【翻訳】アメリカ選手権39位レポート:ハンマーとレーザー光線ふたたび(2/2)
【翻訳】アメリカ選手権39位レポート:ハンマーとレーザー光線ふたたび(2/2)
〔※http://ukinins.diarynote.jp/201407162147054885/からの続きです〕

■マッチアップ

 以下は、このデッキとのマッチアップ相性について、プレイテストからの結果です。

・イベルタルEX/ライチュウ:
 ものすごく有利なマッチアップで、80:20のような領域です。こちらのライチュウが弱点をつくことができ、このデッキにとって悪夢になるようなことを心配せずにとくせいを使うこともできます。相手の控えアタッカーであるライチュウも、ランドロスEXに弱点を突かれます。

・イベルタルEX/ダストダス:
 自分にとっては70:30くらいのマッチアップです。明らかにライチュウ型よりも勝つのが大変でしたが、それでもだいたいは勝つことができました。自分がこのマッチアップで取っていたアプローチは、もしこっちの序盤のスタートが良ければ、相手のダストをすべて倒してしまう、というものでした。そうでないときは、相手の場にできるかぎりダメージを載せ、メガホンを使ってから相手ベンチのイベルEXをくろいてで倒し、残りのダメージはベンチにいる次の脅威に載せて、相手バトル場のイベルEXをエレキサークルで倒します。ランドEXがダークライEXとアブソルの弱点を突けるというのも助かりました。こちらは何らかのかたちで、相手の弱点を突けるのです。

 これは何とも詐欺くさいマッチアップで、相手は完全にゲームをコントロールしていると思い込んでいるなかで、実はこちらがゲームをコントロールしています。そしてひとたびメガホンを叩き込めば、ゲームは一気にこちらへ傾きます。

・ビリジオンEX/ゲノセクトEX:
 このマッチアップ相性はだいたい90:10です。ビリゲノは遅すぎますし、このデッキに対応するには、デッキの仕組みが貧弱だと思います。相手がメガロキャノンを使ってくれれば、こちらはまんたんのくすりで打点を受け流しつつ相手を倒せます。Gブースターを使ってくれたなら、こちらは相手のエネつきゲノセクトをきぜつさせ、不幸なゲノセクトをバトル場に取り残すことができます。またミュウツーEXやライチュウは、ハンマーヘッドを数ターン撃ったあとでなら、ゲノセクトEXを倒すのに大きな働きをします。相手の場の本当の脅威を取り除くことができ、マッチアップをとても簡単なものにしてくれるからです。ダメージの計算ならば、かなりこちらに分があります。

・TDK:
 正真正銘の互角のマッチアップだと思っていますが、この両デッキの動きのやり取りをちゃんと理解していれば、60:40以上にはなります。恐ろしいぐらいにアグレッシブなデッキですが、落ち着いて、長い目で見ることができれば、だいたいの場合勝つことができるはずです。レジスチルEXと改造ハンマーのおかげで、このマッチアップはこちらにとってやりやすいものになっています。

 これらは、アメリカ選手権に向けて、自分が気に掛けていた有力デッキたちです。またこのデッキは、エンブオーにも強く、くろいてで簡単にエンブオーを止められるので、かなり楽なマッチアップになっています。ゲッコウガ/ミルタンクも倒すのは簡単です。ミルタンクは弱点を突いて殴ることができ、くろいてでケロマツを狙って簡単にサイドを取りつつ、みずしゅりけんのダメージを抑えられます。もしヨノワール(XY2)を場に出せたなら、みずしゅりけんを完全に無効化できるのでとても強力です。

 このデッキにとって相性の悪いマッチアップは? ひとまず、まんたんのくすりを使ってくる相手は難しくなります。フライゴンとはだいぶプレイテストして、他の人にもフィードバックしましたが、どっちが有利かは全くよくわからないという結論になりました。もしアグレッシブなスタートができれば、相手にヨノワールやアギルダーを使わせることなく勝てます。もし長期戦になれば負けます。オーロット/アギルダーも、明らかに相性の悪いマッチアップです。

■初日ハイライト

 初日のマッチアップはこんな感じでした。

Round 1 -- Evan Gunsolus -- イベルタルEX/ダストダス -- 勝 (2-0)
Round 2 -- Sam Vernooy -- ビリジオンEX/ゲノセクトEX -- 勝 (2-0)
Round 3 -- Rithveasna Ke -- TDK -- 勝 (2-1)
Round 4 -- John Nguyen -- カエンジシ/リザードンEX -- 分 (1-1)
Round 5 -- Isaac Soto -- イベルタルEX/ライチュウ -- 勝 (2-0)
Round 6 -- Aaron Wang -- イベルタルEX/ダストダス -- 分 (1-1)
Round 7 -- Daniel Altavilla -- TDK -- 分 (1-1)
Round 8 -- Keith Williams -- レシラムEX/ビクティニ -- 勝 (2-1)
Round 9 -- Kyle Sabelhaus -- リザードンEX/ライチュウ/キュウコン -- 勝 (2-1)

 1ラウンド目のマッチは、どくさいみんの眠りのせいで負けそうでした。自分がゲームを完全にコントロールしていたのに、ランドロスEXがどくさいみんで眠ったままになってしまい、いれかえ系カードを引けなかった試合です。ダメージが乗っていって、相手にターンが渡るときにランドロスEXがきぜつしてしまい、こちらはもう1枚ランドロスEXをバトル場に出しました。これも再度どくさいみんで眠ってしまったのですが。運良く起きて、ハンマーヘッドで勝てました。

 Rithveasnaとの3ラウンド目では、1ゲーム目に変なことが起きました。相手のデッキには水エネが入っているのに、相手はキュレムをぜんぜんベンチに出さないのです。おかしいなと思っていたのですが、実際は相手のキュレムがすべてサイド落ちしていたのでした。

 4ラウンド目では、とうとう第1テーブルでの試合でした。進化ポケを引っ張るための突風系カードが満載されたカエンジシ速攻は、きつい相手です。この対戦では相手がリザードンEXをベンチに置いたので、こちらはランドロスEXをヨノワールとまんたんのくすりで保ちつつ、ベンチに当てた30ダメージを載せ替えてカエンジシを一掃しました。ただ2ゲーム目ではぼこぼこにされてしまい、3ゲーム目は終わらせる時間がなかったので、正直引き分けでいいかなと思いました。3ゲーム目では序盤がとても良かったので、ひょっとしたら勝てたかもしれませんけど、相手も強いデッキですし、引き分けで良かったと思ってます。

 7ラウンド目のDanielとのマッチアップでは、3ゲーム目、こちらがゲームをコントロールしかかっていて、レジスチルEXに入れ替えれば勝ちにいけそうでした。アクロマ9枚でハチマキを引けばほぼ勝ちでしたが、引き込んだのはサポーターとエネばかりで、ハチマキは引けませんでした。ハチマキが引けていれば、キュレムとアブソルを両方倒してゲームをコントロールできていました。代わりにこちらは非EXを出すことして、ピカチュウでほっぺすりすりを打って相手が勝てないようにしました。こちらは相手のフロストスピアを受けたら2体同時にきぜつさせられて負けそうでしたが、サナで5枚引くと、ちょうどほしかったものが引けました。……ダウジングマシンでまんたんのくすりを打って回復させ、これで負けがなくなりました。たった一度カードを引きそびれただけでゲーム中の優位がひっくり返るとは、何ともびっくりです。

 もし可能なら、こういった状況を引き分けの勝ち点1で凌ぐのは大事なことです。追加の1点がどれだけ意味があるか、実際にそうなってみないとわかりません。自分の場合でいえば、この1点追加のおかげで、2日目3-2でもトップ16に行けるようになりました。予選抜けに3-1-1や4-1が必要な場合よりも、はるかに何とかなりそうです。

 8ラウンド目の相手のデッキは面白かったです。レシラムEXの速攻デッキで、ビクティニでかがやくツメとブレイブファイヤーのコインを振り直すようにしていました。ビクティニのおかげで75%でコインが表になるので、ハチマキつきのかがやくツメはたいてい100ダメージになり、低HPの連中を倒すのがとても楽です。ブレイブファイヤーの反動ダメージを受ける確率も25%だけになります。

 2日目を前にした9ラウンド目のKyle Sabelhausとのマッチはすごかったです。細かいところまで全部は覚えていませんが、マッチはものすごい形で決着しました。場ではこちらが優位に立ち、ハンマーヘッドで相手の場にダメージを貯めていきます。相手を土俵際に追い込んだと思っていましたが、相手はジラーチEXのほしのみちびきで鍛冶屋を引いて、かえんばくでこちらのランドEXを倒して踏みとどまっている状況でした。このゲームではまだヨノワールは場に出ていませんでしたが、サマヨールはいましたし、薄くなった山札に、両方のヨノワールが残っているのはわかっていました。また、ダブル無色が山札とサイドに1枚づつあるのもわかっていました。

 場にはじゅうぶんなダメージがあり、それを動かせたら、ジラーチEXを倒せます。山札は残り9枚だったのでほぼ間違いなくヨノワールは引けると思いましたし、もしダブル無色が引けなくても、ジラーチEXを倒せばサイドから引く可能性もあります。そしてアララギを打つと、ヨノワールとダブル無色を両方とも引けました。くろいてでジラーチを倒し、ミュウツーEXに2枚目のダブル無色を貼って、ハチマキつきエックスボールの180ダメージで勝つことができました。

■2日目ハイライト

 2日目の対戦はこんな感じです。

Round 10 -- Russell LaParre -- フライゴン/アギルダー -- 負 (0-2)
Round 11 -- Austen Vance -- イベルタルEX/ダストダス -- 勝 (2-0)
Round 12 -- Henry Prior -- フライゴン/アギルダー -- 負 (0-2)
Round 13 -- Brandon Cantu -- TDK -- 勝 (2-1)
Round 14 -- Alex Fields -- フレフワン -- 負 (0-2)

 2日目のスタートはとんでもないマッチからでした。Russellはおそらく、会場で1%しかいないようなプレイヤーでしょう。その1%というのは、バリヤードをデッキに入れていた数少ない一人、ということです。こちらは戦術を遂行するにはベンチの狙撃ダメージぶんも必要なので、彼のようなデッキにバリヤードが入っていると、自動的に負け確定になってしまいます。実際のところ1ゲーム目で彼はバリヤードがサイド落ちしていたのですが、こちらはヨマワルをバトル場から逃がせずに序盤から攻撃ができず、1ゲーム目は負けてしまいます。そして2ゲーム目はバリヤードもサイド落ちせず、彼がベンチにバリヤードを置くと、笑えるくらいワンサイドゲームになってしまいました。こちらが載せたダメージをまんたんのくすりで回復されるに至って、バリヤードを倒すダメージさえ貯められなくなってしまったのです。

 11ラウンド目の相手はAusten Vanceで、非常に良い人でした。ただ、このマッチアップではとことんついてませんでした。ただでさえこちらに相性が良いのに、こちらは絶好調で、出だしも良く、ゲームをコントロ-ルできました。2ゲーム目では、サポなしの手札を見ながら、ひどいゲームになりそうだと思っていました。ところが彼はヤミラミ1体でスタートすると、何もせずターンエンド。こちらがハチマキつきハンマーヘッドで50を載せると、相手はアブソルを引いてベンチに置きます。こちらの手札にはあなぬけのヒモとライチュウがあったので、ヒモでライチュウを出しつつアブソルを引っ張り出し、タダ逃げから2ターン目に2体同時に倒せました。2日目の彼にとってはひどすぎる不運でしょうが、この良い大会で彼に会えたことはうれしかったです。

 12ラウンド目の相手はHenryで、またしても対フライゴンです。あまり序盤からアグレッシブな攻撃ができず(ただヨノワールは2ゲームともかなり早い段階で出せたのですが)、しかも彼の構築はものすごく安定していて、結局は2ゲームとも滅多打ちにされました。

 13ラウンド目は、何も引かない相手のキュレムを事実上2ターン目に潰したのが記憶に残っています。2ゲーム目と3ゲームは似たようなゲームになりましたが、2ゲーム目は負けて3ゲーム目は勝てました。3ゲーム目に勝てたのは運が良かったです。レジスチル、ミュウツー、ランドロス2枚がサイド落ちしつつも、序盤は好スタートで、かつ相手はかなり遅い展開でした。こちらはランドロスとライチュウで攻撃を進め、ランドロス2枚をサイドから救出し、だいちのさばき170ダメージを準備してゲームに勝てました。

 Alex Fieldsとの14ラウンド目は、どちらかといえば面白みのないマッチでした。1ゲーム目は、開始7分でこちらのヨノワールラインが一掃されて投了しました。2ゲーム目は場を完全に組み立てたものの、6~7ターン目までエネを引けず、攻撃できませんでした。こちらはひたすら改造ハンマーとダウジングマシンで相手を遅らせ、少しでもチャンスを作ろうとしていました。

 細かい部分はよく覚えていませんが、レジスチルEXが孤軍奮闘状態でした。いろいろあってレジスチルだけで330ダメージも相手の場に載せたのです。レジスチルがここまで仕事をしてくれるとはびっくりでした。相手のベンチのせいで、カード同士の面白い相互作用が起きていました。こちらのエレキサークルで倒せてしまうので、相手はイベルタルEXを持ってこれませんでした。レジスチルのおかげでランドロスを準備する時間ができ、だんだんと逆転しつつあったところ……ジラーチEXを出さざるを得ないときがあり、相手はダークライEXのナイトスピアで、ゆっくりとジラーチを落としにきます。

 ただ残念ながら、ヨノワールがサイドにいたことで、こちらの逆転のパズルの最後のピースは儚く崩れ去りました。もしヨノワールをサイドから拾えていたら、シャドーホールでジラーチのきぜつを防げました。その代わりにサイドからは別のカードを拾ってしまい、ジラーチがナイトスピアで狙撃されてゲームに負けてしまったのです。

■アメリカ選手権を振り返って

 全体としてみれば、自分の結果に満足しています。自分のフライトで19位〔※訳注:人数が多すぎてスイスラウンドは2つの集団(フライト)に分けて行われた〕、全体として39位と、メタ外デッキでかなり良い成績を残せたと思います。

 自分としては、この大会に関してはかなり強いデッキ選択ができたと思っています。結果として、ランドロスEX/ミュウツーEX/ライチュウの攻撃コンビネーションは、Brandon Salazarの大型たね/ダストダスデッキのかたちで優勝を成し遂げました。使っているアタッカーのセットは同じで、ヨノワールのダメージコントロールの代わりに、ダストダスのとくせいロックと毒タチワキの打点上昇入りだったというわけです。

 今回のアメリカ選手権での自分の成績を左右したのは、結局のところマッチアップです。もしフライゴンやフレフワンでなく、まわりにいたイベルタルやビリジオンを踏んでいれば、そこには勝ててトップ16に入り、世界大会への招待を確保できていたでしょう。ただ自分のマッチアップはあんな感じで、自分のデッキはメタ内の主な部分には強いものの、同じようにうまくできているデッキすべてに勝てるわけではありません。自分のやれたこと以上の結果が出なかったのも、それが理由でしょう。

 惜しいところまではいっていました。もう何勝かあれば世界大会にも行けたし、アメリカ大会優勝を賭けて戦う最後の集団にも残れたかと思うと、もやもやの残る感じです。それでも、今大会でやりたかったこと(つまりは優勝)はできませんでしたが、大好きなデッキで結果を残すことはできたと思っています。

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 記事はもう少しだけ続くのですが、ここからは本大会とは無関係な内容なので、翻訳は以上になります。お読みいただきありがとうございました。

 2進化使うけどビーチなし、おまけにアタッカーはたねと1進化が両方、バックアップに強いとくせいという、ある意味でポケカの動きが全部詰まったような、異様なデッキです。とはいえ、調整記やデッキ解説を読むと、そこに至った経緯や強さの理由がよくわかるようになっていました。

 個人的に印象に残ったのは、サポーター枚数と安定性を取り違えてはいないか、という部分(該当の記載は前回分)。著者の意見には賛否両論あるとは思いますが、改めて自身のデッキ構築を見直す機会になる、とても面白い記事だったのではないでしょうか。

コメント

トムリン
2014年7月17日21:46

スチルとランドというWベンチアタッカーにくろいてコンボ・・・思いつきません。
6Pは、FlashFireをDisってる印象すら受けましたね。

うきにん
2014年7月18日23:30

>>トムリンさん
6Pはカエンジシは大会じゃ無理的な意見が多かったように思いますね。日本の公式に慣れた日本人プレイヤーから見ても、大会じゃカエンジシが厳しいというのは自然な意見に映りました。
情報操作だったのか、発売からの期間で強さが見出されたのか、真相は今のところ闇の中ですw

あさみな
2014年7月19日10:01

リンク頂きました。
よろしくお願いします。

うきにん
2014年7月21日23:38

>>あさみなさん
リンクお返しいたしました。
こちらこそよろしくお願いいたします。

H2
2014年7月25日2:09

はじめまして、福島でのんびり遊んでいるH2と申します。
いつも素晴らしい記事をありがとうございます。
うきにんさんの考察記事はいつも目から鱗のことが多く、何度も読み返しています。
 (あしあと残しまくっていると思います)
そして、最近の翻訳記事でさらに世界を広げていただき、すかさず6prizesは有料会員に登録してしまいました。

今後ともうきにんさんの考察記事、そして翻訳記事ともに楽しみにしています。
よろしくお願いいたします。

うきにん
2014年7月25日23:28

>>H2さん
始めまして。いつもお読みいただきありがとうございます。
また、H2さんのブログでも僕のブログを紹介いただきありがとうございました。
今後はまったり更新になりそうですが、暇なときにでもお読みいただければ幸いです。
リンクお返しいたしました。

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