【翻訳】においでいっぱい――たねEXたちの芳香と悪臭と
2014年3月20日コメント (6)
今回はSixPrizesから。
XY1が発売された海外でも、日本同様、フレフワンデッキは一定の入賞率を見せています。
ただ日本と違うのは、プラズマ系のフレフワンだけでなく、ゼルネ型の多色フレフワンも同数くらい多くいることです。
前者の形は色々な場所で紹介され尽くしているので、今回は、ゼルネ型の多色フレフワンについて書かれた記事を紹介します。
著者のAndrew Zavalaは、このあいだのStatesで、たねEX/ダストを使って優勝した実力者。あれ、フレフワンじゃないの? と思われるかもしれませんが、記事を読むとフレフワンから切り替えた理由も書かれています。
ただフレフワンのデッキ自体は、ユニークな部分もありますがなかなか練られたリストになっています。日本ではあまり馴染みのないゼルネ型の多色フレフワン、なにか構築のヒントがあるかもしれません。
今回の記事は、後半は有料記事で翻訳できませんが、前半の読み飛ばせる箇所も一部省略しました。
スクラッパーの使用率の上昇と、イベルタルEXの登場、というところから話が始まります。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、改行を変更した部分があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
“Sizeable Smells” -- The Sweet Scents and Foul Odors of Big Basics
by Andrew Zavala
Thursday, March 13, 2014
ttp://www.sixprizes.com/2014/03/13/sizeable-smells-the-fair-scents-and-foul-odors-of-big-basics/
[中略]
■基準点の設定
XYシリーズが発売されたばかりの頃は、Statesで何をつかおうか全然決まっていなかった。けれども、フレフワンは候補に加えたいと思っていた。フレフワンは本当に色々なことができるし、そういうのは大好きだ。
このほうこうポケモンを使う方法はふつう2通りあるけれど、どちらも巨大なたねポケモンを使うというものだ。このことが、Statesで使うデッキの基準になった。巨大なたねと、1進化のサポートを使ったデッキ。
それでもXYがリリースになると、「伝統的」なたねデッキ、つまりランドロスEX、トルネロスEX、ミュウツーEX、そしてダストダスを使ったデッキは、衰退していった。使用者が減った理由は、おもに2つあった。
1.スクラッパー使用率の上昇
XYリリースの直前まで、ダークダストは非常に結果を残していて、Virginia Regional Championshipで優勝したし、他の大会でも上位に入っていた。このデッキは使用者も多く、実績のあるデッキだった(あるいは今でもそうだ)。カメックスやプラズマのようなデッキにとって、ダストダスは大きな問題になる。
必然的に、多くのプレイヤーがデッキにスクラッパーを入れ始めた。1ターンか2ターンでもとくせいにアクセスできれば、ダスト派生にとっては破滅的な結果になる。そしてスクラッパーが増えるにつれ、ダストは見かけなくなっていった、というわけだ。
XYのリリース後には、ダークダストのプレイヤーたちは、スクラッパーの影響を避けるために、純正イベルダークに鞍替えすることができた。そうして伝統的なたねEX/ダストデッキは、もうひとつ相性の悪いマッチアップに晒される嵌めになった。たねEX/ダストは、イベルタル入りのダークライに立ち向かえるようにする必要があった。
イベルタルに関していえば、これがたねEX/ダスト衰退のもうひとつの要因だ。
2.イベルタルEXの登場
イベルタルEXはXYで登場した最良のカードのうちのひとつで、明らかに既存の強力なダークライデッキに追加できるカードだ。しかも、通常の悪ポケモンとは違う点がひとつあった。闘タイプへの抵抗力だ。
これはランドロスEXには悪すぎるニュースだ。ダークライに60と30をばらまく代わりに、イベルタルには10と30になってしまう。ランドロスを用意するたびに、ダークライ側のプレイヤーはイベルタルに入れ替えてきて攻撃の効力を減らし、しかも向こうからは大ダメージで殴ってくる。
ミュウツーEXのエックスボールも、イベルタルのイビルボールには20点ぶん劣る。
また驚くべきことに、イベルタルEXはトルネロスEXを一撃で倒すのも難しくはない。イベルタルに3エネとハチマキと毒タチワキがあれば、2エネで攻撃しているトルネロスEXを一撃で倒すことができる。トルネロスEXがパワーブラストを撃っていれば、わずか2エネで事足りる。
イベルタルEXはたねEX/ダストの存在を根本から否定していた。
■たねEXたちの新しい香り
上にあげたふたつの理由から、僕はBig Basics〔※訳注:大型のたねポケモンをメインに据えたデッキのこと〕を完全に新しく作り直すことに決めた。XYシリーズが選択肢を広げてくれたし、僕はそれでいってみることにした。ダストダスの代わりにフレフワンを使う。典型的なトルネ/ランド等々を使う代わりに、フレフワンを使うことで、Statesにいそうなメタデッキに立ち向かえるカードを色々と使うことができる。まんたんのくすりを乱発できる大型のたねEXは好きだけど、このデッキでもそれはできた。
Statesまでの約2週間このデッキをテストしていて、PTCGOでの対戦を見るかぎり、かなり良さそうになった。
■デッキリスト
これがStatesで使うつもりだったリストだ。
2 シュシュプ
2 フレフワン
3 ゼルネアス
2 ゼルネアスEX
1 イベルタルEX
1 ライコウEX
1 ランドロスEX/テラキオンEX
1 シェイミEX
1 ビリジオンEX
4 アララギ博士
4 N
3 フウロ
2 アクロマ
2 ハイパーボール
2 スーパーボール
1 レベルボール
2 ポケモンいれかえ
2 かるいし
1 あなぬけのヒモ
3 どくさいみん光線
2 ちからのハチマキ
2 まんたんのくすり
1 ツールスクラッパー
1 パソコン通信
2 タチワキシティジム
0 フェアリーガーデン
6 フェアリーエネルギー
4 プリズムエネルギー
1 レインボーエネルギー
1 ダブル無色エネルギー
■カード選択
3 ゼルネアス
このデッキは、プラズマポケモンを使っている他のフレフワンデッキとは違っている。メインのカードは、ゼルネアスというすごいやつだ。フェアリーエネ1枚で場に2枚のエネを加速できる。唯一の欠点は、加速先が2体必要ということだけれども。ゼルネアスは3エネで100点を撃つこともできて、相手がシンボラーやスイクンといったしんぴ持ちを使ってきたときにも良い突破口になってくれる。ただ、にじのやりはあまり多く撃たない方がいいね。
場にエネをばらまけるこのカードは、明らかにこのデッキでは1ターン目に置きたいカードだ。個人的に3が最善の枚数だと思っていて、4は多すぎるし、2だと、サイド落ちのときなんかに初手でワザを撃てる可能性が下がってしまう。
2 ゼルネアスEX
このカードはアタッカーとしては質が悪いとさんざん議論の的になってきた。それでも、この虹色の鹿は、通常ゼルネアスやフレフワンと組めば望みがあると思っている。ダークライやイベルタルからの攻撃を受け止められるし、それこそがこのカードの一番の特質だろう。抵抗や、ビリジオンが毒を止めていることを考えれば、イベルタルがゼルネアスを倒すのは相当に難しい。確かにブラストXは4エネかかるけれども、ハチマキと毒タチワキが合わされば、誰彼かまわず一撃で倒すことができる。
上のワザのブレイクスルーは、ブラストXで一撃するときの手助けや、貴重な打点を与えることができるし、ゼルネアス、フレフワン、ダブル無色があれば使うのはとても簡単だ。ハチマキと毒タチワキがあれば110と30をばらまける。相当に強力だ。
このカードはいつも使うアタッカーで、ほぼすべてのマッチアップで役に立つ。ゼルネアスEXが独特なのはフェアリーエネを使えることで、ダブル無色が絡めば、もし倒されても1枚か2枚しか色エネを失わずに済む。
1 イベルタルEX
2エネの優秀なアタッカーで、ゲーム後半の偉大なフィニッシャーだ。エネを全部イベルタルに貼って好き放題やってしまおう。ほかにも、サイクロンYでプリズムエネを動かして、シェイミEXやライコウEXといった非フェアリーアタッカーのためにエネをとっておくことができる。
1 ライコウEX
このカードはデッキリストのなかでも目立つ2枚のうちのひとつだろう。もともとはイベルタルEXやルギアEXのカウンターへのつもりだった。けれども、実際はもっと良い仕事をしてくれた。相手のフレフワンやダストダスを潰してくれたんだ。ミラーマッチは大好きだ。というのも一度フレフワンを狙撃してしまえば、相手はこっちが場を全部倒してしまう前にフレフワンをもう一体急いで立てなければいけないからだ。フレフワンがいないとデッキの動きが著しく制限されてしまうし、そうなればジオコントロールもライデンナックルも大して仕事はできない。
1 ランドロスEX/テラキオンEX
別のデッキに鞍替えしてしまうまで、僕はどっちを使うべきか決められなかった。1エネで殴れてベンチにも打点の飛ぶランドロスEXは好きだけど、いくつもの理由から、テラキオンEXは面白いカードだった。ハチマキと毒タチワキがあれば2エネでボルトロスEXを倒せる。ハチマキなしで闘弱点のポケモンを一撃で落とせる(ランドロスではできないことがある)。そして手札に残ったフェアリーエネを加速することもできる。
1 シェイミEX
このカードはこのデッキに居場所があっていいと思ってた。最後のアタッカーとしてはすばらしい性能だ。たった2エネで攻撃できるのは、エネの大半を使い果たしてしまう後半にぴったりだ。通常ゼルネアスが主力になっていて、その他は全部EXポケモンだから、相手は常にサイド7枚戦を強いられることになる。ゼルネアス1体とEXが2体倒されたあとだと、シェイミは180ダメージを出すことができるんだ。
1 ビリジオンEX
草エネになるエネルギーを入れているデッキならたいてい、このカードは欠かせない必須パーツだろう。特殊状態を完璧に止めてくれるほか、対アギルダー派生のマッチアップに非常に強くしてくれる。
2ハイパーボール、2スーパーボール、1レベルボール
えっ? 何て書いてある? スーパーボール? そう、その通り。このデッキで急がないといけないことは、ジオコントロールを最大限に活用するために、場に素早くポケモンを置くことだ。最初はハイボ4でやっていたけれど、ただポケモン2体出すためだけにハイボを使うのはリソースを捨て過ぎていると気づいてからは変更した。その後はレベボを多めに入れたけど、シュシュプを引くのにしか使えなかった。スーパーボールは次善の策だけれども、かなり良く機能してくれた!
ジオコントロール用にベンチにポケモンが必要なら、あとあとエネを動かせさえすれば、種類は何でもかまわない。スーパーボールはほとんどの場合でポケモンを引けて、デッキの動きをなめらかにしてくれる。
2ポケモンいれかえ、2かるいし、1あなぬけのヒモ、0フェアリーガーデン
この種のデッキにしては、このラインナップは普通じゃないように見える。フェアリーガーデンでなく複数のいれかえ系カードを入れた理由はこんな感じだ。フェアリーガーデンは、タダ逃げするのにエネを要求する(ダークライと同じだ)。もし後攻シュシュプスタートで、ハイボでゼルネアスを持ってくるとして、シュシュプにエネを無駄貼りするわけにはいかない。バトル場から入れ替えて、なおかつゼルネアスにエネを貼りたいんだ。
これだけの枚数のいれかえ系カードとサーチカードがあれば、たいていの場合に1ターン目ジオコントロールが使えるから、後攻スタートには自信を持っている。
■1ターン目ジオコントロール
ジオコントロールの良さは、どれだけ言っても強調し切れない。このワザは、1エネで撃てるダメージのないエメラルドスラッシュだ。1ターン目エメスラのためだけにビリジオンデッキにプラズマ団バッジとアクロママシーンを入れてた人がいたことを思い出してほしい。それもこれも、1ターン目にこれだけの量のエネを貼るのは馬鹿げているほど強いからだ。おまけにゼルネアスはEXじゃない。
要するに、このデッキは1ターン目ジオコントロールにフォーカスされていて、そのためにフェアリーガーデンやダークライよりも通常のいれかえカードを選んでいる。スーパーボールのようなカードは、ベンチに素早くポケモンを置くためだ。
PTCGOのExpertレベルのCOM対戦で実験をしてみたところ、24試合のうち20試合で1ターン目ジオコントロールが撃てた(このデッキの安定性には自信があるし、だからこそこの実験をやってみた)。つまり、後攻の場合、83%の確率で1ターン目ジオコントロールができたということだ。毎試合後攻を選択するのに十分すぎる確率だ。
そして65%の確率で、ベンチ2体の完璧なジオコントロールが撃てた。実際、ハイパーボールだけの運用時に比べると格段の進歩だ。スーパーボールに代えて4枚のハイパーボールでやってみたら、完璧なジオコントロールになる確率は40%だった。
■このデッキを候補から「落とした」理由
僕はこのデッキをArizona State Championshipで使う気まんまんだった。けれどそんなときに、友だちのどうぐおとしデッキと対戦した。友だちはどうぐおとしがStatesで使うのには良いデッキだと大真面目に言っていて、絶対に使う気でいた。そして手短に言えば、僕はボコボコにされた。
実際、どうぐおとしデッキが立ち上がりに完璧にもたつかない限りは、たいていのデッキはどうぐおとしには負けてしまう。そして友だちは全然そんなことはなく、僕のデッキは何度も何度も叩きのめされた。
当然の結果として、僕は自分のデッキについてひとつ気がついた。一撃で倒しに来る相手には非常に相性が悪い。たとえジオコントロールでエネを場に貼っても、あっという間に無くなってしまう。とりわけ、こちらのEXと相手の非EXが交換になっている場合には。
がっかりはしたけれど、この経験は悪いものじゃなかった。このデッキに持っていた固定観念を吹き飛ばしてくれたし、相手を一撃で落とせるようなポテンシャルを持つデッキは多くいるだろう。それは大きな問題だ。ふたを開けてみれば、どうぐおとしはたくさんの使用者がいて、一人はトップ8にもなった。僕は自分の問題を早めに把握できて良かったと思っている。
カメックスとレックエンブは、一撃に依存しているデッキの代表格だ。けれども、ルギア型のプラズマもHP170のEXのほとんどを一撃で、しかもサイド3枚で倒すことができるとわかった。
こうした新しい発見から、僕はBig Basicsを完全に作り直すことにした。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
これ以降は有料記事のため、翻訳は以上になります。お読みいただきありがとうございました。
最後に触れられているどうぐおとしですが、Statesでも複数入賞しており、実はこの環境でかなりポテンシャルのあったデッキであることがわかります。
個人的にびっくりメガホンのデザインは酷すぎると思っていたのですが、こういう結果を見てしまうとつくづく残念です。
ただ、フレフワンの名誉のために言えば、フレフワンもプラズマ型/ゼルネ型どちらも、Statesで複数の入賞者を出しています。
さておき、リストと考察はなかなかに面白いものでした。対戦動画などを見ていても、ゼルネ型の多色フレフワンは、ゼルネアスとイベルタルEXとビリジオンEXがまず必須パーツで、あとは人によって少しずつ違っているようです。
シビビールのいないメタゲームなので、ランドEXにそこまで依存する必要がないというのも、このゼルネ型の多色フレフワンが多く使われる理由のひとつなのでしょう。
個人的に、フレフワンは3-3ラインが好きですけれど……w
余談その2。
有料部分になっているAndrew Zavalaのランドコバルダストですが、
ttp://youtu.be/et9t2HMJn2w
これの22:03から見ることができます(正確なレシピではないようですが)。
XY1が発売された海外でも、日本同様、フレフワンデッキは一定の入賞率を見せています。
ただ日本と違うのは、プラズマ系のフレフワンだけでなく、ゼルネ型の多色フレフワンも同数くらい多くいることです。
前者の形は色々な場所で紹介され尽くしているので、今回は、ゼルネ型の多色フレフワンについて書かれた記事を紹介します。
著者のAndrew Zavalaは、このあいだのStatesで、たねEX/ダストを使って優勝した実力者。あれ、フレフワンじゃないの? と思われるかもしれませんが、記事を読むとフレフワンから切り替えた理由も書かれています。
ただフレフワンのデッキ自体は、ユニークな部分もありますがなかなか練られたリストになっています。日本ではあまり馴染みのないゼルネ型の多色フレフワン、なにか構築のヒントがあるかもしれません。
今回の記事は、後半は有料記事で翻訳できませんが、前半の読み飛ばせる箇所も一部省略しました。
スクラッパーの使用率の上昇と、イベルタルEXの登場、というところから話が始まります。
いつもどおり、訳語の至らなさや誤訳の責任は、すべて僕うきにんに属します。
読みやすさを考慮して、改行を変更した部分があります。
(今回も例によって無許可翻訳なので、何かあればすぐに削除します)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
“Sizeable Smells” -- The Sweet Scents and Foul Odors of Big Basics
by Andrew Zavala
Thursday, March 13, 2014
ttp://www.sixprizes.com/2014/03/13/sizeable-smells-the-fair-scents-and-foul-odors-of-big-basics/
[中略]
■基準点の設定
XYシリーズが発売されたばかりの頃は、Statesで何をつかおうか全然決まっていなかった。けれども、フレフワンは候補に加えたいと思っていた。フレフワンは本当に色々なことができるし、そういうのは大好きだ。
このほうこうポケモンを使う方法はふつう2通りあるけれど、どちらも巨大なたねポケモンを使うというものだ。このことが、Statesで使うデッキの基準になった。巨大なたねと、1進化のサポートを使ったデッキ。
それでもXYがリリースになると、「伝統的」なたねデッキ、つまりランドロスEX、トルネロスEX、ミュウツーEX、そしてダストダスを使ったデッキは、衰退していった。使用者が減った理由は、おもに2つあった。
1.スクラッパー使用率の上昇
XYリリースの直前まで、ダークダストは非常に結果を残していて、Virginia Regional Championshipで優勝したし、他の大会でも上位に入っていた。このデッキは使用者も多く、実績のあるデッキだった(あるいは今でもそうだ)。カメックスやプラズマのようなデッキにとって、ダストダスは大きな問題になる。
必然的に、多くのプレイヤーがデッキにスクラッパーを入れ始めた。1ターンか2ターンでもとくせいにアクセスできれば、ダスト派生にとっては破滅的な結果になる。そしてスクラッパーが増えるにつれ、ダストは見かけなくなっていった、というわけだ。
XYのリリース後には、ダークダストのプレイヤーたちは、スクラッパーの影響を避けるために、純正イベルダークに鞍替えすることができた。そうして伝統的なたねEX/ダストデッキは、もうひとつ相性の悪いマッチアップに晒される嵌めになった。たねEX/ダストは、イベルタル入りのダークライに立ち向かえるようにする必要があった。
イベルタルに関していえば、これがたねEX/ダスト衰退のもうひとつの要因だ。
2.イベルタルEXの登場
イベルタルEXはXYで登場した最良のカードのうちのひとつで、明らかに既存の強力なダークライデッキに追加できるカードだ。しかも、通常の悪ポケモンとは違う点がひとつあった。闘タイプへの抵抗力だ。
これはランドロスEXには悪すぎるニュースだ。ダークライに60と30をばらまく代わりに、イベルタルには10と30になってしまう。ランドロスを用意するたびに、ダークライ側のプレイヤーはイベルタルに入れ替えてきて攻撃の効力を減らし、しかも向こうからは大ダメージで殴ってくる。
ミュウツーEXのエックスボールも、イベルタルのイビルボールには20点ぶん劣る。
また驚くべきことに、イベルタルEXはトルネロスEXを一撃で倒すのも難しくはない。イベルタルに3エネとハチマキと毒タチワキがあれば、2エネで攻撃しているトルネロスEXを一撃で倒すことができる。トルネロスEXがパワーブラストを撃っていれば、わずか2エネで事足りる。
イベルタルEXはたねEX/ダストの存在を根本から否定していた。
■たねEXたちの新しい香り
上にあげたふたつの理由から、僕はBig Basics〔※訳注:大型のたねポケモンをメインに据えたデッキのこと〕を完全に新しく作り直すことに決めた。XYシリーズが選択肢を広げてくれたし、僕はそれでいってみることにした。ダストダスの代わりにフレフワンを使う。典型的なトルネ/ランド等々を使う代わりに、フレフワンを使うことで、Statesにいそうなメタデッキに立ち向かえるカードを色々と使うことができる。まんたんのくすりを乱発できる大型のたねEXは好きだけど、このデッキでもそれはできた。
Statesまでの約2週間このデッキをテストしていて、PTCGOでの対戦を見るかぎり、かなり良さそうになった。
■デッキリスト
これがStatesで使うつもりだったリストだ。
2 シュシュプ
2 フレフワン
3 ゼルネアス
2 ゼルネアスEX
1 イベルタルEX
1 ライコウEX
1 ランドロスEX/テラキオンEX
1 シェイミEX
1 ビリジオンEX
4 アララギ博士
4 N
3 フウロ
2 アクロマ
2 ハイパーボール
2 スーパーボール
1 レベルボール
2 ポケモンいれかえ
2 かるいし
1 あなぬけのヒモ
3 どくさいみん光線
2 ちからのハチマキ
2 まんたんのくすり
1 ツールスクラッパー
1 パソコン通信
2 タチワキシティジム
0 フェアリーガーデン
6 フェアリーエネルギー
4 プリズムエネルギー
1 レインボーエネルギー
1 ダブル無色エネルギー
■カード選択
3 ゼルネアス
このデッキは、プラズマポケモンを使っている他のフレフワンデッキとは違っている。メインのカードは、ゼルネアスというすごいやつだ。フェアリーエネ1枚で場に2枚のエネを加速できる。唯一の欠点は、加速先が2体必要ということだけれども。ゼルネアスは3エネで100点を撃つこともできて、相手がシンボラーやスイクンといったしんぴ持ちを使ってきたときにも良い突破口になってくれる。ただ、にじのやりはあまり多く撃たない方がいいね。
場にエネをばらまけるこのカードは、明らかにこのデッキでは1ターン目に置きたいカードだ。個人的に3が最善の枚数だと思っていて、4は多すぎるし、2だと、サイド落ちのときなんかに初手でワザを撃てる可能性が下がってしまう。
2 ゼルネアスEX
このカードはアタッカーとしては質が悪いとさんざん議論の的になってきた。それでも、この虹色の鹿は、通常ゼルネアスやフレフワンと組めば望みがあると思っている。ダークライやイベルタルからの攻撃を受け止められるし、それこそがこのカードの一番の特質だろう。抵抗や、ビリジオンが毒を止めていることを考えれば、イベルタルがゼルネアスを倒すのは相当に難しい。確かにブラストXは4エネかかるけれども、ハチマキと毒タチワキが合わされば、誰彼かまわず一撃で倒すことができる。
上のワザのブレイクスルーは、ブラストXで一撃するときの手助けや、貴重な打点を与えることができるし、ゼルネアス、フレフワン、ダブル無色があれば使うのはとても簡単だ。ハチマキと毒タチワキがあれば110と30をばらまける。相当に強力だ。
このカードはいつも使うアタッカーで、ほぼすべてのマッチアップで役に立つ。ゼルネアスEXが独特なのはフェアリーエネを使えることで、ダブル無色が絡めば、もし倒されても1枚か2枚しか色エネを失わずに済む。
1 イベルタルEX
2エネの優秀なアタッカーで、ゲーム後半の偉大なフィニッシャーだ。エネを全部イベルタルに貼って好き放題やってしまおう。ほかにも、サイクロンYでプリズムエネを動かして、シェイミEXやライコウEXといった非フェアリーアタッカーのためにエネをとっておくことができる。
1 ライコウEX
このカードはデッキリストのなかでも目立つ2枚のうちのひとつだろう。もともとはイベルタルEXやルギアEXのカウンターへのつもりだった。けれども、実際はもっと良い仕事をしてくれた。相手のフレフワンやダストダスを潰してくれたんだ。ミラーマッチは大好きだ。というのも一度フレフワンを狙撃してしまえば、相手はこっちが場を全部倒してしまう前にフレフワンをもう一体急いで立てなければいけないからだ。フレフワンがいないとデッキの動きが著しく制限されてしまうし、そうなればジオコントロールもライデンナックルも大して仕事はできない。
1 ランドロスEX/テラキオンEX
別のデッキに鞍替えしてしまうまで、僕はどっちを使うべきか決められなかった。1エネで殴れてベンチにも打点の飛ぶランドロスEXは好きだけど、いくつもの理由から、テラキオンEXは面白いカードだった。ハチマキと毒タチワキがあれば2エネでボルトロスEXを倒せる。ハチマキなしで闘弱点のポケモンを一撃で落とせる(ランドロスではできないことがある)。そして手札に残ったフェアリーエネを加速することもできる。
1 シェイミEX
このカードはこのデッキに居場所があっていいと思ってた。最後のアタッカーとしてはすばらしい性能だ。たった2エネで攻撃できるのは、エネの大半を使い果たしてしまう後半にぴったりだ。通常ゼルネアスが主力になっていて、その他は全部EXポケモンだから、相手は常にサイド7枚戦を強いられることになる。ゼルネアス1体とEXが2体倒されたあとだと、シェイミは180ダメージを出すことができるんだ。
1 ビリジオンEX
草エネになるエネルギーを入れているデッキならたいてい、このカードは欠かせない必須パーツだろう。特殊状態を完璧に止めてくれるほか、対アギルダー派生のマッチアップに非常に強くしてくれる。
2ハイパーボール、2スーパーボール、1レベルボール
えっ? 何て書いてある? スーパーボール? そう、その通り。このデッキで急がないといけないことは、ジオコントロールを最大限に活用するために、場に素早くポケモンを置くことだ。最初はハイボ4でやっていたけれど、ただポケモン2体出すためだけにハイボを使うのはリソースを捨て過ぎていると気づいてからは変更した。その後はレベボを多めに入れたけど、シュシュプを引くのにしか使えなかった。スーパーボールは次善の策だけれども、かなり良く機能してくれた!
ジオコントロール用にベンチにポケモンが必要なら、あとあとエネを動かせさえすれば、種類は何でもかまわない。スーパーボールはほとんどの場合でポケモンを引けて、デッキの動きをなめらかにしてくれる。
2ポケモンいれかえ、2かるいし、1あなぬけのヒモ、0フェアリーガーデン
この種のデッキにしては、このラインナップは普通じゃないように見える。フェアリーガーデンでなく複数のいれかえ系カードを入れた理由はこんな感じだ。フェアリーガーデンは、タダ逃げするのにエネを要求する(ダークライと同じだ)。もし後攻シュシュプスタートで、ハイボでゼルネアスを持ってくるとして、シュシュプにエネを無駄貼りするわけにはいかない。バトル場から入れ替えて、なおかつゼルネアスにエネを貼りたいんだ。
これだけの枚数のいれかえ系カードとサーチカードがあれば、たいていの場合に1ターン目ジオコントロールが使えるから、後攻スタートには自信を持っている。
■1ターン目ジオコントロール
ジオコントロールの良さは、どれだけ言っても強調し切れない。このワザは、1エネで撃てるダメージのないエメラルドスラッシュだ。1ターン目エメスラのためだけにビリジオンデッキにプラズマ団バッジとアクロママシーンを入れてた人がいたことを思い出してほしい。それもこれも、1ターン目にこれだけの量のエネを貼るのは馬鹿げているほど強いからだ。おまけにゼルネアスはEXじゃない。
要するに、このデッキは1ターン目ジオコントロールにフォーカスされていて、そのためにフェアリーガーデンやダークライよりも通常のいれかえカードを選んでいる。スーパーボールのようなカードは、ベンチに素早くポケモンを置くためだ。
PTCGOのExpertレベルのCOM対戦で実験をしてみたところ、24試合のうち20試合で1ターン目ジオコントロールが撃てた(このデッキの安定性には自信があるし、だからこそこの実験をやってみた)。つまり、後攻の場合、83%の確率で1ターン目ジオコントロールができたということだ。毎試合後攻を選択するのに十分すぎる確率だ。
そして65%の確率で、ベンチ2体の完璧なジオコントロールが撃てた。実際、ハイパーボールだけの運用時に比べると格段の進歩だ。スーパーボールに代えて4枚のハイパーボールでやってみたら、完璧なジオコントロールになる確率は40%だった。
■このデッキを候補から「落とした」理由
僕はこのデッキをArizona State Championshipで使う気まんまんだった。けれどそんなときに、友だちのどうぐおとしデッキと対戦した。友だちはどうぐおとしがStatesで使うのには良いデッキだと大真面目に言っていて、絶対に使う気でいた。そして手短に言えば、僕はボコボコにされた。
実際、どうぐおとしデッキが立ち上がりに完璧にもたつかない限りは、たいていのデッキはどうぐおとしには負けてしまう。そして友だちは全然そんなことはなく、僕のデッキは何度も何度も叩きのめされた。
当然の結果として、僕は自分のデッキについてひとつ気がついた。一撃で倒しに来る相手には非常に相性が悪い。たとえジオコントロールでエネを場に貼っても、あっという間に無くなってしまう。とりわけ、こちらのEXと相手の非EXが交換になっている場合には。
がっかりはしたけれど、この経験は悪いものじゃなかった。このデッキに持っていた固定観念を吹き飛ばしてくれたし、相手を一撃で落とせるようなポテンシャルを持つデッキは多くいるだろう。それは大きな問題だ。ふたを開けてみれば、どうぐおとしはたくさんの使用者がいて、一人はトップ8にもなった。僕は自分の問題を早めに把握できて良かったと思っている。
カメックスとレックエンブは、一撃に依存しているデッキの代表格だ。けれども、ルギア型のプラズマもHP170のEXのほとんどを一撃で、しかもサイド3枚で倒すことができるとわかった。
こうした新しい発見から、僕はBig Basicsを完全に作り直すことにした。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
これ以降は有料記事のため、翻訳は以上になります。お読みいただきありがとうございました。
最後に触れられているどうぐおとしですが、Statesでも複数入賞しており、実はこの環境でかなりポテンシャルのあったデッキであることがわかります。
個人的にびっくりメガホンのデザインは酷すぎると思っていたのですが、こういう結果を見てしまうとつくづく残念です。
ただ、フレフワンの名誉のために言えば、フレフワンもプラズマ型/ゼルネ型どちらも、Statesで複数の入賞者を出しています。
さておき、リストと考察はなかなかに面白いものでした。対戦動画などを見ていても、ゼルネ型の多色フレフワンは、ゼルネアスとイベルタルEXとビリジオンEXがまず必須パーツで、あとは人によって少しずつ違っているようです。
シビビールのいないメタゲームなので、ランドEXにそこまで依存する必要がないというのも、このゼルネ型の多色フレフワンが多く使われる理由のひとつなのでしょう。
個人的に、フレフワンは3-3ラインが好きですけれど……w
余談その2。
有料部分になっているAndrew Zavalaのランドコバルダストですが、
ttp://youtu.be/et9t2HMJn2w
これの22:03から見ることができます(正確なレシピではないようですが)。
コメント
仰る通り、レックビールに対しての解答が不要な環境ならではの構築のようですね。
以前、原文とレシピを見た時に感じたのですが、やはり環境によって構築を変えて生き残る、良いデッキだと感じました。
>個人的に、フレフワンは3-3ラインが好きですけれど……w
すごくわかります。出来ればアララギetcで素引きしたいですしw
これも海外でシビビール不在の中、ライコウが環境に少ない結果なのかもしれませんね。
お読みいただきありがとうございます。このデッキだと入っていませんが、海外でも、だいたいのフレフワンにはシンボラーかスイクンが入っていたり、一方でバリヤードが入っていたりいなかったりと、メタ読みの難しさを感じますね。
細いフレフワンライン+バリヤード減少を逆読みしてのライコウEX採用は、かなり面白いと思いました。
フレフワン3-3は以前のNORIさんのリストをかなり参考にさせていただいたのですが、プラズマ型だと2ターン目に着地させたいので、やはり素引きできるラインは強いですね。
「0 フェアリーガーデン」という書き方が読み手の目を引きますね。
面白いです。
一どうぐおとしファンとして、メガホンの登場は心底残念です。
始めにテキストを読んだ時は青筋がたちましたね。笑
お読みいただきありがとうございます。
いくつか動画も見てましたが、フェアリーガーデンの有無は人によってまちまちでしたね。このリストは毒タチワキまで入れてるのが特徴的だと思います。
メガホンのカードデザインはちょっと無計画的すぎるというか、ほかにやりようがあったのではないかと思えてしまいますね。
どうぐおとし自体ポテンシャルのあるデッキだと思うので本当に残念です。まあカエンジシも激痛なのですが……。
というのは8割ほどで、こういった文を読むとどうぐおとしへのメガホンが本格的にXYレギュになる前に登場したのは確かに残念なことです(日本でもカーニバルで結果を残しただけに
スーパーボールは僕もびっくりしましたw
でも採用理由には妙に説得力があるので気になりますねー。
メガホンみたいな、一枚で何かを全否定、みたいなカードはあんまり出てほしくないですよね。アドバンテージを取れるカードのデザインは難しいのでしょうけれど……。