました。
そんな折、大会直前に、アメリカの強豪プレイヤー兼ライターのBrit Pybasが、こんな意味深なツイートをしていました。
https://twitter.com/bpybas/status/961680153557569536
「思い切って予想すると、今週末はサーナイトが復権してくると思う。ちゃんとしたデッキリストなら、ゾロアークとカプ・ブルルだらけの中でもかなりやれるはず」
▼サーナイト対マッシブーン、あるいは欧米間代理戦争
果たしてフタを開けてみれば、サーナイトGXは大躍進を遂げます。
そして、それはアメリカからではなく、ヨーロッパのチームの手によってでした。
サーナイトGX/ゾロアークGX/ミュウEX
一般的に使われるミュウツーではなく、変則的な再録によって実は使用可能なミュウEXを対マッシブーンGX用に据え、
ゾロアークラインもサブ的でなくかなり厚く積んだ、斬新なサーナイトデッキ。
デッキシェアされたヨーロッパのプレイヤーたちは、揃って予選で高い勝率を上げていきます。
そして、それを迎え撃ったのが、アメリカ勢の多くが持ち込んだマッシブーンGX/ルガルガンGX/オクタン。
GX同士の殴り合いで活躍する、みようみまねウソッキーをシークレットテクとし、
ゾロアークの群れを片っ端から刈り取っていきました。
画像①はPokeStatsから拝借した、トップ4の組み合わせ。
ヨーロッパ勢のサーナイト/ゾロアークvsアメリカ勢のマッシブーン/ルガルガン
という、さながらヨーロッパ対アメリカの代理戦争の様相が、オーストラリアのシドニーで繰り広げられたのでした。
▼Tord Reklev、現役最強プレイヤー
このDNでも何度か触れているのですが、
Tord Reklev(トード・レクレフと読むのが良いと思います)というノルウェー人プレイヤーがいます。
実はプレイ暦のかなり長いプレイヤーなのですが、
ここ最近の目立った実績はというと、
昨年夏の北米選手権(North America Internationals)優勝
昨年秋のヨーロッパ選手権(Europe Internationals)優勝
つまり、このオセアニア選手権(Oceania Internationals)を優勝すると、前人未到、前代未聞のInternationals3連覇がかかっていたのです。
そして結果は、ご存知の方も多いと思いますが、
今回も見事に優勝し、前代未聞の3連覇!
文字通り、現役最強のプレイヤーです。
▼サーナイトGX/ゾロアークGX/ミュウEX
そんな彼の使用デッキは以下。
4 ゾロア
4 ゾロアークGX
4 ラルトス
2 サーナイトGX
1 エルレイド
3 カプ・テテフGX
1 ギラティナ
1 ミュウEX
3 N
3 アズサ
2 プラターヌ博士
2 マオ
2 グズマ
4 ハイパーボール
4 時のパズル
3 ふしぎなアメ
2 シンカソーダ
2 フィールドブロアー
1 改造ハンマー
1 まんたんのくすり
1 こだわりハチマキ
1 かるいし
1 パラレルシティ
4 フェアリーエネルギー
4 ダブル無色エネルギー
(デッキは、たとえばPhilip Schulz https://twitter.com/LimitlessPhilip/status/962523319017721856 ほか複数人がツイートしていました)
一般的に想像するサーナイトGX/ゾロアークGXは、サーナイトラインが厚めで、ゾロアークはそのドロー補助、といった立ち位置です。
が、このレシピではそれが完全に逆転していて、メインがゾロアーク、そして、サーナイトはサブアタッカー的な役割として採用されています。フェアリーエネも、わずか4枚に抑えられています。
また、バトルサーチャーのない海外スタンでは、ゾロアークGXとの組み合わせで、時のパズルが日本以上に重宝されているのが伺えます。
サーナイトGXの強みとして、ゾロアークGXやマッシブーンGXといった、中打点系のカードに強いことが挙げられます。また、対ゾロアークで無類の強さを誇るエルレイドを無理なく採用できるのもメリットです。
1枚だけタッチされたミュウEXは、変則的な再録にょって、なぜか海外スタンでは使えるカード。一般的にはミュウツーが採用される枠です。
もちろんメインの役割は、いずれにしても対マッシブーンGXです。多くの場合、ライオットビートをコピーして相手のマッシブーンを吹き飛ばしていました。
プレイ面で面白かったのが、特に対マッシブーン戦であっても、初ターンのアズサではラルトスでなくゾロア中心に場に出していたことです。ゾロアークのためだけにシンカソーダが入っていることからも、このデッキがいかにゾロアークを重要視しているのかがわかります。初手率を重視したアズサ3枚も光ります。
マッシブーン側からすると、相手の場に立ち始めたゾロアークを倒せるときに倒しておくべきなのか、それともラルトスラインを早めに叩いておくべきなのか、判断が難しく、新しいデッキゆえの対処しづらさも、好成績の要因のひとつなのでしょう。特に決勝戦の3本目は、ミュウEXとまんたんのくすりがサイド落ちという状況ながらも、生き残ったサーナイトGXとカプ・テテフGXが相手のポケモンを巧みにきぜつさせていきました。
上述しましたが、このデッキはヨーロッパ勢にシェアされていたものです。Limitlessという、ポケカ情報サイトも運営しているチームです。サイトの側はここ最近ではかなり有名になってきているので、見たことのある方も多いかもしれません。
使用者は、優勝のTord Reklev、3位のPhilip Schulzをはじめ、トップ64に使用者のうち5人が入っています。彼らで稼ぎ出したポイントは計1450、賞金は計1万5千ドル。デッキのスペックがいかに優れていたかがわかるエピソードです。
▼その他のトピックス
・トップ32プレイヤーの出身国について
ヨーロッパ対アメリカの代理戦争めいていた今回のオセアニアですが、
実はトップ32の中には、欧米以外の国も入ってきています。
画像②はChristopher Schemanskeのツイートで見つけた、トップ32の国別割合。
10人のオーストラリア、7人のアメリカほか、ヨーロッパの国々が目立ちますが、
実はよく見てみると、
マレーシア3名
シンガポール2名
と、ポケカとは縁遠く思えるはずの東南アジアの国のプレイヤーも入っています。
日本から「海外ポケカ」と括るときには、アメリカなど欧米諸国ばかり連想しがちです。
が、たとえば昨年のWCSマスター優勝のDiego Cassiragaはアルゼンチンのプレイヤー。
ポケカはいまやグローバルコンテンツ。東南アジアや南米などの国のプレイヤーにも、ぜひ注目していきたいですね。
・Stephane Ivanoffの嘆き、ストリーミングと情報について
今回の大会も、もちろんtwitchでストリーミング中継が行われていました。大会に直接参加できない我々にとっては非常にありがたいことです。
が、そんな折、フランスの有名プレイヤーStephane Ivanoffが、こんなツイートをしていました。
https://twitter.com/lubyllule/status/962178230097768448地味なツイートながら、100万回ぐらいいいねを押したくなる内容でした。
「ちょっとうんざりすること。予選のスイスラウンドが終わる頃までには、プレイヤーコミュニティの側は、時間をかけて、トップ32のデッキすべてと、誰がトップ8に入るかの情報を集めきる。にもかかわらず、中継のキャスターの側は、なんだか情報を間違えていたりする(オーストラリア人がトップ8にいるとか言ったり、デッキ情報を知らなかったり)」
「こっちは地球の反対側にいるんだから、現場にいる解説者が持ってる以上の情報があるわけないだろうに」
「これは何もキャスターを叩いているわけじゃない。何より僕はPooka(Kyle Sucevich)の大ファンなのだから。でも、たぶん現場には、コミュニケーション上か何かの問題があるんだろう。もしキャスター陣の側に、全員のデッキと正確な成績の情報があれば、中継の質はもっと良くなるはずだ」
「ラウンドとラウンドの間には、前ラウンド時点でのスタンディングを中継で見せるべきだと思う。キャスターが言ってもいいし、BGMが流れてるあいだに画面に映すだけでもいいと思う。少なくとも、「Day2の人気デッキ:サーナイト」みたいなトンチンカンな紹介をするよりは」
いまは日本国内でも、公式・自主イベント両面で、中継が活発化しています。どうすればよりよい中継ができるのか、考えてみるのは、決して無駄なことではないと思います。
▼おわりに
年があけ、海外でも、2月と5月に新弾が予定されており(2月のほうは発売済みですが)、いよいよ世界大会が遠く視界に見えてきます。
今年度のスタンダードのカードプールは、国内と海外とでは多くの面で違っています。ひょっとすると、日本勢にとっては苦戦の年になるかもしれません。
が、国内でも今では、公式でも自主イベントの側でも、情報に関して、多くの新しい試みが始まっています。
いろんな試行錯誤が今後も出てくると思います。が、その中で、良いものには素直に良いと応援してあげることが、プレイヤー個々人が、ポケカ界全体に向けてできる最初で最大のことなのかもしれません。
伏線回収
2018年2月4日 ポケモンカードゲームhttp://ukinins.diarynote.jp/201612290107342687/
これを書いた16年の年末は、「下手くそだし勝てないし時間も取れないし、もういいや、やめやめ」という、完全に自暴自棄な感覚でした。本当にポケカつまらなかった。やる意味がどこにも見当たりませんでした。
それから1年と少し。
公式で盾は取れなかった、けれど。
バトクロ、アロコン、夏ファン、ポケカライブ、ポケファンetc……。
その他ここに挙げ切れないほどの楽しすぎるイベントと、それに関わる人たちに出会えて、本当に本当に幸運で幸せでした。
人生を変える、というと大げさに聞こえるかもしれませんが、そう言っても差し支えがないくらいの、そんな出会いや出来事って、ポケカにも本当にあるんだなと実感しました。
のですが。
うきにんはリアルポケカ活動を限りなく縮小させます。実質引退します。
近しい人にはちらほら話していたのですが、諸般の事情により、という感じです。
1年前にはあんな気持ちだったのに、今となっては、
「ポケカ引退したくない……もっとやりたい……イベントいっぱい出たい……」みたいな、気持ち悪すぎるポケカ愛でいっぱいです。
せめてもの抵抗として、オンラインでのポケカ絡みの活動は続けたいのですが。書きたいものやりたいことは、まだまだたくさんあるんです。
諸般の事情の急転直下の変更で、リアルポケカ続けられたらいいなあ!本当に。だってポケカだいすきだもの。
これを書いた16年の年末は、「下手くそだし勝てないし時間も取れないし、もういいや、やめやめ」という、完全に自暴自棄な感覚でした。本当にポケカつまらなかった。やる意味がどこにも見当たりませんでした。
それから1年と少し。
公式で盾は取れなかった、けれど。
バトクロ、アロコン、夏ファン、ポケカライブ、ポケファンetc……。
その他ここに挙げ切れないほどの楽しすぎるイベントと、それに関わる人たちに出会えて、本当に本当に幸運で幸せでした。
人生を変える、というと大げさに聞こえるかもしれませんが、そう言っても差し支えがないくらいの、そんな出会いや出来事って、ポケカにも本当にあるんだなと実感しました。
のですが。
うきにんはリアルポケカ活動を限りなく縮小させます。実質引退します。
近しい人にはちらほら話していたのですが、諸般の事情により、という感じです。
1年前にはあんな気持ちだったのに、今となっては、
「ポケカ引退したくない……もっとやりたい……イベントいっぱい出たい……」みたいな、気持ち悪すぎるポケカ愛でいっぱいです。
せめてもの抵抗として、オンラインでのポケカ絡みの活動は続けたいのですが。書きたいものやりたいことは、まだまだたくさんあるんです。
諸般の事情の急転直下の変更で、リアルポケカ続けられたらいいなあ!本当に。だってポケカだいすきだもの。
公式の海外レシピ紹介を補足する
2018年1月21日 ポケモンカードゲーム どんな風の吹き回しかわかりませんが、先日ポケカ公式で、11月末のSan Jose Regionals、つまり海外大会の入賞レシピが紹介されていました。
http://www.pokemon-card.com/info/2018/20180119_001052.html
あまりに唐突というか、何の脈絡もない企画だったのでかなり面食らった一方で、とうとう国内公式も海外レシピを紹介するような時代になったか、と、妙に感慨深くもなりました。
株ポケ担当者がこのブログを見ていることは100%ないでしょうが、海外記事翻訳もやってるブログとして悔しいので、勝手に公式の記事を補足します。
▼前提情報
このブログを定期的に読んでる方はご存知だと思いますが、いまの海外環境には、
・Standard(日本でいうスタンだが、XY8(XY Breakシリーズ)以降)
・Expanded(日本でいうエキストラ。BW以降)
という2つのレギュレーションがあります。
今回公式で扱われたSan Jose Regionalsは、後者Expandedの大会。
禁止カードもエクストラとほぼ同じのため、その参考として取り上げたようです。
今回のマスタートップ8デッキは、
https://www.pokemon.com/us/play-pokemon/san-jose-regionals-2018/tcg-masters/
で閲覧可能です。
ちなみにRegionals(リージョナルスと呼びます)という大会は、規模的には、日本でいう全国大会のひとつ下、各地方の大規模大会クラス。時に1000人規模のプレイヤーが集まりますが、ほぼ毎月に近いペースで開催されており、海外、特に北米のプレイヤーにとっては、ポイント稼ぎの大事な機会です。
▼なぜ夜の行進?
公式は真っ先に夜の行進を紹介しています。まあ優勝デッキだから、というのが一番の理由なのでしょうが、
事実、この大会時点では、環境の最大勢力は夜の行進でした。ゾロアークGXという強力なカードを味方につけられた一方で、大抵のGXメインデッキに対して有利を取ることができたからです。巨大植物の森の禁止によるジュナイパーGXの減少も追い風になっています。
また、優勝のAzul Garcia Griegoは、この後に行われた12月のMemphis Regionals(スタンダード)でも準優勝を飾っている強豪です。
優勝レシピは上記の公式記事を見てねという感じです。
が、この公式記事が書き落としたことのひとつは、
優勝:Azul Garcia Griego
3位:Michael Pramawat
4位:Rahul Reddy
が60枚同じ夜の行進、という事実です。
昨今の欧米勢の潮流は、スポンサード&チーム調整。
現代ポケカは情報戦、というのは常々言われることですが、ここまで明確にチーム調整とデッキシェアが結果を出すのも珍しいかもしれません。とはいえ注意深く追っていると、実は各大会で、こういったことが起きています。
▼LonZoroark
この大会のもうひとつの、むしろ最大のトピックスは、実際は夜の行進ではありません。
もしかしたらツイッターや海外サイトで、海外デッキ、特にExpandedの様子を追いかけている人もいるかもしれませんが、"LonZoroark""LonZoro"というデッキ表記に出会うことがあるのではと思います。そのデッキが一世を風靡したのがこの大会でした。
6位のレシピを書き起こします。
4 ゾロア
3 ゾロアークGX
1 ゾロアーク(BW1)
1 ゾロアーク(XY8)
3 カプ・テテフGX
2 シェイミEX
2 タマタマ(BW8)
1 ウソッキー
1 アローラベトベター
1 アローラベトベトン
1 ガマゲロゲEX
2 アクロマ
2 アズサ
2 グズマ
1 N
1 ゲーチス
1 アセロラ
1 カリン
1 オカルトマニア
4 バトルサーチャー
4 ハイパーボール
4 時のパズル
2 こだわりハチマキ
2 フィールドブロアー
2 かるいし
1 バトルコンプレッサー
1 レスキュータンカ
1 スペシャルチャージ
1 パソコン通信
3 スカイフィールド
4 ダブル無色エネルギー
あえて書くならばゾロアークGX/アローラベトベトン。
そして文字通りに、ゾロアークを使い倒すデッキです。
ゾロアークGXとタマタマのシナジーは、とりひきのエサになるだけでなく、スカイフィールドが割られた返しでの場の復帰にも大きく役立ちます。
目を引くゾロアーク(BW1)は、忘れられがちですが、ミラーマッチで相手のゾロアークGXなどを吹き飛ばすだけでなく、相手のGXワザまで盗んで使うことができます。
マインドジャックのゾロアーク(XY8)と散らすことで、非EXポケモンによる攻め筋を増やしています。
対夜の行進では、ガマゲロゲEXとカリンのパッケージが相手の戦術を封殺します。
グソクムシャGXも多い環境のため、ガマゲロゲEXの枚数は1枚に抑えられていますが、グッズロックとアローラベトベトンによる特性(おもにカプ・テテフGX)ロックは、相手のグッズとサポートを封じ込め、一方的に展開差を拡大します。
Expandedで欠かすことのできないゲーチスもしっかり投入されています。
このデッキは、6位のBodhi Tracyをはじめ、トップ32には実に6名のプレイヤーを送り込んでいます。まさにデッキシェアの威力。
日本国内のプレイヤーはあまりデッキシェアを好まない印象がありますが、スタイルの良し悪しはともかく、こういった状況の違いは知っておいて損はないところです。
▼その他のデッキについて
カードプールの広いExpanded。当然さまざまな妨害カードもあり、それだけリソース破壊系デッキも存在します。
公式ではシニア入賞のヤミラミ/ダストダスが取り上げられていますが、60cardsでも同様のデッキを扱った記事(http://www.60cards.net/en/expert-blog/user/5733/article/1103)が上がっています。
また、マスタートップ8にはホエルオーLOもいます。
上記リンク先を見てもらえば良いのでレシピを書き出したりはしませんが、ゾロアークGXはじめ特殊エネ依存デッキの多い環境ゆえ、エネ破壊もまた、有効な戦略になりえます。
▼おわりに
来週末には同じくExpandedでDallas Regionalsが開催されます。
参加申し込み人数もかなり多いようで、各所、Expandedの考察で盛り上がっています。
カードプールとしては、Crimson Invasion、日本でいうSM4が追加されて少し経ったぐらいで、以前からのデッキも相変わらず勢力を保つはずです。が、Expandedは大会数が少ないぶん、大会ごとに研究が一気に進み、メタゲームは大きく動きます。
参加人数が多いこともあり、開始前から盛り上がりを見せるDallas Regionals。Expanded、あるいはエクストラレギュが気になる方は、ぜひ結果を追いかけてみてください。
http://www.pokemon-card.com/info/2018/20180119_001052.html
あまりに唐突というか、何の脈絡もない企画だったのでかなり面食らった一方で、とうとう国内公式も海外レシピを紹介するような時代になったか、と、妙に感慨深くもなりました。
株ポケ担当者がこのブログを見ていることは100%ないでしょうが、海外記事翻訳もやってるブログとして悔しいので、勝手に公式の記事を補足します。
▼前提情報
このブログを定期的に読んでる方はご存知だと思いますが、いまの海外環境には、
・Standard(日本でいうスタンだが、XY8(XY Breakシリーズ)以降)
・Expanded(日本でいうエキストラ。BW以降)
という2つのレギュレーションがあります。
今回公式で扱われたSan Jose Regionalsは、後者Expandedの大会。
禁止カードもエクストラとほぼ同じのため、その参考として取り上げたようです。
今回のマスタートップ8デッキは、
https://www.pokemon.com/us/play-pokemon/san-jose-regionals-2018/tcg-masters/
で閲覧可能です。
ちなみにRegionals(リージョナルスと呼びます)という大会は、規模的には、日本でいう全国大会のひとつ下、各地方の大規模大会クラス。時に1000人規模のプレイヤーが集まりますが、ほぼ毎月に近いペースで開催されており、海外、特に北米のプレイヤーにとっては、ポイント稼ぎの大事な機会です。
▼なぜ夜の行進?
公式は真っ先に夜の行進を紹介しています。まあ優勝デッキだから、というのが一番の理由なのでしょうが、
事実、この大会時点では、環境の最大勢力は夜の行進でした。ゾロアークGXという強力なカードを味方につけられた一方で、大抵のGXメインデッキに対して有利を取ることができたからです。巨大植物の森の禁止によるジュナイパーGXの減少も追い風になっています。
また、優勝のAzul Garcia Griegoは、この後に行われた12月のMemphis Regionals(スタンダード)でも準優勝を飾っている強豪です。
優勝レシピは上記の公式記事を見てねという感じです。
が、この公式記事が書き落としたことのひとつは、
優勝:Azul Garcia Griego
3位:Michael Pramawat
4位:Rahul Reddy
が60枚同じ夜の行進、という事実です。
昨今の欧米勢の潮流は、スポンサード&チーム調整。
現代ポケカは情報戦、というのは常々言われることですが、ここまで明確にチーム調整とデッキシェアが結果を出すのも珍しいかもしれません。とはいえ注意深く追っていると、実は各大会で、こういったことが起きています。
▼LonZoroark
この大会のもうひとつの、むしろ最大のトピックスは、実際は夜の行進ではありません。
もしかしたらツイッターや海外サイトで、海外デッキ、特にExpandedの様子を追いかけている人もいるかもしれませんが、"LonZoroark""LonZoro"というデッキ表記に出会うことがあるのではと思います。そのデッキが一世を風靡したのがこの大会でした。
6位のレシピを書き起こします。
4 ゾロア
3 ゾロアークGX
1 ゾロアーク(BW1)
1 ゾロアーク(XY8)
3 カプ・テテフGX
2 シェイミEX
2 タマタマ(BW8)
1 ウソッキー
1 アローラベトベター
1 アローラベトベトン
1 ガマゲロゲEX
2 アクロマ
2 アズサ
2 グズマ
1 N
1 ゲーチス
1 アセロラ
1 カリン
1 オカルトマニア
4 バトルサーチャー
4 ハイパーボール
4 時のパズル
2 こだわりハチマキ
2 フィールドブロアー
2 かるいし
1 バトルコンプレッサー
1 レスキュータンカ
1 スペシャルチャージ
1 パソコン通信
3 スカイフィールド
4 ダブル無色エネルギー
あえて書くならばゾロアークGX/アローラベトベトン。
そして文字通りに、ゾロアークを使い倒すデッキです。
ゾロアークGXとタマタマのシナジーは、とりひきのエサになるだけでなく、スカイフィールドが割られた返しでの場の復帰にも大きく役立ちます。
目を引くゾロアーク(BW1)は、忘れられがちですが、ミラーマッチで相手のゾロアークGXなどを吹き飛ばすだけでなく、相手のGXワザまで盗んで使うことができます。
マインドジャックのゾロアーク(XY8)と散らすことで、非EXポケモンによる攻め筋を増やしています。
対夜の行進では、ガマゲロゲEXとカリンのパッケージが相手の戦術を封殺します。
グソクムシャGXも多い環境のため、ガマゲロゲEXの枚数は1枚に抑えられていますが、グッズロックとアローラベトベトンによる特性(おもにカプ・テテフGX)ロックは、相手のグッズとサポートを封じ込め、一方的に展開差を拡大します。
Expandedで欠かすことのできないゲーチスもしっかり投入されています。
このデッキは、6位のBodhi Tracyをはじめ、トップ32には実に6名のプレイヤーを送り込んでいます。まさにデッキシェアの威力。
日本国内のプレイヤーはあまりデッキシェアを好まない印象がありますが、スタイルの良し悪しはともかく、こういった状況の違いは知っておいて損はないところです。
▼その他のデッキについて
カードプールの広いExpanded。当然さまざまな妨害カードもあり、それだけリソース破壊系デッキも存在します。
公式ではシニア入賞のヤミラミ/ダストダスが取り上げられていますが、60cardsでも同様のデッキを扱った記事(http://www.60cards.net/en/expert-blog/user/5733/article/1103)が上がっています。
また、マスタートップ8にはホエルオーLOもいます。
上記リンク先を見てもらえば良いのでレシピを書き出したりはしませんが、ゾロアークGXはじめ特殊エネ依存デッキの多い環境ゆえ、エネ破壊もまた、有効な戦略になりえます。
▼おわりに
来週末には同じくExpandedでDallas Regionalsが開催されます。
参加申し込み人数もかなり多いようで、各所、Expandedの考察で盛り上がっています。
カードプールとしては、Crimson Invasion、日本でいうSM4が追加されて少し経ったぐらいで、以前からのデッキも相変わらず勢力を保つはずです。が、Expandedは大会数が少ないぶん、大会ごとに研究が一気に進み、メタゲームは大きく動きます。
参加人数が多いこともあり、開始前から盛り上がりを見せるDallas Regionals。Expanded、あるいはエクストラレギュが気になる方は、ぜひ結果を追いかけてみてください。
【コラム】2017年の語るべきデッキたち
2018年1月2日 ポケモンカードゲーム タイトルの通りです。
1年が終わったのに振り返りがないのは非常に寂しいので、独断と偏見で2017年の名デッキについて語ります。いまは公式にレシピがいっぱい残ってるので良いですね。
いちおう時列系順で、国内メインです。あれが抜けてるこれが抜けてる等は各自でやってください。
▼ニンフィアLO(2月 CL大阪2017)
http://www.pokemon-card.com/info/2017/20170224_000634.html#top16_g
このときの入賞は2タイプあるので悩みますが、いわゆる奈良型を。
デッキの内容については、ポケカメモさん
https://pokemoncardmemo.com/column/article2017-356/
が非常に詳しく解説して下さっているのでそちらに譲ります。
ちなみに、昨今だとLOが話題になったのは、2015の北米選手権のトップ8:
http://ukinins.diarynote.jp/201507051112278856/
のホエルオーが思い出されるところです。
ニンフィアGXの画期的なところは、強力な妨害サポを使っているとカードを引けないというホエルオーの抱えていたジレンマを、ワザで解決してしまったところです。
特殊エネ環境ではいっそう効果を発揮する戦術のため、1年近く経った今でも使用者の絶えない、非常に強力なデッキです。
▼ガマゲロゲジュナイパー(2月 CL大阪2017)
http://www.pokemon-card.com/info/2017/20170224_000634.html#top16_f
16年12月にSMシリーズが出てジュナイパーが登場し、すぐに様々な形のゲロゲジュナイパーが生まれましたが、最終的にコンプ活力型に落ち着いていきました。
この大会はこのコンプ活力型レシピが公式に載った初の機会だったのではと思います。
巨大植物の森という異常なカードがあってこそですが、トラッシュからカードを拾って進化ラインを大量に立てるという動きは、後にも先にも出てこない気がします。
▼キュウコンカプコケコ(4月 CL宮城2017)
http://www.pokemon-card.com/info/2017/20170407_000688.html#top1-2
SM2発売直後の大会、宮城会場の話題を総ざらいにした、チムアチャ謹製のデッキです。
当時はキュウコン強いなという言われ方をしていましたが、いま振り返って思うのはカプ・コケコ強いということ。
SMシリーズのGXポケモンたちは、絶妙に一撃では落とせない(一撃で落とすにはGXワザを絡める必要)というデザインをされており、このキュウコンGXも例外ではありません。
カプ・コケコのかいてんひこうは、相手HPを効率よく射程圏に落としつつ、サイドレースを奇数にする上でも最高クラスのカードです。
このレシピはカプ・コケコの強さを真っ先に見抜いたという意味でも、やはり2017年有数の傑作デッキだったと思います。
▼キュウコンジュナイパー(5月 CL愛知2017)
http://www.pokemon-card.com/info/2017/20170511_000729.html#top2-4
間違いなく、2017年の国内ポケカを代表するデッキです。続くCL岡山あたりから一気に増えた印象ですが、公式でのレシピ初出は愛知大会でした。
みちしるべが非常に便利なアローラロコン、そして中打点デッキにとって悪魔的に強いアローラキュウコンGXは、ゲロゲジュナイパー系統のデッキに安定感と多様な攻め筋をもたらしました。
しかし何よりも語るべきはアズサ。このデッキが2017年を代表するデッキなら、2017年を代表するサポートは間違いなくアズサでしょう。
SMシリーズは超強力な進化GXが多く、進化GXを速く多く場に出すことが多くのデッキの目標です。であれば、たねをたくさん出せればそれだけ強いのは、いま思えば当然のことです。が、高速環境と評される中で、アズサに使う1ターン(と高確率でのたね1体損失)が、それに見合う以上に強力というのは、ひとつの発見というレベルでした。
環境のテンポに対する考え方をがらりと見直すきっかけにもなったという点でも、間違いなく、これは2017年を代表するデッキだと思います。
▼ボルケニオンバクガメス(5月 CL岡山2017)
https://pokemoncardmemo.com/deck/article2017-287/
このデッキについては、メタ読みから構築まで、ポケカメモさんの解説がほぼすべて語って下さっています。
評価の低くなっていたデッキを再発掘して現代版にアップデートし、結果を残す。まさにTCGのお手本のような内容です。このデッキが夏までずっと結果を残し続けていたことからも、記事のインパクトの大きさが伺えます。
ポケカメモさんをはじめ、2017年は、ネット上でいろいろな方が記事を書いてくださるようになりました。この傾向が、今年もぜひ続けば良いと思います。
▼グソクムシャジュナイパー(6月 日本チャンピオン決定戦2017)
http://www.pokemon-card.com/info/2017/20170630_000786.html#3
新弾直後の模索期間の中で持ち込まれたこのデッキは、もちろん非常に優れた構築なのですが、しかしそれ以上に読んでいただきたいのが、下記klovさんの記事による、とーしんさんの思考過程。
http://pokeca.hatenablog.com/entry/2017/06/27/224751
これが世界チャンピオンたるゆえん。もう何度読んだかわからない素晴らしい内容です。
▼ジジーロンダストダス(7月 北米選手権大会)
https://www.pokemon.com/us/play-pokemon/internationals/2017/north-america/tcg-masters/
2017年の国内メタを代表するデッキがキュウコンジュナイパーなら、2017年の海外メタを代表するデッキは、異論はあれど、このジジーロンダストがそのひとつになると思います。
あるいはむしろ、使用者のTord Reklevをこそ語るべきかもしれません。正確無比なプレイを武器に、結果的に彼はこの北米選手権と、秋のヨーロッパ選手権でも優勝しており、間違いなく現時点での世界最強プレイヤーです。
▼エーフィダストダス(8月 WCS2017)
http://ukinins.diarynote.jp/201709142357398752/
ダストダス+@というデッキは、2017年海外、特にアメリカではずっと使用者の多かった(今でも多い)デッキです。もちろん、フィールドブロアーの登場までどうぐを割る手段が海外スタンのカードプールに存在しなかったという事情はあるのですが、それを差し置いてもダストダスの評価は一貫して高く、そのためキュウコンジュナイパーのような日本のメタゲームで猛威を振るっていたデッキは海外では少なく、WCSでもあまり活躍できませんでした。
このデッキはWCS3位という、グソクムシャ以外のダスト派生では最高順位だったデッキです。
記事中にもありますが、特筆すべきは、対サーナイトの戦い方。日本勢の多くが、ジジーロンダストやエーフィダストでは対サーナイトに有利を取れないと考えていた中で、この記事では明確に、対サーナイトは有利と断言しています。
序盤から相手の場にプレッシャーを掛けることでサーナイトの頭数を削り、そのままテンポ勝ちするという、盤面の完成形ではなく対戦の流れやテンポを考えた構築・動きは、日本勢にはたどり着けなかった部分です。改めて、ポケカの奥深さを思い知らされたデッキ、レポートでした。
▼グソクムシャダストダス(8月 WCS2017)
https://pokemoncardmemo.com/column/article2017-319/
http://teamachamo.diarynote.jp/201710011655442894/
WCS2017に日本勢が持ち込み、その後の海外スタン新環境のメタにも影響を与えたデッキ。当時の多くのデッキに対して互角以上に戦え、特に対サーナイトでの相性の良さは、WCS環境にぴったりとハマっていました。
上記、準優勝のアリスさんインタビューも、トップ4の油さんによる記事も、どちらも必読の素晴らしい内容です。特にお互いが記事中で触れているマギアナEXは、流石としか言いようがありません。
▼ルガルガンゾロアーク(9月 CL横浜2018)
http://www.pokemon-card.com/info/2017/20170908_000899.html#top1-2
2017年の最後の3ヶ月を文字通りに支配してしまったデッキ。同期間に開催されていたBATTLE X ROAD予選でも、ずっと最大の使用率を誇っていましたが、この9月の段階で提示されていた構築:アローラベトベトン、時のパズル4、アズサ2、基本闘エネ採用という構築が常に基準点になっていました。
これ以降に登場したルガゾロはすべて、このレシピの派生系もしくは対抗形、と言っても過言ではないほどです。
ちなみに、ルガゾロについては併せて、下記klovさんの記事
http://pokeca.hatenablog.com/entry/2017/09/26/233226
もぜひお読み下さい。
ポケカ記事を書く人の中で、デッキや環境を時間軸に基づいて語れる人って、非常に少ないのです。
ちなみに、スカイフィールドのない現海外スタンでも結果を残してしまうあたり(http://www.60cards.net/en/expert-blog/user/55/article/1122)、ルガルガンGXとゾロアークGXという2枚のカードの異常なポテンシャルが伺えます。
▼サーナイト(11月 ヨーロッパ選手権大会)
https://twitter.com/cschemanske/status/932192303359381504
http://thecharizardlounge.com/2017/11/19/2017-european-international-championship-recap-and-decklists/#christopher-gardevoir
ロンドンで開催されたこのヨーロッパ選手権大会は、語るべき要素が複数あるのですが、その中では何より、この3位入賞のサーナイトを取り上げるべきでしょう。
この尖った構築のサーナイトは"Broken Deck"と呼ばれ、この構築に至るまでの思考も、
https://sixprizes.com/2017/11/19/a-weekend-across-the-pond/
使用者本人のレポートの形で詳細に公開されています。
最大の特徴は、2枚のエルレイドと4枚のまんたんのくすり。エルレイドは、数を増やしつつあったゾロアークGXやシルヴァディGXに対して最強のアタッカーです。また、まんたんのくすりは、ミラーで有効なだけでなく、その他中打点デッキをシャットアウトします。まんたんのくすり増量に併せてすごいつりざおも増やされており、エネルギーの数を重要視していたことが伺えます。
考えてみれば強い要素の詰め合わせなのですが、それを極端かつ合理的に具現化させたこのレシピは、情報の公開のされ方や広まり方も含めて、現代の海外ポケカを象徴するかのようです。
以上になります。デッキ5、6個で済ませるつもりが11個も紹介してしまいました。でも実はその倍ぐらいは語りたいデッキがあるので、今年は環境的にも情報量の上でも、恵まれた年だったなと思います。
何より、ポケカ公式の頑張りは特筆すべきだと思います。このペース、この内容でデッキレシピ公開が続いてほしいですね。
1年が終わったのに振り返りがないのは非常に寂しいので、独断と偏見で2017年の名デッキについて語ります。いまは公式にレシピがいっぱい残ってるので良いですね。
いちおう時列系順で、国内メインです。あれが抜けてるこれが抜けてる等は各自でやってください。
▼ニンフィアLO(2月 CL大阪2017)
http://www.pokemon-card.com/info/2017/20170224_000634.html#top16_g
このときの入賞は2タイプあるので悩みますが、いわゆる奈良型を。
デッキの内容については、ポケカメモさん
https://pokemoncardmemo.com/column/article2017-356/
が非常に詳しく解説して下さっているのでそちらに譲ります。
ちなみに、昨今だとLOが話題になったのは、2015の北米選手権のトップ8:
http://ukinins.diarynote.jp/201507051112278856/
のホエルオーが思い出されるところです。
ニンフィアGXの画期的なところは、強力な妨害サポを使っているとカードを引けないというホエルオーの抱えていたジレンマを、ワザで解決してしまったところです。
特殊エネ環境ではいっそう効果を発揮する戦術のため、1年近く経った今でも使用者の絶えない、非常に強力なデッキです。
▼ガマゲロゲジュナイパー(2月 CL大阪2017)
http://www.pokemon-card.com/info/2017/20170224_000634.html#top16_f
16年12月にSMシリーズが出てジュナイパーが登場し、すぐに様々な形のゲロゲジュナイパーが生まれましたが、最終的にコンプ活力型に落ち着いていきました。
この大会はこのコンプ活力型レシピが公式に載った初の機会だったのではと思います。
巨大植物の森という異常なカードがあってこそですが、トラッシュからカードを拾って進化ラインを大量に立てるという動きは、後にも先にも出てこない気がします。
▼キュウコンカプコケコ(4月 CL宮城2017)
http://www.pokemon-card.com/info/2017/20170407_000688.html#top1-2
SM2発売直後の大会、宮城会場の話題を総ざらいにした、チムアチャ謹製のデッキです。
当時はキュウコン強いなという言われ方をしていましたが、いま振り返って思うのはカプ・コケコ強いということ。
SMシリーズのGXポケモンたちは、絶妙に一撃では落とせない(一撃で落とすにはGXワザを絡める必要)というデザインをされており、このキュウコンGXも例外ではありません。
カプ・コケコのかいてんひこうは、相手HPを効率よく射程圏に落としつつ、サイドレースを奇数にする上でも最高クラスのカードです。
このレシピはカプ・コケコの強さを真っ先に見抜いたという意味でも、やはり2017年有数の傑作デッキだったと思います。
▼キュウコンジュナイパー(5月 CL愛知2017)
http://www.pokemon-card.com/info/2017/20170511_000729.html#top2-4
間違いなく、2017年の国内ポケカを代表するデッキです。続くCL岡山あたりから一気に増えた印象ですが、公式でのレシピ初出は愛知大会でした。
みちしるべが非常に便利なアローラロコン、そして中打点デッキにとって悪魔的に強いアローラキュウコンGXは、ゲロゲジュナイパー系統のデッキに安定感と多様な攻め筋をもたらしました。
しかし何よりも語るべきはアズサ。このデッキが2017年を代表するデッキなら、2017年を代表するサポートは間違いなくアズサでしょう。
SMシリーズは超強力な進化GXが多く、進化GXを速く多く場に出すことが多くのデッキの目標です。であれば、たねをたくさん出せればそれだけ強いのは、いま思えば当然のことです。が、高速環境と評される中で、アズサに使う1ターン(と高確率でのたね1体損失)が、それに見合う以上に強力というのは、ひとつの発見というレベルでした。
環境のテンポに対する考え方をがらりと見直すきっかけにもなったという点でも、間違いなく、これは2017年を代表するデッキだと思います。
▼ボルケニオンバクガメス(5月 CL岡山2017)
https://pokemoncardmemo.com/deck/article2017-287/
このデッキについては、メタ読みから構築まで、ポケカメモさんの解説がほぼすべて語って下さっています。
評価の低くなっていたデッキを再発掘して現代版にアップデートし、結果を残す。まさにTCGのお手本のような内容です。このデッキが夏までずっと結果を残し続けていたことからも、記事のインパクトの大きさが伺えます。
ポケカメモさんをはじめ、2017年は、ネット上でいろいろな方が記事を書いてくださるようになりました。この傾向が、今年もぜひ続けば良いと思います。
▼グソクムシャジュナイパー(6月 日本チャンピオン決定戦2017)
http://www.pokemon-card.com/info/2017/20170630_000786.html#3
新弾直後の模索期間の中で持ち込まれたこのデッキは、もちろん非常に優れた構築なのですが、しかしそれ以上に読んでいただきたいのが、下記klovさんの記事による、とーしんさんの思考過程。
http://pokeca.hatenablog.com/entry/2017/06/27/224751
これが世界チャンピオンたるゆえん。もう何度読んだかわからない素晴らしい内容です。
▼ジジーロンダストダス(7月 北米選手権大会)
https://www.pokemon.com/us/play-pokemon/internationals/2017/north-america/tcg-masters/
2017年の国内メタを代表するデッキがキュウコンジュナイパーなら、2017年の海外メタを代表するデッキは、異論はあれど、このジジーロンダストがそのひとつになると思います。
あるいはむしろ、使用者のTord Reklevをこそ語るべきかもしれません。正確無比なプレイを武器に、結果的に彼はこの北米選手権と、秋のヨーロッパ選手権でも優勝しており、間違いなく現時点での世界最強プレイヤーです。
▼エーフィダストダス(8月 WCS2017)
http://ukinins.diarynote.jp/201709142357398752/
ダストダス+@というデッキは、2017年海外、特にアメリカではずっと使用者の多かった(今でも多い)デッキです。もちろん、フィールドブロアーの登場までどうぐを割る手段が海外スタンのカードプールに存在しなかったという事情はあるのですが、それを差し置いてもダストダスの評価は一貫して高く、そのためキュウコンジュナイパーのような日本のメタゲームで猛威を振るっていたデッキは海外では少なく、WCSでもあまり活躍できませんでした。
このデッキはWCS3位という、グソクムシャ以外のダスト派生では最高順位だったデッキです。
記事中にもありますが、特筆すべきは、対サーナイトの戦い方。日本勢の多くが、ジジーロンダストやエーフィダストでは対サーナイトに有利を取れないと考えていた中で、この記事では明確に、対サーナイトは有利と断言しています。
序盤から相手の場にプレッシャーを掛けることでサーナイトの頭数を削り、そのままテンポ勝ちするという、盤面の完成形ではなく対戦の流れやテンポを考えた構築・動きは、日本勢にはたどり着けなかった部分です。改めて、ポケカの奥深さを思い知らされたデッキ、レポートでした。
▼グソクムシャダストダス(8月 WCS2017)
https://pokemoncardmemo.com/column/article2017-319/
http://teamachamo.diarynote.jp/201710011655442894/
WCS2017に日本勢が持ち込み、その後の海外スタン新環境のメタにも影響を与えたデッキ。当時の多くのデッキに対して互角以上に戦え、特に対サーナイトでの相性の良さは、WCS環境にぴったりとハマっていました。
上記、準優勝のアリスさんインタビューも、トップ4の油さんによる記事も、どちらも必読の素晴らしい内容です。特にお互いが記事中で触れているマギアナEXは、流石としか言いようがありません。
▼ルガルガンゾロアーク(9月 CL横浜2018)
http://www.pokemon-card.com/info/2017/20170908_000899.html#top1-2
2017年の最後の3ヶ月を文字通りに支配してしまったデッキ。同期間に開催されていたBATTLE X ROAD予選でも、ずっと最大の使用率を誇っていましたが、この9月の段階で提示されていた構築:アローラベトベトン、時のパズル4、アズサ2、基本闘エネ採用という構築が常に基準点になっていました。
これ以降に登場したルガゾロはすべて、このレシピの派生系もしくは対抗形、と言っても過言ではないほどです。
ちなみに、ルガゾロについては併せて、下記klovさんの記事
http://pokeca.hatenablog.com/entry/2017/09/26/233226
もぜひお読み下さい。
ポケカ記事を書く人の中で、デッキや環境を時間軸に基づいて語れる人って、非常に少ないのです。
ちなみに、スカイフィールドのない現海外スタンでも結果を残してしまうあたり(http://www.60cards.net/en/expert-blog/user/55/article/1122)、ルガルガンGXとゾロアークGXという2枚のカードの異常なポテンシャルが伺えます。
▼サーナイト(11月 ヨーロッパ選手権大会)
https://twitter.com/cschemanske/status/932192303359381504
http://thecharizardlounge.com/2017/11/19/2017-european-international-championship-recap-and-decklists/#christopher-gardevoir
ロンドンで開催されたこのヨーロッパ選手権大会は、語るべき要素が複数あるのですが、その中では何より、この3位入賞のサーナイトを取り上げるべきでしょう。
この尖った構築のサーナイトは"Broken Deck"と呼ばれ、この構築に至るまでの思考も、
https://sixprizes.com/2017/11/19/a-weekend-across-the-pond/
使用者本人のレポートの形で詳細に公開されています。
最大の特徴は、2枚のエルレイドと4枚のまんたんのくすり。エルレイドは、数を増やしつつあったゾロアークGXやシルヴァディGXに対して最強のアタッカーです。また、まんたんのくすりは、ミラーで有効なだけでなく、その他中打点デッキをシャットアウトします。まんたんのくすり増量に併せてすごいつりざおも増やされており、エネルギーの数を重要視していたことが伺えます。
考えてみれば強い要素の詰め合わせなのですが、それを極端かつ合理的に具現化させたこのレシピは、情報の公開のされ方や広まり方も含めて、現代の海外ポケカを象徴するかのようです。
以上になります。デッキ5、6個で済ませるつもりが11個も紹介してしまいました。でも実はその倍ぐらいは語りたいデッキがあるので、今年は環境的にも情報量の上でも、恵まれた年だったなと思います。
何より、ポケカ公式の頑張りは特筆すべきだと思います。このペース、この内容でデッキレシピ公開が続いてほしいですね。
年末挨拶
2017年12月31日 ポケモンカードゲーム今年1年は、20年ちょっとポケカをやってきた中で、1、2を争うくらい楽しい年でした。
こんなコミュ障老害に構ってくださった皆さま、大変ありがとうございました。
ところでこれ、
http://ukinins.diarynote.jp/201612290107342687/
ちゃんと伏線回収するのでもうちょっとだけ待ってて!
こんなコミュ障老害に構ってくださった皆さま、大変ありがとうございました。
ところでこれ、
http://ukinins.diarynote.jp/201612290107342687/
ちゃんと伏線回収するのでもうちょっとだけ待ってて!
【翻訳】距離ある視点――ポケカにおけるジャッジについて
2017年11月6日 ポケモンカードゲーム コメント (4)
前回更新から2ヶ月近く間があいてしまいましたが、今回の翻訳記事もSixPrizesから。
今回は対戦レポートや考察ではなく、ジャッジに関する記事です。
昨今はオーガナイザーやエキスパート資格の制定のせいもあってか、
国内でもジャッジの活動やルーリングが注目される機会が増えてきました。
今回の記事は、アメリカの大会で現役のジャッジとして活動している人からの寄稿になっています。
SixPrizesはじめ海外サイトでも、こういった記事は珍しいと思います。逆に言えば、ジャッジの方々の活動や考えが、こうしてプレイヤーの目に届く機会はあまりないかもしれません。
その意味でも今回の記事は興味深いですが、それ以上に、発見や、はっとすることも多い内容です。
ジャッジとして活動なさっている方はもちろん、現役のプレイヤーの方にも、ぜひ読んでいただけたらと思います。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更を行った箇所があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
The Eyes from Above --An Op-Ed on the Experiences of a Judge in the Pokemon TCG Circuit
by Corey Scott
October 6th, 2017
ttps://sixprizes.com/2017/10/06/the-eyes-from-above/
こんにちは。Corey Scottと言います。今回、初めての記事をこうしてお届けできることを、非常に嬉しく思っています。ご存じないかたが多いとは思いますが、私は、われらが愛すべきポケモンカードの、ステージ2ジャッジをしています。先週末のHartford City Regionalsから、ジャッジ一筋のシーズン3年目を迎えました。
私のジャッジ暦ですが、2017年の世界大会と2017年北米選手権にジャッジとして参加し、Wisconsin Regionalsのシニアと、Origins Special Eventでヘッドジャッジを務めました。また、他にも2017年だけで、複数のイベントでフロアジャッジをしていますし、11月にはロンドンのヨーロッパ選手権にジャッジとして参加する予定です。加えてHartfordでは、マスターのセカンドヘッドジャッジを務めるという栄誉も授かりました。私のことはこれくらいにして、本題に入りましょう。
〔訳注:セカンドヘッドジャッジは、記事後半でも出てきますが、ヘッドジャッジの下、フロアジャッジの上という立ち位置〕
【原注】編集より:この記事に対して行われた編集作業は、読みやすさの向上のためだけであり、内容については一切手を加えていません。以下で行われている太字、強調、大文字化ならびにその他の文装飾や語句のわずかな変更は、編集作業の一環です。
■目的
今週の頭に、Doug Morisoliが、スリーブ関連で起こった出来事についてHeyFonteに投稿していました。この出来事のせいでトップ8が15分ほど遅れてしまっていたのです。この投稿の中で彼が挙げていた点について、私は数日間考え続けることになりました。
〔訳注:HeyFonteはFacebook上のグループコミュニティ〕
プレイヤーによるジャッジ批判はよくあることですし、時にはそれが正当なこともあります。ただし往々にして、いわゆる「舞台裏」、つまりジャッジが労を惜しまずにあらゆる視点を考慮し、プレイヤーの意見を擁護している、ということには、なかなか目が行かないものです。
確かに、何らかの問題が起こったとき、プレイヤーのコミュニティ側は真っ先にジャッジを批判しようとします。確かに私たちジャッジは、全員のそばについていることはできません。しかし私たちは、すべての参加者にとってゲームが確実に正しくプレイされるよう対処できる唯一の存在なのです。私たちの目標は、大会が、楽しく、正しく、段取りよく行われることなのです。
この記事を読むことで、プレイヤーにとって楽しいイベントの週末を、ジャッジが普段どのように過ごしているか、少しでも多く理解していただけたらと思います。
■ジャッジの週末
上述の通り、私は先週末、Hartford Regionalsのジャッジの一人でした。週末のサンプルとして、この大会を例に取りたいと思います。
〔訳注:Regionalsは、土曜がDay1、日曜がDay2(決勝トーナメント含む)という構成〕
私の週末は金曜の午前6時に始まります。この旅の同伴者は3人。途中の休憩も挟み、9時間ちょっとかかってHartfordへ到着です。ホテルにチェックインして荷物を下ろすと、大会会場へと向かいます。会場へ着くとすぐに登録へ。他の大会に行ったときに出会ったスタッフたちと挨拶を交わし、そして、必要なことは何でも手伝いをします。スタッフたちは、テーブル番号札を取り出したり、テーブルを拭いたり、賞品を整理したりしています。
私は喜んでテーブルクロスを敷いていきました。それが終わった後、イベント主催者に会うことができました――この週末、その下で働くことになる人です。それから、スタッフたちの会食へと向かいました。会食後には、夜8時から10時まで、大会で起こりうる様々なことについてスタッフたちで打合せ。そして部屋へと帰りました。
シャワーを浴び、ベッドにもぐり込み、今回ルームメイトになったジャッジと簡単なおしゃべりをしていると、時間は深夜12時30分。そこでようやく、私は眠りにつきました。
〔訳注:イベント主催者は、記事原文ではTO(Tournament Organizer)という表記〕
土曜日が来て、ルームメイトのアラームの音で5時に起こされました。ルームメイトはそのままシャワーへ行き、私は5時45分ごろにベッドから抜け出すと、よろめくように部屋の中を動きながらその日の準備をします。準備が済むと、6時半のミーティングのため会場へと向かいます。スタッフたちはコーヒー片手に会場入りし、動き方の指示を待ちます。
ミーティングは、イベント全体のヘッドジャッジ、各ディビジョンのヘッドジャッジ、そしてイベント主催者も交えて行われます。それが済むとスタッフは、選手受付のプロセスにそれぞれ配置されます。並び列のコントロールがあり、スマートフォンを用いた受付があり、そしてデッキチェックが続きます(リストに記入されたデッキが60枚あるかを数え、エキスパンションとコレクションナンバーが書かれているかを確認し、それらがスタンダードで使えるカードかを確かめます)。
受付が終わると、一斉に大会が始まります。ここにいる全員にとって、長丁場の始まりです。プレイヤーは1日に9ラウンドをこなします。が、それはジャッジにとっても同じなのです。
ほとんどの時間、ジャッジは立ちっぱなしです――ラウンドの合間を除けば、ですが、ようやく座れるかという時間は、ラウンド中に起こった問題についてのジャッジミーティングの時間、兼、足を休めている時間、ということになります。対戦時間中は、ジャッジは対戦テーブルを巡回し、問題が起きていないかを確かめ、ルーリングや質問に備えます。そして必要とあれば、ペナルティの裁定を行います。
運よく、この大会では昼食休憩の時間が設けられたので、ジャッジもプレイヤーたちと同じ時間に外で昼食を取ることができました。そして予選の9ラウンドが終わると、スタンディングが出揃い、プレイヤーたちは賞品を受け取って会場を出ます。
しかしそれらの間も、ジャッジは会場に残っています。会場にまだ残っているプレイヤーがいないか、賞品をもらい忘れているプレイヤーはいないか、そして、翌日の入場時間をプレイヤーたちがきちんと認識しているかを確かめるためです。私の場合、その日ホテルに戻ったのは夜の10時半ごろでした。夕食に行くことができたのはそれからです。
日曜日の起床時間は朝の6時。シャワーを浴びて準備をします。ジャッジの集合時間は7時半。会場に集まると、ジャッジはそれぞれの配置につきます。昨日の土曜日の段階では、マスターには20人を超えるジャッジが配置されていました。が、日曜日は、7人を残して他のジャッジはすべて、サイドイベントに配置されました。
それぞれ持ち場につくと、土曜に起こったできごとと、日曜はどのように対処していくかについてミーティングを行います。前日も長い一日を過ごしてきたジャッジたちは、ミーティングのあと、軽く準備体操をして2日目に備えました。ありがたくも私は、マスターのTop32の担当になりました。つまりは少なくとも、あと予選5ラウンドのあいだは、しっかり立っていなければならないわけです。
最終の予選スタンディングが掲示され、誰がトップ8に残って戦い続けているのか見られるようになりました。そして私は決勝トーナメントで、トップ8、準決勝、そして決勝の中継卓をジャッジしたのです。決勝戦が終わって新しいチャンピオンを祝福すると、1日の終わり、諸々を片付けるときです。私がホテルに帰ったのは夜の8時でした。
この週末の最後の最後は、月曜日、オハイオの自宅まで9時間のドライブです。そして家に着き、荷物を下ろした私は……店舗大会へポケモンカードをやりに行ったのでした。
振り返ってみれば、金曜日に9時間かけて大会へ行き、準備とミーティングを5時間行い、土曜日に16時間、日曜日には12時間半イベント会場にいて、そして月曜に9時間かけて車で家に帰りました。トータルでは28時間ものあいだ会場にいたわけです。しかしこれは、2~3時間の差こそあれ、大会でジャッジを務める場合の、非常によくある例なのです。
■中継卓でジャッジをするということ
ジャッジの中には、中継卓でジャッジを行うのを非常に嫌う人もいます。その一方で、中継卓でジャッジできるなんて名誉なことだと考えるジャッジもいます。対戦中、あなたの顔はカメラに登場し、中継卓でジャッジするにふさわしい人物として映ります。そして、足を休めることもできます。
しかしながら、中継卓でのジャッジは、フロアジャッジよりもずっと厄介だと言うジャッジもいます。中継卓でのジャッジは、いわば火中の栗のようなものです。もしプレイヤーがミスを犯したときジャッジがそれを見落としでもしたら、プレイヤーはそのミスのせいで、コミュニティ内で笑われ恥ずかしい思いをするでしょう。
私個人は、中継卓や対戦卓に張り付きでジャッジをするのは、フロアを歩き回ってジャッジをするのとは別のスキルだと思っています。プレイヤーが前のターンとこのターンに何をし、そして彼らのプレイがゲームをどのように進行させたかを覚えておくのは、フロアジャッジよりもつらい仕事です。
私を含め、ジャッジの多くは、プレイヤーのターン中に何が行われたかをメモしておくためのテーブルジャッジシートを作るようにしています。たとえば、エネルギーを貼ったか、攻撃をしたか、逃げるをしたか、サポートを使ったかどうか、などです。
これらの項目はすべて、行われたかどうかを知っておくのが重要なことだからです。
対戦中継のときは、私は、自分のシートの中に、サポートはS、エネルギーはE、ワザはA、というふうに項目を作っています。
サポートの行には、そのターンに何のサポートを使ったか、そしてEの列には何のエネルギーを貼ったかを書き込みます――たとえば、もしピーピーマックスでエネルギーをつけた場合も、私はメモするようにしています――そして、Aのところには、何のワザを使ったかを書いておきます。また、ワザでエネをつけたならそれもメモしますし、相手ポケモンを倒したなら何枚のサイドを取ったかも書いておきます。
〔訳注:ワザがAなのは、"attack"の頭文字〕
Hartfordでは、それぞれひとつひとつの対戦が、私にとっては違ったものでした。トップ8はSam Chen対Ryan Sabelhausでしたが、私にとっては、中継卓ジャッジをするにはもっとも気楽な対戦でした。この二人のプレイヤーはお互いをよく知っている友人同士で、対戦中もひっきりなしにおしゃべりしていました。終始明るく、ジャッジもやりやすい対戦でした。
〔訳注:Sam ChenもRyan Sabelhausも、どちらも名の知られた強豪プレイヤー〕
準決勝で、私は難しい場面に突き当たりました。対戦プレイヤーはどちらも物静かで、会話もほとんどありません。この対戦で私は、対戦卓に張り付くような立ち位置ではなかったため、彼らの行動をメモしていませんでした。Nがプレイされ、お互いがデッキをシャッフルをしている間などは、完全に集中力が切れていました。それでも私は、対戦中はずっと、冷静さを保ち、注意して見ている必要がありました。この対戦では、片方のプレイヤーが、実際には倒していないのに相手ポケモンを倒したと勘違いする、というミスプレイをうまく見つけることができました。
決勝のときは、いわば、もう一度自分のほうに風が吹いてきました。体力が戻り、準備は万端でした。私はテーブルに付くほうを選んだので、プレイヤーたちの行動を書き記すことができました。私はそれこそテーブルジャッジとしての私の強みだと感じました。このマッチでは、前のターンにかげぬいを使われていたにも関わらずスチームアップを使おうとしていたプレイヤーを止めることができました。総じてこの決勝トーナメントは、うまくいったと思います。
■ルーリング
このセクションは、それ自体でひとつの記事にできると思います。というのもルーリングには多くの視点があり、それぞれを話題にできるからです。しかしここでは、多少ほかのことには触れつつも、ルーリングそれ自体、つまり、指揮系統、そしてプレイヤーとの関わりについてのみ語りたいと思います。
ルーリングは、ポケカにおいては不可避的に発生するものです。プレイヤーは、ルールでは許されていない行動を取ることがあります。つまり、余分なカードを引いたり、使えないときに特性を使ったり、サイドを引きすぎたり、もしくは対戦開始時にサイドを置くのを忘れたり、です。これらにはさまざまなペナルティが伴います。
やみくもにペナルティを出すのはジャッジの仕事ではありません。大会の公平さを可能なかぎり保つことこそがジャッジの仕事です。大会ではペナルティガイドラインが一番のお供です。どのような違反がどのようなペナルティに該当するのか、端的な例を示してくれるからです。
その点に関して言えば、ペナルティに該当したプレイヤーにそのペナルティを与え、管理するのが私の仕事になります。
ペナルティの裏側には指揮系統があります。イベントにおいて、ジャッジは階層分けされています。対戦中、通路を歩き、プレイヤーの手がテーブルより上に上がっているかをチェックしたり、対戦の状況を見たりしているのがフロアジャッジ。多くの場合、プレイヤー間で何かが起こったときに最初に出てくるのがフロアジャッジです。そして多くの場合、フロアジャッジは、セカンドジャッジやヘッドジャッジとの相談までは行かずに、警告を与えるに留まります。
もしもその状況が、サイドペナルティや、より上位のペナルティに該当しそうならば、フロアジャッジは「セカンド」ジャッジやヘッドジャッジを捕まえ、判断を仰ぎます。
セカンドジャッジたちは、ヘッドジャッジに掛かる負担を軽減するために配置されています。セカンドジャッジは、サイドペナルティやゲームロスを承認することができ、そうすることで、20人以上いるジャッジたちが一人のヘッドジャッジに同時にばらばらの質問をぶつけるのを防ぐことができるのです。そしてヘッドジャッジは、各ディビジョンにおける最終決定者です。ヘッドジャッジの言葉が全てなのです。
フロアジャッジはペナルティに対処する際、ペナルティを受けようとしているプレイヤーが、ヘッドジャッジに対してアピールしたいかどうかを確認しなければなりません。したいと答えたならば、ヘッドジャッジが状況を調べるために呼ばれ、フロアジャッジのルーリングが正しいかどうかが判断されます。
ただし経験上、ヘッドジャッジはたいてい、その状況で何が起こっているかは知っています。というのもフロアジャッジは、プレイヤーが望まないようなペナルティを出す際には承認を得なければならないからです――警告に対して不平を言うプレイヤーはほとんどいませんが。それでもヘッドジャッジは出向き、プレイヤーと話し、裁定を変えてしまうような見落としをフロアジャッジがしていないかを確認するのです。
プレイヤーとの関わり合いは、常に、ジャッジの視点とはまったく別のものです。大会に行けばジャッジの多くは友人と出会いますし、嫌いなプレイヤーもいます。ただ、ほとんどのプレイヤーは、今まで会ったことのない、まったくの他人です。しかしながら、すべてのプレイヤーを、偏見なく公平に扱うのがジャッジの仕事です。
ただ、これができないジャッジがいるのもわかっています。ラウンドの合間のジャッジミーティングに、ふらりとプレイヤーが現れたことがありました。すると、とあるジャッジが言うのです。「ああ、この人は僕の担当エリアにいたんだ。何てことないよ」。ですが、全体の枠組みというものがあるのです――我々はあなたのエリアなんて知ったことではない。私たちは、大きな額のお金が動く大会にいるのです。
それだけでなく、ジャッジは、過去に良くない対処の仕方をしたプレイヤーに対しても、偏見を示してはいけません。たとえば、ソーシャルメディア上で揉めたことのあるプレイヤーに対しても、ルーリングの上では何ら違いがあってはならないのです。Hartfordでは、大会中ジャッジは、友人とハグしたりハイタッチしてはいけないと強く言われていました。なぜでしょうか? それはもしもプレイヤーがそれを見ていたら、友人の対戦に裁定を出しに行ったジャッジは、その友人に有利になるような不公平な裁定を行う、と思われてしまうからです。
■おわりに
この記事を読むことで、大会中にジャッジが何をし、どう動いているか、少しでも考慮してもらえたらと思います。だいたいにおいて、私たちは、最初に会場に来て、最後に会場を出る人々です。私たちが立ったまま長い週末を過ごすのも、ひとえに、このゲームを心から愛しているがゆえなのですから。
ペナルティを出すのを楽しんでいるジャッジはいません。もらいたくもない裁定をもらったプレイヤーから野次られるのが好きな人ジャッジもいません。ただ覚えていてほしいのです。楽しく、正しく、そして段取りよく。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
個人的に面白かったのは、中継卓でのシート記入。Regionalsクラスの大会では対戦卓中継が当たり前になったアメリカだからこその取り組みといえますが、僕も記事を読むまで知らなかったのでためになりました。
また、改めてですが、2日間で計30時間も動いているジャッジの方には、本当に頭が下がります。
余談になりますが、3年ほど前にも、別のジャッジ記事(http://ukinins.diarynote.jp/201411230944291387/)を訳したことがあります。もし興味があれば、併せてお読み下されば幸いです。
国内イベントも、今後はどんどんと大規模化・長時間化が進むかもしれません。ルールエキスパートの方も増えていますし、池袋での公認大会も近い今、ジャッジの方への敬意は常に忘れずにいたいものですね。
今回は対戦レポートや考察ではなく、ジャッジに関する記事です。
昨今はオーガナイザーやエキスパート資格の制定のせいもあってか、
国内でもジャッジの活動やルーリングが注目される機会が増えてきました。
今回の記事は、アメリカの大会で現役のジャッジとして活動している人からの寄稿になっています。
SixPrizesはじめ海外サイトでも、こういった記事は珍しいと思います。逆に言えば、ジャッジの方々の活動や考えが、こうしてプレイヤーの目に届く機会はあまりないかもしれません。
その意味でも今回の記事は興味深いですが、それ以上に、発見や、はっとすることも多い内容です。
ジャッジとして活動なさっている方はもちろん、現役のプレイヤーの方にも、ぜひ読んでいただけたらと思います。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更を行った箇所があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
The Eyes from Above --An Op-Ed on the Experiences of a Judge in the Pokemon TCG Circuit
by Corey Scott
October 6th, 2017
ttps://sixprizes.com/2017/10/06/the-eyes-from-above/
こんにちは。Corey Scottと言います。今回、初めての記事をこうしてお届けできることを、非常に嬉しく思っています。ご存じないかたが多いとは思いますが、私は、われらが愛すべきポケモンカードの、ステージ2ジャッジをしています。先週末のHartford City Regionalsから、ジャッジ一筋のシーズン3年目を迎えました。
私のジャッジ暦ですが、2017年の世界大会と2017年北米選手権にジャッジとして参加し、Wisconsin Regionalsのシニアと、Origins Special Eventでヘッドジャッジを務めました。また、他にも2017年だけで、複数のイベントでフロアジャッジをしていますし、11月にはロンドンのヨーロッパ選手権にジャッジとして参加する予定です。加えてHartfordでは、マスターのセカンドヘッドジャッジを務めるという栄誉も授かりました。私のことはこれくらいにして、本題に入りましょう。
〔訳注:セカンドヘッドジャッジは、記事後半でも出てきますが、ヘッドジャッジの下、フロアジャッジの上という立ち位置〕
【原注】編集より:この記事に対して行われた編集作業は、読みやすさの向上のためだけであり、内容については一切手を加えていません。以下で行われている太字、強調、大文字化ならびにその他の文装飾や語句のわずかな変更は、編集作業の一環です。
■目的
今週の頭に、Doug Morisoliが、スリーブ関連で起こった出来事についてHeyFonteに投稿していました。この出来事のせいでトップ8が15分ほど遅れてしまっていたのです。この投稿の中で彼が挙げていた点について、私は数日間考え続けることになりました。
〔訳注:HeyFonteはFacebook上のグループコミュニティ〕
プレイヤーによるジャッジ批判はよくあることですし、時にはそれが正当なこともあります。ただし往々にして、いわゆる「舞台裏」、つまりジャッジが労を惜しまずにあらゆる視点を考慮し、プレイヤーの意見を擁護している、ということには、なかなか目が行かないものです。
確かに、何らかの問題が起こったとき、プレイヤーのコミュニティ側は真っ先にジャッジを批判しようとします。確かに私たちジャッジは、全員のそばについていることはできません。しかし私たちは、すべての参加者にとってゲームが確実に正しくプレイされるよう対処できる唯一の存在なのです。私たちの目標は、大会が、楽しく、正しく、段取りよく行われることなのです。
この記事を読むことで、プレイヤーにとって楽しいイベントの週末を、ジャッジが普段どのように過ごしているか、少しでも多く理解していただけたらと思います。
■ジャッジの週末
上述の通り、私は先週末、Hartford Regionalsのジャッジの一人でした。週末のサンプルとして、この大会を例に取りたいと思います。
〔訳注:Regionalsは、土曜がDay1、日曜がDay2(決勝トーナメント含む)という構成〕
私の週末は金曜の午前6時に始まります。この旅の同伴者は3人。途中の休憩も挟み、9時間ちょっとかかってHartfordへ到着です。ホテルにチェックインして荷物を下ろすと、大会会場へと向かいます。会場へ着くとすぐに登録へ。他の大会に行ったときに出会ったスタッフたちと挨拶を交わし、そして、必要なことは何でも手伝いをします。スタッフたちは、テーブル番号札を取り出したり、テーブルを拭いたり、賞品を整理したりしています。
私は喜んでテーブルクロスを敷いていきました。それが終わった後、イベント主催者に会うことができました――この週末、その下で働くことになる人です。それから、スタッフたちの会食へと向かいました。会食後には、夜8時から10時まで、大会で起こりうる様々なことについてスタッフたちで打合せ。そして部屋へと帰りました。
シャワーを浴び、ベッドにもぐり込み、今回ルームメイトになったジャッジと簡単なおしゃべりをしていると、時間は深夜12時30分。そこでようやく、私は眠りにつきました。
〔訳注:イベント主催者は、記事原文ではTO(Tournament Organizer)という表記〕
土曜日が来て、ルームメイトのアラームの音で5時に起こされました。ルームメイトはそのままシャワーへ行き、私は5時45分ごろにベッドから抜け出すと、よろめくように部屋の中を動きながらその日の準備をします。準備が済むと、6時半のミーティングのため会場へと向かいます。スタッフたちはコーヒー片手に会場入りし、動き方の指示を待ちます。
ミーティングは、イベント全体のヘッドジャッジ、各ディビジョンのヘッドジャッジ、そしてイベント主催者も交えて行われます。それが済むとスタッフは、選手受付のプロセスにそれぞれ配置されます。並び列のコントロールがあり、スマートフォンを用いた受付があり、そしてデッキチェックが続きます(リストに記入されたデッキが60枚あるかを数え、エキスパンションとコレクションナンバーが書かれているかを確認し、それらがスタンダードで使えるカードかを確かめます)。
受付が終わると、一斉に大会が始まります。ここにいる全員にとって、長丁場の始まりです。プレイヤーは1日に9ラウンドをこなします。が、それはジャッジにとっても同じなのです。
ほとんどの時間、ジャッジは立ちっぱなしです――ラウンドの合間を除けば、ですが、ようやく座れるかという時間は、ラウンド中に起こった問題についてのジャッジミーティングの時間、兼、足を休めている時間、ということになります。対戦時間中は、ジャッジは対戦テーブルを巡回し、問題が起きていないかを確かめ、ルーリングや質問に備えます。そして必要とあれば、ペナルティの裁定を行います。
運よく、この大会では昼食休憩の時間が設けられたので、ジャッジもプレイヤーたちと同じ時間に外で昼食を取ることができました。そして予選の9ラウンドが終わると、スタンディングが出揃い、プレイヤーたちは賞品を受け取って会場を出ます。
しかしそれらの間も、ジャッジは会場に残っています。会場にまだ残っているプレイヤーがいないか、賞品をもらい忘れているプレイヤーはいないか、そして、翌日の入場時間をプレイヤーたちがきちんと認識しているかを確かめるためです。私の場合、その日ホテルに戻ったのは夜の10時半ごろでした。夕食に行くことができたのはそれからです。
日曜日の起床時間は朝の6時。シャワーを浴びて準備をします。ジャッジの集合時間は7時半。会場に集まると、ジャッジはそれぞれの配置につきます。昨日の土曜日の段階では、マスターには20人を超えるジャッジが配置されていました。が、日曜日は、7人を残して他のジャッジはすべて、サイドイベントに配置されました。
それぞれ持ち場につくと、土曜に起こったできごとと、日曜はどのように対処していくかについてミーティングを行います。前日も長い一日を過ごしてきたジャッジたちは、ミーティングのあと、軽く準備体操をして2日目に備えました。ありがたくも私は、マスターのTop32の担当になりました。つまりは少なくとも、あと予選5ラウンドのあいだは、しっかり立っていなければならないわけです。
最終の予選スタンディングが掲示され、誰がトップ8に残って戦い続けているのか見られるようになりました。そして私は決勝トーナメントで、トップ8、準決勝、そして決勝の中継卓をジャッジしたのです。決勝戦が終わって新しいチャンピオンを祝福すると、1日の終わり、諸々を片付けるときです。私がホテルに帰ったのは夜の8時でした。
この週末の最後の最後は、月曜日、オハイオの自宅まで9時間のドライブです。そして家に着き、荷物を下ろした私は……店舗大会へポケモンカードをやりに行ったのでした。
振り返ってみれば、金曜日に9時間かけて大会へ行き、準備とミーティングを5時間行い、土曜日に16時間、日曜日には12時間半イベント会場にいて、そして月曜に9時間かけて車で家に帰りました。トータルでは28時間ものあいだ会場にいたわけです。しかしこれは、2~3時間の差こそあれ、大会でジャッジを務める場合の、非常によくある例なのです。
■中継卓でジャッジをするということ
ジャッジの中には、中継卓でジャッジを行うのを非常に嫌う人もいます。その一方で、中継卓でジャッジできるなんて名誉なことだと考えるジャッジもいます。対戦中、あなたの顔はカメラに登場し、中継卓でジャッジするにふさわしい人物として映ります。そして、足を休めることもできます。
しかしながら、中継卓でのジャッジは、フロアジャッジよりもずっと厄介だと言うジャッジもいます。中継卓でのジャッジは、いわば火中の栗のようなものです。もしプレイヤーがミスを犯したときジャッジがそれを見落としでもしたら、プレイヤーはそのミスのせいで、コミュニティ内で笑われ恥ずかしい思いをするでしょう。
私個人は、中継卓や対戦卓に張り付きでジャッジをするのは、フロアを歩き回ってジャッジをするのとは別のスキルだと思っています。プレイヤーが前のターンとこのターンに何をし、そして彼らのプレイがゲームをどのように進行させたかを覚えておくのは、フロアジャッジよりもつらい仕事です。
私を含め、ジャッジの多くは、プレイヤーのターン中に何が行われたかをメモしておくためのテーブルジャッジシートを作るようにしています。たとえば、エネルギーを貼ったか、攻撃をしたか、逃げるをしたか、サポートを使ったかどうか、などです。
これらの項目はすべて、行われたかどうかを知っておくのが重要なことだからです。
対戦中継のときは、私は、自分のシートの中に、サポートはS、エネルギーはE、ワザはA、というふうに項目を作っています。
サポートの行には、そのターンに何のサポートを使ったか、そしてEの列には何のエネルギーを貼ったかを書き込みます――たとえば、もしピーピーマックスでエネルギーをつけた場合も、私はメモするようにしています――そして、Aのところには、何のワザを使ったかを書いておきます。また、ワザでエネをつけたならそれもメモしますし、相手ポケモンを倒したなら何枚のサイドを取ったかも書いておきます。
〔訳注:ワザがAなのは、"attack"の頭文字〕
Hartfordでは、それぞれひとつひとつの対戦が、私にとっては違ったものでした。トップ8はSam Chen対Ryan Sabelhausでしたが、私にとっては、中継卓ジャッジをするにはもっとも気楽な対戦でした。この二人のプレイヤーはお互いをよく知っている友人同士で、対戦中もひっきりなしにおしゃべりしていました。終始明るく、ジャッジもやりやすい対戦でした。
〔訳注:Sam ChenもRyan Sabelhausも、どちらも名の知られた強豪プレイヤー〕
準決勝で、私は難しい場面に突き当たりました。対戦プレイヤーはどちらも物静かで、会話もほとんどありません。この対戦で私は、対戦卓に張り付くような立ち位置ではなかったため、彼らの行動をメモしていませんでした。Nがプレイされ、お互いがデッキをシャッフルをしている間などは、完全に集中力が切れていました。それでも私は、対戦中はずっと、冷静さを保ち、注意して見ている必要がありました。この対戦では、片方のプレイヤーが、実際には倒していないのに相手ポケモンを倒したと勘違いする、というミスプレイをうまく見つけることができました。
決勝のときは、いわば、もう一度自分のほうに風が吹いてきました。体力が戻り、準備は万端でした。私はテーブルに付くほうを選んだので、プレイヤーたちの行動を書き記すことができました。私はそれこそテーブルジャッジとしての私の強みだと感じました。このマッチでは、前のターンにかげぬいを使われていたにも関わらずスチームアップを使おうとしていたプレイヤーを止めることができました。総じてこの決勝トーナメントは、うまくいったと思います。
■ルーリング
このセクションは、それ自体でひとつの記事にできると思います。というのもルーリングには多くの視点があり、それぞれを話題にできるからです。しかしここでは、多少ほかのことには触れつつも、ルーリングそれ自体、つまり、指揮系統、そしてプレイヤーとの関わりについてのみ語りたいと思います。
ルーリングは、ポケカにおいては不可避的に発生するものです。プレイヤーは、ルールでは許されていない行動を取ることがあります。つまり、余分なカードを引いたり、使えないときに特性を使ったり、サイドを引きすぎたり、もしくは対戦開始時にサイドを置くのを忘れたり、です。これらにはさまざまなペナルティが伴います。
やみくもにペナルティを出すのはジャッジの仕事ではありません。大会の公平さを可能なかぎり保つことこそがジャッジの仕事です。大会ではペナルティガイドラインが一番のお供です。どのような違反がどのようなペナルティに該当するのか、端的な例を示してくれるからです。
その点に関して言えば、ペナルティに該当したプレイヤーにそのペナルティを与え、管理するのが私の仕事になります。
ペナルティの裏側には指揮系統があります。イベントにおいて、ジャッジは階層分けされています。対戦中、通路を歩き、プレイヤーの手がテーブルより上に上がっているかをチェックしたり、対戦の状況を見たりしているのがフロアジャッジ。多くの場合、プレイヤー間で何かが起こったときに最初に出てくるのがフロアジャッジです。そして多くの場合、フロアジャッジは、セカンドジャッジやヘッドジャッジとの相談までは行かずに、警告を与えるに留まります。
もしもその状況が、サイドペナルティや、より上位のペナルティに該当しそうならば、フロアジャッジは「セカンド」ジャッジやヘッドジャッジを捕まえ、判断を仰ぎます。
セカンドジャッジたちは、ヘッドジャッジに掛かる負担を軽減するために配置されています。セカンドジャッジは、サイドペナルティやゲームロスを承認することができ、そうすることで、20人以上いるジャッジたちが一人のヘッドジャッジに同時にばらばらの質問をぶつけるのを防ぐことができるのです。そしてヘッドジャッジは、各ディビジョンにおける最終決定者です。ヘッドジャッジの言葉が全てなのです。
フロアジャッジはペナルティに対処する際、ペナルティを受けようとしているプレイヤーが、ヘッドジャッジに対してアピールしたいかどうかを確認しなければなりません。したいと答えたならば、ヘッドジャッジが状況を調べるために呼ばれ、フロアジャッジのルーリングが正しいかどうかが判断されます。
ただし経験上、ヘッドジャッジはたいてい、その状況で何が起こっているかは知っています。というのもフロアジャッジは、プレイヤーが望まないようなペナルティを出す際には承認を得なければならないからです――警告に対して不平を言うプレイヤーはほとんどいませんが。それでもヘッドジャッジは出向き、プレイヤーと話し、裁定を変えてしまうような見落としをフロアジャッジがしていないかを確認するのです。
プレイヤーとの関わり合いは、常に、ジャッジの視点とはまったく別のものです。大会に行けばジャッジの多くは友人と出会いますし、嫌いなプレイヤーもいます。ただ、ほとんどのプレイヤーは、今まで会ったことのない、まったくの他人です。しかしながら、すべてのプレイヤーを、偏見なく公平に扱うのがジャッジの仕事です。
ただ、これができないジャッジがいるのもわかっています。ラウンドの合間のジャッジミーティングに、ふらりとプレイヤーが現れたことがありました。すると、とあるジャッジが言うのです。「ああ、この人は僕の担当エリアにいたんだ。何てことないよ」。ですが、全体の枠組みというものがあるのです――我々はあなたのエリアなんて知ったことではない。私たちは、大きな額のお金が動く大会にいるのです。
それだけでなく、ジャッジは、過去に良くない対処の仕方をしたプレイヤーに対しても、偏見を示してはいけません。たとえば、ソーシャルメディア上で揉めたことのあるプレイヤーに対しても、ルーリングの上では何ら違いがあってはならないのです。Hartfordでは、大会中ジャッジは、友人とハグしたりハイタッチしてはいけないと強く言われていました。なぜでしょうか? それはもしもプレイヤーがそれを見ていたら、友人の対戦に裁定を出しに行ったジャッジは、その友人に有利になるような不公平な裁定を行う、と思われてしまうからです。
■おわりに
この記事を読むことで、大会中にジャッジが何をし、どう動いているか、少しでも考慮してもらえたらと思います。だいたいにおいて、私たちは、最初に会場に来て、最後に会場を出る人々です。私たちが立ったまま長い週末を過ごすのも、ひとえに、このゲームを心から愛しているがゆえなのですから。
ペナルティを出すのを楽しんでいるジャッジはいません。もらいたくもない裁定をもらったプレイヤーから野次られるのが好きな人ジャッジもいません。ただ覚えていてほしいのです。楽しく、正しく、そして段取りよく。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
個人的に面白かったのは、中継卓でのシート記入。Regionalsクラスの大会では対戦卓中継が当たり前になったアメリカだからこその取り組みといえますが、僕も記事を読むまで知らなかったのでためになりました。
また、改めてですが、2日間で計30時間も動いているジャッジの方には、本当に頭が下がります。
余談になりますが、3年ほど前にも、別のジャッジ記事(http://ukinins.diarynote.jp/201411230944291387/)を訳したことがあります。もし興味があれば、併せてお読み下されば幸いです。
国内イベントも、今後はどんどんと大規模化・長時間化が進むかもしれません。ルールエキスパートの方も増えていますし、池袋での公認大会も近い今、ジャッジの方への敬意は常に忘れずにいたいものですね。
数ヶ月ぶりの翻訳はSixPrizesから。
今年の世界大会も非常な盛り上がりを見せていましたが、今回は、SixPrizesに上がっていた3位入賞レポートの翻訳です。
3位入賞のXander Peroは複数の大会で入賞暦もある強豪プレイヤーの一人。今回の世界大会はエーフィダストを選択しています。
世界レギュを少しかじっていた方ならご存知かもしれませんが、
実はエーフィダストは、日本勢の中ではあまり評価の高くなかったデッキです。
しかしながら実際は、エーフィダストもジジーロンダストも、世界大会本戦には多くいたのです。
筆者がどういう考えでエーフィダストを使っていたのか、どういうプレイをしていたのか、
ぜひ考え方の違い、プレイの違いを読み取っていただけたらと思います。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更があります。
※実際のレポートはもう少し長いのですが、本大会に無関係の部分は省略しました。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
The Psychic Princess --Xander Pero’s 3rd Place Worlds 2017 Report with Espeon/Garbodor
by Xander Pero
August 25th, 2017
ttps://sixprizes.com/2017/08/25/the-psychic-princess/
こんにちは。みなさんも、先週アナハイムで行われたお祭りを、中継で見たり、もしくは実際に参加したりして、楽しんでいたと思います。1年間がそこに向けて成り立っているという意味でも、私にとって世界大会は大好きなイベントです。1年を通じて頑張ったことへのご褒美、というわけです。
世界大会に向けては、私はエーフィ/ダストダスか、ジュナイパー/ラフレシアのどちらかを使うことに決めていました。ただ私の夏休みは、ボリビアとミシガン州にいる家族に会う予定がめいっぱい詰まっていて、調整の時間がほとんど取れませんでした。たとえ調整に使える時間の余裕があるときでも、私の心は休息と勉強のほうに向いていたのです。
とはいえ、その2つのデッキを使ってきた経験を考えれば、たとえ調整時間がどれほど少なくても、私は、その2つのデッキならば大丈夫だろうと考えていたのです。他のデッキ調整もやろうと思ってはいたものの、エーフィ/ダストダスを使っているときが一番楽しく、また一番うまくプレイできたのです。それは、エーフィ/ダストダスを使ってきた経験が自分にはたくさんあるからです。新しいデッキを学ぶよりも、その経験を優先しました。
ひとつのデッキを使ってきた経験というのは、その環境のベストデッキやメタデッキを使うことよりも、大事なことだと私は思います。これまで、自分が成績を残せなかった大会は、うまく使えるはずのデッキを差し置いて、メタ的に強いと言われるデッキを手に取ったのが理由だったのです。
■金曜日の調整
セレモニーが終わり第1ラウンドの幕が上がると、プレイヤーたちは対戦卓の周囲に集まり始めました。アレックス・ヒルと私は、アナハイムオープンが開催される予定のオープンエリアに出向きました。ただしこの時点では、そこは完全なフリーエリアで、調整にはもってこいの場所でした。
アレックスと私はエーフィ/ダストダス対ジュナイパーと対サーナイトを行い、どちらも有利なマッチアップであることを確かめました。対サーナイトは、エーフィダスト側が6勝2敗でした。このマッチアップは、ディビジョンGXで早いプレッシャーをかけられるぶん、エーフィ側が60:40で有利だと思っています(トップ4のマッチでは明らかに逆の結果になってしまいましたが、それでも私は自分の考えと調整結果を信用します)。
サーナイトは、ジジーロンなら3エネで倒せますが、エネのついたエーフィを倒すには4エネが要求され、条件が厳しくなっています。そして同じ3エネワザでも、ジジーロンのぎゃくじょうよりも、エーフィのサイコキネシスのほうが高い打点が出せることもあるのです。
最後に念を入れて調整したのはミラーマッチでした。ミラーの経験を多く積めたのは、私たち両方にとって良いほうに働きました。対戦しながら、特定のギミックカードを抜き差しし、マッチアップにどのような影響があるかを確かめました。以下は、デッキの根幹57枚以外のところで私たちが話し合ったカードの一覧です。
・シャワーズ
・オドリドリ
・ウソッキー/サンダース
・アセロラ
・センパイとコウハイ
・フィールドブロアー2枚目
・こだわりハチマキ4枚目
・パラレルシティ
4 イーブイ
3 エーフィGX
1 ブースター
4 ヤブクロン
3 ダストダス(ゴミなだれ)
1 ダストダス(ダストオキシン)
2 カプ・テテフGX
3 プラターヌ博士
3 N
2 グズマ
1 アズサ/ポケモンだいすきクラブ
1 オカルトマニア
4 ハイパーボール
4 バトルサーチャー
1 フィールドブロアー
1 レスキュータンカ
3 こだわりハチマキ
4 かるいし
8 超エネルギー
4 ダブル無色エネルギー
3 自由枠
こういったギミックカードはたいてい、特定のマッチアップだけで有効なものです。打てれば勝ち、というような、対戦中に一度だけ使うようなカードです。シャワーズ、オドリドリ、サンダースは、それぞれボルケニオン、ビークイン、そしてメガレックウザを吹き飛ばすためのカードです。
けれども逆に、そういったもの以外のギミックカードは、単一のデッキを狙うというよりも、どんな場合にでも役立つ、つまり、特定のマッチアップ相性の向上に特化しているというよりも、デッキの動きに沿ったカードです。
最終的にアレックスと私は、上述のカードのうち、太字になっているものを選びました。デッキを丸くし、個々の各マッチアップ相性をほんのわずかにだけ向上させる、そんな「良い」カードたちです。
フィールドブロアーは、ゴミなだれの打点を押し上げるだけでなく、ミラーでパラレルシティを置かれたときにも役立つカードです。対メガレックウザ戦で、スカイフィールドを割るのにも幾度となく使いました。そして忘れてはいけない重要な要素は、闘魂のまわしを割れるという点です。というのもエーフィGXは、HPが40上がると対処できないからです。
パラレルシティは対メガレックウザ戦と、ミラーマッチでも素晴らしいカードです。ゲーム序盤、相手がカプ・テテフGXをプレイする前にベンチサイズを制限するのも強く、またその機会を逃したとしても、相手にサイド2枚取られるのを防ぐため、カプ・テテフやエーフィをベンチから捨ててしまえるように、手札に取っておくと良いでしょう。
センパイとコウハイは、見たままですが、グッズや大事なリソースを費やすことなく必要なカードを持ってくるのに使えます。
ミラー戦では、たねポケモンを必要なだけ並べられたら上出来です。ヤブクロンを2、3枚とイーブイを2体。ただそれを除けば、エネ以外に引き込まなければいけないカードはありません。どうぐやグッズなどは確かにほしいですが、サポーターは握っておきましょう。相手に良いカードを引かせてしまうこともあるわけですから。
【訳注:おそらくNのことを言っています。】
■大会本番
朝起きてスターバックスで軽く食べ物をつまんでから、目的地に向かいます。アレックスと私は、前夜のうちに、サム・チェンとメッセージのやりとりをして、デッキの候補について話をしていました。そこで出ていたのが、グソクムシャGX/ダストダスとエーフィ/ダストダスでした。アレックスと私はすでにエーフィ/ダストダスを使うと決めていたので、エーフィを使うようにサムを説得しようとしました。結局サムはジジーロン/ダストダスを選び、そしてトップ8に残っていました!
【訳注:ここから対戦レポートが続くのですが、作業時間と分量の関係で、2戦だけピックアップして訳出しました】
8回戦:Takuya Yoneda(JP):ホウオウGX/エンニュートGX
Takuyaのデッキについては、彼の対戦を早い段階で見ていたAzulから聞いていたので、デッキに何が入っているかは知っていました。が、デッキがどういった動きをしてくるのかはわかりませんでした。このせいで1ゲーム目は完全にやられましたが、その中で、相手の動きを覚え、合わせていくことができました。
相手のデッキは驚くほどに直線的ですが、初ターンにカキをホウオウに使いつつ、その間にエンニュートを育てるのを目的とした動きは強力です。ホウオウはカプ・テテフやエーフィをたやすく倒してサイドを2~4枚取り、後続はエンニュートが務めて、相手を吹き飛ばしていきます。この動きは強力で対応が難しく、2ターン目のホウオウも非常な脅威でした。
2ゲーム目はあまり語ることがありません。相手はドローサポーターを見つけられず、ひとまずバクガメスGXにカキを使うだけに留まりましたが、私はそこをグズマで呼んでサイコキネシスを打ち込みました。相手のアタッカー陣は、エンニュートを育てつつこちらを簡単に一掃できてしまうパワーがあるため、こちらの目的は相手のアタッカーを2発ずつですべて倒してしまうことです。
こちらはダストオキシンを立て、相手のハイパーボールでワンダータッチを使わせないようにしました。相手はカキをベンチポケモンに使い続け、それを私はグズマで呼んで倒し続けました。これが4度繰り返され、私はサイド6枚を取りきりました。
3ゲーム目は1ゲーム目と同じような形で進みました。ただし、相手が初ターンカキを逃した以外は。それでも相手は手張りと2度のピーピーマックスで、2ターン目に攻撃を繰り出してきました。私は受けに回らざるを得ませんでしたが、2体目のエーフィGXのサイケこうせんで60ダメージを与えます。
この時点で、私のベンチには、倒されるとサイドを2枚引かれるポケモンがいませんでした。私は勝てると思いました。というのも、相手はグズマを打つか、エネを捨てて逃げるしかないからです。そうすれば相手の速度は落ちます。……が、私が間違っていました。相手はプラターヌ博士を打つと、2枚しか入っていないポケモンいれかえを2枚とも使い、こちらのエーフィを倒してきたのです! この時点で、残りサイドは相手が2、一方こちらは6でした。
勝つ方法が見えず、私は完璧に動揺していました。こちらにはヤブクロン2体とイーブイが1体、対する相手はエネのついたホウオウGXと、ベンチにはエンニュートGXが待ち構えています。サイケこうせんぐらいしかないかと思いながら、相手のトラッシュに目をやりました。
その瞬間、私は、扇状に見やすく並べられたグッズが、そこに8枚あることに気付いたのです。相手はこちらのポケモンを倒すために相当量のグッズを費やす必要性がありました。そのことが、私に勝ち筋を与えてくれていたのです。
私はヤブクロンをバトル場に送り、ホウオウを倒すためにセンパイとコウハイを使いつつ、次のターンに2体目のダストダスとNを準備できるようにしておきました。相手はエンニュートをバトル場に出し、ヤトウモリをベンチに置いてエネを貼り、そしてエンニュートでこちらのダストダスを倒してきました。
ここが勝負の分かれ目です。私は最後のヤブクロンをバトル場に送り出すと、進化させてエネを貼り、そしてNを叩きつけました。すでに相手のトラッシュにはグッズが10枚落ちており、エンニュートを倒すのには足りています。私は、相手がNで山札からカードを引くのを見ていました……が、表情からは何も読み取れません。私はゴミなだれを宣言し、残りサイドは2枚になりました。
彼は山札からカードを引くと、困ったようにボルケニオンをバトル場に突き出し、パワーヒーターを使ってきました。私は手札に目をやりました。Nでの4枚で、私はグズマを引き込んでいたのです。ターンの最初にカードを引くと、グズマを使って相手のEXを呼び、そしてこのゲームに勝つことができたのでした。
トップ4:Diego Cassiraga(AR):サーナイトGX
1ゲーム目の初手はサポーターなし……楽しいね! ただ何とか2ターン目にはNをトップデッキし、さらにその時点ではダストオキシンのダストダスがすでに立っていました。ディエゴはサポーターエンジンも使えずひみつのいずみでエネも貼れず、私のほうが圧倒的に優位な立場にいました。私にとっての問題は、ダブル無色が引き込めない、ということでしたが。
このマッチアップでは、相手が一気に攻撃を始めてくるまでに、サイドを2枚取っておくことがとてつもなく重要です。また、カプ・テテフGXがアセロラを絡めてアタッカーとして動くのを防ぐために、先にカプ・テテフに20ダメージを載せておくのも必要なことです。しかしながら今回、どちらのゲームでも私は序盤の攻め手を欠いてしまったために、1ゲーム目はほんのわずかの差で落とし、2ゲーム目はまったくのノーチャンスだったのです。
こちらが十分な攻撃をできずにいる間に、相手はトワイライトGX。場にはエーフィGXがいましたが(結局ダブル無色エネルギーは付けられましたが)、あまりに遅すぎました。彼はアセロラとふしぎなアメを握り、この対戦をうまくサーナイトデッキ対エーフィデッキの形に持ち込んだのです。
1進化の複数入ったデッキによくあることですが、1進化ポケモンのうち1つが使い物にならない、というのは、典型的な劣勢の状態です。彼は引きもよく、グッズを使う必要がなかったため、こちらのゴミなだれは役立たずになり、ダストオキシンにフィールドブロアーを打ち込むのも、あまり痛手になりませんでした。
最も心を折られたターンは、こだわりハチマキも引けず、それまでにロスしたテンポも響いたときです。グズマをサーナイトに対して打っても、210ダメージしか乗せられなかったのですから。もしもこの対戦のどこかで一度でも強い動きができていたら、たとえばそれが序盤の、あるいは終盤にNと一緒に打ち込むディビジョンGXであったなら、このゲームはこちらのものになっていたでしょう。
2ゲーム目はさらに悲しい状況でした。2ターン目にNは引けず、ダブル無色は持っていたものの、バトル場ではヤブクロンが棒立ちになっていました。最初の数ターンの時点ですでに惨めな状況で、正直、勝つ見込みはまったくないと思っていました。毎ターン何もなく、すでに相手より3ターンも出遅れていたのです。ようやくこちらがプラターヌ博士を引き込んだときには、相手に3ターンも、展開の時間をただで与えていたようなものでした。本来それらのターンは、サイドを引き、2体目のエーフィGXを立てるために使われるべきものです。このゲームでの私のプレイの意図はすべて、相手の展開を遅らせ、最終的には、Nで相手の手札を1,2枚にし、ダストオキシンと合わせてゲームをひっくり返してしまおうというものでした。
このゲームに関して言いたいのは、メモを取るのがいかに重要か、ということです。サイド落ちを調べるのはメモがなくてもできます。が、メモがあれば忘れることはなくなりますし、サイドに落ちていたカードのうち、どれをすでに取ったかもわかるようになります。もうひとつ、このマッチでメモを利用したのは、確率に関してです。ゲームの最終ターンで、相手とこちらの山札と手札の枚数を数え、お互いにとってありえそうな結果を考えたのです。そのときの私には、Nかプラターヌ博士かの選択があったためでした。
相手は5枚の手札があり、そのうちエネルギーは1枚だけでした。フェアリーエネです。このとき、プラターヌ博士を使ってこだわりハチマキを引きに行き、エーフィで攻撃するということもできました。ただ、相手は手札にサポートを抱えている可能性がかなり高かったのです。私は、リスクの高いプレイ、つまりNを打つほうを選びましたが、こだわりハチマキは引けませんでした。一応ここでヤブクロンを前に出して時間を稼ぐこともできましたが、たいした違いはなかったでしょう。相手のサイドが残り1になり、こちらは準備万端のサーナイトGX2体を前にして逆転を試みることになるのですから。
■まとめ
終わってみれば、自分の結果にとても満足しています。8回戦もやるなんて考えただけで恐ろしかったのですが……。
優秀なプレイヤーがこれだけ多くいる空間で、6-1-1なんて成績を残すのは至難の業です。が、幸運とマッチアップ、そしてスキルのおかげで、私はなんとか持ちこたえ、トップ4まで行くことができました。
来年も精一杯やって、またランキングのトップ16に残れたらと思っています。大会はたくさんあり、あとはできるだけ上手くやるだけです。Ft.Wayneに出るみなさんの成功を祈ります。エキスパンデッドは私の得意分野ではありませんが、取り急ぎ何かしら準備をして、多少なりともポイントを確保しに行くべきですね。またお会いしましょう。
【訳注:年間のプレイポイントランキングの16位以内に入るとDay2からが確定する】
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
おもに作業時間の関係上、レポートが全訳できず申し訳なく思います。
(が、上記2対戦が飛びぬけて面白いしためになると思います。他の対戦も、時間ができれば追記していきます)
ざっと読んでみて、誰もが気付くのは下記2点ではないかと思います。
・エーフィダストにおける、序盤からプレッシャーを掛ける(殴っていく)ことの重要性
・メモの重要性
序盤から殴ることに関しては、対サーナイトのマッチアップ相性を書いている箇所が非常に特徴的です。
エーフィダスト対サーナイトについて、世界レギュをやっていた多くの日本勢は、互角もしくはサーナイトのほうが微有利ではないか、と思っていたはずです。それを筆者は、エーフィダストのほうが有利、と断言しています。
理由は、序盤のプレッシャー。パラレルシティでベンチを縛って展開を遅らせ、序盤に取ったサイドのリードを保つ。これは、キュウコンジュナイパーを世界レギュトップメタだと考えていたプレイヤー(僕を含め)には、一週回って盲点ともいえる戦い方です。本当にそれで勝てるの?と。しかし筆者の言うように速度が重要であるならば(現にサーナイトは遅いデッキです)、3ゲーム中2ゲームで、想定どおりの速度が出せればいいわけです。
また、メモについても、国内では禁止されているぶん、新鮮に映った箇所だと思います。中継ではたびたびプレイヤーがメモを取るような動きが映り込んでいましたが、こう理由を書かれると、なるほど納得の内容です(国内だとメモ行為解禁はまだ難しいかもしれませんが……)。
今回はたまたま全文無料掲載されていたレポートだったので訳せましたが、近ごろは有料記事のうち無料で読める箇所がどんどん減り、なかなかに翻訳がしづらくなっている状況です。
とはいえ、訳せそうなものがあれば今後もやっていこうとは思っています。お暇なときにでも覗いていただければと幸いです。
今年の世界大会も非常な盛り上がりを見せていましたが、今回は、SixPrizesに上がっていた3位入賞レポートの翻訳です。
3位入賞のXander Peroは複数の大会で入賞暦もある強豪プレイヤーの一人。今回の世界大会はエーフィダストを選択しています。
世界レギュを少しかじっていた方ならご存知かもしれませんが、
実はエーフィダストは、日本勢の中ではあまり評価の高くなかったデッキです。
しかしながら実際は、エーフィダストもジジーロンダストも、世界大会本戦には多くいたのです。
筆者がどういう考えでエーフィダストを使っていたのか、どういうプレイをしていたのか、
ぜひ考え方の違い、プレイの違いを読み取っていただけたらと思います。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更があります。
※実際のレポートはもう少し長いのですが、本大会に無関係の部分は省略しました。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
The Psychic Princess --Xander Pero’s 3rd Place Worlds 2017 Report with Espeon/Garbodor
by Xander Pero
August 25th, 2017
ttps://sixprizes.com/2017/08/25/the-psychic-princess/
こんにちは。みなさんも、先週アナハイムで行われたお祭りを、中継で見たり、もしくは実際に参加したりして、楽しんでいたと思います。1年間がそこに向けて成り立っているという意味でも、私にとって世界大会は大好きなイベントです。1年を通じて頑張ったことへのご褒美、というわけです。
世界大会に向けては、私はエーフィ/ダストダスか、ジュナイパー/ラフレシアのどちらかを使うことに決めていました。ただ私の夏休みは、ボリビアとミシガン州にいる家族に会う予定がめいっぱい詰まっていて、調整の時間がほとんど取れませんでした。たとえ調整に使える時間の余裕があるときでも、私の心は休息と勉強のほうに向いていたのです。
とはいえ、その2つのデッキを使ってきた経験を考えれば、たとえ調整時間がどれほど少なくても、私は、その2つのデッキならば大丈夫だろうと考えていたのです。他のデッキ調整もやろうと思ってはいたものの、エーフィ/ダストダスを使っているときが一番楽しく、また一番うまくプレイできたのです。それは、エーフィ/ダストダスを使ってきた経験が自分にはたくさんあるからです。新しいデッキを学ぶよりも、その経験を優先しました。
ひとつのデッキを使ってきた経験というのは、その環境のベストデッキやメタデッキを使うことよりも、大事なことだと私は思います。これまで、自分が成績を残せなかった大会は、うまく使えるはずのデッキを差し置いて、メタ的に強いと言われるデッキを手に取ったのが理由だったのです。
■金曜日の調整
セレモニーが終わり第1ラウンドの幕が上がると、プレイヤーたちは対戦卓の周囲に集まり始めました。アレックス・ヒルと私は、アナハイムオープンが開催される予定のオープンエリアに出向きました。ただしこの時点では、そこは完全なフリーエリアで、調整にはもってこいの場所でした。
アレックスと私はエーフィ/ダストダス対ジュナイパーと対サーナイトを行い、どちらも有利なマッチアップであることを確かめました。対サーナイトは、エーフィダスト側が6勝2敗でした。このマッチアップは、ディビジョンGXで早いプレッシャーをかけられるぶん、エーフィ側が60:40で有利だと思っています(トップ4のマッチでは明らかに逆の結果になってしまいましたが、それでも私は自分の考えと調整結果を信用します)。
サーナイトは、ジジーロンなら3エネで倒せますが、エネのついたエーフィを倒すには4エネが要求され、条件が厳しくなっています。そして同じ3エネワザでも、ジジーロンのぎゃくじょうよりも、エーフィのサイコキネシスのほうが高い打点が出せることもあるのです。
最後に念を入れて調整したのはミラーマッチでした。ミラーの経験を多く積めたのは、私たち両方にとって良いほうに働きました。対戦しながら、特定のギミックカードを抜き差しし、マッチアップにどのような影響があるかを確かめました。以下は、デッキの根幹57枚以外のところで私たちが話し合ったカードの一覧です。
・シャワーズ
・オドリドリ
・ウソッキー/サンダース
・アセロラ
・センパイとコウハイ
・フィールドブロアー2枚目
・こだわりハチマキ4枚目
・パラレルシティ
4 イーブイ
3 エーフィGX
1 ブースター
4 ヤブクロン
3 ダストダス(ゴミなだれ)
1 ダストダス(ダストオキシン)
2 カプ・テテフGX
3 プラターヌ博士
3 N
2 グズマ
1 アズサ/ポケモンだいすきクラブ
1 オカルトマニア
4 ハイパーボール
4 バトルサーチャー
1 フィールドブロアー
1 レスキュータンカ
3 こだわりハチマキ
4 かるいし
8 超エネルギー
4 ダブル無色エネルギー
3 自由枠
こういったギミックカードはたいてい、特定のマッチアップだけで有効なものです。打てれば勝ち、というような、対戦中に一度だけ使うようなカードです。シャワーズ、オドリドリ、サンダースは、それぞれボルケニオン、ビークイン、そしてメガレックウザを吹き飛ばすためのカードです。
けれども逆に、そういったもの以外のギミックカードは、単一のデッキを狙うというよりも、どんな場合にでも役立つ、つまり、特定のマッチアップ相性の向上に特化しているというよりも、デッキの動きに沿ったカードです。
最終的にアレックスと私は、上述のカードのうち、太字になっているものを選びました。デッキを丸くし、個々の各マッチアップ相性をほんのわずかにだけ向上させる、そんな「良い」カードたちです。
フィールドブロアーは、ゴミなだれの打点を押し上げるだけでなく、ミラーでパラレルシティを置かれたときにも役立つカードです。対メガレックウザ戦で、スカイフィールドを割るのにも幾度となく使いました。そして忘れてはいけない重要な要素は、闘魂のまわしを割れるという点です。というのもエーフィGXは、HPが40上がると対処できないからです。
パラレルシティは対メガレックウザ戦と、ミラーマッチでも素晴らしいカードです。ゲーム序盤、相手がカプ・テテフGXをプレイする前にベンチサイズを制限するのも強く、またその機会を逃したとしても、相手にサイド2枚取られるのを防ぐため、カプ・テテフやエーフィをベンチから捨ててしまえるように、手札に取っておくと良いでしょう。
センパイとコウハイは、見たままですが、グッズや大事なリソースを費やすことなく必要なカードを持ってくるのに使えます。
ミラー戦では、たねポケモンを必要なだけ並べられたら上出来です。ヤブクロンを2、3枚とイーブイを2体。ただそれを除けば、エネ以外に引き込まなければいけないカードはありません。どうぐやグッズなどは確かにほしいですが、サポーターは握っておきましょう。相手に良いカードを引かせてしまうこともあるわけですから。
【訳注:おそらくNのことを言っています。】
■大会本番
朝起きてスターバックスで軽く食べ物をつまんでから、目的地に向かいます。アレックスと私は、前夜のうちに、サム・チェンとメッセージのやりとりをして、デッキの候補について話をしていました。そこで出ていたのが、グソクムシャGX/ダストダスとエーフィ/ダストダスでした。アレックスと私はすでにエーフィ/ダストダスを使うと決めていたので、エーフィを使うようにサムを説得しようとしました。結局サムはジジーロン/ダストダスを選び、そしてトップ8に残っていました!
【訳注:ここから対戦レポートが続くのですが、作業時間と分量の関係で、2戦だけピックアップして訳出しました】
8回戦:Takuya Yoneda(JP):ホウオウGX/エンニュートGX
Takuyaのデッキについては、彼の対戦を早い段階で見ていたAzulから聞いていたので、デッキに何が入っているかは知っていました。が、デッキがどういった動きをしてくるのかはわかりませんでした。このせいで1ゲーム目は完全にやられましたが、その中で、相手の動きを覚え、合わせていくことができました。
相手のデッキは驚くほどに直線的ですが、初ターンにカキをホウオウに使いつつ、その間にエンニュートを育てるのを目的とした動きは強力です。ホウオウはカプ・テテフやエーフィをたやすく倒してサイドを2~4枚取り、後続はエンニュートが務めて、相手を吹き飛ばしていきます。この動きは強力で対応が難しく、2ターン目のホウオウも非常な脅威でした。
2ゲーム目はあまり語ることがありません。相手はドローサポーターを見つけられず、ひとまずバクガメスGXにカキを使うだけに留まりましたが、私はそこをグズマで呼んでサイコキネシスを打ち込みました。相手のアタッカー陣は、エンニュートを育てつつこちらを簡単に一掃できてしまうパワーがあるため、こちらの目的は相手のアタッカーを2発ずつですべて倒してしまうことです。
こちらはダストオキシンを立て、相手のハイパーボールでワンダータッチを使わせないようにしました。相手はカキをベンチポケモンに使い続け、それを私はグズマで呼んで倒し続けました。これが4度繰り返され、私はサイド6枚を取りきりました。
3ゲーム目は1ゲーム目と同じような形で進みました。ただし、相手が初ターンカキを逃した以外は。それでも相手は手張りと2度のピーピーマックスで、2ターン目に攻撃を繰り出してきました。私は受けに回らざるを得ませんでしたが、2体目のエーフィGXのサイケこうせんで60ダメージを与えます。
この時点で、私のベンチには、倒されるとサイドを2枚引かれるポケモンがいませんでした。私は勝てると思いました。というのも、相手はグズマを打つか、エネを捨てて逃げるしかないからです。そうすれば相手の速度は落ちます。……が、私が間違っていました。相手はプラターヌ博士を打つと、2枚しか入っていないポケモンいれかえを2枚とも使い、こちらのエーフィを倒してきたのです! この時点で、残りサイドは相手が2、一方こちらは6でした。
勝つ方法が見えず、私は完璧に動揺していました。こちらにはヤブクロン2体とイーブイが1体、対する相手はエネのついたホウオウGXと、ベンチにはエンニュートGXが待ち構えています。サイケこうせんぐらいしかないかと思いながら、相手のトラッシュに目をやりました。
その瞬間、私は、扇状に見やすく並べられたグッズが、そこに8枚あることに気付いたのです。相手はこちらのポケモンを倒すために相当量のグッズを費やす必要性がありました。そのことが、私に勝ち筋を与えてくれていたのです。
私はヤブクロンをバトル場に送り、ホウオウを倒すためにセンパイとコウハイを使いつつ、次のターンに2体目のダストダスとNを準備できるようにしておきました。相手はエンニュートをバトル場に出し、ヤトウモリをベンチに置いてエネを貼り、そしてエンニュートでこちらのダストダスを倒してきました。
ここが勝負の分かれ目です。私は最後のヤブクロンをバトル場に送り出すと、進化させてエネを貼り、そしてNを叩きつけました。すでに相手のトラッシュにはグッズが10枚落ちており、エンニュートを倒すのには足りています。私は、相手がNで山札からカードを引くのを見ていました……が、表情からは何も読み取れません。私はゴミなだれを宣言し、残りサイドは2枚になりました。
彼は山札からカードを引くと、困ったようにボルケニオンをバトル場に突き出し、パワーヒーターを使ってきました。私は手札に目をやりました。Nでの4枚で、私はグズマを引き込んでいたのです。ターンの最初にカードを引くと、グズマを使って相手のEXを呼び、そしてこのゲームに勝つことができたのでした。
トップ4:Diego Cassiraga(AR):サーナイトGX
1ゲーム目の初手はサポーターなし……楽しいね! ただ何とか2ターン目にはNをトップデッキし、さらにその時点ではダストオキシンのダストダスがすでに立っていました。ディエゴはサポーターエンジンも使えずひみつのいずみでエネも貼れず、私のほうが圧倒的に優位な立場にいました。私にとっての問題は、ダブル無色が引き込めない、ということでしたが。
このマッチアップでは、相手が一気に攻撃を始めてくるまでに、サイドを2枚取っておくことがとてつもなく重要です。また、カプ・テテフGXがアセロラを絡めてアタッカーとして動くのを防ぐために、先にカプ・テテフに20ダメージを載せておくのも必要なことです。しかしながら今回、どちらのゲームでも私は序盤の攻め手を欠いてしまったために、1ゲーム目はほんのわずかの差で落とし、2ゲーム目はまったくのノーチャンスだったのです。
こちらが十分な攻撃をできずにいる間に、相手はトワイライトGX。場にはエーフィGXがいましたが(結局ダブル無色エネルギーは付けられましたが)、あまりに遅すぎました。彼はアセロラとふしぎなアメを握り、この対戦をうまくサーナイトデッキ対エーフィデッキの形に持ち込んだのです。
1進化の複数入ったデッキによくあることですが、1進化ポケモンのうち1つが使い物にならない、というのは、典型的な劣勢の状態です。彼は引きもよく、グッズを使う必要がなかったため、こちらのゴミなだれは役立たずになり、ダストオキシンにフィールドブロアーを打ち込むのも、あまり痛手になりませんでした。
最も心を折られたターンは、こだわりハチマキも引けず、それまでにロスしたテンポも響いたときです。グズマをサーナイトに対して打っても、210ダメージしか乗せられなかったのですから。もしもこの対戦のどこかで一度でも強い動きができていたら、たとえばそれが序盤の、あるいは終盤にNと一緒に打ち込むディビジョンGXであったなら、このゲームはこちらのものになっていたでしょう。
2ゲーム目はさらに悲しい状況でした。2ターン目にNは引けず、ダブル無色は持っていたものの、バトル場ではヤブクロンが棒立ちになっていました。最初の数ターンの時点ですでに惨めな状況で、正直、勝つ見込みはまったくないと思っていました。毎ターン何もなく、すでに相手より3ターンも出遅れていたのです。ようやくこちらがプラターヌ博士を引き込んだときには、相手に3ターンも、展開の時間をただで与えていたようなものでした。本来それらのターンは、サイドを引き、2体目のエーフィGXを立てるために使われるべきものです。このゲームでの私のプレイの意図はすべて、相手の展開を遅らせ、最終的には、Nで相手の手札を1,2枚にし、ダストオキシンと合わせてゲームをひっくり返してしまおうというものでした。
このゲームに関して言いたいのは、メモを取るのがいかに重要か、ということです。サイド落ちを調べるのはメモがなくてもできます。が、メモがあれば忘れることはなくなりますし、サイドに落ちていたカードのうち、どれをすでに取ったかもわかるようになります。もうひとつ、このマッチでメモを利用したのは、確率に関してです。ゲームの最終ターンで、相手とこちらの山札と手札の枚数を数え、お互いにとってありえそうな結果を考えたのです。そのときの私には、Nかプラターヌ博士かの選択があったためでした。
相手は5枚の手札があり、そのうちエネルギーは1枚だけでした。フェアリーエネです。このとき、プラターヌ博士を使ってこだわりハチマキを引きに行き、エーフィで攻撃するということもできました。ただ、相手は手札にサポートを抱えている可能性がかなり高かったのです。私は、リスクの高いプレイ、つまりNを打つほうを選びましたが、こだわりハチマキは引けませんでした。一応ここでヤブクロンを前に出して時間を稼ぐこともできましたが、たいした違いはなかったでしょう。相手のサイドが残り1になり、こちらは準備万端のサーナイトGX2体を前にして逆転を試みることになるのですから。
■まとめ
終わってみれば、自分の結果にとても満足しています。8回戦もやるなんて考えただけで恐ろしかったのですが……。
優秀なプレイヤーがこれだけ多くいる空間で、6-1-1なんて成績を残すのは至難の業です。が、幸運とマッチアップ、そしてスキルのおかげで、私はなんとか持ちこたえ、トップ4まで行くことができました。
来年も精一杯やって、またランキングのトップ16に残れたらと思っています。大会はたくさんあり、あとはできるだけ上手くやるだけです。Ft.Wayneに出るみなさんの成功を祈ります。エキスパンデッドは私の得意分野ではありませんが、取り急ぎ何かしら準備をして、多少なりともポイントを確保しに行くべきですね。またお会いしましょう。
【訳注:年間のプレイポイントランキングの16位以内に入るとDay2からが確定する】
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
以上になります。お読みいただきありがとうございました。
おもに作業時間の関係上、レポートが全訳できず申し訳なく思います。
(が、上記2対戦が飛びぬけて面白いしためになると思います。他の対戦も、時間ができれば追記していきます)
ざっと読んでみて、誰もが気付くのは下記2点ではないかと思います。
・エーフィダストにおける、序盤からプレッシャーを掛ける(殴っていく)ことの重要性
・メモの重要性
序盤から殴ることに関しては、対サーナイトのマッチアップ相性を書いている箇所が非常に特徴的です。
エーフィダスト対サーナイトについて、世界レギュをやっていた多くの日本勢は、互角もしくはサーナイトのほうが微有利ではないか、と思っていたはずです。それを筆者は、エーフィダストのほうが有利、と断言しています。
理由は、序盤のプレッシャー。パラレルシティでベンチを縛って展開を遅らせ、序盤に取ったサイドのリードを保つ。これは、キュウコンジュナイパーを世界レギュトップメタだと考えていたプレイヤー(僕を含め)には、一週回って盲点ともいえる戦い方です。本当にそれで勝てるの?と。しかし筆者の言うように速度が重要であるならば(現にサーナイトは遅いデッキです)、3ゲーム中2ゲームで、想定どおりの速度が出せればいいわけです。
また、メモについても、国内では禁止されているぶん、新鮮に映った箇所だと思います。中継ではたびたびプレイヤーがメモを取るような動きが映り込んでいましたが、こう理由を書かれると、なるほど納得の内容です(国内だとメモ行為解禁はまだ難しいかもしれませんが……)。
今回はたまたま全文無料掲載されていたレポートだったので訳せましたが、近ごろは有料記事のうち無料で読める箇所がどんどん減り、なかなかに翻訳がしづらくなっている状況です。
とはいえ、訳せそうなものがあれば今後もやっていこうとは思っています。お暇なときにでも覗いていただければと幸いです。
遡ること4ヶ月前のバトロコ高田馬場店。
社畜のうきにんさんは夕方ごろにお店に到着すると、すでにアピールタイムの終わった春ファン会場の様子を見ながら悔し涙を浮かべ、「夏は、夏ファン……」とつぶやくのだった。
4ヵ月後。夏ファン、到来。
夏ファンは愛にあふれている。それはカード愛でありポケモン愛でありストーリー愛であり、
あるいはファンタスティックでファンタジックなものへの愛情表現にほかならない。
ひょっとするとそれは特定のポケモンや関連物への偏執狂的で病的でいわば異常な愛情かもしれず、
果たしてそれは事実だったのだけれども、
ともかく、バトロコのステージは愛を伝えるためにそこにある。手段は問わない。
ならば。
ポケモンカード老人会の末席として、うきにんさんはどんなものへの愛を持ち込むべきか。
そもそもポケモンカード老人会は、ポケカの歴史を掘り返すのを酒のツマミ活動目的とした、偏執狂的で病的な老害プレイヤーたちである。
20年にわたるポケカの歴史の片隅に埋もれそうな事物を、ホコリを払って整理整頓し、
片っ端から面前に陳列してはそんな時代もあったねと眺めるのは至上の喜び、
その陳列物がうっかり新規プレイヤーたちに驚きと感動を与えてしまったならば、それは天からお迎えが来るレベルの歓喜である。早く昇天しろ。
ゆえに。意義と目的に忠実に活動する。20年の時をさかのぼり、ポケカの歴史から忘れられてしまいそうなものを、バトロコのステージにもう一度登場させる。
古参プレイヤーたちの記憶の扉を開き、
新規プレイヤーたちにえっ何あのおっさん気持ち悪いポケカ20年史の裏側を贈る。
だからキミに決めた。
Dr.オーヤマで優勝を狙う。
「変身!メタモンデッキ 2017」
17 超エネルギー
3 炎エネルギー
4 ダブル無色エネルギー
エネルギーカード(40%)=24枚
4 ヤブクロン(XY9, illus. OOYAMA)
4 ダストダス(SM2L)
2 タマタマ(XY6)
2 ナッシー[Exeggutor](CP6, illus. Dr. Ooyama)
2 スリープ(SM1M)
2 スリーパー(SM1M, illus. OOYAMA)
2 ファイヤー(XY10, illus. OOYAMA)
1 メタモン(XY-P)
ポケモン(31.6%)=19枚
4 フラダリ (⇒突風)
3 はかせのてがみ (⇒エネルギー転送)
2 プラターヌ博士 (⇒オーキドはかせ)
2 ハイパーボール (⇒ポケモン交換おじさん)
2 ポケモンいれかえ
2 エネルギー回収
1 オダマキ博士の観察 (⇒ギャンブラー)
1 いいきずぐすり
トレーナーカード(28.3%)=17枚
説明しよう。Dr.オーヤマとは。
1997~98年ごろの月刊コロコロコミック誌上などに登場した、ポケモンカード研究所・所長という肩書きの、白髪・丸眼鏡・白衣の正体不明のキャラクターである。
コロコロ誌上では何だかよくわからないけど有益っぽい情報をコメントしたり、
実は「ポケモンカードGB」というゲームにも登場していたりするのだが(画像1枚目参照)、
ぶっちゃけキャラ付けも設定も薄かったためかイマクニ?ほどのインパクトは残せず、
いつのまにかポケカの歴史の表舞台から姿を消していた……。
果たしてその正体とは、ポケカの生みの親の一人、大山功一氏である。
(恐らくは氏の多忙がDr.オーヤマのフェイドアウトの最大の要因だとは思うのだが)
上記のデッキは大山功一氏を全力リスペクトした。
元ネタは氏が『ポケットモンスターカードゲームのいちばんわかりやすい本』に寄せていた、「変身!メタモンデッキ」である(画像2枚目参照)。
まずはエネルギー。
上記のレシピと画像を見比べてもらうとわかる通り、
デッキ内のポケモン/トレーナー/エネの割合は、元ネタと完全に同じにしている。
エネルギー24枚ってどう考えても多すぎではないか。
でもそのまま24枚入れちゃう。だってポケカ研究所の所長だから。
続いてポケモン。
レシピを再現しようにもカードプールが違いすぎてかなり厳しいのだが、
大山氏はイラストレーターであり、今もってポケカでもカードイラストを描いている。
よってデッキ内のポケモンは、氏のイラストを可能な限り採用した。
夏ファンはプレゼンが最大の見せ場である一方で、対戦タイムもあり、勝てば勝利ポイントが手に入る。
つまり、魅せるデッキであると同時に、勝てるデッキでなければならない。
なのでアタッカーは、ヤブクロンが大山イラストであるのを良いことにダストダス4枚。ブーイングは甘んじて受けよう。こっちはポケカ研究所の所長である。
そのほか、氏のイラストのスリーパー、ファイヤー、そして20周年記念ナッシーも採用。
基本的にダストダスで殴るので、これらのカードにはベンチから応援していてもらう。
そして元ネタのデッキ名に敬意を表してメタモンを1枚。ポケモン部分が完成した。
最後にトレーナーカードは、できるだけ元のレシピを再現しようとした。
冒頭の突風4枚のところで再現意欲が折れかけたのだが、フラダリおじさんの力を借りてカバー。
そのほか、再現できるところは再現し、20年の時を越えてカードパワーが上がったものは上位互換版を採用。
再現の難しいものは、できるだけ類似効果のカードを採用した。
ドロソ少なすぎてぜんぜん回らないのでは?
とセルフ突っ込みを入れるのは一般人の感覚、言い換えれば現代プレイヤーの感覚である。
ここまでこのデッキを作ってきた者ならば間違いなくマゾい感覚に全身が支配されているので、
たとえ手札にエネがあふれ返っても進化が噛み合わなくても、ポケカ黎明期の感覚を浴びた全身が震えるほどの喜びに満たされるだろう。
実際はデッキ回らなさすぎてキレてた。
そして前夜にポケカの歴史との死闘で全てを出し尽くしたうきにんさんは、
当日の夏ファン本番、嘘のように惨敗したのだった……。
おわり。
◆ ◆ ◆
改めまして、主催のトイさん、みやたさん&ゆさまさん、しょうゆマヨさん、
ならびに観戦&対戦してくださった全ての方々、ありがとうございました!
単純にステージ上でプレゼンしたかっただけなのに、いざ出てみると、終始笑いっぱなしで想像を遥かに超えた楽しいイベントでした。
次回は冬ファンが予定されているようです。
時間が許せば僕もまた出たいと思いますし、興味がある方は、イベントを覗いてみるだけでも面白いと思います。
21年目にしてこんな楽しいイベントが登場するとは、ポケカってすごい。
※画像3枚目はトイさんのツイッターから使わせて頂きました(自分で撮ってなかったため)。この場を借りてお礼申し上げます。
設定上Dr.オーヤマはヒゲ生えてるのだけど当日の付けヒゲは汗で全部落ちた。
社畜のうきにんさんは夕方ごろにお店に到着すると、すでにアピールタイムの終わった春ファン会場の様子を見ながら悔し涙を浮かべ、「夏は、夏ファン……」とつぶやくのだった。
4ヵ月後。夏ファン、到来。
夏ファンは愛にあふれている。それはカード愛でありポケモン愛でありストーリー愛であり、
あるいはファンタスティックでファンタジックなものへの愛情表現にほかならない。
ひょっとするとそれは特定のポケモンや関連物への偏執狂的で病的でいわば異常な愛情かもしれず、
果たしてそれは事実だったのだけれども、
ともかく、バトロコのステージは愛を伝えるためにそこにある。手段は問わない。
ならば。
ポケモンカード老人会の末席として、うきにんさんはどんなものへの愛を持ち込むべきか。
そもそもポケモンカード老人会は、ポケカの歴史を掘り返すのを
20年にわたるポケカの歴史の片隅に埋もれそうな事物を、ホコリを払って整理整頓し、
片っ端から面前に陳列してはそんな時代もあったねと眺めるのは至上の喜び、
その陳列物がうっかり新規プレイヤーたちに驚きと感動を与えてしまったならば、それは天からお迎えが来るレベルの歓喜である。
ゆえに。意義と目的に忠実に活動する。20年の時をさかのぼり、ポケカの歴史から忘れられてしまいそうなものを、バトロコのステージにもう一度登場させる。
古参プレイヤーたちの記憶の扉を開き、
新規プレイヤーたちに
だからキミに決めた。
Dr.オーヤマで優勝を狙う。
「変身!メタモンデッキ 2017」
17 超エネルギー
3 炎エネルギー
4 ダブル無色エネルギー
エネルギーカード(40%)=24枚
4 ヤブクロン(XY9, illus. OOYAMA)
4 ダストダス(SM2L)
2 タマタマ(XY6)
2 ナッシー[Exeggutor](CP6, illus. Dr. Ooyama)
2 スリープ(SM1M)
2 スリーパー(SM1M, illus. OOYAMA)
2 ファイヤー(XY10, illus. OOYAMA)
1 メタモン(XY-P)
ポケモン(31.6%)=19枚
4 フラダリ (⇒突風)
3 はかせのてがみ (⇒エネルギー転送)
2 プラターヌ博士 (⇒オーキドはかせ)
2 ハイパーボール (⇒ポケモン交換おじさん)
2 ポケモンいれかえ
2 エネルギー回収
1 オダマキ博士の観察 (⇒ギャンブラー)
1 いいきずぐすり
トレーナーカード(28.3%)=17枚
説明しよう。Dr.オーヤマとは。
1997~98年ごろの月刊コロコロコミック誌上などに登場した、ポケモンカード研究所・所長という肩書きの、白髪・丸眼鏡・白衣の正体不明のキャラクターである。
コロコロ誌上では何だかよくわからないけど有益っぽい情報をコメントしたり、
実は「ポケモンカードGB」というゲームにも登場していたりするのだが(画像1枚目参照)、
ぶっちゃけキャラ付けも設定も薄かったためかイマクニ?ほどのインパクトは残せず、
いつのまにかポケカの歴史の表舞台から姿を消していた……。
果たしてその正体とは、ポケカの生みの親の一人、大山功一氏である。
(恐らくは氏の多忙がDr.オーヤマのフェイドアウトの最大の要因だとは思うのだが)
上記のデッキは大山功一氏を全力リスペクトした。
元ネタは氏が『ポケットモンスターカードゲームのいちばんわかりやすい本』に寄せていた、「変身!メタモンデッキ」である(画像2枚目参照)。
まずはエネルギー。
上記のレシピと画像を見比べてもらうとわかる通り、
デッキ内のポケモン/トレーナー/エネの割合は、元ネタと完全に同じにしている。
エネルギー24枚ってどう考えても多すぎではないか。
でもそのまま24枚入れちゃう。だってポケカ研究所の所長だから。
続いてポケモン。
レシピを再現しようにもカードプールが違いすぎてかなり厳しいのだが、
大山氏はイラストレーターであり、今もってポケカでもカードイラストを描いている。
よってデッキ内のポケモンは、氏のイラストを可能な限り採用した。
夏ファンはプレゼンが最大の見せ場である一方で、対戦タイムもあり、勝てば勝利ポイントが手に入る。
つまり、魅せるデッキであると同時に、勝てるデッキでなければならない。
なのでアタッカーは、ヤブクロンが大山イラストであるのを良いことにダストダス4枚。ブーイングは甘んじて受けよう。こっちはポケカ研究所の所長である。
そのほか、氏のイラストのスリーパー、ファイヤー、そして20周年記念ナッシーも採用。
そして元ネタのデッキ名に敬意を表してメタモンを1枚。ポケモン部分が完成した。
最後にトレーナーカードは、できるだけ元のレシピを再現しようとした。
冒頭の突風4枚のところで再現意欲が折れかけたのだが、フラダリおじさんの力を借りてカバー。
そのほか、再現できるところは再現し、20年の時を越えてカードパワーが上がったものは上位互換版を採用。
再現の難しいものは、できるだけ類似効果のカードを採用した。
ドロソ少なすぎてぜんぜん回らないのでは?
とセルフ突っ込みを入れるのは一般人の感覚、言い換えれば現代プレイヤーの感覚である。
ここまでこのデッキを作ってきた者ならば間違いなくマゾい感覚に全身が支配されているので、
たとえ手札にエネがあふれ返っても進化が噛み合わなくても、ポケカ黎明期の感覚を浴びた全身が震えるほどの喜びに満たされるだろう。
そして前夜にポケカの歴史との死闘で全てを出し尽くしたうきにんさんは、
当日の夏ファン本番、嘘のように惨敗したのだった……。
おわり。
◆ ◆ ◆
改めまして、主催のトイさん、みやたさん&ゆさまさん、しょうゆマヨさん、
ならびに観戦&対戦してくださった全ての方々、ありがとうございました!
単純にステージ上でプレゼンしたかっただけなのに、いざ出てみると、終始笑いっぱなしで想像を遥かに超えた楽しいイベントでした。
次回は冬ファンが予定されているようです。
時間が許せば僕もまた出たいと思いますし、興味がある方は、イベントを覗いてみるだけでも面白いと思います。
21年目にしてこんな楽しいイベントが登場するとは、ポケカってすごい。
※画像3枚目はトイさんのツイッターから使わせて頂きました(自分で撮ってなかったため)。この場を借りてお礼申し上げます。