【翻訳】ゾロアーク/ダストダスはいかに北アメリカ選手権を制覇したか(抄訳)
 今回はなんと、大会結果とデッキリスト集積で有名なLimitlessから。

 Limitlessは欧州のチームですが、そのメンバーの1人、フランスのStephane Ivanoffが、7月初旬の北アメリカ選手権(North American Internationals)で優勝したため、そのデッキ解説が記事になりました。

 もちろん内容自体も本当に素晴らしいのですが、特筆すべきは、日本の大会のことが触れられている点。
 彼ら海外のプレイヤーが日本のデッキをいかに参考にし、海外版に作り替えたか。その意味でも、非常に面白い記事だと思います。

 いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
 読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更を行った箇所があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

http://limitlesstcg.com/how-zoroark-garbodor-won-naic/
July 12th, 2018
by Stephane Ivanoff


▼経緯について

 デッキがどう出来上がったか、経緯について少し。このゾロアーク/ダストダスというデッキが最初に大きな成果を上げたのは、Marc Lutzがオセアニアインターナショナルズでトップ64に入ったときだ。
 そこからこのデッキタイプはあちこちの店舗大会で見かけるようになったが、ほとんどみな、炸裂バルーンで一方的なダストオキシンロックを可能にする、というふうにしていた。ダストダスに貼ってダストオキシンを起動させ、相手のエンド時に捨て、自分のターンで再度とりひきを使う。
〔訳注:典型例としては右記 http://limitlesstcg.com/decks/?list=894 〕

 これはオシャレなコンボだ。が、自分にはあまり良いとは思えなかった。実際に戦ってみると、この形はそこまで怖くないことがわかる。たとえとりひきを使っても、毎ターン確実にバルーンを見つけてくるのは難しい。そして恒久的なダストオキシンロックに比べれば、1ターン限定のロックはプレッシャーも薄い。加えて、ダストダス以外に使う炸裂バルーンはたいして強くない。

 確かに60ダメージは、ライオットビートで相手のゾロアークGXを一撃で倒す上で、理論上は強く見える。が、グズマやフィールドブロアーでかわしたり、単に攻撃しないという選択肢すら取りうる。炸裂バルーンがほかのデッキでは見ない理由だ。その一方でかるいしはあらゆるデッキに入っている。単体で強いからだ。

 それが、バルーン型が一風変わったデッキで落ち着いたのに対し、かるいし型のゾロアークダストダスは計3つ入賞できた理由だ。単純に、強いカードを使うべきだ!

 このデッキは、私や、同郷人のFabien Pujolが作り上げたわけではない。友人のDidier Nguyenは、私たちに、日本の京都大会で準優勝したデッキリストを見せてくれた。それはダストダスが2-1で(ゴミなだれが2、ダストオキシンが1)入っていて、カミツルギGXとユニットエネルギーが採用されていた。

 日本のXY1フォーマットでは、スカイフィールド、シェイミEX、バトルサーチャーといったカードが可能なため、私たちは、例のリストを、より西洋版に調整しなおした。
 ゾロアークGXはいつものように4-4、時のパズル、改造ハンマー、そしてパラレルシティを投入した。
 調整に数日費やし、このデッキはメタ内のたいていのデッキに有利だと感じることができたが、一方で、プレイ中の選択肢が多く、バルーン型よりもはるかに難しかった。

 たとえば、自分の特性を使うため、いつ自分のダストダスのどうぐをブロアーで剥がし、いつ再度起動し、あるいはいつすべきでないのか、熟知するには時間が必要だ。
 結果的に私たち3人のうちFabienだけが使いこなす自信を持つことができ、そしてブラジルではトップ8入賞を果たした。

 私が北アメリカでこのデッキを使うことにした理由がこれだった。その頃、このデッキはそこそこ使用者が増えてはいたが、ほとんどの人は、このデッキは見込みがあるとは考えていなかった。
 カミツルギを抜いてしまう人が多かったし、バルーン型に戻した人もいた。理由は何であれ、このデッキは、もう一度、周囲を驚かせるポテンシャルは持っていた。


▼デッキリスト

4 ゾロア
4 ゾロアークGX
3 ヤブクロン
2 ダストダス(ゴミなだれ)
1 ダストダス(ダストオキシン)
3 カプ・テテフGX
1 カミツルギGX
1 ラティオス

4 N
3 グズマ
2 アズサ
1 シロナ
1 プラターヌ博士
1 アセロラ

4 ハイパーボール
4 時のパズル
3 フィールドブロアー
1 シンカソーダ
1 ミステリートレジャー
1 レスキュータンカ
1 改造ハンマー
3 かるいし
2 こだわりハチマキ
2 パラレルシティ

4 ダブル無色エネルギー
3 ユニットエネルギー雷超鋼

 デッキの大枠は、今期のゾロアークデッキでよく見かけた内容だ。4-4のゾロアーク、テテフ3、時のパズル4などなど。それ以外の特徴について話そう。

 個人的に、3-2/1のダストダスラインは理想的な構成だ。たいてい、序盤に両方のダストダスが必要というふうにはならないため、ヤブクロンは3で足りる。
 ダストオキシンも1で充分だ。相手は、それ以上に対処しなければならない脅威を目の前に抱えているはずだからだ。
 仮にグズマでダストダスが倒されても、レスキュータンカ、時のパズル、そしてゾロアークのドローエンジンがあれば、立て直すのは容易だろう。

 ラティオスは基本的に対マッシブーン用のギミックだが、相手のマーイーカを倒したり、相手のカプ・テテフに30ダメージを乗せてライオットビートの射程内にしたりもできる。
 何よりこのデッキでは、2つめのワザ、ラグーンフライトを使える。マッシブーンやイワンコを一撃で倒すことができ、ハチマキがあればマッシブーンGXも倒せる。つまりマッシブーンルガルガン側は、ラティオスに対処しなければならず、ほかの自分のポケモンから攻撃を逸らすことができる。

 カミツルギGXはハイパーボールで探せる改造ハンマーであり、ライオットビート用にベンチを埋めるのにも役立つ。相手のゾロアークGXからダブル無色を剥がしたり、イワンコからストロングエネルギーを剥がしたりするのにとても便利だ。
 また、ほとんどGXワザを使わないこのデッキで、GXワザを使う機会にもなる。このカードこそ、このデッキを一級品にしている要素だと思っている。GXワザは非常に強く、選択肢に入れてないとすればもったいない。
 このワザはサイド7枚戦を避けるのに役立つ。残りサイドが奇数で相手の場にGXしかいないとき、相手のGXを倒す代わりにスラッシュGXを使うだけでいい。

 フィールドブロアーは3枚必要だ。このデッキではとりひきのために自分のダストダスのかるいしを剥がす必要が出てくることがある。また、対マッシブーンダストダスで、パラレルシティの張り合いでも優位に立てる。

 ミステリートレジャーは、禁断の光から入った唯一のカードだ。2枚目のシンカソーダの代わりだった。ゾロアークGXは探せないが、それ以外なら何でもサーチできる。何よりカプ・テテフGXを探せるのが強く、1ターン目アズサの確率を高めてくれている。アズサを2枚に抑えたが、それでも、ほかのゾロアーク/グソクムシャやゾロアーク/ルガルガンと同程度のアズサスタートの確率はあるはずだ。

 入れなかったカードは、たとえばミュウツー、2枚目の改造ハンマー、4枚目のユニットエネルギーだった。ミュウツーは対マッシブーンルガルガンで便利だが、どちらもゴミなだれで一撃で倒せる上、このマッチアップで何より怖いのはルガルガンGXだ。
 改造ハンマーはゾロアークのミラー戦で役立ち、4枚目のユニットエネルギーはリソース管理を楽にしてくれただろうが、どちらも序盤で必要ないカードであり今のままで充分だ。

 4枚目のヤブクロンや、デンジュモクGXも考えた。デンジュモクは、最近のゾロアーク/ルガルガンなど、特殊エネルギーのみのデッキを完封できる。それでも、現状のゲームプランを考慮すれば、それらのカードは受け身すぎてテストはしなかった。
 たとえデンジュモクがいても、Tord Reklevが使って準優勝したゾロアークコントロールのようなデッキに対しては、改造ハンマーや妨害カードを使いまわされ、最終的にはこちらが負けになってしまっていただろう。
〔訳注:Tord Reklevのデッキは右記 http://limitlesstcg.com/decks/?list=1188 〕

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 以上になります。お読みいただきありがとうございました。
 このあと記事は各マッチアップ分析に続くのですが、今回は割愛しています。

 この記事を前フリとして、世界大会前のデッキまとめを記事化したいのですが……時間が限られる中、果たしてそこまで行けるのか。こうご期待(?)。

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