【翻訳】サイキックプリンセス――エーフィ/ダストダスと世界大会3位入賞レポート
 数ヶ月ぶりの翻訳はSixPrizesから。
 今年の世界大会も非常な盛り上がりを見せていましたが、今回は、SixPrizesに上がっていた3位入賞レポートの翻訳です。
 3位入賞のXander Peroは複数の大会で入賞暦もある強豪プレイヤーの一人。今回の世界大会はエーフィダストを選択しています。

 世界レギュを少しかじっていた方ならご存知かもしれませんが、
 実はエーフィダストは、日本勢の中ではあまり評価の高くなかったデッキです。
 しかしながら実際は、エーフィダストもジジーロンダストも、世界大会本戦には多くいたのです。
 筆者がどういう考えでエーフィダストを使っていたのか、どういうプレイをしていたのか、
 ぜひ考え方の違い、プレイの違いを読み取っていただけたらと思います。

 いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
 読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更があります。
 ※実際のレポートはもう少し長いのですが、本大会に無関係の部分は省略しました。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

The Psychic Princess --Xander Pero’s 3rd Place Worlds 2017 Report with Espeon/Garbodor
by Xander Pero
August 25th, 2017
ttps://sixprizes.com/2017/08/25/the-psychic-princess/


 こんにちは。みなさんも、先週アナハイムで行われたお祭りを、中継で見たり、もしくは実際に参加したりして、楽しんでいたと思います。1年間がそこに向けて成り立っているという意味でも、私にとって世界大会は大好きなイベントです。1年を通じて頑張ったことへのご褒美、というわけです。

 世界大会に向けては、私はエーフィ/ダストダスか、ジュナイパー/ラフレシアのどちらかを使うことに決めていました。ただ私の夏休みは、ボリビアとミシガン州にいる家族に会う予定がめいっぱい詰まっていて、調整の時間がほとんど取れませんでした。たとえ調整に使える時間の余裕があるときでも、私の心は休息と勉強のほうに向いていたのです。
 とはいえ、その2つのデッキを使ってきた経験を考えれば、たとえ調整時間がどれほど少なくても、私は、その2つのデッキならば大丈夫だろうと考えていたのです。他のデッキ調整もやろうと思ってはいたものの、エーフィ/ダストダスを使っているときが一番楽しく、また一番うまくプレイできたのです。それは、エーフィ/ダストダスを使ってきた経験が自分にはたくさんあるからです。新しいデッキを学ぶよりも、その経験を優先しました。
 ひとつのデッキを使ってきた経験というのは、その環境のベストデッキやメタデッキを使うことよりも、大事なことだと私は思います。これまで、自分が成績を残せなかった大会は、うまく使えるはずのデッキを差し置いて、メタ的に強いと言われるデッキを手に取ったのが理由だったのです。


■金曜日の調整

 セレモニーが終わり第1ラウンドの幕が上がると、プレイヤーたちは対戦卓の周囲に集まり始めました。アレックス・ヒルと私は、アナハイムオープンが開催される予定のオープンエリアに出向きました。ただしこの時点では、そこは完全なフリーエリアで、調整にはもってこいの場所でした。
 アレックスと私はエーフィ/ダストダス対ジュナイパーと対サーナイトを行い、どちらも有利なマッチアップであることを確かめました。対サーナイトは、エーフィダスト側が6勝2敗でした。このマッチアップは、ディビジョンGXで早いプレッシャーをかけられるぶん、エーフィ側が60:40で有利だと思っています(トップ4のマッチでは明らかに逆の結果になってしまいましたが、それでも私は自分の考えと調整結果を信用します)。
 サーナイトは、ジジーロンなら3エネで倒せますが、エネのついたエーフィを倒すには4エネが要求され、条件が厳しくなっています。そして同じ3エネワザでも、ジジーロンのぎゃくじょうよりも、エーフィのサイコキネシスのほうが高い打点が出せることもあるのです。

 最後に念を入れて調整したのはミラーマッチでした。ミラーの経験を多く積めたのは、私たち両方にとって良いほうに働きました。対戦しながら、特定のギミックカードを抜き差しし、マッチアップにどのような影響があるかを確かめました。以下は、デッキの根幹57枚以外のところで私たちが話し合ったカードの一覧です。

・シャワーズ
・オドリドリ
・ウソッキー/サンダース
・アセロラ
・センパイとコウハイ
・フィールドブロアー2枚目
・こだわりハチマキ4枚目
・パラレルシティ


4 イーブイ
3 エーフィGX
1 ブースター
4 ヤブクロン
3 ダストダス(ゴミなだれ)
1 ダストダス(ダストオキシン)
2 カプ・テテフGX

3 プラターヌ博士
3 N
2 グズマ
1 アズサ/ポケモンだいすきクラブ
1 オカルトマニア

4 ハイパーボール
4 バトルサーチャー
1 フィールドブロアー
1 レスキュータンカ
3 こだわりハチマキ
4 かるいし

8 超エネルギー
4 ダブル無色エネルギー

3 自由枠


 こういったギミックカードはたいてい、特定のマッチアップだけで有効なものです。打てれば勝ち、というような、対戦中に一度だけ使うようなカードです。シャワーズ、オドリドリ、サンダースは、それぞれボルケニオン、ビークイン、そしてメガレックウザを吹き飛ばすためのカードです。
 けれども逆に、そういったもの以外のギミックカードは、単一のデッキを狙うというよりも、どんな場合にでも役立つ、つまり、特定のマッチアップ相性の向上に特化しているというよりも、デッキの動きに沿ったカードです。
 最終的にアレックスと私は、上述のカードのうち、太字になっているものを選びました。デッキを丸くし、個々の各マッチアップ相性をほんのわずかにだけ向上させる、そんな「良い」カードたちです。

 フィールドブロアーは、ゴミなだれの打点を押し上げるだけでなく、ミラーでパラレルシティを置かれたときにも役立つカードです。対メガレックウザ戦で、スカイフィールドを割るのにも幾度となく使いました。そして忘れてはいけない重要な要素は、闘魂のまわしを割れるという点です。というのもエーフィGXは、HPが40上がると対処できないからです。
 パラレルシティは対メガレックウザ戦と、ミラーマッチでも素晴らしいカードです。ゲーム序盤、相手がカプ・テテフGXをプレイする前にベンチサイズを制限するのも強く、またその機会を逃したとしても、相手にサイド2枚取られるのを防ぐため、カプ・テテフやエーフィをベンチから捨ててしまえるように、手札に取っておくと良いでしょう。
 センパイとコウハイは、見たままですが、グッズや大事なリソースを費やすことなく必要なカードを持ってくるのに使えます。

 ミラー戦では、たねポケモンを必要なだけ並べられたら上出来です。ヤブクロンを2、3枚とイーブイを2体。ただそれを除けば、エネ以外に引き込まなければいけないカードはありません。どうぐやグッズなどは確かにほしいですが、サポーターは握っておきましょう。相手に良いカードを引かせてしまうこともあるわけですから。
【訳注:おそらくNのことを言っています。】


■大会本番

 朝起きてスターバックスで軽く食べ物をつまんでから、目的地に向かいます。アレックスと私は、前夜のうちに、サム・チェンとメッセージのやりとりをして、デッキの候補について話をしていました。そこで出ていたのが、グソクムシャGX/ダストダスとエーフィ/ダストダスでした。アレックスと私はすでにエーフィ/ダストダスを使うと決めていたので、エーフィを使うようにサムを説得しようとしました。結局サムはジジーロン/ダストダスを選び、そしてトップ8に残っていました!

【訳注:ここから対戦レポートが続くのですが、作業時間と分量の関係で、2戦だけピックアップして訳出しました】


8回戦:Takuya Yoneda(JP):ホウオウGX/エンニュートGX

 Takuyaのデッキについては、彼の対戦を早い段階で見ていたAzulから聞いていたので、デッキに何が入っているかは知っていました。が、デッキがどういった動きをしてくるのかはわかりませんでした。このせいで1ゲーム目は完全にやられましたが、その中で、相手の動きを覚え、合わせていくことができました。
 相手のデッキは驚くほどに直線的ですが、初ターンにカキをホウオウに使いつつ、その間にエンニュートを育てるのを目的とした動きは強力です。ホウオウはカプ・テテフやエーフィをたやすく倒してサイドを2~4枚取り、後続はエンニュートが務めて、相手を吹き飛ばしていきます。この動きは強力で対応が難しく、2ターン目のホウオウも非常な脅威でした。

 2ゲーム目はあまり語ることがありません。相手はドローサポーターを見つけられず、ひとまずバクガメスGXにカキを使うだけに留まりましたが、私はそこをグズマで呼んでサイコキネシスを打ち込みました。相手のアタッカー陣は、エンニュートを育てつつこちらを簡単に一掃できてしまうパワーがあるため、こちらの目的は相手のアタッカーを2発ずつですべて倒してしまうことです。
 こちらはダストオキシンを立て、相手のハイパーボールでワンダータッチを使わせないようにしました。相手はカキをベンチポケモンに使い続け、それを私はグズマで呼んで倒し続けました。これが4度繰り返され、私はサイド6枚を取りきりました。

 3ゲーム目は1ゲーム目と同じような形で進みました。ただし、相手が初ターンカキを逃した以外は。それでも相手は手張りと2度のピーピーマックスで、2ターン目に攻撃を繰り出してきました。私は受けに回らざるを得ませんでしたが、2体目のエーフィGXのサイケこうせんで60ダメージを与えます。
 この時点で、私のベンチには、倒されるとサイドを2枚引かれるポケモンがいませんでした。私は勝てると思いました。というのも、相手はグズマを打つか、エネを捨てて逃げるしかないからです。そうすれば相手の速度は落ちます。……が、私が間違っていました。相手はプラターヌ博士を打つと、2枚しか入っていないポケモンいれかえを2枚とも使い、こちらのエーフィを倒してきたのです! この時点で、残りサイドは相手が2、一方こちらは6でした。

 勝つ方法が見えず、私は完璧に動揺していました。こちらにはヤブクロン2体とイーブイが1体、対する相手はエネのついたホウオウGXと、ベンチにはエンニュートGXが待ち構えています。サイケこうせんぐらいしかないかと思いながら、相手のトラッシュに目をやりました。
 その瞬間、私は、扇状に見やすく並べられたグッズが、そこに8枚あることに気付いたのです。相手はこちらのポケモンを倒すために相当量のグッズを費やす必要性がありました。そのことが、私に勝ち筋を与えてくれていたのです。
 私はヤブクロンをバトル場に送り、ホウオウを倒すためにセンパイとコウハイを使いつつ、次のターンに2体目のダストダスとNを準備できるようにしておきました。相手はエンニュートをバトル場に出し、ヤトウモリをベンチに置いてエネを貼り、そしてエンニュートでこちらのダストダスを倒してきました。

 ここが勝負の分かれ目です。私は最後のヤブクロンをバトル場に送り出すと、進化させてエネを貼り、そしてNを叩きつけました。すでに相手のトラッシュにはグッズが10枚落ちており、エンニュートを倒すのには足りています。私は、相手がNで山札からカードを引くのを見ていました……が、表情からは何も読み取れません。私はゴミなだれを宣言し、残りサイドは2枚になりました。
 彼は山札からカードを引くと、困ったようにボルケニオンをバトル場に突き出し、パワーヒーターを使ってきました。私は手札に目をやりました。Nでの4枚で、私はグズマを引き込んでいたのです。ターンの最初にカードを引くと、グズマを使って相手のEXを呼び、そしてこのゲームに勝つことができたのでした。


トップ4:Diego Cassiraga(AR):サーナイトGX

 1ゲーム目の初手はサポーターなし……楽しいね! ただ何とか2ターン目にはNをトップデッキし、さらにその時点ではダストオキシンのダストダスがすでに立っていました。ディエゴはサポーターエンジンも使えずひみつのいずみでエネも貼れず、私のほうが圧倒的に優位な立場にいました。私にとっての問題は、ダブル無色が引き込めない、ということでしたが。

 このマッチアップでは、相手が一気に攻撃を始めてくるまでに、サイドを2枚取っておくことがとてつもなく重要です。また、カプ・テテフGXがアセロラを絡めてアタッカーとして動くのを防ぐために、先にカプ・テテフに20ダメージを載せておくのも必要なことです。しかしながら今回、どちらのゲームでも私は序盤の攻め手を欠いてしまったために、1ゲーム目はほんのわずかの差で落とし、2ゲーム目はまったくのノーチャンスだったのです。

 こちらが十分な攻撃をできずにいる間に、相手はトワイライトGX。場にはエーフィGXがいましたが(結局ダブル無色エネルギーは付けられましたが)、あまりに遅すぎました。彼はアセロラとふしぎなアメを握り、この対戦をうまくサーナイトデッキ対エーフィデッキの形に持ち込んだのです。
 1進化の複数入ったデッキによくあることですが、1進化ポケモンのうち1つが使い物にならない、というのは、典型的な劣勢の状態です。彼は引きもよく、グッズを使う必要がなかったため、こちらのゴミなだれは役立たずになり、ダストオキシンにフィールドブロアーを打ち込むのも、あまり痛手になりませんでした。
 最も心を折られたターンは、こだわりハチマキも引けず、それまでにロスしたテンポも響いたときです。グズマをサーナイトに対して打っても、210ダメージしか乗せられなかったのですから。もしもこの対戦のどこかで一度でも強い動きができていたら、たとえばそれが序盤の、あるいは終盤にNと一緒に打ち込むディビジョンGXであったなら、このゲームはこちらのものになっていたでしょう。

 2ゲーム目はさらに悲しい状況でした。2ターン目にNは引けず、ダブル無色は持っていたものの、バトル場ではヤブクロンが棒立ちになっていました。最初の数ターンの時点ですでに惨めな状況で、正直、勝つ見込みはまったくないと思っていました。毎ターン何もなく、すでに相手より3ターンも出遅れていたのです。ようやくこちらがプラターヌ博士を引き込んだときには、相手に3ターンも、展開の時間をただで与えていたようなものでした。本来それらのターンは、サイドを引き、2体目のエーフィGXを立てるために使われるべきものです。このゲームでの私のプレイの意図はすべて、相手の展開を遅らせ、最終的には、Nで相手の手札を1,2枚にし、ダストオキシンと合わせてゲームをひっくり返してしまおうというものでした。

 このゲームに関して言いたいのは、メモを取るのがいかに重要か、ということです。サイド落ちを調べるのはメモがなくてもできます。が、メモがあれば忘れることはなくなりますし、サイドに落ちていたカードのうち、どれをすでに取ったかもわかるようになります。もうひとつ、このマッチでメモを利用したのは、確率に関してです。ゲームの最終ターンで、相手とこちらの山札と手札の枚数を数え、お互いにとってありえそうな結果を考えたのです。そのときの私には、Nかプラターヌ博士かの選択があったためでした。

 相手は5枚の手札があり、そのうちエネルギーは1枚だけでした。フェアリーエネです。このとき、プラターヌ博士を使ってこだわりハチマキを引きに行き、エーフィで攻撃するということもできました。ただ、相手は手札にサポートを抱えている可能性がかなり高かったのです。私は、リスクの高いプレイ、つまりNを打つほうを選びましたが、こだわりハチマキは引けませんでした。一応ここでヤブクロンを前に出して時間を稼ぐこともできましたが、たいした違いはなかったでしょう。相手のサイドが残り1になり、こちらは準備万端のサーナイトGX2体を前にして逆転を試みることになるのですから。


■まとめ

 終わってみれば、自分の結果にとても満足しています。8回戦もやるなんて考えただけで恐ろしかったのですが……。
優秀なプレイヤーがこれだけ多くいる空間で、6-1-1なんて成績を残すのは至難の業です。が、幸運とマッチアップ、そしてスキルのおかげで、私はなんとか持ちこたえ、トップ4まで行くことができました。
 来年も精一杯やって、またランキングのトップ16に残れたらと思っています。大会はたくさんあり、あとはできるだけ上手くやるだけです。Ft.Wayneに出るみなさんの成功を祈ります。エキスパンデッドは私の得意分野ではありませんが、取り急ぎ何かしら準備をして、多少なりともポイントを確保しに行くべきですね。またお会いしましょう。
【訳注:年間のプレイポイントランキングの16位以内に入るとDay2からが確定する】

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 以上になります。お読みいただきありがとうございました。
 おもに作業時間の関係上、レポートが全訳できず申し訳なく思います。
(が、上記2対戦が飛びぬけて面白いしためになると思います。他の対戦も、時間ができれば追記していきます)

 ざっと読んでみて、誰もが気付くのは下記2点ではないかと思います。
・エーフィダストにおける、序盤からプレッシャーを掛ける(殴っていく)ことの重要性
・メモの重要性

 序盤から殴ることに関しては、対サーナイトのマッチアップ相性を書いている箇所が非常に特徴的です。
 エーフィダスト対サーナイトについて、世界レギュをやっていた多くの日本勢は、互角もしくはサーナイトのほうが微有利ではないか、と思っていたはずです。それを筆者は、エーフィダストのほうが有利、と断言しています。
 理由は、序盤のプレッシャー。パラレルシティでベンチを縛って展開を遅らせ、序盤に取ったサイドのリードを保つ。これは、キュウコンジュナイパーを世界レギュトップメタだと考えていたプレイヤー(僕を含め)には、一週回って盲点ともいえる戦い方です。本当にそれで勝てるの?と。しかし筆者の言うように速度が重要であるならば(現にサーナイトは遅いデッキです)、3ゲーム中2ゲームで、想定どおりの速度が出せればいいわけです。

 また、メモについても、国内では禁止されているぶん、新鮮に映った箇所だと思います。中継ではたびたびプレイヤーがメモを取るような動きが映り込んでいましたが、こう理由を書かれると、なるほど納得の内容です(国内だとメモ行為解禁はまだ難しいかもしれませんが……)。

 今回はたまたま全文無料掲載されていたレポートだったので訳せましたが、近ごろは有料記事のうち無料で読める箇所がどんどん減り、なかなかに翻訳がしづらくなっている状況です。
 とはいえ、訳せそうなものがあれば今後もやっていこうとは思っています。お暇なときにでも覗いていただければと幸いです。

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