【翻訳】戦いまで2週間――Nationals優勝デッキたちを見る
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 今回は60cards.netから。
 アメリカでもNationals(国別選手権)が間近に迫り、全体的に情報封鎖モードなのか、あまり戦略記事が上がらなくなってきました。そんななか、最近活躍中のプレイヤー、Ryan Sabelhausが60cardsに記事を書いていたので紹介します。
 内容は、他国のNationals優勝デッキのリストを見てみよう、というもの。レギュはXY2までで、紹介されるデッキ3つはすべてイベルタル。
 もはや揺るぎないトップメタとなったイベル派生ですが、デッキの細部は、やはり様々に違っているようです。

 ちなみに、元記事の前半部分は、お遊び企画(仮想のプレイヤー指名ドラフト)なのですが、今回はまったく関係ないのですべてカットしました。アメリカの人ってこういう遊び好きだよね……。

 いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
 読みやすさを考慮して、訳文の省略や改行の変更があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

"The Fortnight before the Battle!"- A Look at the Sabelstream Draft and Nationals Winning Decks
by Ryan Sabelhaus
Monday, June 23, 2014
ttp://60cards.net/blog/posts/detail/152


 60cardsの読者のみなさん、お久しぶり。アメリカ選手権が迫っているし、他の国からは、もう国別選手権の結果がごっちゃりと上がってきている。いろいろなデッキの選択肢やオプションが使えることから、環境はとんでもなく多様になっている。この記事では、国別選手権で結果を残したデッキをざっと眺め、それぞれのリストから、的確に入れられているカードを選んで議論してみたい。アメリカ選手権や、これからの国別選手権で結果を出すためには、現状を理解するのが必ず良い方法になる。

■Nationalsで結果を残したデッキたち

 国別選手権が始まったけれども、他国はアメリカよりも早く行われる。そこでの結果は、他の国でどんなデッキが活躍したのかを見る良い機会だ。今回は、南アフリカ、ニュージーランド、そしてポルトガルで結果を残した2種類のデッキを見てみたい。

【画像1枚目】

4 イベルタルEX
2 ヤブクロン
2 ダストダス
1 ダークライEX
1 アブソル
1 ヤミラミ

4 アララギ博士
4 N
2 ベル
2 アクロマ
2 ランダムレシーバー
1 フラダリ

4 ダークパッチ
4 どくさいみん光線
3 ハイパーボール
3 ちからのハチマキ
3 かるいし
2 タチワキシティジム
1 はかせのてがみ
1 ポケモンいれかえ
1 ダウジングマシン

8 悪エネルギー
4 ダブル無色エネルギー

 これは南アフリカのマスターで優勝したデッキだ。大会で優勝するため、Muhammad Aaqil Sedienは、明らかに、安定したデッキをプレイすることを選んだ。デッキリストはとても安定しているように見える。ドローソースやエネルギーは充分すぎるほど入れられていて、イベルタルEX4枚から始まるデッキの基礎もしっかりしている。このデッキがSedienにとってなぜうまく機能したのか、より細かく見ていこう。

安定性:このデッキにはイベルタルEXが4枚入っている。デッキのメインアタッカーを場に出せるよう、安定性を最大化してある。アタッカーが必要になったときにイベルタルを引き込むのは難しくないだろう。4枚のイベルタルEXだけでなく、このデッキには悪エネルギー8枚、ダブル無色4枚、そしてはかせのてがみが入っている。エネの貼れないターンを作らないようにしたことが、Sedienの優勝を後押ししたのは間違いない。

 こういった特色はとても良く見えるものの、このデッキ全体で最大の特徴は、サポーターの枚数だろう。ドローサポーター12枚、ランダムレシーバー2枚、ダウジングマシン、そしてベンチに脅しを掛けるフラダリ。このドローソースの総量は、Aaqilが対戦にうまく勝つことのできた理由だろう。ドロソが引けずに手札が死ぬようなことはかなり少なかったに違いない。イベルタルEX/ダストダスのベストな形は、とくせいを即座に止め、イベルタルEXとどくさいみん光線で素早く襲い掛かるというものだ。

ギミック:彼自身が、特定のデッキに向けにギミックを入れていると自覚しているのかどうかわからない。けれどAaqilは、対戦しうるデッキ用に、完璧なギミックカードを選んだようだ。アブソルは、ゲッコウガ/ミルタンクを使っていたBrian Murdochとの決勝では最善のカードのように見える。あのデッキはきちんと機能させるにはベンチを多く使う必要があるから、アブソルのマインドジャックが突き刺さっただろう。

多彩さ:このデッキにはいろいろなマッチアップで勝てる能力があるけれども、それは南アフリカ選手権ではうってつけだったようだ。トップ8には、ゲッコウガ/ミルタンク、ビリジオン/ゲノセクト、ビリジオン/ゲノセクト/ライチュウ、プラズマ、リザードンなど、いろいろなデッキがいた。それらのマッチアップは、エネや打点を乱用してくるデッキに弱いところがある。そしてその2つは、安定性のあるイベルダストが得意とするところだ。ここのトップ8にイベルタル/ライチュウがいないのはびっくりする。あのデッキは、このトップ8で脅威となっているデッキの多くに対処できただろう。とはいえ、このデッキは、国別選手権で優勝するには非常に安定した良いデザインで構築されていた。

【画像2枚目】

3 イベルタルEX
3 ヤミラミ
2 ピカチュウ
2 ライチュウ
1 ダークライEX
1 アブソル
1 ミカルゲ

4 アララギ博士
4 N
3 ランダムレシーバー
2 アクロマ
1 フラダリ

4 ダークパッチ
3 ハイパーボール
3 どくさいみん光線
2 ちからのハチマキ
2 タチワキシティジム
1 レベルボール
1 ともだちてちょう
1 はかせのてがみ
1 ポケモンキャッチャー
1 ポケモンいれかえ
1 かたいおまもり
1 びっくりメガホン
1 スクランブルスイッチ

8 悪エネルギー
3 ダブル無色エネルギー

 これも国別選手権で優勝した別のデッキだ。けれどこれは、ニュージーランド選手権でのものだ。作ったのはKishara De Silvaで、このイベルタル/ダークライ/ライチュウを使って優勝をやってのけた。全体として見ればこのデッキには、個々の試合できっちり場の組み立てができるような安定性はないかもしれない。けれども、いろいろなマッチアップで役立つようなギミックが多く入っている。いろいろなカードの1枚挿しをベースにしたこのリストは、かなり考え込まれて作られているのは間違いない。このデッキが他のデッキと違う要素は何か、そしてどうやって優勝できたのか、見ていってみよう。

ギミック:数多く投入されたいろいろなギミックカードが、このデッキを他デッキとは異なったものにしている。序盤の立ち上がりのためのサポーターはそこまで多く入れない代わりに、Kisharaはともだちてちょうを加えることで、終盤の安定性を失わないようにしている。強力なサポーターを2枚戻せば終盤のNへの防御になるし、フラダリを戻してベンチを倒し、ゲームを決めることもできる。

 ギミックはエーススペックにもある。スクランブルスイッチだ。このカードは、いきなり巨大なイベルタルを出現させたり、手負いのイベルタルから無傷のイベルタルへエネルギーを移動させたりできる。

 ミカルゲはビリジオン/ゲノセクト相手への防御として役立つけれども、スクランブルスイッチが使えなくなるから自分にも手痛い。かたいおまもりも面白いカードで、いろいろな場面で重宝するだろう。ライチュウに貼ってクリムガンのリベンジを耐えるようにすることもできるし、ヤミラミに貼ってできるだけ延命させて、ジャンクハントを最大限活用するのにも使える。

多彩さ:このデッキはギミックのおかげで、多くの相手デッキに対して解答を持っているのは明らかだ。安定した構築のような序盤の組み立て能力はないかもしれないけれども、大会結果には異論の余地がない。トップ8には彼のほかにイベルダストが3つ、キュレム型プラズマが2つ、そしてフレフワンガルーラとオーロットアギルダーパルキアがいて、彼はその中を突破した。間違いなくこのデッキは終盤に強くなるよう組まれていて、その戦略が功を奏し、Kisharaは国別選手権で優勝できたというわけだ。

【画像3枚目】

3 イベルタルEX
2 ヤミラミ
2 ヤブクロン
1 ダストダス
1 ダークライEX
1 クリムガン

4 アララギ博士
4 N
4 ランダムレシーバー
1 フラダリ

4 ダークパッチ
4 どくさいみん光線
3 ハイパーボール
3 ちからのハチマキ
2 かるいし
2 タチワキシティジム
1 はかせのてがみ
1 ポケモンキャッチャー
1 ともだちてちょう
1 改造ハンマー
1 ポケモンいれかえ
1 あなぬけのヒモ
1 ダウジングマシン

8 悪エネルギー
4 ダブル無色エネルギー

 このデッキはポルトガル選手権2位のデッキで、使用者は2012年世界チャンピオン、Igor Costaだ。見ての通り、これもイベルダストだけれども、他のイベルダスト派生とは違っている。このデッキは他のダストダス派生と同様の動きに主眼を置いている。ただし、ダストダスラインを細くして、ミラーや他のマッチアップに勝てるようにしてある。Igorは、このダストダスラインはイベルタルデッキに入れたギミックにすぎないとまで言っていた。Igorを倒した唯一のデッキはビリジオン/ゲノセクト/フワライドだったけれど、本来ならば、彼にとってはかなり相性の良いはずのマッチアップだ。さて、このイベルダストのカードチョイスについて見ていってみよう。

安定性:Igorはダークパッチとどくさいみんを4枚入れて、イベルタルでのダメージ出力を最大化するようにした。このスペースはダストダスラインを細くしたことでできたものだ。通常の構築だと、追加のダストダスとかるいしになっているだろう。この細いラインは、彼がビリゲノフワライドに負けた理由になっている。ダストオキシンがないと、どくさいみん光線がすべて使いものにならなくなってしまうからだ。

 またIgorは、悪エネルギー8枚、ダブル無色4枚、そしてはかせのてがみを入れて、エネの貼れないターンを作らないようにしている。同時に、エネをトラッシュに落とすチャンスも増やすことができている。

終盤での強さ:Igorはフラダリ、ともだちてちょう、ダウジングマシン、あなぬけのヒモを入れていて、相手のベンチポケモンを攻撃する手段には事欠かない。準優勝という結果には効果的に機能したはずだ。4枚のランダムレシーバーも、終盤のNを受けたとき、強いサポーターを引く可能性を上げてくれる。ともだちてちょうで良いサポーターだけ戻せば、終盤のNの威力もそこまで高いものじゃなくなる。

■おわりに……

 この記事を楽しんでくれたらうれしく思う。アメリカ選手権がもうすぐだから、その前にもうひとつ記事を書けるかどうかはわからない。プレイテストでも、本戦でも、みんなの幸運を祈ってるよ。読んでくれてありがとう。質問があれば気軽にメッセージを送ってほしい。

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 以上になります。お読みいただきありがとうございました。

 Nationals全体の数字で見るとトップ8入賞者数のほぼ半数を占めるイベル派生ですが、細部は人それぞれ、あるいはメタそれぞれになっていますね。
 少し前にイベル派生のドロソ部分についての短いコラム(http://ukinins.diarynote.jp/201405241000224655/)を書きましたが、こうして眺めてみると、アララギNをベースに、結局ランレシ+フラダリの形で落ち着きつつあるようにも見えます。
 2つめのデッキでミカルゲを見てびっくりした人もいるかもしれません。ただミカルゲ自体は、去年の秋の海外メタ(BW9時点)で、ビリゲノ対ダークライのマッチアップ相性改善のために、ダークライ側がGブースター対策としてミカルゲを入れていた、という経緯があります。今後ビリゲノが今以上に増えてきたら、もしかするとまた見かける機会も増えるのかもしれません。

 余談ですが、The Charizard Loungeでもイベルタルの記事が上がっています(ttp://thecharizardlounge.com/2014/06/21/trail-to-nationals-2014-part-2-the-dark-truth-yveltal-the-bdif/)。
 記事中盤にあるじてんしゃ型イベルダストを完コピして仮想敵として回してみたのですが、綺麗に動いたときのじてんしゃ型は、やはり気持ちが良いですね。

コメント

4capo
2014年6月26日11:54

どれもダークライが1枚なのが興味深いです。
サイドに落ちても戦える構築なんですかね。

うきにん
2014年6月26日23:08

>>4capoさん
ダークライ2枚の型もちらほら見るので、たまたまといえばたまたまかもしれません(ただ、全体としてダークライ1枚の型の方が多い気はします)。
非EXイベルの採用不採用、かるいしの枚数、ダークライで殴るか殴らないか、ダストの多い少ない等々、ダークライの枚数の基準はいろいろあると思いますので、一概にどちらが良いと言えないのが難しいところです。
海外プレイヤーが構築段階でサイド落ちをあまり気にしないのは傾向としてありますが、一方でスイス形式ならば、サイド落ちケアよりも他カードに回した方がデッキパワー上がるのでは、という考え方も筋が通っています。
今回の場合は非EXイベルが無くてかるいし採用が多くてダークライで殴る動きもしなさそうなので、どれもダークライ1というのは一応納得ができます。最悪サイド落ちでもデッキ動きますし。
メタとプレイスタイル、そして構築全体との兼ね合いなので、簡単な問題ではないですね。杓子定規にイベルならダークライはこの枚数、というわけにもいかないと思いますし。

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