今回も翻訳ではありません(たぶん)。

 昨年12月くらいから海外で注目され始めた、"The Yeti"(イエティ)というデッキがあります。このあいだのHenry Priorの記事(http://ukinins.diarynote.jp/201401031744297893/)でもちょっとだけ言及されていたので、ご存知の方もいると思います。
 その記事の中では、Henry Priorに「日本人はプラズマの構築をちゃんとわかってないんだと思う」と言い放たれてしまったわけですが、その正誤はともかく、せっかくなので「イエティ」とはどんなデッキなのか、見ていってみましょう。

「イエティ」が注目されるようになったきっかけは、この冬にアメリカで開催されているCities(都市別大会)の結果でした。その中でも大きな要素となったのが、12月末にSixPrizesに出たふたつの記事です。

Beware the Snow Monster from the North: A Cities Report with “The Yeti”
ttp://www.sixprizes.com/2013/12/24/beware-snow-monster-north-cities-report-yeti/

Breaking Down the Hype: How Does “the Yeti” Address Movements in the Format?
ttp://www.sixprizes.com/2013/12/30/breaking-hype-yeti-address-movements-format/

 長くなるので訳しませんが、ひとつめはレポートとデッキがメイン、ふたつめは考察がメインの記事になっています。
「イエティ」とはどんな構築をしているのか、ひとつめの記事から、デッキレシピだけ引用してみましょう。

2 カビゴン
3 ルギアEX
2 ボルトロスEX
2 デオキシスEX
1 ゲノセクトEX

4 アララギ博士
4 N
3 アクロマ
2 ダークトリニティ
1 フウロ
1 アイリス

3 ハイパーボール
2 プラズマ団のモンスターボール
4 アクロママシーン
3 ポケモンいれかえ
2 まんたんのくすり
2 ツールスクラッパー
1 エネルギー転送
1 スクランブルスイッチ
3 凍てついた街

6 雷エネルギー
4 プラズマエネルギー
4 ダブル無色エネルギー

 解説は後回しにしますが、おおむね一般的なパーツはすべて入っています。

 ひとまず、こうして注目された結果、このデッキは一躍、今月アメリカ行われているWinter Regionals(地区別大会。かなり大規模)の有力デッキとなったわけです。
 復讐ブースターの製作者として有名なDylan Bryanや、60cardsのライターJustin Sanchezの両者が、ともに、Winter Regionalsの有力デッキとして、ゲノセクト/ビリジオン、ダークダスト、そしてこの「イエティ」の3つを挙げています。
(上がDylan Bryanの記事、下がJustin Sanchezの記事です)

“The Big Three” -- Top Decks to Prepare for at Winter Regionals 2014
ttp://www.sixprizes.com/2014/01/07/the-big-three-top-decks-to-prepare-for-at-winter-regionals-2014/

A look at Cities and what it means for Winter Regionals.
ttp://60cards.net/blog/posts/detail/122

 Justin Sanchezの記事からサンプルレシピを引用してみます。良くまとまっていてわかりやすいからで、それを元に、僕なりに少し解説してみたいと思います。

3 ボルトロスEX
3 デオキシスEX
2 ルギアEX
2 カビゴン
1 ゲノセクトEX

4 アララギ博士
4 N
3 ダークトリニティ
3 フウロ
3 アクロマ

4 アクロママシーン
4 ポケモンいれかえ
3 凍てついた街
2 ハイパーボール
1 ツールスクラッパー
1 プラズマ団のモンスターボール
1 まんたんのくすり
1 エネルギー転送
1 スクランブルスイッチ

4 ダブル無色エネルギー
4 プラズマエネルギー
3 プリズムエネルギー
3 雷エネルギー

 まず前提として、海外のメタゲームの動向があります。以前にも少し触れたのですが、BW3以降レギュの海外においては、トップメタは明らかにビリゲノです。
 レギュ的にシビビールが不在で、ビクティニ(同じくレギュ外)に一撃でやられる心配もありません。また、トロピカルビーチの存在によりカメケルが未だ有力デッキのため、それに対して戦えるというのもビリゲノ躍進の大きな理由です。
 しかし一方で、シビビールの不在が、結果として雷弱点のルギアEXが活躍できる下地になってもいます。

 デッキの主な狙いはシンプルで、ボルトとルギアによる、いわゆるワンツーパンチです。ただそれに加えて、カビゴンでの攻撃やゲノセクトのとくせいも絡むため、動きは思いのほか複雑になります。
 特にカビゴンによる攻撃は、手貼りかライデンナックルでダブル無色を貼れる機会が多いので見た目以上にやりやすく、またHP130も落ちにくいため、EXに一撃当てるだけでゲームをひっくり返せるパワーがあります。
 プラズマエネルギーの食い合いになるのでゲノセクトの運用は難しいですが、ダークトリニティでプラズマエネを拾う動きが構築に含まれているため、ゲームプラン的に狙って動くことも多々あります。

 凍てついた街は、海外環境の結果です。最大の要因はビーチが健在でカメケルが多いことですが、タチワキを割るのも大事な仕事です。もちろん、ルギアの射程に入れるための重要なダメージ源でもあります。
 色エネの配分は上のデッキふたつで割れていますが、有力デッキであるダークダストのハンマーを(特に改造ハンマーを)ケアするならば、基本の雷エネのみになります。
 ただ、プリズムエネがあるとデオキシスで攻撃できることに加え、ゲノセクトにどこかのタイミングで2枚貼っておけば、手貼りプラズマエネのレッドシグナルから、相手の置物のケルディオやジラーチを狩ることなどもできます。

 概して、動きが大味に見えるデッキですが、場やエネの管理など、細かいプレイがかなり要求されるデッキです。Sムラさんがご自身のDNでおっしゃっていたとおり、5枚取られて6枚取るような斬り合いにもなりやすいので、サイドの計算や相手のNのケアなど、使ってみると注意しなければならない点が案外多いことがわかるデッキでもあります。

 最後に、僕が使っているデッキを載せてみます。
 日本でこの「イエティ」を使う際は対シビビールがネックになりがちですが、先に触れたHenry Priorが言及していたとおり、パルキアをタッチするという方法もあります。
 もともとダブル無色とカビゴンが入っているデッキなので、組み込む上でもそんなに支障はありません。

3 デオキシスEX
3 ボルトロスEX
2 ルギアEX
2 カビゴン
1 パルキアEX
1 ゲノセクトEX

4 アララギ博士
4 N
3 アクロマ
2 フウロ
1 ベル
1 ダークトリニティ

4 アクロママシーン
3 かるいし
3 あなぬけのヒモ
2 ちからのハチマキ
2 プラズマ団のモンスターボール
2 ツールスクラッパー
1 ハイパーボール
1 まんたんのくすり
1 スクランブルスイッチ

4 ダブル無色エネルギー
4 プラズマエネルギー
3 プリズムエネルギー
3 雷エネルギー

 必要性をあまり感じなかったので、ルギアでの170点は出しにくい構築になっています。デッキの動きは上で解説したものとだいたい同じですが、相手や盤面に応じて、ボルトルギアで動くかパルキアカビゴンで動くか切り替えます。やっぱりパルキア強いですね。

 海外では、このあと2月5日にXY1の発売が控えています。
 ハチマキの参入はこの「イエティ」にも大きな影響を与えそうです。ビリゲノの優位が続くのか、それに代わるデッキが出てくるのか、海外のメタゲームも楽しみですね。

コメント

Sムラ
Sムラ
2014年1月13日12:55

バンクーバーでお会いしたSムラと申します。
自分もyetiは海外で注目されてから、ずっと使用してます。
ハチマキがでてルギアが簡単に170がだせるようになればまた構築もかわってくるのだと思います。
ちなみに把握してるとは思いますが、ビリゲノの最大弱点のビールだけではなく、Vジェネレートのビクティニもレギュから外れてますよ。

ワシントンはいかれますか?

うきにん
2014年1月13日13:06

>>Sムラさん
お久しぶりです。エントリ中にお名前を引用してしまいすみません。僕もプラズマ好きな人間なので、このデッキはレポートが出てからすぐに使い始めました。
海外でハチマキが出ればかなり変わりそうですよね。そもそも海外はビーチの動向次第で一変してしまいそうではありますが;
ビクティニの該当箇所、手直しさせていただきました。日本語不自由ですみません……。
ワシントンは今のところ完全にノープランですw就職1年目から休みを取りに行くという高すぎるハードルが……w

キンゴ
2014年1月13日13:35

>>ひみつ
英単語一つが日本語にすると結構な量になるのでそりゃ増えるだろうなあとか逆に言えば日本語だと短くしやすいのかなとか、でも結局文量は無効の方がずっと多いことに変わりないよなとかカードに関係ないことばかり考えちゃいました

自分は「文章長いな」と思ったことはありませんが。

うきにん
2014年1月13日14:01

>>キンゴさん
英文の日本語訳は分量にして3割くらい増えるそうで、自分の感覚でもそのくらいかなとは思います。
長めのエントリでも苦にせず読んでくれる方が多いと、こちらも助かりますw

Sムラ
Sムラ
2014年1月13日15:05

エントリーで名前を使用されるのは全然かまいませんよ!
むしろうれしいです。笑

あちらの環境を観察するのはとても勉強になりますし、試合時間が変わった中で環境がどう変わるかも注目ですね。

ワシントン行けたらまたお会いしましょう!
秘密の件は全然感じたことないです。 読んでて楽しいぐらいです!

うきにん
2014年1月13日17:47

>>Sムラさん
DN巡回しまくってるので、面白い内容を書いてある方のところはだいたい覚えてますw
海外環境は参考になりますよね。特に日本勢はBW3以降レギュでの実戦経験が足りなくなるのは目に見えているので、情報を追っていて損はないかなと思っています。
こちらこそ、もしワシントンに行けたらよろしくお願いいたしますw
それより前に東京あたりでお会いする機会があるかもしれませんがw

あかつき
2014年1月13日22:11

はじめまして。名古屋の親子プレーヤーであかつきといいます。リンクさせていただきます。
自分はプラズマがで出てから、ルギアメインで構築してきて、カビゴンも採用(以前のレギュ)したことがありましたが、カビゴンがうまく活躍出来ませんでした。海外の環境ならとても楽しめそうですね。勉強になります。

うきにん
2014年1月13日22:27

>>あかつきさん
初めまして。僕もずっとプラズマを使っていますが、ルギアは難しいですね。
天敵の雷がいない海外なら気持ちよく使えそうですが、日本でもまだまだ捨てたものではないと思いますよ。カビゴンも、プレイ中に意識して使うようにすれば攻撃のチャンスはかなりあると思います。
リンクお返しいたしました。

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