今回は翻訳ではないです。
うきにん杯含めた自主大会等でのジャッジング基準について、思ったことを書きます。
僕は基本的に、ポケカではゲームロスを多く出すことには反対です。
以下にその理由を述べます。
■懲罰ごとの価値の違い
ゲームロスと言うときよく比較されるのがMtGですが、MtGの懲罰(ペナルティ)定義は以下のようになっています。
(参考:ttp://mtg-jp.com/rules/docs/JPN_IPG.html)
・注意→警告→ゲームロス→マッチロス→大会からの失格
ゲームロスは上から3番目、マッチロスは上から2番目の重さのペナルティとなっています。
次にポケカですが、ポケカの懲罰定義は以下のようになっています。
(参考:ttp://www.pokemon-card.com/event/regulation/floor-rule.pdf、※いきなりpdfが開くので注意※)
・注意→警告→サイド→敗北→大会からの失格
ゲームの敗北は上から2番目の重さのペナルティとなっています。
そして、通常3ゲーム制で行われるMtGでは、ゲームロスは敗北の決定的要因になりえない(2ゲーム取れば勝てる)のに対し、ポケカではゲームロスはそのまま敗北となり、かつ短ラウンドのスイスドローやトーナメントの多いポケカでは、ゲームロスは個人にとってそのまま大会の終了に繋がりうる、という事実があります。
つまり、ゲームロスと言っても、ポケカと他のカードゲームでは意味合いが大きく異なります。
これを理解せずにゲームロスの必要性を説いても意味がありません。
■参考例:過剰ドローの場合
一番よく起こりうる違反行為に過剰ドローがあります。
過剰ドローは、MtGの場合、ゲームロスと規定されています(上のURL参照)。
ポケカの場合、警告として規定されています(上に同じ)。
ポケカは甘すぎると批判することは容易ですが、仮にMtGと同基準に置くならば、ペナルティはゲームロスではなくサイドペナルティになります。
少なくとも両カードゲームのフロアルールを参照する限り、ポケカでの過剰ドローはゲームロスにはなりえません。
■結論
ポケカでゲームロスを乱用すべきではない理由は、以下の2点です。
・ゲームロスについてはよくMtGが参照されるが、ゲームロスの価値はMtGとポケカでは大きく異なる。
・過剰ドローなどはポケカのフロアルールに規定があり、それを無視するのはポケカをやる意味がない。
また、この点についてはゲームロス賛成派から以下のような反論が考えられます。
「基準が甘いと公式大会で苦労するのではないか」
「裁定を甘くしてはイカサマが増えるのではないか」
これには以下のように反論することができます。
・公式大会はポケカのフロアルールに基づいて行われる。現フロアルールに基づく限り、ゲームロスはほとんど発生し得ない(そして、相手からの言いがかりに対処するために、それをプレイヤーが知っておく必要がある)。
・イカサマの量はフロアルールの規定とは別問題であり、どんなフロアルールであってもイカサマは発生し得る。イカサマに対処することとフロアルールを厳密に運用することは別である。むろん、イカサマには厳しい対処が必要であることは言うまでもない。
以上の点も踏まえた上で、うきにん杯を含めた自主大会では、ポケカのフロアルールどおりの適用か、あるいはそれで軽いと感じるならば、それらを一段階重くして運用することが適切だと考えます。
もちろん、プレイヤーが不正行為防止に努めることは絶対に必要であり、その点の意識改革が必要なことは言うまでもありません。フロアルールについての結論は、プレイヤー意識の問題とは矛盾しません。
何より一番大事なのは、何か「おやっ」と思ったら、すぐに手を止めてジャッジを呼ぶことですね。
ジュニアがメインのカードゲームで、ジャッジキルがどうこうと殺伐とする必要はないと思います。
「このゲームは競技寄りだが、究極的には小さい子たち向けに作られているというのを忘れてはいけない。自分が戦っている試合をあまりに大それたものと考えてしまうと、ストレスも大きいし、楽しくなくなってしまう」とは、かのJames Goodの名言ですね。
以上になります。
質問、意見などお待ちしています。
うきにん杯含めた自主大会等でのジャッジング基準について、思ったことを書きます。
僕は基本的に、ポケカではゲームロスを多く出すことには反対です。
以下にその理由を述べます。
■懲罰ごとの価値の違い
ゲームロスと言うときよく比較されるのがMtGですが、MtGの懲罰(ペナルティ)定義は以下のようになっています。
(参考:ttp://mtg-jp.com/rules/docs/JPN_IPG.html)
・注意→警告→ゲームロス→マッチロス→大会からの失格
ゲームロスは上から3番目、マッチロスは上から2番目の重さのペナルティとなっています。
次にポケカですが、ポケカの懲罰定義は以下のようになっています。
(参考:ttp://www.pokemon-card.com/event/regulation/floor-rule.pdf、※いきなりpdfが開くので注意※)
・注意→警告→サイド→敗北→大会からの失格
ゲームの敗北は上から2番目の重さのペナルティとなっています。
そして、通常3ゲーム制で行われるMtGでは、ゲームロスは敗北の決定的要因になりえない(2ゲーム取れば勝てる)のに対し、ポケカではゲームロスはそのまま敗北となり、かつ短ラウンドのスイスドローやトーナメントの多いポケカでは、ゲームロスは個人にとってそのまま大会の終了に繋がりうる、という事実があります。
つまり、ゲームロスと言っても、ポケカと他のカードゲームでは意味合いが大きく異なります。
これを理解せずにゲームロスの必要性を説いても意味がありません。
■参考例:過剰ドローの場合
一番よく起こりうる違反行為に過剰ドローがあります。
過剰ドローは、MtGの場合、ゲームロスと規定されています(上のURL参照)。
ポケカの場合、警告として規定されています(上に同じ)。
ポケカは甘すぎると批判することは容易ですが、仮にMtGと同基準に置くならば、ペナルティはゲームロスではなくサイドペナルティになります。
少なくとも両カードゲームのフロアルールを参照する限り、ポケカでの過剰ドローはゲームロスにはなりえません。
■結論
ポケカでゲームロスを乱用すべきではない理由は、以下の2点です。
・ゲームロスについてはよくMtGが参照されるが、ゲームロスの価値はMtGとポケカでは大きく異なる。
・過剰ドローなどはポケカのフロアルールに規定があり、それを無視するのはポケカをやる意味がない。
また、この点についてはゲームロス賛成派から以下のような反論が考えられます。
「基準が甘いと公式大会で苦労するのではないか」
「裁定を甘くしてはイカサマが増えるのではないか」
これには以下のように反論することができます。
・公式大会はポケカのフロアルールに基づいて行われる。現フロアルールに基づく限り、ゲームロスはほとんど発生し得ない(そして、相手からの言いがかりに対処するために、それをプレイヤーが知っておく必要がある)。
・イカサマの量はフロアルールの規定とは別問題であり、どんなフロアルールであってもイカサマは発生し得る。イカサマに対処することとフロアルールを厳密に運用することは別である。むろん、イカサマには厳しい対処が必要であることは言うまでもない。
以上の点も踏まえた上で、うきにん杯を含めた自主大会では、ポケカのフロアルールどおりの適用か、あるいはそれで軽いと感じるならば、それらを一段階重くして運用することが適切だと考えます。
もちろん、プレイヤーが不正行為防止に努めることは絶対に必要であり、その点の意識改革が必要なことは言うまでもありません。フロアルールについての結論は、プレイヤー意識の問題とは矛盾しません。
何より一番大事なのは、何か「おやっ」と思ったら、すぐに手を止めてジャッジを呼ぶことですね。
ジュニアがメインのカードゲームで、ジャッジキルがどうこうと殺伐とする必要はないと思います。
「このゲームは競技寄りだが、究極的には小さい子たち向けに作られているというのを忘れてはいけない。自分が戦っている試合をあまりに大それたものと考えてしまうと、ストレスも大きいし、楽しくなくなってしまう」とは、かのJames Goodの名言ですね。
以上になります。
質問、意見などお待ちしています。
コメント
ポケカのフロアルールを読んでみましたが
ミスはよっぽどやらかしてもサイド、イカサマまでいくと大会からリムーブで、敗北がでるのはよっぽど限られた場合だと思った(つーか、何をやったとき敗北を出すのかがわからなかった)のですが
なんでこんな記事書かないといけないほどゲームロスが出まくってるんですか?
ちなみにMTGの違反処置規定は「一般」「競技」「プロ」に別れていて、一般では過剰ドローぐらいではゲームロスになりません。何度も繰り返すようならあれですが
コメントありがとうございます。僕も数年前までMtGの大会に結構出ていた人間なので、MtG側のルーリングの事情はある程度までは把握しているつもりです。
ポケカのゲームロスに関しては、以前に(こういった正式のフロアルールが発表される前に)ポケカのジャッジの裁定が甘すぎるという話があり、プレイヤー間でも厳しめの裁定の必要性が叫ばれたときがありました(ひょっとすると今でもあります)。
公式大会等でも、その度が過ぎるあまり、相手プレイヤーへの厳罰をジャッジに要求するなどがありました(これもひょっとすると今でもあります)。
ポケカのフロアルール制定は比較的最近なのですが、こういった事情が背景にあります(むしろ、あったと思われます)。
ただそれでも、ポケカのフロアルールには不備が多く、裁定の面ではあいまいさが多々あります。僕自身もポケカの自主大会スタッフなので、今回のエントリは、自分への(あるいは、その自主大会への)反省のつもりで書いたものです。
現状のフロアルールを鑑みる限り、日本のポケカでの試合の敗北裁定は、サイドペナルティの累積が一番可能性の高い条件だと思います。世界大会だと、状況の復旧が完全に不可能になった場合に出ている場面が多いです(効果外の場面で手札を山札に戻してシャッフルしてしまった等)。
ポケカは裁定やルーリングがかなり軽視される傾向があるので(主な要因は公式が未熟で不備の多いせいなのですが)、今回の記事は、フロアルールを改めて読もうということ、また、大会で相手に理不尽なことを指摘されても、それを自衛する手段を覚えよう、ということが、今回のエントリの裏の趣旨だったりします。
改めて、コメントありがとうございました。
リンクいただきます
リンクお返しいたしました。こちらこそよろしくお願いいたします。